艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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オーバーヒート…?

タ級からの上手く逃げおおせた佐渡と夕張は二人で小笠原の海岸へと向かっていき何とかその後無事に島の内海に入ることが出来安心していた

 

 

「と言うか、何で夕張ちゃんがここに来てるんだ?

俺は確か流されてくる艦娘が居るって聞いたんだけど?」

 

 

「鈍いなぁ?それが私だよ?」

 

 

「…………ん?ごめんちょっと分からない?

夕張ちゃんが流されてきた艦娘???何の冗談??」

 

 

「いや、本当だよ?

正確には私は『報酬艦』何だけどね?」

 

 

「駄目だ更に分からん!!」

 

 

佐渡が夕張の言葉を全く理解できなくなっていると夕張が今回の事に関して詳しく説明してくれる

今回流されてきたのは間違いなく夕張であること

そして叢雲達の護送を断ったのは自分でありそれを東雲大元帥にも話していたこと

それが原因で一人で小笠原に向かっていたこと

 

 

「待った!何でそんなことしたのさ!?」

 

 

「そりゃそうだよ、この島に送られる艦娘は必ず『護送艦を付けてはいけない』って決まってるからね

それは大元帥であろうとそれを変えることは出来ない

いくら優秀な艦娘であろうと

それにあの人にも恩義があるからね、手を煩わせる訳にもいかないの」

 

 

「いや、それ以前にだ!!君はこんな島に送られる艦娘じゃない!!!

君は何かに裏切られた訳でもなく!海軍に敵対してるわけでもなく!問題があるわけでもない!!」

 

 

「………佐渡提督、勘違いしてない?」

 

 

「…え?どういうこと?」

 

 

佐渡は見上げると夕張は悲しそうに微笑みながら呟く

 

 

「…私はね、問題がある艦娘なんだよ

それも…兵器としても…艦娘としても…ね?」

 

 

「待った!それは可笑しい!なら何で大本営に居れたんだ!明石さんの工廠に入れたんだ!?」

 

 

「……後で、その詳しい話はしてあげるね

でも先にこれだけは言っておくね佐渡提督」

 

 

「な、なんだい?」

 

 

海上を引っ張られながら見上げると夕張は冷たい眼差しを佐渡に向けており口パクで何かを言うと再び前を向く

だが、夕張は言ったことを後悔したのか頭を横に振るい無理矢理話題を変える

 

 

「と思ったけど辞めとく!期待は無駄って分かってるからね!ほら見えてきたよ!!佐渡提督!!」

 

 

「お、おう?」

 

 

夕張は佐渡へ向けた言葉が伝わってないと思っていたがその言葉は佐渡に届いており夕張が流されてきた理由を同時に理解する

(………成る程な、確かに『あんな言葉』を言う夕張ちゃんが普通…ではないわな

 

…………待った!今俺達海岸に向かってない!?)

 

 

夕張の事もあるがそれよりも海岸にはエアとカナが居ることを思い出すと慌てて起き上がろうとするも海上であり思うように動けないでいると

 

 

「おー!あれがさっき助けてくれた人かな?おーい!!」

 

 

「ちょ、待った待った!夕張ちゃ」

 

 

「よーし!全速力!!」

 

 

「お願い!お願いだから待ってぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

佐渡の叫び声虚しく夕張は全速力で走っていくとあっという間に海岸に到着しエア達と対面する

 

 

「あら?見えてた通り可愛い艦娘ね?」

 

 

「先程佐渡様が話していた艦娘さんですね!

朝早く御苦労様です!!」

 

 

佐渡は慌てて立ち上がるとロープを切断し夕張の前に立ち塞がり両手を広げて間に入り込むと夕張は唖然としていた

 

 

「あー!あー!これは!これは違うんだ!夕張ちゃん!!

これはね!えっとね!色々あってね!?」

 

 

「ちょっと佐渡ー?何私の前に居るのよ?邪魔退きなさい?

可愛い艦娘が見れないじゃない?」

 

 

「そうですよ、佐渡様?

そんなに慌てること無いじゃないですか?」

 

 

「お前ら状況理解してる!?あのさ!天然なの??

艦娘だよ!?しかも大本営から来た新人の!!お前達のこと全く知らない艦娘さんだよ!?

