艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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荒れ狂う海 三

長門達は白海からの追撃を逃げるために全速力でドレス島を後にしようとするも真後ろから凄い勢いで迫っており冷や汗を掻く

 

 

「密集陣形を取れ!!奴等は海中からも来るぞ!!!

陸奥は先頭で全員を誘導しろ!!」

 

 

「「「「了解!!!」」」」

 

 

「明石!夕張!最後の仕事だ!!頼むぞ!!」

 

 

「分かっています!!夕張!最後の死力を尽くすよ!!」

 

 

「了解!!」

 

 

白海がすぐ後ろに迫る中海中にはイク達も魚雷を構えていた

 

 

「何なの!あの数!!」

 

 

「あれでも本隊じゃないんでしょ!ヤバすぎだよ!!」

 

 

「弾薬……もつかな…」

 

 

「良いから!やるでちよ!!」

 

 

海上では長門達砲撃し、海中ではイク達が雷撃を放ち白鮫に当てようとするが海洋生物だからか、その攻撃は全て交わされ白鮫の雷撃だけが連合艦隊を苦しめる

 

 

「駄目ね!!砲撃が当たらない!!」

 

 

「もう!どうすれば良いの!?」

 

 

「良いから撃て!!これしか方法が」

 

 

長門が話しているとその連合艦隊に追い付いたのか両サイド側から突如イルカの様な真っ白な深海海洋生物が海上を跳ね始める

 

 

「イルカ!?ま、まさかあいつらも!?」

 

 

「キュイ!キュイ!!」

 

 

「不味い!奴等胴体に主砲がある!!!」

 

 

良く見ると白イルカ達の胴体に中型主砲が装着されており飛び上がったタイミングで長門達を砲撃を放っていく

 

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

「ぐぅ!!」

 

 

「両サイドの白イルカは戦艦!重巡が撃て!!駆逐艦!軽巡は爆雷で白鮫を!!」

 

 

「「「「「了解!!」」」」」

 

 

「ガァァァァァァ!!!!」

 

 

 

長門が全員に指示を出すと真後ろから白鮫が飛び出し吹雪を噛みつこうとしてくる

 

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

「吹雪!」

 

 

「不味い!!」

 

 

長門がそれに気付き応戦しようとするとそれよりも先に一人の艦娘が白鮫を真っ二つに斬る

 

 

「大丈夫!?」

 

 

「う、うん…ありがとう叢雲ちゃん」

 

 

「油断しない!こいつは確実に私達を殺しに来てるのよ!!

ほら!来るわよ!!」

 

 

「ガルアァァァァァ!!!!」

 

 

その一匹を皮切りに海中から白鮫達が飛び出し連合艦隊を遅い始めると神通や阿武隈達軽巡がそれを守ろうと撃ち抜いていく

 

 

「この!この!!」

 

 

「数が多すぎる!!」

 

 

「もうやばすぎるっしょ!!」

 

 

「そんなこと言ってる暇あったら撃つのよ!!!」

 

 

前方以外から集中攻撃を受けており多少は撃ち抜いているが次第に弾薬が底を尽きかけていた

 

 

「明石さん!砲弾ってない!?」

 

 

「私は持ってません!!夕張そっちは!?」

 

 

「私も持ってないよ!!さっき艤装に入れた分だけ!!」

 

 

「ま、不味いぞ!!!弾薬が切れるぞ!!!」

 

 

そんな状態にも関わらず叢雲は主砲を使わずに襲い来る深海棲艦を切り裂いていた

 

 

「くそ!何体切っても全く減らない!!!」

 

 

叢雲が切り裂いた白鮫達は確かにその場で死んでは居るもののそれよりも更に多く白鮫が増援として来ており全く減らない

 

 

「叢雲!あんまり無茶は!!」

 

 

「ここでしないといつするのよ!!!

帰るのよ!!小笠原………ガハッ」

 

 

「ガァァァァァァ!!!!」

 

 

 

だがここで叢雲に異変が生じる

突然吐血し目の前がぐらつき航行する危うくなってしまいそれを狙って白鮫が叢雲に食らい付こうとする

 

 

「叢雲!!」

 

 

「やらせはせん!!」

 

 

叢雲に食らいつく寸前で磯風が主砲を押し当てると白鮫の頭部を吹き飛ばし白鮫は力無くその場に落ちると海中へと沈む

 

 

「ガハッ……ガハッ…」

 

 

「叢雲!大丈夫か!?」

 

 

「大丈……夫…!!」

 

 

「でも叢雲吐血を!!」

 

 

「良いから!大丈…夫!だから!!」

 

 

吐血しながら叢雲は薙刀を構えると異変に気付く

それは刃をコーティングしていた血が無くなっていたこと

身体がどんどん重くなりヒビの様な傷が増えていること

髪色が元に戻っていること

(私……何で?切り傷何で……いつ?)

