艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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墜ちた姫

イーちゃんに導かれるままに佐渡達は小笠原の洞窟内で意識のないカナを見付け唖然としていたが佐渡は直ぐ様頬を叩くとカナをゆっくりと寝かせると自らの服を脱ぐ

 

 

「ちょ!ちょっとあんた何してるのよ!!」

 

 

「この状態で運んでも風で身体が冷える!だから少し身体を拭くんだよ!!

イーちゃん周りに敵は居ないな!!」

 

 

「ワン!」

 

 

「良し!すまないな、飛行場姫!少し触るぞ!!」

 

 

佐渡は寒い冬ではあったもののそれよりも意識の無いカナの生存確認の為に心臓と耳を押し当てる

 

 

「……良し!鼓動を確認、息も…正常

だが身体はかなり冷えている、長時間海水に触れていたからか、今は冬だからな更に冷えてしまってるか

イーちゃん!急いで鎮守府に戻って親方を呼んでくれ!!

エア!艦載機は発艦出来るか!?今すぐコイツを入渠させたい!!用意してくれとソラさん達に連絡してくれ!!」

 

 

「ワン!」

 

 

「ま、待ちなさいよあんた!!カナを助けるつもり!?」

 

 

「それ以外無いだろ!!!」

 

 

「あんた!ソイツはあんた達の敵よ!!

助けてもあんた殺されるわよ!!」

 

 

「知るか!その時はその時だ!!!」

 

 

佐渡は自らの服で体についている海水を拭き取っていきもう一枚服を脱ぐとカナに着せてやりカナを背中に背負うと走り出そうとするがエアに止められる

 

 

「待ちなさいよ!あんたコイツは私と違って艦娘の事も人間も大嫌いなのよ!コイツを助けたらあんた後悔するわよ!!」

 

 

「エア!俺はな助けられる命は必ず助けたいんだよ!!

それで俺が死ぬことになったとしてもな!助けないで後悔するより助けて後悔したい!だから頼む!!退いてくれ!!」

 

 

「ワン!」

 

 

佐渡の瞳には嘘の一文字もなくエアは唸るが艦載機を作り出すと鎮守府に向けて発艦させる

 

 

「良いわよ!ほんと底抜けの馬鹿ね!!

後で死んでも私知らないんだからね!!」

 

 

「ありがとう!行くぞ!エア!!イーちゃん!!」

 

 

佐渡達はカナを背中に背負いながら全速力で岩場を駆け抜けていくと海岸に再び深海棲艦の影が見えエアが海の方向を見ると

 

 

「っ!駆逐艦!」

 

 

海岸付近に駆逐艦達が顔を出しておりカナを背負って走る佐渡を凝視していた

 

 

「………まさか、あいつらが?」

 

 

「エア!急げ!!」

 

 

「わ、分かってるわよ!!」

 

 

佐渡はその姿と影に気付いていなかったがエアが駆逐艦達を見ているとゆっくりと再び潜水を始めエアも佐渡の後を追い掛けていく

 

 

「しっかりしろよ!飛行場姫!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうですか?妖精さん?」

 

 

「……大丈夫ですよ、身体に異常は見当たりません

ただ気を失っているだけです」

 

 

「良かった……」

 

 

佐渡達は鎮守府に帰ってくると直ぐ様カナを入渠させると妖精達に依頼しカナの容態を見てもらっていた

カナは気を失っている為寝転んでも顔に浸からないほどの浅いお風呂に入っており修復剤が含まれている湯船にも浅く浸からせていた

 

 

「にしても、またですか提督さん

深海棲艦を助けるなんて

私、艦娘の事は分かりますが深海棲艦の事は詳しく分からないんですよ?」

 

 

「あはは……ごめんさい看護妖精さん…」

 

 

今佐渡が話している妖精は看護妖精、見た目は白衣のナースの様な見た目をしており入渠施設の管理を任されている

 

 

「まーた姫を拾ってきやがって…このやろう……

お前、そろそろ深海提督の方が良いんじゃねぇか?」

 

 

「辞めて親方、俺もそうなってるような気がしてくるから」

 

 

「いや、あんたは立派な深海提督に近いわよ本当に……」

 

 

「やめろエア、洒落にならん」

 

 

二人に言われてしまい頭を抱えようとするも寝転びながら気を失っているカナの頭を撫でる

 

 

「にしても、なんでコイツがここに?」

 

 

「恐らくだけど、他の深海棲艦が運んで来たんじゃないかしら?

