艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

551 / 594
墜ちた姫 四

「誰にも伝えないって何でよ!?」

 

 

「……ちょっとね、それに今私は艤装も無い

あれがあるからこそ私はEliteを名乗れた物だしね、それが無い以上使い物にならない」

 

 

カナが溜め息を付いていると佐渡が首を傾げる

 

 

「なら、あの兵器を作ればお前は他の所に行けるのか?」

 

 

「……は?」

 

 

「なぁ、親方あれって作れると思う?」

 

 

「んー…あれはちょっと……流石に一人だとキツいなぁ……もう一人人手が欲しいな……」

 

 

「あれば作れるのかよ……流石親方!!」

 

 

「仕方無い、私が何とか設計図探してやるわよ」

 

 

「エア様!私達も手伝います!!」

 

 

「ヤルカ!」

 

 

「ソウネ!!」

 

 

「待った!!!!」

 

 

何故かカナのアブソリュートを作る話になっており慌ててカナがそれを止める

 

 

「何だよ?」

 

 

「いやお前達可笑しいだろ!!何で私の艤装を作るって話になってるんだ!?

私の力を見ただろ!?」

 

 

「まぁ、うん?」

 

 

「うんじゃない!!

首を傾げるな!!佐渡!!」

 

 

カナが突っ込んでいるとエアが溜め息を付く

 

 

「カナ、こいつはそう言う奴よ

私達の事を敵だと思ってないからね」

 

 

「は?本当なの?」

 

 

「……あぁ、だって今敵対してないんだろ?

なら敵じゃないだろ?それに、艤装は必要だろ」

 

 

「……………はぁぁぁぁぁ……」

 

 

カナは大きな溜め息を付くと頭を抱えてしまいその肩をソラに叩かれる

 

 

「カナ様、これが佐渡様何ですよ……」

 

 

「ねぇ、ちょっとソラ

提督って皆こうなの?」

 

 

「いえ違いますよ?佐渡様が特別なだけですよ

普通の提督なら貴女を解剖するとか身体中調べたりしますよ……」

 

 

「おいおい、ソラさんや

俺は解剖なんてそんな事せぇへんで?」

 

 

「えぇ、存じ上げております

貴方に関しては本当に私達への敵意が無いですもんね分かってますはい」

 

 

「ソウヨ!コレコソ提督ノ器!!」

 

 

「大キスギルト思ウケドネ」

 

 

「同意」

 

 

ソラの会話にαとβ達も賛同していくとカナは頭を抱える

 

 

「カナ諦めなさい、コイツは底抜けのお人好しよ」

 

 

「……成る程ね、とりあえず佐渡私の艤装は良い」

 

 

「え?じゃあ親方脚に付ける航行艤装とかある」

 

 

「あるんじゃないか?

だが、コイツに合う物があるかどうかは分からないから付けて貰わねぇと」

 

 

「…………一つ良いか、佐渡」

 

 

「何だ?」

 

 

カナは溜め息を付くと佐渡を見ながら顎に手を当てる

 

 

「お前は私達(深海棲艦)をどう見る?」

 

 

「どうって……人に似た存在?と言うか話せば分かる奴等だよな?」

 

 

佐渡の即答にカナはある人物を思いだし少しだけ笑みを溢す

 

 

「なら、私達を使役して世界を滅ぼすとか支配とかは考えてないのか?」

 

 

「え、何で?やる意味ある?

支配したところでいつかは崩れ去る

滅ぼしたところでいつかは元に戻る

やったところで意味はない

それに、俺は今お前達と笑い合えるならそれで良いんだよ

争いなんかより平和が一番!!」

 

 

その答えに佐渡がただ楽観視してるだけの人間には見えなくなると同時にカナは思い出す『唯一自らが認めた人物を』

 

 

『私は皆が戦ってるより皆と笑い合って楽しく過ごせれば良いの!

戦争や争いなんかより、平和が一番だよカナ!!

だから!今この時を楽しもうよ!!』

 

 

「…………ふーん……似てるねお前」

 

 

「うん?どしたカナ?」

 

 

カナは目の前に居る男に親近感を覚えると自然と笑っており溜め息をつく

 

 

「何でもない、お前が私の知り合いに似てるなって思っただけ

さてと、じゃあ佐渡ここからは少し話をしましょう

お前は何を望む?」

 

 

「は?」

 

 

唐突に言われた話に佐渡が混乱しているとカナが立ち上がり佐渡の横に移動し見下ろし顎を軽く持つ

 

 

「お前は私を仮にも助けた、私はその借りを作るつもりはない

だから今それを返す私に、深海棲艦最強たる姫のEliteに何を望む?

気にいらない奴を殺す?

気にいらない国を壊す?

それとも私を使って栄光を得る?

それとも私を売って富を得る?

それとも私の身体を使う?

良いわ、抵抗もしない貴方に尽くしてあげる

 

さぁ願いなさい、私に出来る事を」

 

 

佐渡が唖然としているが直ぐ様溜め息を付きカナの頭にデコピンを当てる

 

 

「いてっ!何するのよ!!」

 

 

「うっさい!もっと自分を大切にしろ!!