だが叢雲が考えている間それは頭から聞こえる声と共に突然やってきた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『時間切レダ、駆逐艦叢雲

サァ、代償ヲ払エ』

 

 

「…………え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間叢雲は全身にヒビが入ったかの様な傷が一気に入ると同時に全身から吹き出すように大量出血をする

その様はまるで果物を内側から破裂させたかの様であり痛々しくて見ていられないほどに

 

 

「ガハッゲボッ……アァァァァァァ!!!!」

 

 

「叢雲!!!!」

 

 

「不味い!!叢雲がやられた!?」

 

 

そして叢雲が力無く倒れるが磯風が慌ててその姿を抱き抱えると再び海中から白鮫が襲い掛かる

 

 

「叢雲!叢雲しっかりしろ!!」 

 

 

「ガハッ…ゲボッ…ガハッ!…痛い痛い…オェェ!!」

 

 

「ガァァァァァァ!!!」

 

 

「叢雲に近づくなぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

 

だがその瞬間金剛が白鮫を思い切りぶん殴り吹き飛ばす

 

 

「磯風!!今すぐ叢雲を明石の所へ!!」

 

 

「了解!!明石!叢雲が!!!」

 

 

磯風は叢雲を抱き抱えるとその身体から止めどなく血が流れており明石もその姿を見ると絶句する

 

 

「な、な、な、何ですかこれ!?

彼女は一体どうして!?」

 

 

「わ、分からん!突然こうなったんだ!!」

 

 

「叢雲!叢雲しっかりして!!」

 

 

「ガハッ………ゲェェェ!!」

 

 

声も出せずに全身から出血しまるで嘔吐するように口から大量の血液を吐き出しては海面を真っ赤に染めていく

 

 

「不味い!出血が酷い!!すぐ治療しないと!!!」

 

 

「明石!手伝うわ!!」

 

 

他の人の艤装を直していた夕張も酷い状態の叢雲を見ると全身からの出血により赤く濡れている叢雲に絶句しながらも助けようとする

そして高速修復材を含んだ包帯を巻いていくが傷が全く癒えない

 

 

「な!どうして!叢雲さんの傷が治らない!?」

 

 

「どういうこと!!」

 

 

直ぐ様真っ赤に染まった包帯をほどくと叢雲の傷口は治っておらず仕方なく高速修復材の原液を掛けるが治る所か更に血液が流れだし治せない

 

 

「あ、有り得ない!!艦娘の細胞を活性化させるこの薬が効かないなんて!!どうなってるの!?」

 

 

「それでも包帯を巻くしかないよ!明石!!」

 

 

「ゲボッ…アァァァァァァ!!!!」

 

 

全身が痛いのか叢雲は暴れだしそれを古鷹が血塗れになりながらも押さえる

 

 

「叢雲!叢雲落ち着いて!!!」

 

 

「アァァァァァァ!痛イ痛イ!!

喉ガ!頭ガ!腕ガ!筋肉ガ!肺ガ!目ガ!耳ガ!足ガ!痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ!!!!!!」

 

 

叢雲の絶叫の中彼女がどれ程無茶をしていたかを連合艦隊は唇を噛み締めながら聞いていると吹雪があることに気付く

 

 

「あ、あれ?攻撃が止んだ?」

 

 

吹雪の言葉を聞くと確かに連合艦隊の周りを潜水していた深海海洋生物達の姿が消えており辺りを見渡す

 

 

「……本当にだ…終わった…のか?」

 

 

「に、逃げ切った!やったぞ!!!」

 

 

「よっしゃ!!これで帰れる!!」

 

 

「……いや、あり得ん我々を見逃すなんて…」

 

 

全員が喜んでいると陸奥も安堵の溜め息を付いた瞬間突然前方から泡が現れていることに気付く

 

 

「待って!!前方!何か居る!!」

 

 

「え!?」

 

 

「ま、まさか!!!」

 

 

「グオォォォォォォォォォ!!!!」

 

 

その瞬間前方から白鮫達より巨大な白鯨が姿を現すと連合艦隊の行く手を塞ぎながら横腹部に装備された十一もの主砲を連合艦隊に構える

 

 

「た、たい!!」

 

 

「グオォォォォォォォォォ!!!!」

 

 

長門がそう叫ぼうとした瞬間長門達背後からも同じ位の巨大な白鯨が海上へと姿を現すとその巨大な口を開くと辺りの海水を吸い込み始める

 

 

「ま、まさか!!!」

 

 

「こいつら!私達を喰うつもり!?」

 

 

「不味い!吸い込まれるぞ!!!」

 

 

連合艦隊は吸い込まれないと全速力で走っていくがそれと同じくらいの吸引力を誇る白鯨はジワジワと連合艦隊を吸い込もうとする

 

 

「グオォォォォォォォォォ!!!!」

 

 

「まさかアイツがあそこで主砲を構えてるのって!?」

 

 

「っ!全艦!前方警戒!!来るぞ!!!」

 

 

長門の声が聞こえると前方にいる白鯨の主砲が右から火を吹いていきその砲弾が連合艦隊を襲う

 

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

「不味い不味い不味いよ!!!!」

 

 

「前門の戦艦鯨に後門の人喰い鯨!!どうすんだよこれ!!!」

 

 

「耐えろ!耐えるんだ!!!」

 

 

絶対絶命の状態になってしまっている連合艦隊に長門はどうすれば良いのか混乱してしまう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、その瞬間叢雲のまぶたが開きどす黒い瞳を姿を現す

 

 

 

 




次回

猛者タル怒声

白海の連携技に苦戦し追い詰められてしまう連合艦隊
そして迫る白海の本隊
だがその時太平洋にある声が響き渡る

さぁ!後もう少しでこのお話も終わりです!!
まだまだこのお話は終わらなそうですがね……


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