「叢雲の容態は!?」
「不味いです!出血が止まりません!!」
長門達は全速力で本島を目指し叢雲ボートに乗せ守りながら向かっていると大淀が叫ぶ
「見えました!!本島です!!!」
「本当!?やった!着いたんだ!!」
「叢雲!しっかりして叢雲!!」
「頑張りなさいよ!あんたが今回のMVP何だから死ぬんじゃないわよ!!」
「叢雲!もう少しデースよ!叢雲!!」
皆が声を掛けながら意識の無い叢雲を励ましているとグラーフが叫ぶ
「瑞鶴!長門!不味いぞ!後方から敵艦載機多数!!!!」
「何だと!?」
長門が振り返ると太平洋側から空を埋め尽くす程の艦載機が連合艦隊に迫っていた
「クソ!こんなときに!!」
「最後だ!これが我々の戦いの終わりを告げる!!
やりきるぞ!!!」
「「「了解!!」」」
摩耶達重巡が機銃を構え駆逐艦達が高角砲構え空母達が艦載機を発艦させていく
「この!この!!」
「撃て撃て!!全て撃墜しろ!!」
「皆!お願い!!!」
カナが差し向けた艦載機郡よりかはいくらか弱く摩耶達は順調に敵艦載機を撃墜していっていた
「良し!この位なら!!」
「おい待て!何か一機可笑しくないか!?」
摩耶の声に空を見上げると一機だけやけに動きが俊敏かつ艦載機郡を守るように動いている赤い艦載機があった
「あ、あれってまさか!!!」
「間違いないわ……監視者の艦載機!!」
「何だと!?」
その艦載機は瑞鶴達の艦載機を見付けるや否やそれを次々に撃墜していき摩耶達の機銃や高角砲の攻撃を軽々と交わしていく
「やはり奴が絡んでいたか!!となるとあのタイミングで白海が来たのも奴が呼び寄せたのか!!」
「不味いです長門さん!!我々の艦載機がどんどん撃墜されていきます!!!」
「もう少しなんだ!頼む!!」
「クソ!クソ!!アイツ全く当たらねぇぞ!!」
長門の指示に奮闘していると赤城達の艦載機が尽きてしまう
「誰か!艦載機は残ってない!?」
「うちも終わりや!!何なんや!あれ!!!」
「どう考えても可笑しいです!あの機動!!」
空の艦載機がほとんど撃墜される中瑞鶴が最後の弓矢を構える
「渡さない……!加賀先輩が大好きだった!空は私が守るんだから!!!」
そして瑞鶴は赤い艦載機に向けて放ちそれを撃墜しようとするがそれよりも赤い艦載機が速く攻撃が交わされてしまう
「不味いで!瑞鶴!!」
「まだ!まだ諦めない!!
あの人は艦載機一つでも諦めたこと無かったんだから!!
だからお願い!!!」
瑞鶴の艦載機が空に一機だけ残された艦載機は赤い艦載機を執拗に追い掛け破壊しようとするが赤い艦載機はそれを簡単に交わしていき瑞鶴の艦載機を破壊しようと背後に付く
「避けてぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
だがその瞬間赤い艦載機が何者かの艦載機によって撃ち抜かれ爆炎を上げる
「………え?」
その艦載機は艦娘の物であり誰のかは分からないが見たこともない塗装がされていた
「な、何やあの艦載機!?誰のや!!」
「味方……?」
「お、おい!更に来るぞ!!」
「で、ですが十機程しかありませんよ!!」
その艦載機は一機だけではなく十機程しか無かったが綺麗な連携を見せながら敵艦載機を順調に撃墜していく
「すげぇ!!あんなに上手い艦載機見たことねぇ!!」
「凄い…!たった十機なのに次々に艦載機を落としていく…しかも被弾もしてない!!」
その艦載機達は敵艦載機のプロペラや弾薬を正確に撃ち抜き無力化させていき正に完璧と言わんばかりの空中戦闘を見せていく
撃墜を狙ってくる艦載機達は、回避の高い片方の艦載機を囮にし命中率が高い片方の艦載機を撃墜し敵艦載機を無力化するその様はまるで二人が操っているかの様であった
そして赤い艦載機も爆炎を上げておりゆっくりと太平洋側へと逃げていく
「……………あの戦い方…」
瑞鶴はその艦載機達の戦い方には見覚えがありそして呆然とそれを見ていた
それは昔良く見ていた光景であり自分が憧れている戦い方
「…………飛龍先輩と……蒼龍先輩の……連携技……」
「瑞鶴!何ぼさっとしてるんや!!ここが正念場やで!!!」
「…え?あ、あぁ!ごめん!!!」
「恐らく基地航空隊の奴だろう!!さぁ!最後の戦いだ!!」
長門がそう言うと瑞鶴は後で基地に向かうと心に決め最後の戦いを仕掛ける
(あの二人の戦い方は誰にも出来ないはず!!一体誰があれをやってるか見付けないと!!!)
