艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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夕張 過去編 十

それから私達は二人を助力することを約束し彼等は小笠原島へと旅だって行った

 

 

……正直死ぬと思った

あの島には何か得体の知れない深海棲艦が居ると思ってたしあそこには辿り着けない

 

……そのはずだったのに

 

 

「やっほー!明石さん!

顔出しに来ちゃいました!」

 

 

「あ!!佐渡提督!ご無事でしたか!?」

 

 

………嘘?

 

 

私は作業していた手を止め頭を上げるとそこにはあの時処刑される艦娘を助けた提督と叢雲が居た

 

 

あり得ない……だってあそこに無事に着いた艦娘も提督も居ない…はずなのに…どうして……

 

 

「じゃあ叢雲をお願いします」

 

 

「お願いするわ、あっちじゃまともな事できないしね」

 

 

「はい!お預かりしますね!

では叢雲さんこちらに」

 

 

叢雲と明石が居なくなってしまい下手をすると私の方に来ると思いそそくさと隠れてやり過ごそうとしたのだが

 

 

「お、可愛い女の子はっけーん?ヘーイ彼女!俺と出掛けない?」

 

 

「………ナンパですか?結構です!!」

 

 

……何で見付けられたのかは分からなかったけど佐渡提督は私の作ってる物を見ながら頭を撫でてくる

 

 

「えー?可愛い女の子をナンパしちゃうのは仕方ないでしょ!

と言うかこれ一人で作ってるの?」

 

 

「ま、まぁ……」

 

 

「手伝おうか?」

 

 

「結構です!私一人で作れますから!」

 

 

そう叫ぶと再び黙々と機材を作っていこうとするのだが

 

 

「そう言わないでさ?俺に付き合ってよ!

ちょっと行きづらい所があって……ね?奢るからさ!」

 

 

「…………はぁ、分かりましたよ」

 

 

私は渋々佐渡提督に言われるがまま付いていくとそこは甘味処間宮

 

………そう言えば来たこと無かった

作業着だけど良かったのかな

 

 

私がため息を付いていると佐渡提督が突然上着を被せてくれる

 

 

「ちょ!何するんですか!?汚れますよ!!

私オイルまみれだし!」

 

 

「あー、いやさ?俺の服の汚れは気にしないんだけどその格好だと他の男共が君をジロジロ見てるからさ?」

 

 

「…え?」

 

 

私が不意に周りを見ると大本営に勤務している男性職員が私を見ていたのか視線を反らす

…確かにタンクトップに半ズボンだったけど

 

 

「……?別に艦娘何だから普通じゃないですか?」

 

 

「…はぁ、何で艦娘って皆自分を大切に思わないですかねぇ……叢雲と言い古鷹と言いこんちくしょう!!

 

ま、良いや夕張さん何食べます?」

 

 

「え?あー……」

 

 

ふとメニュー表を見ると色々ある

食べ物か……安いので良いかな

 

 

ペラペラとメニュー表を捲っていくとパフェとかも気になったけど高いからと辞めておき

 

 

「じゃあ私は「パフェ食べたいの?」

 

 

………は?

 

 

私は驚いて佐渡提督を見るとニヤニヤと笑っており同時に定員を呼び出し

 

 

「はーい!何にしますか?」

 

 

「このミックスパフェ一つとイチゴパフェ、後ハンバーグセットにあんみつ、後アイス二つ

お願いします」

 

 

「ちょちょ!!」

 

 

「分かりました!」

 

 

私が止める間も無く注文が完了してしまい定員が去ってしまい私は机を叩く立ち上がる

 

 

「ちょっと佐渡提督!私一言もパフェ食べたいなんて!」

 

 

「え?違う?パフェの項目見た瞬間食べてみたそうな顔して直ぐ様高そうだから辞めて安いポテトにしようとしたんじゃないの?」

 

 

「………は?……え?……え?」

 

 

……その言葉に唖然とした

だってその通りだったからまるでお見通し見たいに私の考えが読まれてしまい力なく椅子に崩れ落ちる

 

 

「あはは、違ってた?」

 

 

「な、何で?分かったの?」

 

 

「正解かー、よっしゃ!

