艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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墜ちた姫 五

時間は流れ夜になり佐渡達は晩御飯を食べながらカナの今後の話を話し合っていた

 

 

「それでカナあんたどうするのよ?隠れるって言って……あ、これ美味しい

佐渡の料理は相変わらずね」

 

 

「そうね、とりあえずまた孤島を探す

艤装は……まぁロキと何とか連絡……取れるかな…」

 

 

「私達作りますよー?」

 

 

「任せてー!」

 

 

「ふふ、ありがと気持ちだけ受け取っておく」

 

 

カナはあまり佐渡の食事に手を付けておらずエア達だけが食べており特にαとβは食い付くす勢いで食べていた

 

 

「何だ、口に合わなかったか?」

 

 

「違う、人間の作った料理を食べるわけいかないでしょ、助けられたのに更にこんな世話になるわけには」

 

 

「「オカワリ!!!」」

 

 

「はいはい」

 

 

カナが話してる最中にも二人はご飯を食べきると佐渡に求めソラに叩かれる

 

 

「こらお前達!少しは限度を知りなさい!!!」

 

 

「「嫌デス!!!」」

 

 

「全く……申し訳ありません…佐渡様」

 

 

「いいよ、俺も帰ってくるの久しぶりだったしね

それに食べてくれるのは嬉しいしね

はいどうぞ!」

 

 

「「イタダキマス!!」」

 

 

二人の食欲をカナは唖然と見ていると再びお茶をすすっておりエアが唐揚げを箸に刺す

 

 

「ねぇ、カナ」

 

 

「何よエ」

 

 

「ほら食いなさい!!」

 

 

「むぐぅ!?」

 

 

エアはカナが口を開けた瞬間刺した唐揚げを無理矢理押し込むとカナはそれを手で取り出す

 

 

「あっつ!!何するのよ!!!」

 

 

「あんた前からだけど警戒心高すぎなのよ

安心しなさい、何も入ってないわよ

私が保証してあげる」

 

 

「お前達が緩すぎるんだよ!!

食えるか!人間の料理なんて!!!」

 

 

「あ、あんたその言葉………」

 

 

「………え?」

 

 

カナがそう叫んだ瞬間全員の目が佐渡に集中するとかなり落ち込んでいた

 

 

「…………そうだよな…人間の料理なんて食えないよな…」

 

 

「そ、そんなことありませんよ!佐渡様!貴方様のお料理は素晴らしく美味しいですよ!!」

 

 

「ソウダヨ!!佐渡様!!凄イ美味シイヨ!!」

 

 

「ウンウン!佐渡様ノ料理ハ世界一!!!」

 

 

カナが拒絶すると佐渡が落ち込みソラ達が必死に宥めているとエアがカナの頭を叩く

 

 

「大丈夫よ、コイツが食事に何か仕込む事なんてないわ

それにあんたを倒せる力があるのにそんな小細工するわけないでしょ」

 

 

「だがな!!!」

 

 

「良いから今日だけで良いから食べなさい!!!ほらほらほらほら!!!」

 

 

「分かった!分かったから!!」

 

 

エアに催促されるとカナは渋々料理に手を出していくと笑みを溢しそうになり顔を反らす

 

 

「………カナ、吐きそうな程不味いか?」

 

 

「……違う、普通に……嫌、美味しいすごく」

 

 

「本当か!?本当に!?」

 

 

佐渡はその言葉に立ち上がりガッツポーズを取っているとソラ達が拍手をする

 

 

「いやー!良かった良かった!!

実は今回全く自信がなくてな!エア達に気に入るような味付けにはしたんだがカナは味覚が違うと思ってなぁ!!凄いふ」

 

 

と佐渡が話しているとカナが顔を反らしながらご飯茶碗を佐渡に差し出す

 

 

「…………」

 

 

「……おかわり?」

 

 

佐渡の質問にコクンと頷くと佐渡は喜びながらカナの茶碗にご飯をよそっていく

 

 

「もっと食べてくれよ!!足りなくなったらどんどん作るからな!!!」

 

 

「も、貰う

特にこの麻婆豆腐好き」

 

 

「そうか!カナは辛いのが好きなのか!?」

 

 

「ち、違う!!豆腐が好きなの!!

