艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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隠された力

佐渡が単身で夕張を助けに言っているときカナとエアは二人で工廠で親方からあるものを受け取りそれを持って海岸へと走っていた

 

 

「早くして!間に合わなくなる!!」

 

 

「ちょ、ちょっとカナ!貴女何をするつもりよ!?」

 

 

「そうだぜカナ!長門のスペア艤装(・・・・・・・・)を貸してくれだなんてよ!!」

 

 

そう、今エアが運んでいるのは長門のスペア艤装、つまり緊急時に備えて艤装が使えなくなった時の物を持ってきていた

 

 

「正直、これは誰にも見せたくないし教えたくは無かったんだけど

『今回だけ特別』

借りは作っておきたくないから!

エア!貴女の能力って確か『擬態』よね!?」

 

 

「は?それが」

 

 

いきなりのカナの質問に首を傾げているとカナが声を荒げる

 

 

「良いから答えて!!」

 

 

「え、えぇ…そうだけど…」

 

 

「なら!長門に化けてその艤装を扱うことも出来るのよね!?」

 

 

「か、可能よ?長門には化けたことも艤装を使った経験もあるわ」

 

 

「だったら!今すぐ長門に化けてその艤装を付けて!!」

 

 

カナに言われるがままにエアは能力である擬態を使うと髪の色を身体を自在に変えていき長門と全く見分けが付かないほどに姿を変え艤装を身に付けていく

 

 

「あ、あのカナ様一体何を……?」

 

 

「お前達が知ることが無いことよ

恐らく、深海棲艦でも今からやることはこれから後にも先にも知ることが出来るのはお前達だけね」

 

 

「終わったわよ、カナ」

 

 

艤装を身に付け終わったエアはカナに呼び掛けるとカナはエアに近づいていく

 

 

「何?声も変える?」

 

 

「必要ない

必要だったのは『艦娘の艤装を扱える者』だからね」

 

 

「はぁ?いよいよ分からないわね

どういう」

 

 

「今分かる、親方さん

申し訳ありませんがこの艤装の機関部分を開けてください」

 

 

「え?あ、あぁ分かったよ」

 

 

カナに言われるままに長門の艤装の機関部分を露出させるとカナはおもむろに自らの右手を鋭い爪に変化させ手首を切り裂き赤黒い血液が流す

 

 

「ちょ、ちょっと!?」

 

 

「カ、カナ様!?」

 

 

「お、おい!何してやがるんだ!?」

 

 

「黙ってて!これが必要なのよ……」

 

 

するとカナは滴り落ちる血液を機関に流し込んでいくと艤装がガタガタと震え始める

 

 

「な、何!?」

 

 

「長門様の艤装が…!」

 

 

「……私達姫クラスの…いや、Eliteクラスの姫にはそれぞれ独自に特化した能力が付いている

でも、その姫達にはある隠された共通点がある

それは『姫の血液を武器に混ぜ合わせる事で武器を変異』させることが出来ると言う事」

 

 

「なっ!?何だと!?」

 

 

カナの説明を聞いていると長門の艤装の震えが止まると一気に艤装が変化し始めカナは血を止める

 

 

「ぎ、艤装が……変わっていく…!」

 

 

「そして、その血液を混ぜ込まれた武器はその姫の特性に応じた形へと変わっていく

私の特性『超遠距離形』

つまりその艤装の射程は異常に伸びる様に変異する」

 

 

すると長門の艤装は真っ赤に染まっていき主砲の数が三門だったのが集まっていく一門に集中され巨大な砲塔へと変異し大きな艤装は更に巨大へと変わっていき艤装から柱が伸び砂に突き刺さり固定砲台の様に変わる

 

 

「す、凄い……これが姫Eliteの血液の力………」

 

 

「……何てこった……長門の艤装が……見る影もねぇ……」

 

 

「………分かるわ…カナ……これが貴女の艤装…なの?

……あんたこれで良くあんなに動けたわね……」

 

 

「ま、アブソリュート見たいにはなるわよね

アレはロキが私専用に作り上げた物だから

……さてと、次よ」

 

 

カナは次に両手を爪状に変化させるとエアの横腹部に思い切り突き刺す

 

 

「いっ!!!ちょ!カナあんた!!」

 

 

「か、カナ様!?今度は何を!?」

 

 

「まだ…あるのよ……私達姫Eliteには隠された力が…ね……エア…前を…見なさい…」

 

 

「な、何を……?」

 

 

エアは正面を向くと水平線が広がるだけ…だったはずだが明らかにその視力が向上しておりいつもなら見えないはずの距離が見えていた

 

 

「…………え?ど、どういう……」

 

 

その視力が信じられず再び瞬きをすると更に遠くを見渡すことが出来水平線から黒煙が見え再び瞬きをすると水平線の端に人影が見える

 

 

「……カナ…あんた私に何をしてるの!?」

 

 

「エ、エア様?一体どうしたのですか!?」

 

 