んー俺元々心理学ってのをかじった事あってね

人の考えてることとかお見通しなのさ

それに俺はしばらく戦場に居たし色んな人を見てきたからね!

ドヤァ!!」

 

 

……その言葉に唖然としてしまった

この人は明らかに他の提督や人間とは違う

そう確信し私はある疑問をぶつけてしまう

 

 

「あ、あの!!」

 

 

「お待たせ致しました!ミックスパフェ、イチゴパフェにハンバーグセットにあんみつです

アイスは食後にお持ち致しますね」

 

 

「ありがとうございます!……夕張さん何か言った?」

 

 

「え!?あ、あ、いや何でもないです……」

 

 

「そう?じゃあ食べますか!頂きまーす!」

 

 

初めて見る食べ物に私は戸惑いながらもどうやって食べるかわからずに居るとそれを察したのか佐渡提督がスプーンで掬ってくれる

 

 

「パフェは、こうやって食べるんだよ?

ほら口開けて、あーん」

 

 

「……あーん」

 

 

掬ってくれたスプーンに乗ったプリンや赤いソースと共に食べると口の中に柔らかい食感と今まで食べたことないほどの甘さが広がる

 

 

「っ!!!」

 

 

「はは、美味しそうに食べるねぇ…よし、俺もたーべよっと!」

 

 

それから私は無我夢中で食べてしまいあっという間に出てきたパフェを食べきってしまった

でも

 

 

「あ、追加頼む?すいませーん!」

 

 

まひゃなひもひってないですよぉ!!!(まだ何も言ってないですよ!!!)

 

 

……結果的にかなりの量を食べてしまい金額が五万近くになってしまい頭を抱えていると佐渡提督がさらっと会計を済ませようとする

 

 

「ま、待ってください!私が!」

 

 

「いーのいーの、別にこのぐらい大したことないよ」

 

 

「で、でも……」

 

 

「うーん、じゃあこの事を叢雲に秘密してくれない?

それでチャラにしよう!」

 

 

「え、ちょ、そんなことで?」

 

 

「あ、そろそろ叢雲の整備終わるかな?

やば!走るよ!夕張さん!!」

 

 

佐渡提督はそれだけを言うと全速力で走っていってしまい私もその後ろを追い掛ける

 

 

「ま、待ってください!!」

 

 

……第一印象は凄く変な人

艦娘に対して兵器だとかそんな偏見はなく一人の人間として接している珍しい提督

たまにそんな人が居るのは知ってる

でもどうせこういう人は早く死ぬ

…如月さんみたいに騙されて自分を省みなさすぎて

 

 

そして直ぐ様私達は危機に直面した

 

 

戦艦ル級歴戦種の進撃

当時私達も艤装を付けて戦おうと作戦会議室に走っていた

作戦会議室はどうやら大荒れの様子で入ろうとしたら

 

 

『何を馬鹿な事を言ってやがる!!叢雲!!!』

 

 

っ!佐渡提督の怒号…一体何が

私と明石は顔を合わせてそっと扉を開けると

 

 

『私がアイツを止める』

 

 

「馬鹿を言うな!!お前が相手出来る相手じゃねぇ!!

直ぐ様帰投してこい!!!」

 

 

『そ、そうだよ!叢雲!

長門さん達でさえ苦戦を強いられる相手だよ!?

私達がどうこうできる相手じゃ』

 

 

『分かってるわ、だからこれはただの時間稼ぎ

古鷹、貴女は下がって司令官を守ってあげて

相手は一人、一時間は持って見せる』

 

 

……あの艦娘は何を言っているんだろう?

相手は歴戦種

姫の歴戦種は…記録がないけれど一人で六以上の艦隊を相手出来るほど

姫じゃなかったとしても歴戦種は格が違う勝てるわけがない!なのに

 

 

「駄目だ!お前をここで戦わせるわけにはーーー」

 

 

『お願い、佐渡……信じて』

 

 

「っ!!!!…………分かった

ただし!死にそうになったら逃げろよ!!」

 

 

『ありがと、私の司令官!』

 

 

何で……何で何で何で!!

そんな指示を出せるの!?何で艦娘を……

あぁ、違うそうか自分の身を守るためにか…そうだよね……そうに違いない…絶対に!!

