艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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荒れ狂う海 四

「ぐぅぅぅぅ!!!」

 

 

「ど、どうするんだよ!!長門!!!」

 

 

「どうしようどうしようどうしよう!!!」

 

 

連合艦隊は絶望的な状況に大混乱に陥っていると北上が案を出す

 

 

「ねぇ長門!アイツに魚雷を食わせてみたらどうかな!?外側が無理なら体内から破壊すれば倒せるんじゃない!?」

 

 

「っ!その手があったか!!!

皆魚雷の残弾はあるか!?」

 

 

「少しあるよ!!」

 

 

「何発か残ってるぜ!!」

 

 

「良し!皆後ろの白鯨に魚雷を一斉に放つぞ!!!」

 

 

長門の指示に全員が魚雷を用意すると後ろにいる大口を開けた白鯨に構える

 

 

「全艦一斉雷撃放て!!!!!」

 

 

「「「「いっけぇぇぇぇぇぇ!!!!」」」」

 

 

そして連合艦隊による雷撃が放たれそれを白鯨が吸い込んでいくと喉の所に当たった瞬間大爆発を起こし白鯨の吸い込みが停止する

 

 

「グオォォォォォォォォォ!!!!」

 

 

「よっしゃ!止まった!!」

 

 

「全員今の」

 

 

「グオォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」

 

 

だが白鯨は身体を軽く海に沈めた瞬間再び海上へと出すと再び大口を開けると喉奥から巨大な主砲を取り出すとそれを連合艦隊に向ける

 

 

「ちょちょちょ!!!何あれ!?」

 

 

「な!あいつら深海駆逐艦見たいに口の中にも砲門があるのか!?」

 

 

「グオォォォォォォォォォ!!!!」

 

 

そしてそれに合わせるかのように前方に居た白鯨も向きを変えると大口を開きその砲門を連合艦隊に向ける

 

 

「不味い!挟み撃ち!!全員両サイドに散開」

 

 

「キュイ!キュイ!!」

 

 

「シャアァァァァァァァァ!!」

 

 

「ガルアァァァァァァ!!」

 

 

長門が全員を散開させようとするも両サイドから今まで居なくなっていた白鮫、白シャチ、白イルカ達が連合艦隊に主砲と魚雷を構えておりまるで逃がさない様に連続で砲撃してくる

 

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

「こいつら!戦い馴れてる!!」

 

 

「くっ!連携が上手すぎる!!」

 

 

「これが白海かよ!!!」

 

 

そして更に挟撃を受けている最中にイク達からも連絡が入る

 

 

「ま、不味いの!!!」

 

 

「どうした!イク!!」

 

 

「白海の本隊らしいのがドレス島に到着した!!!」

 

 

「後少しでこっちに合流するかもしれないわ!!!」

 

 

「しかも数が尋常じゃないでち!!!」

 

 

「大淀!!ここから見えるのか!?」

 

 

「索敵してみます!!」

 

 

長門に指示された大淀が索敵をすると顔を真っ青に染めると絞り出すように声を出す

 

 

「う…………そ………何あれ……」

 

 

「大淀何が見えた!?」

 

 

「……ドレス島の沖合いを埋め尽くす程の白い海洋生物です……しかも反応だけで500は越えてます!!!」

 

 

「なっ!?」

 

 

「は、はぁ!?こんな奴等が500!?」

 

 

今現在ここに居るのは巨大な白鯨が二匹、白シャチ白イルカ白鮫がそれぞれ十体程でありその十倍を越える数に絶望する

 

 

「あは…は…もう無理だ……私たちはここで終わりだ!!!!」

 

 

「諦めるな!!」

 

 

「無理無理無理無理無理!!!こんなのどうしようもないよ!!!」

 

 

「帰りたいよ!帰りたいよ!!!提督ー!!!」

 

 

大淀の索敵と現在の状況に連合艦隊は完全に戦意を失っており長門も少しずつ諦めていた

(……無理なのか…ここまで…なのか……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ウルサイヤツラダ、仕方ナイ』

 

 

そんな中全員の通信機にノイズ掛かった声が響き渡り全員は驚く

 

 

「な、何だ!?」

 

 

「ちょっと誰の声!?」

 

 

「誰だ!!あたし達のインカムに話しかけた奴は!!」

 

 

突然の声に驚いてる最中長門と古鷹が身体を震わせるといきなり深海化してしまう

 

 

 

「ぐぅ!な、何だどうしたんだ!!」

 

 

「うぅ!どうしたの!?」

 

 

「二人とも!?な、何で!?」

 

 

「ちょ!ちょっと叢雲さん!?」

 

 

「な、何してるのよ!!!」

 

 

二人が深海化したタイミングで叢雲がまるで何かに操られているかの様に起き上がる

全身から出血し苦しんでいたのにも関わらず軽快な歩みで後ろに居る白鯨に向かって歩いていく

 

 

「な!叢雲!!何を!」

 

(長門!深海化は私が起こしたんだ!!警戒しろ!!!)