君達深海棲艦!!どぅーゆーあんだーすたんど!?」

 

 

「こ…この人……まさか…空母棲姫……?」

 

 

「そうよー?でもその名前はよして私の名前はエア

あんた達からは"提督殺し"とも呼ばれてる壊滅種の空母棲姫よ」

 

 

「ちょっと黙ってろエアぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

佐渡の話を聞かずに自己紹介を進めるエアに突っ込みを入れていくと夕張が佐渡を避けてゆっくりとエアに近付いていく

 

 

「あーあー!夕張ちゃん待って待って!!

コイツは悪いやつじゃなくてただの!!!」

 

 

と慌てていると佐渡を尻目に夕張はエアの目の前に行きまじまじとその姿を見ると主砲を構えようとする

 

(やっば!止めないと!!!)

 

その姿を見て夕張の首後ろに思い切り手刀を振り下ろそうとする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「初めましてエアさん!!お話は伺っております!!とてもお優しく素晴らしい人だって!!」

 

 

だが、夕張は佐渡の思ってる事とは違い主砲を構えようとしたわけではなくただ手を取るために動いただけであり佐渡の手刀が空振りになる

 

 

「んぁぁぁぁ!?」

 

 

手刀が空振りになりそのまま地面に倒れるとエアが呆れながら溜め息をつく

 

 

「あんた……何してるの?馬鹿なの?アホなの?

それともネタ?」

 

 

「い、いや!そうじゃないわい!え?夕張ちゃん?

何でエアの事知ってるの??」

 

 

「え?……あっ!ヤバ……アハハ……

じ、実は…明石から聞いてて……ね?」

 

 

「はい!?あの人まさか他の人にも言ってるの!?」

 

 

「い、言ってないよ!?ち、違うの!私が偶然深海棲艦のデータを見付けちゃって……」

 

 

「おいおい……勘弁してくれや……」

 

 

佐渡が溜め息を付き立ち上がるとエアの後ろから一人フラフラとした動きで近付いてくる人影を確認する

 

 

「ん?もしかしてお前カナか?おい大丈夫かよお前?」

 

 

「…佐……渡……?」

 

 

「あ、ヤバちょっと佐渡カナを頼める?多分私よりかなり疲弊してーー」

 

 

とエアが言っている最中カナがふらつきその状態から倒れそうになり佐渡が慌ててその身体を抱き抱える

 

 

「おい!カナお前大丈夫か!?」

 

 

「………………」

 

 

「か、カナ様しっかりしてください!!やはり血を使いすぎたのではありませんか!?」

 

 

「は、はぁ!?どういうことだよ!?」

 

 

「カナは自らの血液を利用して、長門の艤装を変異させお前達を助けたんだよ!!」

 

 

佐渡が困惑していると親方がエアの肩から顔を出しその説明をするとカナの傷付いた腕を自らの服を破って傷口に巻き付ける

 

 

「何でそんなことを!!」

 

 

「あんたに借りを作りたくないらしいわよ

まぁ、そうでしょうねカナは深海棲艦の中でも恩とかを気にするタイプの奴だからね

早目に返したかったんじゃないかしら?」

 

 

「だからって!こんな状態になるほどに無茶なんてするじゃねぇよ!!!全く!折角助けた命を無駄にしようとするなこのお馬鹿!!」

 

 

「…う………る………さい………あー………もう………無理……」

 

 

「お、おい!カナ!何が無理なんだよ!!おいしっかりしろ!!」

 

 

カナの様子が明らかに良くは無く慌てているとカナは佐渡の首に手を回すと思い切り力を込める

 

 

「ちょ、ちょっとカナさん!?」

 

 

「…………テチ」

 

 

「…はい?なんだって!?」

 

 

声が聞こえなかった佐渡にイラついたのかカナは佐渡を睨み付けると大声で怒鳴りつける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だーかーら!!!ポテチとコーラ!!!!!

後チョコレートにグミもたーべーたーい!!!

おーなーかーすーいーたーのー!!!!!

血液使い果たして動けないの!!早く運んでよ!!

あー!もう、真面目キャラやってらんなーい!」

 

 

その叫び声と同じくしてカナのお腹からぐぅ~と空腹の音が聞こえ佐渡は唖然とする

 

 

「…………………はぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

 

 

 






次回

オフスイッチ

夕張を無事に小笠原に届け終わると同時にカナが予想外のキャラ変に驚きながらも運んでいくのだが?


カナの様子が変わりましたね…?
因みにこれがあの時(前章の戦闘前)でカナが見せてた一面になります!



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