俺は別に対価を求めて助けた訳じゃねぇ!!お前を助けたいから勝手に助けただけだ!!!

勝手に仮とか恩義とか考えるな!!!!

普通に『助けてくれてありがとう』って言えやこのお馬鹿が!!!

二度も言わせんなこの真面目娘が!!!大井かグラーフかこの野郎!!!」

 

 

逆に怒られてしまいカナが唖然としているとエアがその光景を見ながら腹を抱えながら大爆笑する

 

 

「アッハッハッハッハ!!!!

相変わらずあんたは真面目ね!!アッハッハッハッハ!!!!

無理無理!そいつに望むものなんて無いわよ!!

さ、佐渡!グッジョブ!!!アッハッハッハッハ!!!!

やば!お腹痛い!!そいつは本当に『ただの善意』で助けてるのよ!!あー笑える!!アッハッハッハッハ!!!!」

 

 

「ちょ、ちょっと姫様笑いすぎですよ!

ですが、カナ様佐渡様はそう言う人なんですよ」

 

 

「そうそう、だってこの鎮守府に居る艦娘ってのはコイツに助けられた海軍に捨てられた艦娘ばかりなんだ

しかも助けた癖に他の鎮守府に異動させようとするんだぜ?

本当に底抜けの馬鹿でお人好しなんだよ

コイツに対価とか求めても無駄無駄」

 

 

「ソウソウ!カナ様!佐渡様ハオ優シインデスヨ!!」

 

 

「ソラト違ッテネ」

 

 

「ウンウン」

 

 

「お前達?今なんて言いました?」

 

 

「「ヒッ!!」」

 

 

各々笑ったりしていると佐渡が立ち上がりカナの頭を撫でる

 

 

「俺の望み?一つだけあるぜ、お前が万全になることだ

それまでゆっくりしていきな」

 

 

「……………はぁ………お前には欲がないのか?」

 

 

「無い訳じゃないが、お前達には無理してほしくないんだよ

ここでは全て平等だ、上下関係なんて無い

自由で平和で艦娘だろうと深海棲艦だろうが休憩できる鎮守府

それが俺の鎮守府だ

大丈夫だ、ここにお前の敵は居ない

陸でなら俺が守ってやる」

 

 

「……ひ弱な人間に何が出来るのやら……だが、信じてみたい言葉だなそれは」

 

 

今まで守り続けていたカナが始めて聞く『守ってやる』と言う言葉に少しだけ違和感を感じながら笑みを溢し大人しく佐渡に頭を撫でられていた

 

 

「にしても、髪サラサラだな?

深海棲艦なのに?」

 

 

「お前はどういう偏見をしてるんだ……

まぁ良い、さてとお前達に世話になりっぱなしにも成りたくないしここを」

 

 

とカナが話していると誰かのお腹からぐぅと音が聞こえるとエアが笑うのを止める

 

 

「あ、あら?誰かお腹空いたのかしら?」

 

 

「私ではないですね?」

 

 

「私デモ無イワ?」

 

 

「私デモナイ」

 

 

「違ウ!!」

 

 

「俺は違うぜ?それに妖精はならないしな」

 

 

「俺でもねぇなじゃあ誰が……」

 

 

佐渡がカナを見ると耳が真っ赤に染まっており俯いていた犯人が分かると頭を更に撫でる

 

 

「……ま、そうだよな

何か嫌いな物あるか?」

 

 

「………………………ない」

 

 

「よっしゃ適当に作るか

少し待っててくれ」

 

 

「アッハッハッハッハ!!!!本当!カナ面白すぎ!!!

お腹鳴らしちゃって可愛過ぎ!!!アッハッハッハッハ!!!!

やば!私死ぬ!!」

 

 

「~///!!エア!!!お前いい加減うるさい!!!」

 

 

堪忍袋の緒が切れたのかカナはテーブルを飛び越えエアに斬りかかるとエアはそれを止め大乱闘が始まってしまう

 

 

「ちょちょ!カナ様!!辞めてください!!色々壊れてしまいます!!!

お前達!!止めますよ!!!」

 

 

「「ハ、ハイ!!」」

 

 

佐渡が厨房に入っていくと後ろから二人を仲裁しているソラ達を見ながら笑みを浮かべる

 

 

「ハッ、賑やかなこったで

ま、叢雲達が帰ってくるまでには何とかしないとな」

 

 

 

 

 

 





次回

今後のお話

カナの誘いに全く乗らない佐渡を見ると呆れながらもその器を認めており自分のこれからの話をしていく


一応今回は二人登場します!
あ、アンケート結果ですが圧倒的に叢雲の過去編を所望する人が多かったのでやりますね!
因みにこの話はかなり長めですのでお覚悟を!
佐渡の過去、そして叢雲が力を求め佐渡の事を絶対的に信頼するお話になります!



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。