艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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墜ちた姫 三

「ん………」

 

 

佐渡との戦闘後しばらくしたのちカナは再び入渠施設にて目を覚まし辺りを確認しようとするが

 

 

「うぅ!……い、痛い……何…で……!」

 

 

全身の関節が悲鳴を上げるほどの激痛に襲われ動けなくなっていると側に居た看護妖精がカナの身体に飛び乗る

 

 

「大丈夫ですか?えっと……カナさん…でしたっけ?」

 

 

「……あんた…誰?」

 

 

「私はこの入渠施設の管理を任せられている妖精の看護妖精です

貴女先程提督に襲い掛かって返り討ちにされたんですよ?」

 

 

「提……督…?」

 

 

カナは薄れゆく記憶を辿っていくと先程背後から人間を襲い掛かりそのまま外でその人間に近接戦闘で返り討ちにされたことを思い出すと

 

 

「提督!!!」

 

 

「ワン!」

 

 

「グフッ!お、お前!!退け!!」

 

 

飛び上がろうとするカナの腹部にイーちゃんが飛び乗り再び湯船に浸からせる

 

 

「ワン!ワン!」

 

 

「えっと、『大人しくしてて、皆に知らせるから』と言ってますね」

 

 

「皆…?」

 

 

「ワン!」

 

 

イーちゃんは湯船から上がるとボタンを押すと入渠施設の外からバタバタと音が聞こえ扉が勢い良く開く

 

 

「カナ!!!」

 

 

「え、エア!?あ、あんたなん」

 

 

カナがエアに聞くよりも先にエアが浴槽内に居るカナを抱き締める

 

 

「良かった!あんた死んでないわよね!!

そうよの!大丈夫よね!?生きてるわよね!?」

 

 

「え?え、えぇ……」

 

 

「ばーか、殺してねぇよ

普通に手加減したわ」

 

 

エアの後ろから佐渡が歩いてくると溜め息混じりに話す

 

 

「っ!提督!!!」

 

 

佐渡の姿を見た瞬間カナは爪を展開するが佐渡の攻撃が聞いているのか関節に悲鳴を上げ動けなくなる

 

 

「っぅ……」

 

 

「無茶すんなって、何にもしないからよ

あ、でもさっきのはノーカンな、お前が話を聞かないからちょっと痛い目にあってもらっただけだ」

 

 

「ちょっと!?ちょっとって言ったあんた!?

あれの何処がちょっとなのよ!!!普通にカナが死にかけてたのよこの化物!!!」

 

 

「いやそれ特大ブーメラン……と言うか俺じゃ殺せないって……」

 

 

「……嫌、死にそうな位痛かった」

 

 

「ほーらー!!!佐渡あんた覚えてなさいよ!!!」

 

 

「えぇ……俺が悪いの…何か酷くない?」

 

 

「確かに、提督やり過ぎだと思いますよ?」

 

 

「俺もそう思うな、今回は佐渡が悪い」

 

 

「え、何これ俺悪役?何、フハハハ!!とか笑った方が良い感じ?」

 

 

「安心しろ佐渡、全部お前が悪い」

 

 

「酷い……酷すぎるよ皆……」

 

 

全員から総精神攻撃を受けた佐渡は端っこで小さくなっているとイーちゃんが湯船から出ると佐渡にすり寄る

 

 

「あぁ………俺の味方は君だけなんだねイーちゃん……」

 

 

「ワン!」

 

 

「あぁ…ええ子やわぁ……マジ天使」

 

 

「いや、深海棲艦でしょうがお馬鹿」

 

 

「……何、私あんな奴にボロボロにされたの?」

 

 

「あれでもここの提督なのよ、しかもあんたを倒した叢雲達の師よ」

 

 

「嘘でしょ、冗談じゃなくてもキツいわよ……」

 

 

「ま、ともかくだ!!話をしたいんだが出来るかな?飛行場姫!!」

 

 

イーちゃんに慰められた?のか佐渡はイーちゃんを抱き抱えながらカナを見下ろすとカナが睨み付ける

 

 

「あのさ、その飛行場姫って辞めてくれる?

