艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

529 / 594
我、沈マズノ姫 七

カナが更に身体を強化すると叢雲達は冷や汗を掻きながらその殺意に威圧されていると瞬きの瞬間にカナは跳躍すると叢雲達に襲いかかる

 

 

「速い!!」

 

 

「シネェェェェェ!!!!」

 

 

叢雲は慌ててカナの攻撃を防ぐが先程とは明らかに違うその重量と威力に押し潰されそうになる

 

 

「お、重い!さっき以上に!!」

 

 

「この!」

 

 

何とか長門は動けるようになるとカナの腹部を殴るがまるで岩を殴ったかの様に硬く長門がダメージを受けてしまう

 

 

「ぐぅ……か、硬い!!」

 

 

「退けェェェェェ!!!!」

 

 

その瞬間カナの爪が長門に直撃すると腕が切り裂かれ傷から大量の出血をする

(長門!カナは今現在暴走状態にある!

あれに今下手に攻撃すればこっちが狩られるぞ!!)

(じゃあどうすれば良い!!)

(……案がある少しだけ私に変われ、お前は英気を養え!!)

(分かった!頼むぞ私!!)

 

 

長門の中で話を進めると長門の意識と変わるように深海長門の意識が表に出ると両目が真っ赤に染まり人格が変わる

 

 

「艦娘叢雲!話ガアル!!」

 

 

「何よ……ってあんた誰!?長門じゃないわね!!」

 

 

叢雲はいつもと違う長門に気付くがそんなことお構い無しに深海長門は話を続ける

 

 

「ソンナコトハドウデモイイ!!オ前ノ中ニ居ルソイツヲ起コセルカ!?嫌、協力ヲ仰ゲルカ!?」

 

 

「はぁ?あんたと言いカナと言い何を言ってるのよ!?

私の中に何かいる??私は私よ!!」

 

 

「マダ分カラナイノカ!!オ前ノ意識ノ中ニハモウ一人居ルノガ!!!」

 

 

「この裏切リ者ガァァァ!!シネェェェェェ!!!」

 

 

叢雲と話している間もカナは深海長門に襲い掛かりその攻撃を受けとめると余りの重さに膝と腕が悲鳴を上げる

 

 

「私の中に……?でもそんなの分からないわよ!!!」

 

 

「グゥ……ヤハリ私達(・・)トハ違ウノカ!!

トナルト別ノ意識カ!!道理デ私達ヨリ強イ訳ダ!!」

 

 

深海長門はカナの攻撃を弾き飛ばすとその状態から後ろに向かって走ると叢雲を抱き抱える

 

 

「磯風!古鷹!!少シダケ飛行場姫ヲ頼ム!!」

 

 

「りょ、了解!!」

 

 

「分かりました!!」

 

 

「退けェェェェェェェェ!!!!」

 

 

磯風と古鷹にカナを任せると深海長門は少し離れた所に行くと叢雲を下ろし肩を掴む

 

 

「今、我々ダケデハアイツハ、深海姫Eliteノ暴走状態ハ倒セナイ

ダカラオ前ノ中ニ居ルソノ化ケ物ニ力ヲ借リルシカナイ!!!!」

 

 

「だから!私はそんなの知らないって!!!

それに倒せないなんてそんなこと!!」

 

 

「アルノダ!!奴等ノ暴走状態ハ通常ノEliteトハ明ラカニ違ウ!!!

装甲、火力、速度ガ異常ニ上昇シテイルカラナ普通ノ攻撃デハ通ラナイ!!

ダガ、ソレニ対抗出来ルノハ恐ラクオ前ノ中ニ居ル化ケ物ダケダ!!」

 

 

深海長門の切羽詰まった表情に息をのみながら叢雲はため息を付く

 

 

 

「……分かったわ、何をすれば良い!?」

 

 

「目ヲ閉ジロ、深呼吸ヲスルンダ

リラックスダ…リラックス……」

 

 

深海長門に言われると言われた通りに叢雲がリラックスしていると鳩尾に鈍痛が走り目を開ける

 

 

「なっ………あんた……!!!」

 

 

「悪イナ、多分コレシカ方法ハ無インダ」

 

 

その状態から片足で叢雲を蹴り飛ばすと海面に思い切り頭と全身を強打すると腹部の痛みと横腹の痛みで意識が遠退いていく

 

 

「お前………許さ……な……い…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(………ん……ここ……は?)

