艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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夕張 過去編 五

「ねぇ!!提督!!嘘だよね!?

冷血が沈んだって!!」

 

 

私は医療ポットの開発をほっぽりだして執務室に居る提督に聞きに行ってしまった

 

 

「本当だ、アイツは死んだよ

どうやら偶然(・・)強力な艦隊とぶつかったらしくな

ま、仕方無いよなアイツの練度でも死ぬときは死ぬって訳だ」

 

 

「嘘……何で…冷血……」

 

 

提督に冷たく言い放たれた私は愕然としてしまいその場に座り込んでいると近くに居た艦娘が私を連れていこうとする

 

 

「残念だったな夕張

まぁここでは良くあることだ諦めろ

いつ誰が死んでも可笑しくないって訳だ

早く仕事に戻れ」

 

 

そう話す提督は少し笑みを浮かべていたがそれよりも冷血が轟沈したショックで何も言い返せずに居た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はー、全くアイツ

余計な事しようとするからこうなるんだってーの」

 

 

提督はそう呟くとある場所に連絡を取る

 

 

「あーもしもしー?今回の報酬もちゃんと貰えるんだよなぁ?」

 

 

『あぁ、まぁこっちの作戦は失敗したけどね

後で振り込んでおきますわ』

 

 

電話の相手は女性でありそれだけを話すと通話を切り椅子をくるっと一回転させる

 

 

「……ちょっと惜しいことをしたかな?

ま、良いかアイツ何かしようとしてたし先に轟沈させといて損は無いだろハハハハハ!」

 

 

高笑いをしている提督の姿を他の艦娘がドアの隙間から見ると静かに締め呟く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「冷血……安心して私達もすぐにそちらに向かいます」

 

 

冷血に渡された黒い携帯電話を握りしめながら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はしばらくの間工廠にて呆然としていた

近くの妖精達が心配しながらも作業をしておりふと医療ポットが見える

 

 

「………そうだよ…私が悪いんだよ…私が医療ポットを完成させていたら冷血は死ななかった…

私の……せいなんだ…」

 

 

そう呟くと全ての仕事を放り出し医療ポットの図面を机に広げる

 

 

「……一週間で完成させて見せる…これを!!!

もう誰も沈ませないために!!!」

 

 

そして私は一週間缶詰め状態になりながら医療ポットを作っていた

どんな攻撃にも耐え、どんな損傷も治し、誰も作れないような物を作り出すために私は全てをなげうってそれを作ろうとした

食事も睡眠も何もせずただ一心不乱にそれを作っていた

 

 

完成が後少しと感じたとき少しだけ手を休めて周りを見ると妖精達が何かに怯え作業を止めていた

 

 

「ちょっと貴女達!何で手を休めてるの!?」

 

 

それと同時に外で爆音が聞こえた様な気がし外を確認しようとしたとき突然工廠の扉が誰かにノックされた

 

 

「………ん?」

 

 

『すんませーん、ここに艦娘さんはいらっしゃいまーすーか?』

 

 

聞いたことない中性的な男の声に私は驚きながら声を掛ける

 

 

「え、えっと!一応私も艦娘ですが何ですか?」

 

 

『お!じゃあもしかして君、夕張って名前の艦娘かい?

ちょっと顔を見たくてさ開けてくれないか?』

 

 

「……何かその言い回し凄く怪しいんですけど…」

 

 

『怪しい者じゃないよ!?そのほら、あれだよ!

通りすがりのお面付けた宅配のおじさんだよ!

だから…はぁはぁ…ここを開けてくれないか?お嬢ちゃん…グヘヘヘ…』

 

 

「嫌怪しさ満載じゃないですか!?開けませんからね!!!」

 

 

私が扉の前から去ろうとした時男はある名前を話す

 

 

『…実はある人を探しててね

冷血って君知らない?』

 

 

「っ!?」

 

 

その名前に私は勢いよく反応し工廠の扉を勢い開ける

 

 

「冷血!おじさん冷血を知ってるの!?」

 

 

扉を開けると外から火薬の匂いと何かが焼ける匂いがしたが男は私を押すと工廠内に入ってくる

 

 

「やっと開けてくれたなぁお嬢ちゃん」

 

 

男は全身を隠すような真っ黒なフードに狐の仮面に黒い手袋をしており入ったと同時に鍵を閉めるとフードを外す

 

 

「ね、ねぇおじさん外何か……」

 

 

「んー?気にしない方が良いよ、冷血もそれを望んでたし」

 

 

そう言うと男は手軽な所に座ると深く溜め息を付いた

 

 

「ね、ねぇおじさん誰?」

 

 

「さっき言ったじゃないか?まぁおじさんじゃ呼び辛いと思うから狐とでも呼んでくれな」

 

 

狐と名乗るその男は工廠内を見ると医療ポットを見つけそれを触ろうとする

 

 

「触らないで!!!」

 

 

「おっと!すまんすまん…まだ完成してないのかこれ

でも…凄い良くできてるな…これ君が作ったのか?」

 

 

「え、あ、う、うん」

 

 

「ほう…?これを……誰と作ったんだ?これを」

 

 

「え……一人…ですよ?」

 

 

「はぁ!?これを一人で!?嫌待て!何でこんなもんを一人で作ってるのさ!!

普通何人かで作るんだろ?」

 

 

「提督からの指示で……って狐さんには関係ないでしょ!!!」

 

 

私が大声で言うと狐は考え込んでおりマジマジと私が作った医療ポットを見ている

 

 

「そ、それよりも!狐さんは冷血を探してるんじゃないの!?」

 

 

「そうだった!!そうだよ!アイツと連絡取れなくてさ!君知らないか!?