「どういう意味だ!!」  

 

(良いから!叢雲から目を離すな!!)

 

 

「待って叢雲危ない!!」

 

(古鷹!主砲構えて!!!砲弾は貴方の血液で作るわ!!)

 

「ど、どうして!?」

 

(不味いの!叢雲の中に居る奴が表に出てきてる!!!

ここまで恐ろしい気配は初めてよ!普通の深海棲艦でも姫でもない!!私達が悪感するほどの『何か』!!)

 

 

「む、叢雲さん下がってください!」

 

 

「おい!叢雲待っ……!!!」

 

 

磯風が叢雲を止めようとするがその身体はまるで動く鋼の様に硬く瞳は真っ黒に染まりそして動く機械の様であり磯風の手を簡単に振り払うとゆっくりとした足取りで歩いていく

 

 

「……………」

 

 

叢雲は出血していたが力を込めるとその出血が止まり流れ出た血液が宙を浮いており叢雲の周りを漂っていた

 

 

「ど、どうしちまったんだよ叢雲は!!」

 

 

「わ、分からん!!だが何か…恐い…」

 

 

連合艦隊の全員は動いている叢雲?を凝視すると見た目は叢雲であるが何かとんでもなく大きな存在に釘付けになっていた

 

 

「……………ーー…ーーー…?」

 

 

叢雲?は声を出そうとしているのか口をパクパクさせておりそれを白鯨が見ると声を上げる

 

 

「グオォォォォォォォォォ!!!!」

 

 

白鯨の遠吠えが煩かったのか叢雲?は耳を塞ぐと口を開ける

 

 

『五月蝿イ魚……嫌、哺乳類ダカラ魚類デハナイカ』

 

 

そしてその声を聞いた瞬間白鯨は固まり長門と古鷹に悪感が全身を走る

叢雲?の声は異様に低く、威圧的でありながらまるでノイズが掛かった変な声ではあるものの一言だけでもかなりの恐怖をその場全員に与えた

 

 

「な、何……あの声」

 

 

「寒気が……悪感が止まらない……」

 

 

「あ、あれ……?砲撃が止んでる?」

 

 

摩耶が周りを見ると後方と前方の白鯨以外は縮こまる様に叢雲?を見ながら威嚇するので手一杯なのか砲撃を辞めていた

 

 

『我ニ恐レヲ成シタカ、良イ判断ダ』

 

 

「グオォォォォォォォォォ!!!!」

 

 

白シャチ達が萎縮する中白鯨だけはその主砲を叢雲?に向けており思い切り吠えるとニヤリと笑う

 

 

『ソウ言エバピースガ教エテクレタナ、動物ノ中ニハ声ヤ身体ノ大キサデ敵ヲ威嚇シタリシテ優劣ヲ測ルト

ナラ良カロウ我ノ力ヲ少シ見セテヤロウ』

 

 

叢雲?は勢いよく息を吸い込むと耳型の艤装を身体の横に動かし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!』

 

 

白鯨に向けて大声で叫ぶ

叢雲?の声は辺り一杯に反響するように響き渡り全員耳を塞ぐ

 

 

「きゃあぁぁぁ!」

 

 

「な、なんつー声だよ!!」

 

 

「く、空気が振動してる!!!」

 

 

「な、なんて声だ!まるで獣の咆哮見たいだ!!」

(や、やっぱり叢雲の中に入り込んでる奴はただ者じゃない!!姫じゃない!何か!!)

 

 

「こ、これ本当に叢雲の声なの!?」

(違うわ!コイツは叢雲の中に居るもう一つの声!!

何て迫力!!)