「これが……私達の…隠された…能力……もう一度瞬きをしなさい……エア…」

 

 

カナに言われるがまま再びエアは瞬きをすると海上でタ級に終われる佐渡と夕張を見ることが出来る

 

 

「佐渡!アイツ、タ級に追われてる!?」

 

 

「え?え?どこですか?佐渡様は?」

 

 

「おい!カナどういう事だ!?」 

 

 

「今……エアに……私の血液を流し込んでいるのよ……つまり…私の能力の一つ……『全てを見渡す目(千里眼)を貸してあげてる』……のよ……これは姫Eliteクラスに……しか出来ない……けどね……」

 

 

「貸す!まさかお前の能力をエアが使ってるのか!?」

 

 

「そ、そんなことが出来るんですか!?」

 

 

「えぇ……ただし…私は…動けないし…かなりの体力を……削られるけどね……

ある……『化け物』からの……教えよ……」

 

 

「化け物?」

 

 

「そうよ……私より……遥かに強い……『本物の化物』……にね……」

 

 

ソラに言われるとカナは昔、この力を教えてもらった日の事を思い出す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◯年前

 

 

 

『なぁ、カナお前は自らの事を理解してるか?』

 

 

「……突然何?」

 

 

『いやなに、我々深海棲艦のトップに君臨するお前が自らの能力や力をきちんと理解してるのか聞きたかっただけだ』

 

 

ここはある兵器庫

私がのんびりとポテチとコーラを堪能してる中

ソイツはのんびりとした口調と威圧的な声で私を見下ろしながら話だす

 

 

「私がトップぅ?何言ってるのよ、確かに私は他の深海棲艦や姫よりは強いけどトップは貴女でしょ?

それに私よりエアやクイーンの方が強いわよ」

 

 

『ハハハ!抜かすな化物め、お前だけとは言っておらん!だがお前もトップに決まってるだろうが!

何せあの始原(ピース)からドレス島の守りを託されているのだぞ?

それは我の事も守ってるの同義では無いか?』

 

 

「いやいや、私なんか貴女に比べたらちっぽけよ

確かに人間や艦娘相手には負ける気は無いけど、貴女から見たら私なんてバッタが良いところよ」

 

 

『そう悲観するな、お前は充分強い

それを誇れ!それに我が動くその時は有り得ないであろう!!

何せ我の歩みは『世界の終わり』だからな』

 

 

「まぁ……ね…始原(ピース)が貴女を外に出した時はもう私達何て居なくても『人類が滅ぶ』わ」

 

 

 

『むぅ、だが外の世界は見てみたいな

我もこんな倉庫で一生を終えるのは勘弁してほしいのだがな?』

 

 

「それは有り得ないんじゃない?戦争が終わるときには出してくれるわよ

まぁその時貴女は役目を無いか、役目を全うするかのどっちかだけどね」

 

 

『ハハハ!蹂躙と言うのを一度してみたいものだな!』

 

 

「辞めてよ…貴女のそれは洒落にならない……

で、何だっけ?」

 

 

『おっと、すまぬな

多分だがこれは知らぬ者は少ないと思うが我々の血液にはある特殊な力があるのは知っておるか?』

 

 

「………何それ?初耳なんだけど?」

 

 

『やはり知らぬか、この際だ教えてやろう』

 

 

「ねぇ、それって『貴女見たい自由に血液を操れる』の?」

 

 

『それは無理であろう!!

これはお前達で言うEliteのみが持つことを許された固有の能力だからな!』

 

 

「残念、貴女の能力は私達何かより遥かに馬鹿げてる強さなのにね」

 

 

『まぁそう悲観するなカナよ、では教えてやろう

我々の血液に秘められた力を』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(まさか……ここでそれを使うことになるとはね……)

 

 

カナは自らの血液をエアの身体に流しているとエアは真っ直ぐ水平線を見ており次々と砲撃をしている

その姿を見て少しばかり微笑む

(……コイツが躊躇いなく誰かを…助けるなんてね………そんなにあの人間(佐渡)が大切なの?……少しばかり…興味が出てきた……けど……)

 

 

その瞬間カナがガクンと身体を揺らしエアの艤装に身体を預けるとエアがその事に気付く

 

 

「カナ!あんた大丈夫なの!?」

 

 

「平……気………じゃ……な………い………はや………く……」

 

 

「っ!佐渡!!!早くしなさい!!!これ以上はカナが持たない!!!」

 

 

『分かってるよ!!今全速力で向かってる!!!』

 

 

 

佐渡は全速力でタ級から逃げておりタ級も謎の砲撃に怒り狂いながら二人を追いかけてきていた

夕張が砲撃を撃ち命中するがそれを物ともせず真っ直ぐに突っ込んでくる

 

 

「もう!何なの!あのタ級!!」

 

 

「正に執念深いな!!まるで…何かを奪われ……たか……の様に……」

 

 

ここで佐渡は一つの答えに気付く、このタ級がどこの艦隊だったのかを

この海域はつい最近までエアとカナの海域だったものつまり今目の前に居る深海棲艦隊は

 

