艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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(エア)提督(佐渡)

時は進み佐渡は小笠原島に一時的に帰宅しており現在、エアとイーちゃんの三人で小笠原の海岸を歩いていた

 

 

「……いきなりどうしたんだよ、エア」

 

 

「べっつにー?良いでしょ、あんたと久しぶりに話をしたかっただけよ

1ヶ月振りでしょ?」

 

 

「ま、まぁそうだけどな……」

 

 

エアと二人で歩いていたが佐渡はいつにもまして話をしようとせず話そうとしてもすぐさま言葉を詰まらせていた

 

 

「……ねぇ、ちょっと?」

 

 

「うん?な、何だ?エア?」

 

 

「あんたさ、珍しく話そうとしないじゃない?

どしたの?」

 

 

「いや……最近忙しかったからな……疲れてるんだよ…」

 

 

「ふーん?」

 

 

小笠原に帰ってきたときソラ達と話しイーちゃん抱き合った時から佐渡は少しぎこちなくなっていた

ソラ達が冷たかったとかではなく、ただ自分達が倒したカナに関しての後ろめたさがあったからである

それを察したのかエアはそれよりも先に佐渡を連れ出していた

そして鎮守府からかなり歩いた所でエアが立ち止まると佐渡にヅカヅカと近付き顔を掴む

 

 

「あんた、何気にしてる訳?」

 

 

「な、何の話だ?」

 

 

「惚けるな、私はこれでも多くの人間や艦娘を直に見てきた貴方の変化位見破れるわよ」

 

 

「…………」

 

 

「何?カナと対峙したことで私が怖くなった?確かに私はアイツと同格よ

ぶっちゃけた話、深海側でも私は」

 

 

「違う!そうじゃない!!」

 

 

「じゃあ何?何で私にそんな素っ気ない態度取るのかしら?

……嫌、深海棲艦達にかしら?

もしかしてカナの事を気にしてるの?」

 

 

「っ!!」

 

 

佐渡は核心を突かれてしまい目を逸らすとエアは無理矢理それを直すと佐渡の頭に自らの頭をぶつける

 

 

「いてっ!何しやがるんだよ!!」

 

 

「うるさい!!あんた!何くだらないこと気にしてるのよ!!」

 

 

「くだらないって!俺達はお前の仲間を!!!」

 

 

「だからそれがくだらないって言ってるの!!あんたねぇ!!……ごめん、言い過ぎた

私達は戦争をしてるのよ、失って当たり前よ」

 

 

エアは手を離すと佐渡に指差しながら呆れている

 

 

「別にあんた達がカナを倒したからって私があんたをどうこうするってことは無いわ

と言うよりは私はあんた達を称賛してるのよ?」

 

 

「は、はぁ?何でだよ?」

 

 

そう言うとエアは近くのコンクリートに座り顎に手を起きながらニヤリと笑う

 

 

「そりゃそうよ、誰も倒せないと言われている姫のEliteクラスをあんた達は倒したのよ?

絶望的で勝てる見込みなんてない戦いにあんた達は決して諦めずカナを倒したことは誰にも出来やしない

それは努力の結晶、実を結んだ実力、その勝利は貴方達の全て

深海提督共も、カナを撃破したお前達をついに意識し始める

そして、それと同時にお前達が私達と戦える敵であること言うことの証明

素晴らしい事だわ

本当に…本当にお疲れ様佐渡」

 

 

「………すまない」

 

 

「だから何で謝るのよ!

一応言っといてあげるけど、カナは負けるはずが無かったのよ!!