一応、私の領地だし?」

 

 

「成る程、と言うか飛行場姫ってあの時撃沈させなかったっけ?」

 

 

「恐らくだけど、ロキが作った『防止装置(セーフティ)』が発動したんだと思うわよ」

 

 

防止装置(セーフティ?)

 

 

エアは入渠施設の椅子に座ると近くの台に腕を付きながら顎を支える

 

 

「私達の艤装にある轟沈防止システムよ、あんた達で言う応急修理妖精見たいな物

一度だけ深海棲艦の轟沈を避ける事が出来るのよ、ただしのその代わり本人が受けたダメージを全て艤装が肩代わりするから艤装自体が木っ端微塵になっちゃうけどね」

 

 

「えぇ………何それとんでもないじゃん……

マジお前らに勝てねぇじゃん……」

 

 

「と言っても艤装全て壊されちゃうから海に沈むことは変わらないんだけどね

海上歩行も出来ないから

……でも可笑しいわね、なんでこんな離れた小島に連れてこられたのかしら?」

 

 

エアは気を失っているカナを見ながら笑みを浮かべており安堵の溜め息をつく

 

 

「ありがと、佐渡」

 

 

「あ?何だよ急に?」

 

 

「いや、あんたなら助けてくれると少しだけ思ってたけど本気で助けてくれるなんてさ

カナは友人だったからね」

 

 

笑みを浮かべているエアに溜め息を付く

 

 

「馬鹿野郎、俺が見捨てるわけ無いだろうが敵だろうが何だろうが関係ねぇ

俺は二度と命を見殺しにしないって誓ってるんだからな

それにさ」

 

 

佐渡はエアに近付くと頭を撫でる

 

 

「お前の友人を見捨てる訳ねぇだろ

良かったな、お前の友人が生きてて」

 

 

「えぇ、本当にね

……でも、私の頭は撫でないでくれる?私あんたの指揮下でもないし撫でて良いなんて言ってないけど?」

 

 

「あ、すまん」

 

 

「後で高く付けるからね?」

 

 

「はは……多目に見てくれよ…」

 

 

エアと談笑していると再びカナを見下ろすと頭を撫でるとその場を後にしようとする

 

 

「じゃあ看護妖精さん、お願いします」

 

 

「はい、お任せください提督」

 

 

「頼んだぞ!看護!」

 

 

「任せなさい!どんな患者も完璧に治して見せるからね!」

 

 

親方がそう言うと入渠施設を後にする佐渡の肩に乗りエアと同時に出ていこうとガラッと開けた瞬間

 

 

「っ!?て、提督逃げてください!!!」

 

 

「……え?」

 

 

佐渡が振り返ると寝ていた筈のカナが入っていた湯が揺れており姿が消えていたその瞬間天井を見上げるとカナが爪を振り上げているのを確認した

 

 

「エア!!親方を頼む!!!」

 

 

「「……え?」」

 

 

佐渡はそれと同時に肩に乗っていた親方を掴みエアに投げ付けるとエアは受け取った瞬間佐渡はカナに押し倒され爪で首を絞め付けられる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ぐぅ……飛行…場姫……!!」

 

 

「……貴様提督だな!!!殺してくれる!!!!」

 

 

 

 

 





次回

カナ対佐渡

突然目を覚ましカナは佐渡を敵であると誤認したままで襲い掛かり佐渡もそれに反撃する


まさかの"壊滅種"のカナとの対峙です!
一応艤装が無い状態ですから人と変わりませんが佐渡は勝てるのでしょうか!?


叢雲&佐渡の過去編を書こうか悩んでますのでアンケート取らせて頂きます!!

  • 見たい!
  • 見たくないから続きはよ

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