 

「……まさかコイツ…カナの艦隊の奴か?」

 

 

ボロボロになりながらも追い掛けてくるそのタ級の瞳には涙が浮かび上がり怒りと憎しみに燃える瞳をしていた

 

 

 

「………まぁそりゃ憎いよな、お前達の主人を殺されたんだもんな」

 

 

「佐渡提督!何言ってるの!!」

 

 

「良し、エア!砲撃を辞めてくれ!!」

 

 

『は?あんた何言って』

 

 

「良いから!後は何とかする!!」

 

 

佐渡はそう言うと閃光手榴弾を取り出し縄を取り出すと輪っかを作り身体に巻き付ける

 

 

「ちょ、ちょっと?佐渡提督?」

 

 

「はい!夕張ちゃんパース!!」

 

 

「え?え?」

 

 

「おい!タ級!!良く聞け!!!

お前のご主人……姫を殺したのは俺の艦隊の艦娘だ!!!

つまり俺が姫を殺せと命じてた提督何だぜ!!!」

 

 

突然佐渡がその話を始めるとタ級は歯を食い縛りながら佐渡を睨み付ける

 

 

「ちょっと佐渡提督!!」

 

 

「ハッ!お前達の姫様は大したこと無かったよなぁ!何せあの小島一つ守ることすら出来ねぇ雑魚何だからなぁ?

いやー、これならまだお前らを相手してた方が強いし苦戦したぜ!!

あんな雑魚姫他には居ないねぇ!ほんと!ろくでもねぇ姫だったなぁ!!!」

 

 

「…………ダ……マレ……」

 

 

「あんだぁ?聞こえねぇな?

悪いが俺は人間なんだお前達の言葉なんて分からねぇんだわ!!

あ!そっかぁ!お前達の姫様は言わなくても理解してくれたのか!!!

素晴らしい姫様だったみたいだな、死んだけどなぁ!!!

全く殺さないで生かしておけば娼婦にも出来るってのに海軍は勿体ない事をするよなぁ……あんな良い身体だったのにもった」

 

 

「ダマレェェェェェェェェェ!!!!!!」

 

 

突然タ級が叫びだすと全砲門を集中的に佐渡へ向ける

 

 

「姫様ヲ殺シタ怨ミ!!!!晴ラシテクレル!!!!!」

 

 

「良い怒りだが悪いなそれが目的だっ!」

 

 

 

だが佐渡はタ級に丸い何かを投げつけるとタ級はそれを直ぐ様掴み再び海の中に沈めようとするが違和感に気付く

その掴んでいる物は先程爆発させた閃光手榴弾では無く普通の手榴弾

しかも安全ピンを抜いてない物であった

 

 

「バーカ、それはダミーだよ!」

 

 

その声と共を聞き前を向くと目の前に閃光手榴弾が迫ってきており

 

 

「悪いな、お前をここで殺す気は無いんだ

ちょっと麻痺してもらうぜ」

 

 

瞬間甲高い爆発音と閃光が目を刺激しタ級は絶叫しながらも麻痺している視覚で動いているボートを目指そうとする

そのボートは何故か小笠原とは直角に曲がっていたが閃光手榴弾によって麻痺したタ級はそれを追い掛ける事しか出来ず追い掛けていく

 

 

「………全く無茶ばっかりするんだからさ」

 

 

「アハハ…悪いね夕張ちゃん」

 

 

タ級がボートを追う姿を尻目に佐渡は夕張に引っ張られながら海上をのんびり航行していた

 

 

「……あんなこと言って良いの?あのタ級多分また襲ってくるよ?

かなり佐渡提督を憎んでるし?」

 

 

「んー?構わんよ、海上では今日以外なら叢雲達が守ってくれるし陸上に来るならカモーンだぜ?

それに俺を狙うってことは他の艦娘とかに被害は出ないからな

にしてもこれ良いな波に揺られながらってのも

……とりあえず帰ったらお風呂入りたい、冬にやるもんじゃねぇなこりゃ」

 

 

「…やっぱり佐渡提督は馬鹿で優しい人なんだね」

 

 

「そんなことねぇよ?あ、そうだエア聞こえるか?」

 

 

『はいはい、聞こえてるわよ』

 

 

「すまん、助かったよ

と言うか撃って良かったのか?

仲間だろ?」

 

 

『大丈夫よ、あの砲弾自体は長門の砲弾だから恐らくあのタ級にはバレてないわ

それに撃沈はしてないし?』

 

 

「そういう問題なのか……」

 

 

そして夕張と佐渡はタ級と言う驚異から無事逃げることが出来エア達が待つ小笠原へと向かっていく

 

 

 

 

 





次回

合流、そして

エアの援護砲撃により佐渡達はタ級からの追っ手を振りきることに成功する
そして無事小笠原に帰れたのだがカナの様子が?

やっとリアルが落ち着いてきましたぁ……
そろそろ一日投稿に戻せそうですはい








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