叢雲が目を覚ましたのは先程まで戦っていた戦場ではなく辺り一面真っ暗な空間

そして、辺り一面から水が滴り落ちる音が聞こえる

(…………ここって……まさか……)

 

 

辺りを見渡そうとするも身体が動かずに居ると耳型の艤装が頭から外れるとノイズが聞こえてくる

 

 

(ノイズ……ノイズ?……どこかでこんなことを……)

 

 

叢雲が立ち上がると同時に耳型の艤装に宙を舞うとノイズが激しくなるといきなりそのノイズが止まり声が聞こえる

 

 

『…ザー……マタ来タノカ艦娘』

 

 

(……あんたが深海長門が言っていた化け物ね)

 

 

『……ザザ……ソウダナ…マサカ私ヲ認知出来ルトハ思ワナカッタケドナ』

 

 

その言葉が艤装から聞こえると目の前に何か巨大な何かが居ることが分かる

目には見えない、姿形も分からず、ただそこに居るような気がするだけであるがそれがかなりデカイ事だけは分かる

 

 

(なら話が早いわ、力を貸しなさい

奴を倒す為の力を)

 

 

『…ホホゥ?随分トデカイ態度ダナ?』

 

 

(あら、あんたが勝手に入ってるだけじゃない?

だったら貸してくれても良いんじゃない?)

 

 

『…良イダロウソレナラ我ヲ倒シテミロソシタラ考エテヤル』

 

 

(良いわそれで行こうじゃ)

 

 

と叢雲が話した瞬間腹部に何か鞭の様な物が当てられると思い切り吹き飛ばされる

 

 

(ガハッ……!何……!?…一撃が重い!!)

 

 

『フン、ドウヤラ口ダケノ様ダナ?』

 

 

(まだ…私は!!)

 

 

だが次に真上から有り得ないほどの重量が掛かるとその状態でそのまま地面に叩き付けられ身体が押し付けられる

 

 

(ぐぅ…!お、重い!!……な…何!?)

 

 

『何トハ失礼ナ奴メ、我ハ軽ク踏ミツケテイルダケダ』

 

 

(踏みつけている!?あ、あんたやっぱり!!!)

 

 

『ホホゥ?意識ガシッカリシテイレバ我ガ分カルノカ?

ナラ話ガ早イ、答エハNOダ』

 

 

叢雲は踏みつけられた状態で反撃しようとするも自分が艤装を付けておらず何も出来ないことを理解する

 

 

(く………)

 

 

『ソレニコレハ貴様ノ事ヲ安ンジテルンダ』

 

 

(……どういうことよ? )

 

 

『貴様ハ既ニ一度我ノ力ヲ酷使シテイル

次使エバ身体ガ持タナイト言ッテイルノダ』

 

 

(あんた何言って……!!まさか!!)

 

 

叢雲はこの時カナを追い詰めた時に使っていた強力な力を思い出す

 

 

『ソウダ、貴様ハ一度奴ノ砲撃ヲ受ケテ死ニカケタ

ダガ、我ガソレヲ蘇生サセタ

ソノ時貴様ハ同時ニ私カラ力ヲ受ケ再ビ立チ上ガッタ

マァ時間切レニハナッタケドナ』

 

 

手を握り締めるとその時の感覚を思い出すと同時に時間切れになったときの激痛を思い出す

それは普通の痛みではなかった、内部がまるで切り刻まれ、焼かれ、殴られ続ける痛み

 

 

『ソレニ加エアレハ今ノ貴様デハ扱エナイ物ダ

諦メロ、オ前ハ』

 

 

(お願い……もう一度私にあの力を貸して!!!)

 

 

声の言葉とは真逆な事を言うとその声の主は苛ついたのか叢雲を踏みつける力が更に増していく

 

 

(うぅぅぅ!!!!)

 

 

『貴様!!!我ノ話ヲ聞イテイタノカ!?

ソモソモ貴様ガ扱イキレル力デハナイ!!

現ニ貴様ハアレヲ半分モ使エテナイ!ソンナヤツニ安易ニ貸セルモノカ!!!』

 

 

(お願……い…もう一度……だけ……貸して……くだ…さい!!!)