俺、アイツに言いたい事があってよ!!」

 

 

その発言と共に狐が詰め寄り肩を掴まれると冷血の事を静かに話し出すと狐の力が弱くなっていく

 

 

「…う……嘘だろ?…冷血が…轟沈した……?」

 

 

「……本当です…」

 

 

「そんな訳あるかよ!!だってアイツは!?

……クソ!!!」

 

 

狐は苛立ちながら床を踏みつけると舌打ちしながら髪をガシガシとかきむしる

 

 

「…ね、ねぇ狐さんって冷血と知り合いだったの?」

 

 

「あ!?…あ、すまん

冷血とはある取引をしててな、その話を今日しに来たんだが……ちくしょう…俺のせいじゃねぇかよ!!!」

 

 

狐は床に崩れ落ちると思い切り拳で殴り付けると工廠から出ていこうとする

 

 

「……ね、ねぇ!冷血は酷い艦娘だったの!?教えて!」

 

 

私の声に狐は歩みを止めると肩を掴む

 

 

「…お前さんにあんまり話すなって言われてるんだがな

それだけは否定する

アイツは酷い艦娘何かじゃねぇ!アイツは自分がしてきたことに後悔していた!ずっと苦しんでいた!!

だから!お前だけはそう言うな!お前だけはアイツを信じてやってほしい!

…冷血は最後までお前だけを心配し自由にしたいと!笑顔にしたいと望んでいた!全てを失ってでも!!」

 

 

狐の仮面には目の部分が空いており顔の瞳が見える

それは左目だけ色が違く真っ赤に燃えるような瞳をしていた

 

 

「…仕方ねぇな、あんまり荒っぽい事は好きじゃねぇんだけどな」

 

 

狐は歩いていくと工廠の扉に手を掛けると振り返り

 

 

「俺が出ていった後この扉に鍵を閉めな

そして、誰が来ても開けるんじゃねぇぞ」

 

 

「え……?」

 

 

「良いな?冷血がそう俺に頼んだんだ

またな、夕張ちゃん」

 

 

そう話すと狐は外に出ていくと同時に扉前に何が押し付けられる音が聞こえ狐の言う通りに鍵を閉める

 

 

「……誰だったんだろ…あの人」

 

 

私はそう思いながら狐が去った後の場所を見ると何か袋が置いてあり開くとそれはインスタントの食べ物だったり私の好物が置いてあり置き手紙が入っていた

 

 

『一週間分ある、すまないが少しの間耐えてくれ

冷血の願いに答えてやってくれ』

 

 

 

「……うん分かった信じるよ狐さんと冷血を」

 

 

私はその言葉を信じ医療ポット作りに没頭した

妖精達が止めようとする中それを無視し振り払いながら二人の言葉を信じて作った

 

 

そして医療ポットが完成しその場に倒れるように休憩を取る

 

 

「でーきーたー!!!」

 

 

そう叫ぶと狐が置いていったカロリーメイトを頬張りペットボトルの飲み物を飲み干す

 

 

「さーてと、作り終わったし提督に報告しないとー!」

 

 

だが、携帯で執務室に電話を掛けても誰も出ず首を傾げる

 

 

「…あれ?可笑しいな……珍しく出ないな…」

 

 

私が疑問に思っていると突然工廠の扉が凹みビクッと震える

 

 

「え?え?な、何?」

 

 

恐る恐る工廠の扉に近付いていくと外から声が聞こえる

 

 

『ここだけ無事だぞ!!』

 

 

『でも駄目だ!!かなり硬い!!』

 

 

『長門!壊せるか!?』

 

 

『ぐぅ……殴ってみたが硬い…』

 

 

『誰か!!ここの鍵を探してくれ!!』

 

 

意味がわからなかった、何故この扉を開こうとするのか

しかも長門?長門ってあの正義の戦艦って呼ばれてる人が何でこんなところに?

 

 

「え、えっと……どうかされたんですか?」

 

 

不意に私が声を掛けるといきなり扉をドンドンと叩かれ声が聞こえてくる

 

 

『君!!無事か!?ここを開けてくれ!!』

 

 

『おい!!生存者だ!!!』

 

 

『タンカー急げ!!唯一の生存者だぞ!!!』

 

 

生存者?何の話?か訳がわからず着いていけずに居るが私は鍵を開けない

 

 

「だ、駄目!ここは開けられないの!

ここに居ろって言われて……」

 

 

『馬鹿を言ってるんじゃない!!!こんな危険な所に君だけを残せるわけないだろ!!』

 

 

『良いから開けろ!!』

 

 

扉の前で開けろと男の人達の声に私は後ろに下がっていると突然声が聞こえなくなり長門の声が聞こえる

 

 

『…すまない開けてくれ

誰に言われたかは知らないが私は君を迎えに来たんだ

頼む、恐らく全て終わったんだ

だから……頼む開けてくれ』

 

 

長門の悲しそうな声に私は二人に言われた言い付けを破り工廠の鍵を開けるとゆっくりと扉が開き長門が汗を流しながら私を抱き締める

 

 

「……すまない恐がらせたな…本当すまない……

そして仲間を助けられなくてすまない(・・・・・・・・・・・)

 

 

「………え?」

 

 

長門の横から見えた景色に私は絶句した

 

 

「な、……え……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鎮守府だけが完全に崩壊し無くなっており私は見た景色を疑った

 

 





次回

失った艦娘

鎮守府を知らない間に失った夕張
そして彼女はある男に拾われる


因みに狐仮面の男は既に作中に出てきております!
果たして彼は何故そこまで冷血に入れ込んだのか……は今回明かされませんがある章で夕張と対面します!




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