私、あんた達がつけたその名前嫌いなの」

 

 

「………じゃあ何て呼べば良い?」

 

 

「…………カナで良いわ」

 

 

「じゃあカナ!俺は今後の話をしたいんだが、俺を襲わないと約束出来るか?」

 

 

カナは不服そうに溜め息を付くとエアと懐いているイ級を見る

 

 

「………良いわ、どうせあんたに襲い掛かっても返り討ちに会うと思うし」

 

 

「良し!なら高速修復剤を使って場所を変えようか!」

 

 

「その前に一つだけ質問に答えて」

 

 

「何だよ?」

 

 

「………ねぇ、あんた本当に『ただ』の人間?」

 

 

カナが睨みながら佐渡に問い掛けると佐渡は笑いながら当然の様に話す

 

 

「あぁ、至って『普通』の人間だ

ちょっと他の奴等より死線を潜り抜けてきただけのな

俺はお前達何かのは『見馴れてる』からな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高速修復剤を使いカナを入渠施設から出し食堂にて佐渡とエア達は現状の説明とこの場所がどんなところなのかをカナに説明していくとカナは終始大人しくお茶を飲みながら聞いていた

 

 

「ーーと言うことだ」

 

 

「……疑問が残ることは多くあるけれど、まぁ良いわ

それで確認なんだけどここは小笠原鎮守府であんたは提督ってことで良いの?」

 

 

「そゆことだ」

 

 

「えっとそれじゃ……」

 

 

「あぁ、すまん自己紹介が遅れたな

俺の名前は佐渡 満だ

佐渡で良い」

 

 

「じゃあ佐渡、あんたはこの鎮守府で死にかけてる艦娘や捨てられた艦娘を助けたりしてるんだ?」

 

 

「まぁ、別に進んでって訳じゃねぇけどな

この鎮守府に来るって奴はそう言う奴って訳」

 

 

「ふーん、嘘は付いてなさそうね

まぁ良いわ、あんたが他の提督共と違うのは大体わかった

それよりも大きな問題を見付けたからね」

 

 

「問題?」

 

 

カナは佐渡ではなくその隣に座りアイスを頬張っているエアを睨み付けるとエアも気付いたのか自分を指差す

 

 

「………私?」

 

 

「そうだ!!お前だよ!!!

今まで何処に居るかも分からなかったのに!!!こーんな所で殺すべき提督と仲良くやってるんだよ!!!

この裏切り者!!!!」

 

 

「あら?別に裏切ってないわよ、このお馬鹿に情報は与えてないし助けてもないわよ?」

 

 

「裏切りだろうが!!!」

 

 

「ま、まぁカナ様落ち着いて……」

 

 

「ソラは黙ってろ!!!」

 

 

「は、はい!!申し訳ありませんでした!!!」

 

 

その光景を見ながら佐渡はイーちゃんの頭を撫でながらお茶をすすっていると親方が耳元で囁く

 

 

「なぁ、佐渡

あの飛行場姫、カナって実はまともなんじゃねぇの?」

 

 

「うん、それは俺も思うよ

エアが可笑しいだけ」

 

 

と佐渡が良いかけた瞬間佐渡と親方の間をアイスのスプーンが掠りエアが笑みを浮かべる

 

 

「な ん か い っ た?」

 

 

「「いいえ!!!」」

 

 

「エア!!話は終わってない!!!」

 

 

「はいはい、分かったわよ!

ってそれよりもあんたどうするのよ?」

 

 

「どうって………」

 

 

エアに言われるとカナは悩んでおり佐渡が助言を出す

 

 

「因みに、多分ドレス島には帰れるぞ?」

 

 

「は?どういうことよ?」

 

 

「実はな、ロキって深海棲艦が島に残っていた自立型艤装と深海棲艦を動かし島自体を守ってるらしい」

 

 

「ロキが!?………ってことはロキにも私の死んだってことにされてるのね……」

 

 

「だったら北方はどう?他は私好きじゃないし?」

 

 

「いや、帰るならドレス島が良いんじゃないか?

だってカナの島なんだろ?

それに確か椿も近くに」

 

 

「ですが佐渡様、一応海軍が落とした島ですよ?

カナ様が居たらまた大騒ぎになるのでは?」

 

 

「あー……それもそうか…」

 

 

「ソウナルトカナ様危ナイワヨ?」

 

 

「カナ様ガ大変」

 

 

「となると北方か?あそこは」

 

 

佐渡とエア達が話し合っているとカナが重い口を開くととんでもないことを言う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………いや、私はこのまま雲隠れをするわ

私が生きてるってことは誰にも伝えない」

 

 

「「「「……え?」」」」

 

 

 

 

 

 




次回

死んだ者(ロスト)

自らの事を死んだことにし雲隠れをすると言うカナに佐渡達は驚きカナはその理由を話していく

因みに言うとカナはかなり常識人です
実力だけは化物染みてるですけどね……
イベント残り3日(?)!堀が終わるかな……
あ、アンケートは次回で終わりにします!
皆さんご協力ありがとうございます!!


叢雲&佐渡の過去編を書こうか悩んでますのでアンケート取らせて頂きます!!

  • 見たい!
  • 見たくないから続きはよ

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