艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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荒れ狂う海 六

エアの助力により連合艦隊は東京湾から陸上に上がっていくとそこには提督達が各々待っており長門率いる連合艦隊と先頭に居た唐澤が敬礼する

 

 

「……ただいま、戻ったぞ提督」

 

 

「あぁ……お帰り長門…では戦果ほう」

 

 

「貴様ら!!何してる!!!」

 

 

唐澤が長門に今回の作戦報告を聞こうとすると後ろから東雲からの怒号によりそれが遮られる

 

 

「し、東雲大元帥…えっと戦果報告を……」

 

 

「てめぇは馬鹿なのか!!そんな事より優先することがあるだろうが!!!

医療班!整備班!急げ!!!損傷が酷い艦娘を担架で運べ!!!」

 

 

「「「了解!!!」」」

 

 

東雲の指示の元、医療班と整備班が全速力で艦娘達に駆け寄っていく

 

 

「お前達!戦果報告なんてもんはしなくていい!!

今装備している艤装はその場に脱ぎ捨てろそして損傷してる者、重症者は直ぐ様医療班に運んでもらえ!!!それ以外の疲弊してる者もこれから一週間の休暇を与える!!

戦果報告は後日お前達の疲労が無くなったときに報告せよ!

本日の任務はこの場に到着した事により終了とする!!

これは大元帥である私の命令だ!!!異論は許さん!!!」

 

 

「「「「は、はい!!」」」」

 

 

大元帥の命令により連合艦隊の艦娘達はいそいそとその場に艤装を脱ぎ捨てて行くと何人かは医療班に遠慮をする艦娘がいるが

 

 

「お前達!今日は遠慮することは許さん!!!

医療班と整備班を奴隷とでも思って構わんから名一杯甘えろ!!」

 

 

「で、ですが……」

 

 

「黙れ!これも大元帥命令だ!

全員必ず英気を養え!!!お前達が成し遂げた事は我々にそれほど大きな功績である!!

この場に居る者達はそれに感謝しているからこそ働いている!!

だから、好きにワガママを言うことを私が許す!!」

 

 

 

「「「は、はい!!!」」」

 

 

東雲の無理矢理過ぎるやり方に唐澤達が呆然としていると東雲が舌打ちする

 

 

「お前達!艦娘が帰ってきてるのに何呆然と立っている!!!

アイツらに駆け寄ることも許す!!死ねと言われた戦いから帰ってきた艦娘に返す言葉もないのか貴様らは!!」

 

 

「だ、大元帥…えっと…」

 

 

「早く行け!!これは命令だ!!!」

 

 

「「「は、はい!!」」」

 

 

東雲の気迫に押され唐澤達は慌てて艦娘達に駆け寄り各々激励の言葉を交わしていく

だが

 

 

「お、おい!叢雲!しっかりしろ!!」

 

 

「これは酷い…明石さん!どうしてここまで!!」

 

 

「彼女は一人で歴戦種と戦っていましたからその反動だと思われます!!急いで輸血としっかりとした医療施設へ!!」

 

 

「分かりました!では担架に運びます!!」

 

 

「叢雲!叢雲しっかりして!!」

 

 

連合艦隊を最後まで引っ張り戦い続けた叢雲は息も絶え絶えになりながら吐血し苦しんでいると

 

 

「明石!!お前だけは悪いが働いてもらうぞ!!!

必ずその英雄を治して見せろ!!!」

 

 

「りょ、了解です!!!」

 

 

「叢雲の完全治療後に二週間近い休暇をやる!!