「さぁ!私達の空を守るわよ!!!」
「「「「おぉぉぉ!!!」」」」
その一方で監視者は久しぶりに表情を動かし怪訝そうな顔をしていた
「………私の艦載機が破壊されかけた…?
…可笑しい…あれは特別性だし壊せるわけないのに…誰が…瑞鶴ではない…誰だ!私の艦載機を撃ち抜いたのは!!」
久しぶりの怒りと言う感情に監視者は杖を海上に突き立て周りのヲ級達も怯えていた
小笠原島付近の海域にて一人の姫級が艤装を展開し座りながら指を動かし艦載機を操っていた
「うん、大丈夫そうみたい
悪かったわね親方、新作の艦載機借りちゃって」
「良いさ、叢雲ちゃん達を助ける為だしお前さんが艦娘を傷付けるとは思えないからな」
一人の姫級 エアは親方を肩に乗せながら親方に借りている艦載機を扱い監視者率いる艦載機郡を退けていた
「それよりも良かったのかい?お前さんの仲間だろあれは?」
「大丈夫よ、深海艦載機を使わなきゃバレることは無いわ」
「嫌、そうじゃなくてだな……この行為自体が裏切りなんじゃないか?」
「あー、そっち?別に大丈夫だしあぁ言うの気に入らないのよね~
戦いが終わった後を狙って攻撃するって言う行為自体私の理念に反するし嫌なのよ
それにその事は監視者も知ってるからバレても大丈夫」
「ほう?お前さんって意外と真面目なんだな?」
「意外って何よ?
生まれつきね姑息な手とか陰湿なやり方が気に食わないのよ」
エアの意外な一面を見た親方は笑みを浮かべながら持ってきていたお菓子を頬張る
「それに、あの娘達は頑張ったのよ
絶望的な敵に真っ正面から向かい合いそれを倒した
私はそれを評価したい
だからこれはささやかなご褒美見たいな物よ」
「………ハハハ!」
「何よ?」
「いや!お前さんやっぱり変わってるな!!
エア!お前の事好きになりそうだぜ!!!」
「あら?それは今まで好きじゃなかったってこと?」
「ハハハ!悪いな!!」
「ちょっと!!」
エアと親方が笑い合っていると後ろからソラの声が聞こえる
「姫様ー!親方様ー!そろそろご飯ですよ!!」
「はいはーい!」
「もう少ししたら行くぜ!!」
エアの艦載機が叢雲達連合艦隊が無事に東京湾に着いたことを確認すると笑みを浮かべながら小笠原に戻っていく
「うふふ、悪いわね監視者
空は渡さないわよ、あの空は私の物なんだから」
次回
開かれた扉 全ての始まり
エアの助力により空襲艦隊を壊滅させ連合艦隊が本島に到着することが出来た
これで深海棲艦達に一矢報えた……と思っていた
だが、東雲の考えは違っていた
ここまでのお話が前半であり東雲が何故カナを探していたかの理由になります!