カナの実力は深海棲艦達が恐れ戦き提督や始原(ピース)ですら認め命令が出来ないほどだったのよ

だから誇りなさいその勝利に」

 

 

「だ、だがお前達の仲間の命を…俺達は奪った」

 

 

「それは仕方のないことよ、私達にも成すべき事もある

安心しなさい、カナはあんた達の事を憎んでない

負けたのはアイツの慢心が原因よあんたは悪くない」

 

 

佐渡がエアの言葉を受け入れきれずにいるとイーちゃんが佐渡の足下まで歩き足にすり寄る

 

 

「ワン?」

 

 

「イーちゃん……」

 

 

「『元気ないよ?どうかしたの?』ですってよ」

 

 

「っ!?お、お前!イーちゃんの言葉が分かるのか!?」

 

 

「まぁね、全くイーちゃんはあんたの帰りをずっと待ってたのよ

それにあんたはカナを倒すことでそのイ級と私達を守ったのよ

だーかーら!!」

 

 

エアは立ち上がると佐渡の腕を引っ張り顔を胸に埋めると笑みを浮かべる

 

 

「誇りなさい、私達(姫級Elite)の一人を倒した貴方は偉大よ

大丈夫、誰かがあんたを貶しても恨んでも私だけはあんたを認めてあげる

あんたは立派よ、小笠原の提督佐渡」

 

 

「…………すまん、エア」

 

 

「今日だけよ、本当は吐き気がするほど嫌なんだからねお馬鹿」

 

 

「ワン!ワン!」

 

 

「ふふ、『元気出して』だってよ?」

 

 

「………あぁ、ごめんなイーちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくした後に再びエアとイーちゃんの三人で歩いているとエアがイタズラに微笑みながら佐渡をからかう

 

 

「にしてもあんたにもそう言う一面があるとは驚いたわー

しかも身体も触られちゃったなー

あーあ、今度大井達に言っちゃおっかなー」

 

 

「頼む辞めてくれ……心に留めといて……」

 

 

「あ、そっかあんたってもしかして私見たいなのがタイプなの?

成る程……と言うとあんたまさかいつも私の事そう言う風に見てたの!? 

あんたが私達を受け入れたのってそう言う理由!?

ふーん……ムッツリ変態提督か処そうかしら?」

 

 

「待った!そんなことはない!断じてない!!」

 

 

「で、私の身体の感想は?」

 

 

「そりゃもう最高でした!!!」

 

 

「やっぱり変態じゃない」

 

 

「違う!!!」

 

 

「ワン!ワン!!」

 

 

佐渡をからかっているエアとイーちゃんは楽しそうにしているとため息を付く

 

 

「………なぁ、エア」

 

 

「何よ?」

 

 

「…ありがとな、あの時監視者からの空爆を助けてくれたのお前なんだろ?」

 

 

「あら、良く分かったわね?」

 

 

「あそこまで上手い艦載機捌きはお前位しか居ないからな」

 

 

「別に良いわよ、監視者のやり方が気に食わなかっただけだし?

あ、その代わり冷蔵庫にあったハー◯ンダッツとかアイスとか無くなったから早く買ってきてきてね?」

 

 

「対価あるんじゃねぇかよ……向こう行ったときに買ってくるよ」

 

 

三人が散歩しているとエアが溜め息を付くと再び佐渡の顔を掴むと睨み付ける

 

 

「他に、何かあるんじゃないの?」

 

 

「は、はぁ?何がだよ?」

 

 

「私に聞きたい事とかあるんじゃないの?

さっきそれを言い掛けてたでしょ?」

 

 

「………ハハ、流石だな

実はな…」

 

 

佐渡はエアに矢矧から言われた事を包み隠さずに話していくとエアが目を丸くし肩を掴まれる

 

 

「ねぇ!それ本当!?」

 

 

「あ、あぁ…矢矧さんから言われた話なんだが

エアは知ってるのか?『ロキ』って深海棲艦を」

 

 

「…知らない奴はほとんど居ないわよ

ロキ 始原(ピース)の左腕にして全ての艤装とインターネットを支配する権限を持つ深海棲艦

あんた達が呼ぶのは『集積地棲姫』

そして叢雲達が倒したカナの艤装アブソリュートを作り出し

海軍が作り出した試製62型水上単装砲の設計図を作り出した奴よ」

 

 

「は、はぁ!?あの二つの設計図を作り出した深海棲艦!?」

 

 

エアに教えられたその話に耳を疑うが溜め息混じりに更に話を続けていく

 

 