それで許せ、だから頼む!!」

 

 

「お任せください!!」

 

 

東雲に命じられた明石は医療班と共に叢雲を担架に乗せると急いで病院へと運んでいく

 

 

「し、東雲さん!戻りました!!」

 

 

「……お帰り、あの危険海域から良く帰ってきてくれた矢矧

友軍任務良くやってくれた」

 

 

「いえ、あの程度大したことありません!」

 

 

「とりあえず今日は休め

お前達にはすまないがまた近いうちに出てもらう」

 

 

「分かっております、では申し訳ありませんが」

 

 

「あぁ、行け」

 

 

「東雲……大元帥!!」

 

 

矢矧率いる友軍艦隊は東雲の隣を通っていくと一人修理班に肩を借りながら走ってくる艦娘が一人

 

 

「…確かお前はドイツ海軍のZ1(レーベ・ヒトマース)か?」

 

 

「ね、ねぇ!マックスは!!マックスは無事なの!?」

 

 

全身がボロボロになりながらもマックスの事を心配するレーベに東雲は笑いかける

 

 

「あぁ、安心しろ彼女は我々日本海軍が預かり全力で治療に取りかかっている

君達の勇気ある行動が我々を動かしてくれたありがとうZ1(レーベ・ヒトマース)

 

 

「良かった……マックス……よか……」

 

 

その言葉と共にレーベは東雲に倒れかけると東雲は身体を支えると医療班にその身体を受け渡す

 

 

「お前達!!絶対に誰一人として死なせるな!!!

安心した瞬間が一番危ないからな!!!」

 

 

「「「「「了解!!!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー次の日ーーーーーーーー

 

 

「大元帥、到着しました」

 

 

『ザザ、周囲はどうだ?』

 

 

「静かです、大淀と大鳳に索敵をさせてますが誰も居ません」

 

 

『良し、分かった

では手はず通りに頼む』

 

 

「了解」

 

 

今矢矧達が居るのは一日経過した後のドレス島

辺りは静かであり矢矧達以外の気配は感じず誰一人としてその島には居なかった

 

 

「にしても東雲さんも使い勝手荒いよねー!」

 

 

「そう言わないの阿賀野ねぇ」

 

 

「そうそう!あんまり出撃しない代わりなんだから!」

 

 

その編成は少なく、矢矧を筆頭に阿賀野、能代、酒匂、大淀、大鳳、伊勢と言う七人でドレス島へと来ていた

 

 

「にしても、他の艦娘には休暇を与え我々は出撃とは……流石に辛いですね」

 

 

「仕方がありませんよ、何せこの島を早急に調べないといけないことがありますからね」

 

 

「あたしも日向と休みたかったけど仕方ないよねー!」

 

 

阿賀野達が話していく最中矢矧は辺りを警戒しながら歩きカナが使用していたとされる建物に迷いなく歩いていくと叢雲が開けたとされる穴から建物内に侵入する

 

 

「………大元帥の予想が正しければここに『あの情報』があるはず…」

 

 

そして静かにその建物内の壁に掛けてある地図からある場所を見付けそこへと向かって歩いていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……矢矧、頼むぞ」

 

 

「あ、あのー……東雲大元帥?」

 

 

「何だ羽田」

 

 

東雲と羽田は二人だけで通信室に籠っており外には武装憲兵を配置している徹底振りに羽田は困惑していた

 

 

「何故、未だ危険要素が残るドレス島に彼女達少数精鋭で行かせたんですか?

歴戦の飛行場姫は倒したではありませんか?

もう少し彼女達に休みを……」

 

 

「………お前の言いたいことは分かる

私がお前を気に入っているのはお前が『如月のサポート提督』をしていたときからありその艦娘を大切にする性格を知っていたからな

だが今回だけはそうは言ってられないんだよ

………私が今目を付けている情報だけはハッキリさせておきたい

『奴』が動く前に」

 

 

「…東雲大元帥、前々から思ってましたが貴方何故そこまで詳しいのですか?」

 

 

「…何が言いたい?」

 

 

「いえ、如月大元帥が重体になってから…ですが貴方は深海棲艦の情報をかなり持っている

それは私が知るよりも…東雲大元帥そろそろ教えてください

……あの時、何があったんですか?貴方と如月大元帥の過去に何が」

 

 

羽田がそこまで言うと東雲は静かに銃を取り出すとそれを羽田の額に当てる

 

