私は地下の階段を駆け上がり外に出ると大本営が崩壊しかけていた
焼け落ちてくる天井、燃え盛る壁や建物
外や中からは叫び声や泣き声が聞こえ穴が空いた天井からは白い球体の艦載機が見えた
「何で!?深海棲艦の本拠地を叩いたはずなのに!!」
疑問に思いながら大本営から脱出しようと扉に手を掛ける寸前扉の上の天井が崩落し降りかかってくる
「キャアァァァァ!!」
目を閉じ受け身を取るが痛みも重みも無く恐る恐る目を開けるとその瓦礫を白い艦載機達が支えていた
「え………?」
「出てきちゃったのね、偉い偉い」
その声が聞こえる方角を振り返るとそこには深海棲艦の姫級 中間棲姫が立っていた
「っ!中間棲姫!!」
「早くそこから離れて?いつまでも耐えられない」
中間棲姫に言われると思いだし直ぐ様扉から離れると艦載機達が散り散りになりながら中間棲姫に戻る
「ど、どうして助けたの……」
「別に?気紛れよ気紛れ」
焼け落ちる大本営の中私は中間棲姫に武器を構えようとするが直ぐ様辞め質問を投げ掛ける
「……何で、大本営を襲うの?」
「クイーンの指示だし
こっちの本拠地を叩かれたんだからその仕返し
ふふ、狐に聞いてた通り良い艦娘ね
悪くない」
「…狐さんがこれをやった訳じゃないんだよね?」
「えぇ、あの人は最後まで反対してたから
だから私に貴女の庇護を頼んできたそしてもう一つ任務を言い渡されててね」
中間棲姫はそれだけを言うと私に近付き手を差し出す
「ねぇ、夕張私達の側に付かない?
安全と命の保証してあげる
こんな所に居るより楽しいわよ」
「……ヘッドハンティングのつもり?」
「えぇ、狐は貴女を偉く気に入ってる
その腕もっと有意義に使わない?
焼け落ちる大本営の中で私は揺れ動いていた
正直、私が居なくなってもここは困ることはない
……むしろ深海側に落ちた方が良いのではないか…とも思い手を取ろうとした瞬間脳裏に冷血の笑顔が蘇り手を引っ込める
「……ごめんなさい、私は
私はそう叫ぶと扉を勢いよく開け大本営の外に走り出す
「うーん、残念ねぇ……あの娘もやっぱり艦娘かぁ…」
中間棲姫はおもむろに通信機を取り出すとある男に繋がる
『おーう、どうだった?』
「振られちゃった」
『あちゃー……やっぱり無理か~
俺も冷血を口説けなかったからなぁ……
あの娘は無事か?』
「えぇ、元気よく皆を助けに行ったわよ」
話している最中に中間棲姫へと焼け落ちた物が落ちてくるが艦載機を指で動かし破壊し大本営の中を歩いていく
『悪いな、お前さんにこんなこと頼んじまってさ』
「良いわよ、別についでだったし?
あ、後
『あぁ、構わねぇよ
今、長門達を潰したって連絡が来た
お前の正体には気付く訳ねぇ
ありがとよ エア』
狐に呼ばれた中間棲姫…改めエアは再び姿を憲兵に変えるとゆっくりとした足取りで進んでいく
「はいはい、じゃあねーー提督さん」
そう言うとエアは通信機を落とし踏み砕くと艦載機を使い屋根を崩し破片を隠す
「さてと、私もやることをやらないとね
ロキが見付けられないってことはレトロな紙資料があるはずよね
全くどこにあるんだか
私は大本営を飛び出すと外は地獄そのものだった
破壊された家屋や燃え盛る木々、倒れている人々
その中に明石が一人の男性を抱えながら泣いている
「明石!!」
「ゆ……ゆぅ……ばり……ヒック……
ていとくが……」
「ま、まさか貴女を庇って……?」
明石は何度も頷きながら涙を流し目を真っ赤に腫らしており男性の応急手当を終わらせていた
「どうしてこんなことになってるの!?」
「わかんない……でも……三体の……姫が……現れて………皆を……」
「夕張!!そこに居るのは夕張か!?」
瓦礫の中から半分だけ身体を出している男が意識を取り戻し夕張に話し掛ける
「あ……か、唐澤大将!?だ、大丈夫ですか!?」
「大丈夫だ……と言いたいがすまない瓦礫を退けてくれないか!?」
「は、はい!!」
慌てて私は唐澤さんを瓦礫から助け出すと安全な場所に座らせると通信機で連絡を取ろうとする
「今手当てを!」
「必要ない!!長門と連絡が取れないと言うことは奴等は海に出ている!!
それよりも如月大元帥を探してくれ!!あの人!南方棲戦姫を追い掛けたんだ!!!!
心配だ頼む行ってくれ!!」
「は、はい!!」
「ルートはここから海へ行ける方角だ分かるな!?
行け!走れ!!あの人が死んだらこの海軍は終わりだ!!」
唐澤さんからルートを教えてもらうと私は燃え盛る大本営を駆け出し如月さんを追い掛ける
街は破壊されており時々私に助けを求めるが心の中で謝りながら如月さんを探す
(お願い!お願い!!無事でいて如月さん!!!)