 

 

 

その声を聞いた瞬間白シャチ達は脅え海中に潜ると白海の本隊へと逃げていき海上は叢雲?の声で振動され波立ち更に空気もビリビリと振動させていると白鯨達も口を塞ぎ主砲を仕舞い後ろに下がる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその声は白海の本隊にも届き従えている深海海洋生物達も大混乱に陥る

 

 

「Whats!?何このvoice!!!

まるで自分のpowerや居場所をアピールするような威嚇!!

こんなの聞いたことない!!」

 

 

叢雲?の咆哮より白海の本隊はその場から動けなくなってしまい白鯨の背中に乗っている深海棲艦も耳を塞ぐ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、収まった……?」

 

 

しばらくすると叢雲?の声は収まると叢雲?は笑みを浮かべており白鯨は口を閉ざしすっかり脅えていた

 

 

『フン、動物風情ガ我ヲ威嚇スルトハ良イ度胸ダ………ンゥ……?』

 

 

だが、叢雲の身体は先程より更に傷付き出血が止まらなくなっており叢雲?は溜め息をつく

 

 

『モウ限界カ、ドウセナラコイツラヲ殺シトキタイガ……ソレモ叶ワヌ……

モット、『経験値』ヲ積マセナイト耐エラレナイカ

仕方ナイ、今回ハココマデダナ』

 

 

叢雲?は白鯨に背を向けて歩きだすとまるで糸が切られた人形の様にその場に崩れ落ちる

 

 

「む、叢雲!!」

 

 

「おい!叢雲!しっかりしろ!!」

 

 

「叢雲ー!!」

 

 

「き、消えた……?さっきの気配が?」

(どうやら今回は『敵として』では無かったみたいだな……良かった……)

 

 

 

「な、何だったの……今のアレは…?」

(あれが叢雲の中に居る『何か』だよ……一瞬だったけど本気で死ぬかと思った…)

 

 

その場に倒れた叢雲の周りに飛んでいた血液はパシャンと海面に落ちると再び叢雲の身体から大量に出血し金剛達がそれを抱き抱える

 

 

「っ!今だ!!白海達が動けない隙にこの海を脱出するぞ!!!!」

 

 

長門が動けなくなっている白鯨達を尻目にドレス島付近の海域から脱出する為に全速力で航行していく

だが、長門はその白鯨を良く見ると震えており叢雲が居た場所を凝視し続けていた

 

 

「………こいつらを怯えさせる程の者……一体叢雲は……」

 

 

一つの大きな疑問を残し連合艦隊はドレス島付近の海域を脱出していく

そしてその帰り道にもある変化があった

何度か深海棲艦と対峙仕掛けたが叢雲?声が影響したのか連合艦隊を脅えながら避けていた

 

 

「すげぇ!深海棲艦が俺達を避けてやがるぜ!!」

 

 

「これなら順調に帰れますね!!」

 

 

「あぁ……だが!急ぐぞ!!叢雲が心配だ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「驚いたな、奴等が脅えるとはな……『やはり』あの駆逐艦に入り込んでいたか…」

 

 

太平洋のある海域にて監視者は連合艦隊、そして叢雲の戦いを見物していた

 

 

「あの声、間違いないだろうな

海王(ネプチューン)を差し向けたのは間違いだった

アレ(叢雲)とは相性が悪い

…………にしてもまさかカナと椿が敗北するとはな…」

 

 

監視者はそう呟くと艦載機を5機発艦させると四方へと飛ばしていき空を見上げる

 

 

「……荒れるぞ、姫級のEliteたるカナの敗北は戦争を加速させる……

恐らくこの連絡に『彼等』が動き始め海は荒れ狂う……果たして勝者はどっちだ?

 

 

さてと私も一つ噛むとしようかな」

 

 

監視者が杖で海上を叩くと海中から空母ヲ級達を出すと命令を出す

 

 

「対象、日本列島付近に行く艦娘連合艦隊

爆撃機を用意し随時発艦させろ」

 

 

監視者の命令に頷くとヲ級達は全艦載機を連合艦隊に向けて発艦していく

 

 

「カナを撃沈した怨み、晴らして見せようではないか」

 

 

左目を青い炎で包みながら監視者の最後に残った一つの艦載機を放ち連合艦隊に最後の追撃をする

 

 

 

 

 





次回

空は渡さない

叢雲が謎の力を使い白海を退ける事が出来、連合艦隊は順調に本島へ向かいその島が見えた瞬間再び絶望に落とされる


後数話でこの章は終わりになります!
因みに東雲が何故あの島を落としたがっていた理由は後半に大きく影響しています




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