カナの猛攻が終わり時は流れ時刻はAM2時を過ぎた頃
いつもなら静寂に包まれる鎮守府
だが、何故か今日は工廠にて何かを修理する音が聞こえる
「……ふぅ、後はこれとこれを溶接すれば…」
その音の正体は来たばかりの夕張が艤装の修理をしていた
だが、それは佐渡が指示したことでもお願いしたことでもない
彼女が勝手にやっていたことである
「あ、今何時だろ?」
不意に夕張は時計を見ると2時を過ぎており溜め息を付く
「…やば、佐渡提督に12時には寝るようにって言われてたんだ……
ま、いっか徹夜すればバレな…」
「んなわけあるか、今日はここで終わりだよ」
「っ!?」
突然後ろから声が聞こえ振り返るとホットコーヒーを飲みながら佐渡が機材に座っていた
「……あ、…あれ?佐渡提督?」
「はぁ、やっぱり気付いていなかったね夕張ちゃん
何度も声掛けたんだよ?」
「あ、あははは!ごめんなさいね!私集中しちゃってて………」
「全く、提督さんの言うことは聞きなさいよ」
佐渡はそう言うと夕張に珈琲を差し出すと夕張も手を止め休憩を取る
「この鎮守府では出撃が極端に少ない…と言うか俺がさせてないからやることは無いって言ったじゃないか?
親方にも暇だったらやってほしいのとかは頼むけどこんな時間まではやらせてないんだぞぉ?」
「ご、ごめんなさい……どうしても」
「俺の役に立ちたいってか?」
「っ!?」
夕張は佐渡に見透かされたのかビクンと跳ねコップを握る手が強くなる
「………………何で分かったの?」
「うーん、直感かな?
初めて会ったときから夕張ちゃんは過剰に他の人の役に立ちたがってたし認めて欲しがってた
承認欲求って奴?」
「……あはは…やっぱり鋭いね佐渡提督は」
「これでもあいつらの提督だからね!えっへん!!」
胸を張る佐渡とは対極的に縮こまっておりしばらくの沈黙のうち夕張が話し出す
「……私ね、実はブラック鎮守府に所属してたんだ」
「やっぱりか、道理で今まで会ってきた『闇』を抱えた艦娘と同じ感じがしてたわけだ」
「……ねぇ、佐渡提督貴方に私はどう見える?」
「そうだなぁ……『価値観を無くした者』かな?」
「…あははは……凄いね流石は『孤高の狼』と呼ばれていた叢雲を認めさせた人間さんだね……
その通りだよ…私には価値観が無い
それは命も大切な物も何にもね」
「まぁ、そうじゃないとカナとの戦いの時明石が止める中簡単に叢雲達を行かせるとは思えないしな」
「………うん正直、あの時も叢雲達が死んでも何とも思わなかったかもしれない
それほど私の価値観は無くなってるの」
夕張は服を握り締めると深く溜め息を付く
「私ね、自分が何で生きてるか分からないの
だって私の代わりはいくらでもいる
そうとしか考えられないの
どうせ私が死んでも建造できるんだから
だから、私が生きている価値も分からない
酷い事を言うと思うけど東雲大元帥の代わりも居ると思ってる
叢雲の代わりも明石の代わりも大淀の代わりも
皆皆みーんな、代わりが居る
だって私達は人間が造り出した兵器に過ぎない」
そう言いながら佐渡を見ると微笑む
「……何があったんだい?夕張ちゃん」
「ふふ、やっぱり佐渡提督は私の欲しい言葉を言ってくれるね
………聞いてくれる?私の過去を」
「あぁ、いくらでも聞いてあげるよ」
そして、夕張は語りだす自らの過去を
失った自らの価値観の事を
次回
過去編 命の価値
佐渡と話をしながら夕張はゆっくりと語っていく
自らの過去を
求めようとして失ってしまった皮肉の物語を
次回から夕張の過去編です!
因みに分かりずらいですが、カナ戦の時叢雲を送り出したのは止められないと思ってではなく
どうせ代わりが居るからと言う理由でした!
分かった人居たら凄すぎですわ……