私に笑顔を取り戻させてくれた恩人
絶対に助けないと
そう思いながら走っていると聞き馴れた声が聞こえる
「夕張!!」
「っ!矢矧さん!?」
進行方向に矢矧さんが手を振っており全速力で近付くと東雲さんの声が聞こえる
「おい!如月!如月しっかりしろ!!!」
「きーちゃん!しっかりして!!」
「早く!早く退けるわよ酒匂!!!」
「分かってるけど……!!」
「大鳳!辺りはどう!?」
「かなり酷い!至るところで火災や崩壊が続いてる!!」
「如月さん!!!」
大本営直轄大一艦隊と東雲さんが如月さんの名前を呼びながら瓦礫を退けようとしており私もそれに加わる
「夕張!頼む!如月を助けてくれ!!」
「分かってます!酒匂さん、能代さん!行きますよ!」
私は慌てて瓦礫を退けるとその下から血生臭いが鼻に付き瓦礫を退け終わるとそこには
「おい……如月…?」
「う……嘘…きーちゃん……?」
「如月さん!!!」
地面を真っ赤に染めながら至るところから大量出血をしている如月さんが発見され慌てて呼吸と心拍を確認する
「夕張!どうなんだ!?」
「……大丈夫です生きてます!!ですがかなり危険な状態です!!」
「島風!!急いで車を調達してこい!!!」
「は、はい!!」
「阿賀野!能代!酒匂!矢矧!辺りの警戒を怠るな!!
伊勢!深海棲艦は見付け次第ぶち抜け!!
大鳳もだ!見付け次第蜂の巣にしてやれ!!!」
「「「「「了解!!!」」」」」
……それから私はがむしゃらに如月さんを生かそうと努力し何とか一命は取り留めた
だが、頭部や全身の傷が酷く昏睡状態になってしまった
大本営襲撃事件、この事は後に世界に大きく響き渡る事件となってしまいそして戦争が終わらないことを意味しており絶望にうちひしがれる
如月大元帥を失った後大本営の統括は東雲大元帥へと移行された
明石の提督もかなりの大怪我だったらしく昏睡状態になってしまった
今回の事件で私は自らの無力さを思い知らされ、明石は前ほど元気は失ってしまい時々一人で泣くことが増えた
辛い……ねぇ…冷血これを…貴女は私に見せたかったの?
忘れたい忘れたい忘れたい忘れたい忘れたい
辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い
誰も失いたくない…仲良くしたくない…親密になりたくない…
私はこの事件をきっかけに大きく心に傷が付いてしまった
だからこそなのか……昔の言葉を思い出してしまう…
昔、提督に言われた言葉を
『お前らは所詮兵器、代用が利く只の物なんだよ!』
…そうだよね…私も如月さんも東雲さんも誰もかも代用が利くって考えれば良いんだよね
だって『私だって代わりは居るんだから』
それからだった私は艤装を作ることに専念し自らの生きた証を残すために多くの物を開発し改装してきた
明石が私を止めようとする
それでも止まらず私は誰の声も聞かず作り続ける
それしか出来ないんだから私は
力がなくてただ機械を弄ることしか出来ない
『
しばらくの間一人で作り続けていたら久しぶりに東雲さんから呼び出しを受けた
そして明石と共に行くと新しい兵器を作って欲しいとの事だった
「出来るか?夕張」
「可能です、ですがかなり掛かりますよ?」
「構わん、コイツは深海棲艦達が作り出そうとしていた兵器だ
名前は試製アリュシュール
我々は62型と名前を変え二人で開発してくれ」
その設計図を貰い私は少しだけ興奮していた
これだけの物を作れば記録に残すことが出来ると
そう思いながら二人で廊下を歩いていると明石が脚を止める
「どうかしたの?」
「……見てあれ」
私が外を見ると一人の艦娘の処刑が行われていた
磔にされ見たことないほどにボロボロにされた艦娘
「酷い痛め付け方だね、それほどの事したのかな」
「多分、彼女佐世保鎮守府に深海棲艦を招き入れたって」
「あー、何かそんなこと言ってたね
ほらそんなことより早く行こう明石」
「ちょ……夕張もう少しは気にしようよ……」
私はこの時処刑される艦娘の事より自分が成すべき事を考えていたのだがいきなり明石に首を掴まれる
「ぐえっ!な、何すんの!明石!!!」
「………………ねぇ…………あれ………」
「何よ!全くただの艦娘の…………は?」
廊下の窓から見える光景に私は目を疑った
磔に合っている艦娘は変わらない
処刑を行おうとしていた艦娘が呆然としている
そりゃそうだ、呆然もする
何せ磔に合っている艦娘の前に一人の軍服に身を包む男と一人の艦娘が居た
大本営に居たほとんど人間が窓からその光景を見続ける
男はそんな視線を集めながら笑みを溢し大声で叫ぶ
「悪いけどこの艦娘の処刑は今この時を持って中止だ!!
こいつは俺達が貰っていくぜ!」
その男の人はそう叫び処刑される筈の艦娘を庇った
「………何なのあの人……」
私が今まで見てきた誰とも違う
でも凄く凄く輝いて見えた
次回
揺れ動く思い
艦娘の処刑を止めた男に夕張は惹かれてしまう
それが今後どうなるかとも知らずに
久しぶりの投稿でーす!!
ぶっちゃけゴールデンウィーク前なので普通に急がしい仕事()
コロナって、なんだっけ(遠い目)