「そうよ、深海棲艦の中で最も頭がキレる奴よ

始原が最も信頼する深海棲艦の一人で私の艤装等を手掛けたあんた達には最悪の相手ね」

 

 

「うへぇ……そんな奴が居るのかよ…勘弁してくれよ……」

 

 

「しかも機械関連にかなり強くてね、アイツが作り出す艤装はその深海棲艦専用になっててどれもイカれてる位強いのよ」

 

 

「………胃が痛くなってきた…」

 

 

聞いてるだけでも胃が痛くなるような話に落ち込んでいるとエアはその先を歩きながら呟く

 

 

「でも何でアイツが……アイツはかなり慎重なはずなのに……」

 

 

「因みにソイツも化け物並みなのか?

お前達見たいに?」

 

 

佐渡が渇いた笑いをしながら言っているとエアが首を傾げる

 

 

「いいえ?すんごい弱いわよ?」

 

 

「……またまた…どうせ椿見たいな奴なんだろ?」

 

 

「いや、弱いわよ?ぶっちゃけアイツと戦闘してもあんた達なら余裕なんじゃない?

むしろ、金剛とか大井一人でも余裕よ?」

 

 

「…………嘘ぉ?」

 

 

「本当よ、アイツはあんた達で言う明石見たいな感じ

でも明石とは違ってとんでもばかり作るし艤装を遠隔操作出来るからそこは大きく違うのかしら?」

 

 

その話を聞いているとやはり頭が痛くなっており溜め息を付き頭を抱える

 

 

「明石さんの深海棲艦バージョンって事か?畜生……とんでもねぇじゃねぇかよ……」

 

 

「しかも更に悪いことを言うとね、多分あんた達は見付けられないし会えないわよロキには」

 

 

「は?それはどういう意味だ?」

 

 

「だって、ロキはそもそも他の深海棲艦と違って表舞台には出てこないのよ

それに今アイツの居場所を知ってる奴は誰も居ない

連絡も通信か特定のネットワークからしか入れない方法でしか話すことが出来ないのよ

現に私もアイツの居場所は分からないし?」

 

 

「えぇ………マジ?」

 

 

矢矧から頼まれたお願い事が早速の所で躓いてしまい大きく溜め息を付く

 

 

「連絡も取れない感じ?」

 

 

「まぁね、基本的に向こうから連絡来る位だしね」

 

 

「はぁ………こりゃ俺達とんでもない奴等を相手にしてるのかもな……」

 

 

「今更よ?」

 

 

エアと話していると再び頭が痛くなっていると笑われてしまう

 

 

「でも良かったじゃない?そのとんでもない戦力の一つである わ た し とは敵対してないんだからさ?」

 

 

「……本当にな」

 

 

「ワン!」

 

 

「『私も』だってさ!」

 

 

「そうだなぁ!イーちゃんは本当に敵に回したくなかったなぁ!よしよし!!あー可愛いよぉ!!」

 

 

佐渡はイーちゃんを抱き抱えると思い切り頭を撫でていると再び三人で散歩を始める

 

 

「まぁ、ロキは基本的に戦争には直接絡んで来ないと思うから放っておいても平気よ

会いたいなら頑張ってとしか言えないしね」

 

 

「うーん……何かないのか?会う方法は?」

 

 

「………強いて言うなら深海迷宮に居るんじゃない?」

 

 

「深海迷宮?」

 

 

佐渡は聞きなれない言葉を聞くとエアが説明する

 

 

「そうよ、ドレス島付近の海溝にある洞窟の事よ

中はソナーで見分けられないほどに入り組んで居てね、しかも深海だから光源もない真っ暗な迷宮見たいな洞窟

よ」

 

 

「……そんなところが…」

 

 

「でも行こうだなんて思わないでね

あそこは下手に入れば間違いなく出れないわよ」

 

 

「何でだ?」

 

 

「あそこは深海棲艦ですら迷うのよ

迷えばほぼ確実に出ることは出来ない迷宮だからね

だから諦めなさい」

 

 

「そうか……残念だ…」

 

 

「やっぱり行こうとしたのねあんた」

 

 

「まぁな!!!」

 

 

「辞めなさい!!」

 