 

 

『……ザザ……シツコイゾ!!駆逐艦叢雲!!!!』

 

 

踏みつけられ身体を破壊されそうになっても叢雲はその声に頼むことを辞めないでいると力は強くなっていき遂にボギッと鈍い音が響き渡る

 

 

(あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!)

 

 

『フン、背骨ガ折レタカ

全ク馬鹿ナ奴ダ』

 

 

声の主は呆れたように踏みつけるのを辞めその場を去ろうとするが

 

 

(お願い………します……)

 

 

『…………………マダ言ウカ』

 

 

叢雲は背骨を折られているのにも関わらずその声の主に土下座をすると歩みが止まり再び叢雲へと向きを変える

 

 

(お願い……します………力を……貸して…)

 

 

 

『クドイゾ!!駆逐艦叢雲!!!』

 

 

その瞬間叢雲は横腹から鞭の様な物で吹き飛ばされると思い切り地面にぶつかるがそれでも再びその声の主に頼み込む

 

 

(お願い………!!)

 

 

『…………何度言ワレヨウト変ワラン

同ジ事ヲ言ワセルナ』

 

 

(………………お願い…します!!

私に…力を貸してください!!!)

 

 

叢雲の必死な態度に声はため息を更に付くと叢雲に近寄り顔を近付ける

 

 

『……貴様ハ我ガ誰カ知ッテイルヨナ?』

 

 

(……知ってる……わ)

 

 

『貴様ハ憎キ相手ニ頭ヲ垂レルノカ?オ前ノ『友ト姉ヲ……全テヲ奪ッタ』我ニ』

 

 

(……えぇ、力が欲しいから…)

 

 

『何故ダ?佐渡ノ為カ?

長門ニ言ワレタカラカ??

ソレトモ奪ウタメカ?』

 

 

(…守るためよ、今ある仲間と全てを)

 

 

『……ソノ為ニ命ヲ捨テルツモリカ?』

 

 

(…えぇ、こんな命一つで皆が救えるなら私は本望よ)

 

 

『オ前ハ地獄ノ苦シミニ苦シムノニ本当ニ欲シイノカ?』

 

 

(仲間を…友を失うよりマシよ

私は二度と誰も失いたくはないの!!)

 

 

『……ソレガ結果的ニ『相手カラ奪ウ物デモカ?』』

 

 

その言葉に叢雲はピクんと反応するとしばらくした後に苦しそうに声を上げる

 

 

(……えぇ………そう…よ)

 

 

『…………ソウカ……ハァ』

 

 

その瞬間声の主は爪で叢雲を押し倒すと仰向けの状態にすると最後の確認を取る

 

 

『……今回ダケダゾ、二度ノ力ヲ貸スノハ今回ダケ

タダシ、コノ力ヲ受ケトレバ今ノ貴様ナラ80%ノ確率デ死ヌ

地獄ノ苦シミノ中デナ』

 

 

(……上等よ!!)

 

 

『…口ヲ開ケロ』

 

 

叢雲は指示された通りに口を空けるとその口前に巨大な爪から滴り落ちる黒い液体を口に含もうとする

 

 

 

『……精々苦シメ、愚カナ艦娘』

 

 

(……え?)

 

 

 

その黒い液体が舌に当たった直後叢雲の全身にその液体が染み込むと同時に全身に激痛が走る

(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!!

焼ける焼ける焼ける焼ける焼ける焼ける焼ける焼ける焼ける焼ける焼ける焼ける焼ける!!!!!

裂ける裂ける裂ける裂ける裂ける裂ける裂ける裂ける裂ける裂ける裂ける裂ける!!!!!)

 

痛みは全身にくまなく走ると意識が気絶するほどの激痛に耐えていると不意に浮遊感に襲われゆっくりと空へと上昇していく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……マァ良イ、死ンダラ『他ノ奴二乗リ換エレバ良イ』

ダガ、アノ艦娘ハ惜シイナ

『傀儡』二相応シイノニナ』

 

 

真っ暗な空間でその声の主はニヤリと笑う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んぅ……私…は……さっき長門に蹴られて!」

 

 

叢雲が目を覚めると前方でカナが暴れ長門達が対峙しているのが見える

 

 

「アイツ……何が私の中に居るよ!!ただ気絶させただけじゃない!!!