 

「………余計な詮索は辞めろ羽田

いくらお前でも………殺すぞ」

 

 

「…………………」

 

 

「良いから黙って俺を信じてくれ

一言だけ言うと俺は深海棲艦側ではないと言うことだけだ」

 

 

「……分かり…ました」

 

 

「それでいい、いつかお前にも話してやる

それまで待っててくれ」

 

 

東雲はそれだけを言うと銃をホルスターにしまい椅子に深く座り込むとため息を付くと呟くように話し出す

 

 

「………歴戦の飛行場姫……奴は深海棲艦の中で最強と呼ばれる泊地防衛主だ………初めて奴が確認されたのは北方海域だった………ある時…提督達が口を揃えて言った……『あそこの泊地は誰にも落とせない』」

 

 

「……それってまさか…」

 

 

「……もし、始原が……俺が戦争の総大将だとしたらそんな奴にはある大きな命令を出す………

そこにある秘密を守れと……その場所を守れと……

だからこそ、奴は………飛行場姫は扉の門番をしていたのさ

この戦争を激化させないための……秘密を…戦争相手を見せないために…な」

 

 

東雲が呟いていると大淀達から緊急連絡が入る

 

 

『て、て、提督!!!応答してください!!』

 

 

「ど、どうしたんだ!大淀!!!」

 

 

『……嘘…なにこれ…』

 

 

『アハハ……嘘でしょ…これヤバくない?』

 

 

『……なんてことですか…これは凄い……』

 

 

『あちゃー……やっぱり東雲さんの予想通りか……』

 

 

『……嘘でしょ…まだこんなに居るの?』

 

 

『……帯閉め直さないとね…』

 

 

各々その映像を情報を見ながら唖然としている声が聞こえており羽田は慌てている

 

 

『……東雲大元帥…予想的中です』

 

 

「…やはりか…奴はやはり『門番』だったか?」

 

 

『はい、貴方の予想通りです

今から情報を送ります』

 

 

矢矧はデータベースにアクセスするとそのデータを東雲達が居る通信施設に送るとそれが大画面で映し出される

 

 

「………………嘘」

 

 

その情報を見た瞬間羽田は唖然としてしまい

東雲はニヤリと笑みを浮かべる

 

 

「…我々はまだ『土俵すら立って居なかった』か」

 

 

「し、東雲大元帥……これは本当……ですか?

ドッキリとか…」

 

 

「目を覚ませ羽田、これは事実であり奴が『門番』と俺が呼んでいた理由だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは巨大な世界地図

だが明らかに違う点がいくつも存在する

それは海域の名前と色分けされた海

そして、その色分けされた海にある四人の名前が刻まれていた

 

西の海『西方提督』

 

東の海『東方提督』

 

北の海『北方提督』

 

南の海『南方提督』

 

と書かれそれ以外にも霧の海、赤海、夜海と海に記載されておりそれぞれ深海棲艦の姫級と提督達の写真が添付されていた

そして姫の数も記載されているが合計するだけで15体

 

 

「ま、まだ……こんなに敵勢力が……あるだなんて!!!

し、しかも!!まさか向こう側にも『提督』が存在してるだなんて!!」

 

 

「さぁ、戦争の門は開かれた

帯を閉め直せ……我々の戦争はこれより激化していくぞ

今までぬるま湯に浸かっていただけなんだよ俺達は……飛行場姫の討伐は『終わり』でも『前進』でもない

ただの『始まり』に過ぎないんだよ!!!」

 

 

 

 

 

 

 




次回

荒れ始める海 四方提督そして姫級達

カナの討伐は終わりでも前進でもなくただの始まりに過ぎなかった
そして時間は巻き戻り一日前カナが討伐された日に戻っていく
四つの海を仕切る者達が動き始める

次回!この章完結です!
あ、私事ですが何とかイベント突破しました!
いやー……辛かったですわ…さってと堀をしないと……


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