だからこの麻婆豆腐の味付けが好みでね辛すぎなくてまろやかな口当たりが………ふ、ふん!!」

 

 

「そっか、そっか……覚えとくぜ!!」

 

 

「忘れてろ!!人間!!」

 

 

カナと佐渡の会話を見ていたエアも微笑み再び料理に手を伸ばしていくと話を戻す

 

 

「と言うかカナどうするのよ、隠れるって言っても」

 

 

「適当に島を見つける、食事とかは別に取らなくても良いし」

 

 

「でも、その島に居座っても艦娘とか深海棲艦に見付かったら大変よ?

それこそ人間なんかに見付かったら」

 

 

「それもそうだが、深海側には戻るわけにはいかない

それに私は一度ではあるが負けた

私を引き受けてくれる場所なんて……」

 

 

「ならうち(小笠原)はどうだ?」

 

 

カナとエアが話してる間を裂くように佐渡が言うと二人の視線が集中しカナが反論する

 

 

「お前!!私が言ったこと聞いていたか!?

私は今どちら側にも付くつもりはない!

ましてや!人間側になんぞ!!」

 

 

「は?何か勘違いしてないか?」

 

 

「え?」

 

 

佐渡はお茶をすするとテーブルに肘を付き顎に手を当てる

 

 

「一応うちは鎮守府だけど、別にお前にこちら側の戦力として入れなんて言ってねぇよ

ただ行く当てが無いなら居たらどうだって話だ」

 

 

「そ、そんな事言ってお前は!!」

 

 

「悪いが俺は嘘は付かない

お前達の事を戦力としても深海棲艦としても見るつもりは無い

『ただのカナと言う女性』を迎えるつもりだ」

 

 

「……い、いや!そんな!!」

 

 

「良いじゃないカナ?ここは隠れ蓑にピッタリよ?

深海棲艦にも人間にも見付からない荒れ果てた島なんだから

深海棲艦側には(エア)の島としてしか映らず

人間側には小笠原鎮守府としてしか映らない

最高じゃない?」

 

 

エアに言われるとカナは立ち上がり机を叩く

 

 

「馬鹿も休み休み言え!!私に始原(ピース)を裏切れと言うのか!?」

 

 

「違うわよ、相変わらず頭硬いわね……

あんたが次の島を見付けるまで居たらって話よ

それにコイツが私達の力を借りないっての事実でしょ

現にコイツはあんたを討伐するのに私の力を借りなかった

私が協力してたら……分かるでしょ?」

 

 

エアが少しばかり睨み付けるとカナは萎縮し大人しく座る

 

 

「…………いや、やっぱり私は」

 

 

「なぁ、カナ別に気にしなくて良いんだぞ?

この小笠原は誰が来ても歓迎だ

この島は休憩所、疲れた者が休める場所

疲れたなら動けるようになるまで休んでいけ

俺が許す

それに、あいつらも気にしなさいさ」

 

 

「……………………」

 

 

カナはしばらく唸り頭をかきむしっていると頭を抱え込んでしまう

 

 

「はぁ……あんた本当に真面目よね……」

 

 

「いや、お前は少しは見習えよ……」

 

 

「それは同感です」

 

 

「ウン、姫様モ見習ウベキ」

 

 

「ほほう?あんた達いい度胸ねぇ?」

 

 

佐渡の発言にソラ達が賛同するとカナが机に突っ伏してしまう

 

 

「……そ、そんなに葛藤するもんなの……か?」

 

 

「そりゃそうよ!!!あんた!普通相手の!しかも敵の世話になるなんて!!あり得ないでしょ!!

『捕虜』としてとかなら!!良いけどさぁ!!」

 

 

カナの発言を聞いていた佐渡は突然とんでもないことを言い放つ

 

 

「捕虜………あ、そうだ!良いこと考えた!!!

じゃあ!カナお前を『雇いたい』!!」

 

 

 

「「……………はぁ?」」

 

 

 

 

 

 





次回

雇用取引

小笠原に居ることに頭を悩ませるカナに佐渡は一つの取引を持ちかける
それがカナの運命を分ける

小笠原島の過去編をやろうか少し悩みつつある作者がこちらです()
本編では軽く触れる程度にはやりますけどね!


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