ふざけた事言って!!」

 

 

だが、叢雲は自分の身体の異変に気付く

 

 

「……でも、何だか身体が軽いわね?少し休んだから?…まぁ良いか行かないと!!!」

 

 

そして叢雲は走り出す抉れていた筈の腹部が綺麗さっぱり治っており殴られた筈の鳩尾の痛みが無くなっている事に気付く事なく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「不味イコレ以上ハ!!」

 

 

「アハハハハハハ!!我島ヲ略奪しに来たアホ共め!!!

ココデ殺してクレル!!!」

 

 

深海長門達は叢雲を失ってからかなりの劣勢に立たされていた

それもそのはず、カナがこの状態になってからまともなダメージを与えられておらず更に向こうの攻撃は一撃でも当たれば致命傷

正に一方的な防戦を強いられていた

 

 

「お前ラガ私二勝つナンテ不可能何ダヨ!!

クタバレェェェェ!!!」

 

 

「ク……ココマデカ!!」

 

 

負傷した深海長門はカナから振り下ろされる爪を受け止めようとするとそれよりも先に一人の艦娘が間に入ると薙刀で爪を受けとめる

 

 

「全く、人の事殴っといて何諦めてるのよ」

 

 

「叢雲!!」

 

 

「もう起キテキタカ!!」

 

 

そしてその状態からカナの爪を弾き飛ばすと深海長門の腹部を思い切り殴る

 

 

「グフッ!ナ、何ヲスルンダ!!」

 

 

「うっさい!あんたが意味分からん理由で私を殴ったのが悪い!!

全く、何がお前の中に居るものよ!そんなの居ないわよ!!」

 

 

「ソンナコトーーー!!!」

 

 

だが深海長門は叢雲の腹部が治っていることに気付くと微笑み長門に話し掛ける

(長門、もう大丈夫だこれで我々の勝利は確定した)

(何だと!やってくれたのか!?)

(嫌、違う我々の希望は…繋がれた!!)

 

 

「さてと、それじゃ少し休んだおかげで身体も軽くなったしやるわよ!!!」

 

 

それは叢雲の意思に反してなのか、それとも叢雲の意思の願いが実現させたのかは分からないが再び叢雲はその力を発現させた

髪先が赤く染まり身体は白く染まると薙刀を構えると左目が真っ赤に染まる

 

 

「マタカ……マタソレヲ発動サセタカ!!!

混血(レイズ)ヲ!!!」

 

 

「さぁ終わらせるわよ、カナ

貴女をここで倒す!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いが最後に迫る中グラーフは艦載機を飛ばすことに専念していた

カナが見ていたその何かを確かめるために

 

 

「どこだ……更に遠くか?」

 

 

艦載機を低空飛行させ、その何かに見付からないために放っていると突然艦載機から白い何かが映し出される

 

 

「………?何だ白い……壁?……海にか?」

 

 

その瞬間艦載機を上昇させると海中から何かが飛び出しグラーフの艦載機を食い千切る

 

 

「なっ!艦載機が破壊された!?

しかも砲撃とかではなく!?」

 

 

幾つか予備を放っていた艦載機を上空に上げると先程破壊された艦載機の場所の上空に飛ばす

 

 

「何だ?一体何が………ぇ?」

 

 

その艦載機から映し出される映像にグラーフは目を疑う

それは普通では有り得なく、まるで幻想にでも迷い込んだのかと思ったが

そうではないと理解させられる

そしてそれが間違いなくドレス島に迫っていることが分かると背筋を凍らせる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………白い海が………動いてる……?」

 

 

そう『海が動いていた』

正確には巨大な真っ白な海域自体が動き近付くもの全て破壊しながら真っ直ぐドレス島へと向けて迫っていた

 

 

 





次回

暴走姫VS連合艦隊

欠けていたピースは揃いお互いが隠していた全ての力を引き出す事に成功する
カナは壊の限界突破(オーバーリミット)での暴走状態
叢雲達は隠されていた力を発揮し最強と呼ばれる姫の一体と対峙する

激戦ドレス島奪還作戦ラストバトル!
勝利の女神はどちらに微笑むのか!?

後二話位で決着ですかね(やっとですが
イベントですが、意外とてこずってます(汗
と言うよりは仕事が忙しくて……つらひ


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。