だからこそ私は明石に他の人の誘導を頼んで作戦会議室に入り彼に駆け寄る

 

 

「佐渡提督!」

 

 

「夕張さん!すみませんが、大本営の人間を避難誘導してくれませんか!?」

 

 

「それは勿論ですが貴方もですよ!」

 

 

私が佐渡提督の手を取り他の人と共に連れていこうとするが何故か手を弾かれる

 

 

「ちょ、ちょっと佐渡提督!!貴方も逃げないと!!」

 

 

「すまん、俺は行けない」

 

 

「なっ!何をふざけてるんですか!?貴方を逃がさないと!!」

 

 

「叢雲が戦ってるんだ!!俺だけ逃げることは出来ない!」

 

 

「駄目です!貴方は『提督』、彼女は『艦娘』です!

彼女はいくらでも造れますが貴方は!!!」

 

 

「うるせぇ!!俺はここを離れない!!

最後までアイツの指揮を取る!!」

 

 

そう叫ぶと佐渡提督は直ぐ様パソコンを開くと天候や海流、現在の状況を調べ始める

 

 

「佐渡提督!ワガママ言わないでください!

貴方に出来ることなんて無いんです!それに貴方を死なせることはあの人に!!!」

 

 

私が話しているといきなり発砲音が響き渡り後退りをする

 

 

「……佐渡……提督……?」

 

 

発砲音の主は佐渡提督だった

私に向けてではなかったが静かにこちらを睨み付けてくる

 

「……邪魔をするな

アイツは『俺の武器』だ」

 

 

「っ!!!!」

 

 

その瞳は今まで見てきた人と明らかに違う

冷たく、刺すような瞳

何人も殺してきたかような冷酷な目付きに私は腰を抜かす

その姿を見た佐渡提督がハッとすると

 

 

「……あ、ごめんごめん!

夕張さん脅かしてごめんね、俺は一人で逃げるから他の人をお願い!」

 

 

いつもの笑顔を作りながら再びパソコンに手を伸ばしていく

 

 

「……どうして…ですか?」

 

 

「んー?何がー?」

 

 

今まで聞きたかった事をこの際だから聞いてやろう

そんな気分だった、だからこそ聞いてみる!

 

 

「何で貴方は艦娘を人間として扱うんですか!?」

 

 

「何でって俺は艦娘も人間も変わらないとそう思うからだよ」

 

 

……即答だった

流石に少しは考えると思ったなのに!この人は!!

そんなことを考えているの佐渡提督は続ける

 

 

「俺に取っての兵器ってのは人の命を奪うための物だ

一方的に、圧倒的に、確実に奪うための物だ

そこに感情はない、躊躇いはない

そりゃそうだ、だって兵器はしゃべらない、感情を持たない、血を流さない……涙を流さない

 

 

お前が自分を兵器だと思っても構わない

だが俺はお前達(艦娘達)を兵器だとは思わない

だって俺が見てきた人間よりずっと感情豊かで、馬鹿で、可愛げなんてない

 

だから何を言おうが俺は艦娘を一人の人間として扱う

お前達が何から出来ようがどんだけ強かろうが変わらない

 

 

俺はお前達を人間として、一人の軍人として、一人の少女として扱う

それだけさ」

 

 

佐渡提督にそれを言われた瞬間他の人との違いを理解する

 

 

そっかこの人はそう言う世界で生きてきたんだって

 

 

だからこそ私は

 

 

「……そうですか…分かりました他の人を避難誘導してきます」

 

 

「頼んだ!」

 

 

この人を置いて他の人を助けに行き外へ走っていき湾内に到着すると砲撃音と金属の音が響き渡る

 

 

(本当に……二人で戦ってる)

 

 

歴戦種と思われるル級、そして叢雲さんと古鷹さんが戦っている

その光景を横目に私が避難誘導をしていると叢雲さんが撃ち抜かれてしまいこちら側まで吹き飛ばされてくる

 

 

「ぐぅ!こ……このぉ……!!」

 

 

身体と服はボロボロ、頭から血を流し左腕は折れているのか力なく垂れ下がっていた

だが

 

 

「ここで……必ず…止める!!」

 

 

彼女は諦めない

もしかしたら死んでもここを守るつもりなのか分からないが再びル級に向かっていき砲撃戦が始まり私は呆然とその姿に見いってしまう

 

 

初めてみる間近の戦い

叢雲さんも強いのは知っていた、でも敵も相当強い

砲弾を避け盾で防ぎながら二人を相手取り劣勢を強いられていない

明らかに通常のル級ではないが叢雲さん達と引けを取っていない

長きに渡る戦いの末に叢雲さんがル級の側に何かをばら蒔くと吹き飛ばされる

 

 

「ハハハハ!!!不発!不発デハナイカ!!

