二人への思いが大きくなるほどに私の集中力が落ちていき気を失っている叢雲さんの事を意識してしまいちょくちょくミスをするようになってしまった
「どうしたのさ夕張?
ここ最近かなりミスしてるけど?」
「んー、ちょっとね」
「もしかして!あの戦いでどこか損傷してるの!?」
「ち、違うよ!そんなことない!」
「ふーん?じゃあもしかして叢雲の事?」
「っ!?な、なんで!!」
と驚き振り向くと明石がニヤニヤと笑みを浮かべながら私を見ていた
「いやーさ、夕張が珍しいなと思って
人間や艦娘に入れ込むのが
いつもなら適度にしか付き合わないからさ」
「むー……まさか明石にバレるなんて……
悔しい!!!」
「ちょっと酷くない?
話聞こっか?どうせしばらくは仕事無いかもしれないし?」
「……何か明石に話すのはしゃくだなぁ…」
「おいこらどういう意味よ?
まぁ良いや、とりあえず休憩に間宮行こっか?」
二人で手を止めて間宮へと向かいお互い座り注文を終えると二人の事を話し出す
あの時から二人が気になっていること
佐渡提督の事、叢雲さんの事
自分が少しずつ変わってしまったことを
「ってことなんだけど………」
私が話し終えると明石が微笑んでおりイラッと来てしまい明石のほっぺをつねる
「ひたたたた!!ひたいひたい!!」
「ちょっとー?人の話聞いてた~?」
「きいへひゃきいへひゃ!!」
「じゃあ何で微笑んでるのよぉ?私が真剣に悩んでるのにー!」
「い、嫌さ?嬉しいなって思ってさ」
「え?」
私がほっぺたを放すと明石は笑みを溢しながらほっぺたを擦る
「だってさ、夕張がそんなこと言ってくれた事一度もなかったからさ
ずっと側に居たけど」
「……ごめん」
自然と私はその言葉が出てきてしまうが明石は首を横に振るう
「違う違う、私は攻めてるんじゃないの
貴女が二人に影響を受けて前に進めてるんじゃないかなって思えたの」
「…前に…進めてる……?」
首を傾げているとパフェが運ばれてきており明石はスプーンを片手に生クリームを頬張る
「だってさ夕張
あの時……大本営襲撃事件の時からずっと人や艦娘と関わるのが怖そうにしてたんだもん
ここに来た頃見たいに」
……その通りだった私は怖かった
信頼を置いている仲間や知り合いが死ぬことが壊されることが怖かった
冷血が死んでしまった事、力を尽くしたい相手が居なくなることが
だから価値観を捨てた……いや、
「貴女は誰よりも怖がりで失いたく無い臆病な艦娘
私はそれを知っている
だからこそ、私もそれを承知で付き合ってたよ
……佐渡提督はそれを気付いてたんじゃないかな」
「え………そ、それって……」
「…あの人は誰よりも他人を優先させる
もし、自分が夕張の大切な友人になってしまって死んでしまったら……自分は貴女を再び傷付ける事になるって
自分がしていることを理解しているから
貴女を残して死んでしまう可能性がある
だから貴女をここに閉じ込めておきたかった
ここに来る一人の少し仲の良い提督でありたいが為に」
「っ!!…………」
…明石の言っている言葉に納得してしまった
そうだ、あの人は絶対に私を小笠原に行くことを拒んでいた
誰も仲間が居ないのに、一人でも仲間が欲しいのに
彼は拒んでいた
「……あの人は恐らく残される苦しみを
悲しみを
虚しさを
知っているだからこそ優しい
そして自らから遠ざける様にする
自分が危ない橋を渡り続けているから
…似てるんだよねぇあの人に東雲さんに」
明石が話していると自分が何を言っていたのかを理解する
「私は……軽率だったんだね……」
「んー、でもさそれでも行きたいんじゃないの?
夕張は?」
明石はそう言うとポケットからある紙を取り出し私に差し出す
「…これって……」
「転属願い、実はね如月さんから預かってたの
ほら如月さんの判子押してあるでしょ?」
良く見ると確かに如月さんの判子が押してあり驚いていると明石が言葉を続ける
「明石…何でこれを?」
「如月さんはね、貴女をどこかの鎮守府に送ろうと考えていたの
いつか貴女が行きたい鎮守府が出来ると信じてね
そしてこれを渡すときが来たね」
その紙をまじまじと見ているが目を瞑りそれを置こうとすると明石に手を取られる
「夕張、私はね貴女に小笠原へ行ってほしい」
「で、でも私は……」
「どうせ自分は迷惑になるって考えてるんでしょ?
正直その通りだと思う、でもね迷惑をかけても良いんじゃないかな?」
「……良いのかな」
「大丈夫!佐渡提督だって許してくれるよ!
行きなよ!小笠原へ!!」
明石に背中を押され私は勢いのまま転属願いを書き東雲さんの元へと来てしまった
不安はある悩みもあるそれでも私は行きたいと願う
「お前、本気か?」
「えぇ、貴方達の恩義は忘れてません
ですが行きたいんです、駄目ですか?」
「……お前を助けたのは如月だ、俺に決定権はねぇ」
「でも私も『ある欠陥』を抱えてるし条件は満たしてますよね?」
「………はぁ、仕方無い
奴等には『特別報酬艦』として譲渡してやるか
良いだろう、お前の小笠原流しを許可してやる」
「ありがとうございます、東雲さん」
私は笑みを浮かべながら敬礼をする
そして、部屋を後にしようとした
「待て、夕張」
後ろから東雲さんに呼ばれ振り返ると何かを投げ付けられそれを受けとる
「……時計?」
「あぁ、お前の旅立ち記念だ
お前は時間を忘れるからなちゃんと見て動け
やはりあの鎮守府に行きたいと思うとはな」
「…え?」
東雲さんは椅子をくるっと回すと煙草に火を付け吸い始める
「……あの二人は如月に良く似てるからな
馬鹿な所が
お前が惹かれるのも良くわかる」
その言葉に私は今まで彼等を見て惹かれていた理由を理解する
そうか……私はあの二人に如月さんを重ねていたのか……
「だが、アイツ等は如月とは違う
アイツは引っ張れないからな
佐渡も叢雲も他人を仲間を引っ張っていく
どん底に居ようとも絶望の淵に居ようともアイツ等は止まらない
お前を引っ張ってくれるよ必ずな」
そう言うと親指だけを立てて見せる
「……東雲さん」
「ハハ、お前が出ていってくれるのはうれ……清々するなぁ!!!
やっと明石だけをこき使える!!ちゃっちゃと行きな!
「はい!今までお世話になりました!!」
「あ、後何か不祥事見付けたら報告しろよ
あそこを潰さないと他の元帥共がうるせぇからなぁ」
「えー、言いませんよー?
私の鎮守府になるんですから!」
「しけた奴だな!早く行きやがれ!!!」
そして私は小笠原へと向かう
中途半端な状態で
自分が何なのかをどうすれば良いのかを確かめるために
次回
欠落した感情は
時は現在に戻る
価値観の違いと佐渡はその話を聞いて彼女の事を知る
そして佐渡はある事実を彼女に突き付ける
凄く久しぶりの投稿……な気がする?
お仕事が少し暇になってきたので投稿頻度上げられるかな?