 

その瞬間エアにチョップをくらってしまい頭を擦っていると佐渡を尻目に呟くように言う

 

 

「あんたが居なくなったら困るじゃない……」

 

 

「何か言ったか?」

 

 

「何でもないわよ深海棲艦にのみ欲情する変態提督」

 

 

「待った!!今おかしくーー」

 

 

「ワン!ワン!!」

 

 

佐渡とエアが話していると突然イーちゃんが吠えだし佐渡の足に噛み付く

 

 

「いたっ!?ちょ!イーちゃん違うって!!」

 

 

「ワン!ワン!!」

 

 

「え?『呼んでいる?』」

 

 

「は?なんだって?」

 

 

「ワン!ワンワンワン!!!」

 

 

「お、おい!イーちゃん!!!何処に行くんだよ!!!」

 

 

突然イーちゃんが走り出しそれを佐渡とエアは追い掛けていく

森を駆け抜けていくとそこは小笠原の側面部分に辺る太平洋に面した白浜海岸が見えそこに辿り着く

 

 

「こんなところあったのか…」

 

 

「私も知らなかったわ…こんなところあったんだ…」

 

 

「ワン!!ワン!ワン!!」

 

 

「ちょ!イーちゃん待って!!」

 

 

だが、イーちゃんは止まらず走っていくとエアは海岸の近くに深海棲艦の影が見える

 

 

「ちょっと佐渡!!」

 

 

「何だ!それよりもイーちゃんを追わないと見えなくなるぞ!!」

 

 

イーちゃんは全速力で走っており佐渡とエアも走らないと見失うほどに速くエアは海岸を気にしながら走っているとイーちゃんが海岸の岩場に入り跳び跳ねながら奥へと向かっていく

 

 

「イーちゃん!止まれってば!!そんなに走られても俺達が!!」

 

 

「ワン!ワン!!」

 

 

「『早くしないと』ですって!!全く何があるのよ!!こんなところに!!」

 

 

しばらく岩場を走っていると洞窟に見えてくる

そこへ全速力でイーちゃんが入っていくと

 

 

「ワンワン!!」

 

 

「『人が倒れてる』だって!!」

 

 

「人!?こんなところに流れ着いたのか!!不味い急げエア!!」

 

 

「分かってるわよ!!」

 

 

二人は岩場を乗り越えるとその洞窟に入るとイーちゃんがその海に半身が入った状態の人を見付けていた

 

 

「おいおい!本当に人じゃねぇか!!!

しっかりしろ!どうしたんだ!!」

 

 

「はぁはぁ!やっと追いつい……ん?佐渡ちょっと待って!!!」

 

 

エアの制止を聞かずに洞窟に流れ着いている人を海から引っ張り上げようとするとイーちゃんも手伝い岩場に上げる

 

 

「おい!大丈……夫……!?え!?な、何で!?」

 

 

「嘘でしょ……何でここに!?」

 

 

「ワン?」

 

 

二人はその倒れていた人の容姿に驚いていた

倒れていた人は女性であり全身が真っ白な肌であり髪も白く染まっていた

そして両端がまとめられており服はまるでウェットスーツの様になっている

だが、それよりもその顔を見た瞬間佐渡とエアは唖然とする

その顔は二人が見馴れた顔をしており佐渡は血の気が引くのを感じた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、な、何で……ここに飛行場姫が居るんだ!?」

 

 

そう、その倒れていた人はつい1ヶ月前に叢雲達連合艦隊が命懸けで撃沈させたカナであった

 

 

 

 

 

 

 





次回

落ちた飛行場

撃沈したはずだったカナが何故か小笠原島に漂着しており佐渡達は大混乱に陥りかける

アンケートですが後二話程で締め切りたいと思います!
……何か圧倒的に見たい人が多いですね…まぁ、色々と伏線は貼ってましたからね…因みにかなり長いです()
何だかんだで佐渡のお話も含まれてますからね







叢雲&佐渡の過去編を書こうか悩んでますのでアンケート取らせて頂きます!!

  • 見たい!
  • 見たくないから続きはよ

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