オマエノマケダ!!!艦娘!!!」

 

 

「何を……言ってる……の…あんたの…負けよ!!!」

 

 

「何!?」

 

 

ル級が辺りを確認すると四方から雷撃が迫っておりその意図に気付く

 

 

「マ、マサカ!!コレッテ!!」

 

 

「海の底に……沈めえぇぇぇぇ!!!!!」

 

 

「貴様ァァァァァ!!!叢雲ォォォォォォォォ!!!!」

 

 

その叫びと共にル級が大爆発を起こしその衝撃を私は目にする

通常の雷撃の比ではないその火力、恐らく特殊な雷撃とのコンボ攻撃

 

 

「凄い……」

 

 

それしか言えなかった

彼女は戦艦ではない

彼女は空母ではない

彼女は重巡ではない

彼女は潜水艦ではない

彼女は軽巡ではない

 

 

そうただの捨て艦として扱われている駆逐艦

それが歴戦種を倒した

その可能性を見出だした

 

 

それから私は佐渡提督と叢雲さんに興味を持ち出した

明らかに違う二人

他の艦娘や提督に無いそれを見て私は好奇心と共に奇妙な感覚に襲われていた

 

 

こんな感覚や感情は今まで一度として無かった

 

 

そして二人はどんな困難や壁に正面から立ち向かい走り抜けてきた

 

 

沖縄での歴戦の戦艦棲姫戦

 

捨てられた艦娘達へと救済

 

海軍最強の長門さんとの戦い

 

 

その全てに撃ち勝ち彼等は強くそして確実に成長していった

この頃から私は二人に惹かれていった

自分には無いものを持っている二人に

 

 

そして訪れた歴戦の飛行場姫戦

 

 

最強クラスにして誰もが成し遂げる事が不可能とされた歴戦の姫戦

 

 

……正直、彼女はここで終わりだと思った

でも仕方無い、相手が悪すぎる

 

 

歴戦の飛行場姫は他の姫とは桁違い過ぎる実力を持っている

太平洋を支配するほどの力を持つ姫に勝てるわけない……そうないのだ誰にもそんな力なのに!!!

 

 

彼女は飛行場姫と渡り合って見せた

 

 

一撃でも当たれば致命傷、更に多彩な武器、多くの艦載機

誰もが逃げ出す力を私達に見せ付け皆が諦めかけていたのに彼女は違った

 

 

一人でも戦う覚悟を見せていた

 

 

貴女の代わりはいくらでもいる

だって艦娘は造られているんだから

いつでも造れるんだから

人間と違って同じ性能を引き出せるんだから

 

だから!だから!!!そんなにボロボロになって戦う意味はないはずなのに!!彼女は!!

 

 

「今アイツを止めないと私達は全滅する!!

 

それにアイツを止められるのは私だけよ!!」

 

 

そう言って見せた

あぁ、この艦娘は……明らかに違うのだろう

私達とこの艦娘には絶対的に何かが違う

 

 

そして彼女は飛行場姫を倒して見せた

勝てるわけがないのに

普通なら……そう普通なら

 

 

彼女のソレ(・・)は聞いたことがある

でもそれを見たのは初めてだった

代償も大きいなのに彼女はそれを省みず戦うその姿に私の気持ちは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大きく揺らいでしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兵器を作るための兵器としてではなく

彼等の為にこの知識を役立てたいと

彼等を側で見ていたいと

彼等の結末を

 

 

 





次回

覚悟

二人を影から見ていた夕張
彼女は飛行場姫戦の時に決心しそうになる
二人を間近で見ていきたいと
再び、鎮守府に行きたいと

久しぶりの投稿ごめんなさい!!!
あ、次回で夕張過去編終わりです、長くなって申し訳ありません……
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