艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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出会い、そして

次の日

佐渡はいつも通りに起床すると台所に立ち朝食を作っていると食堂の扉が開く

 

 

「おはよう、今朝は目玉焼き、刺身と納豆と味噌汁何だが大丈夫かー?」

 

 

「……貴方、こんなに朝早くから起きてるの?」

 

 

起きてきたのはカナだった

昨日のぐだぐだした雰囲気とは違いかなりしっかりとしており佐渡も顔だけ後ろに向ける

 

 

「おっとその声はカナか

昨日と違ってしっかりしてるみたいだな」

 

 

「……昨日は迷惑掛けたわね、ごめん」

 

 

「気にすんな、あれがお前の素なのか分からんが

別に悪い気はしなかったからな!」

 

 

そう言いながら作っているとカナが厨房に入ってくる

 

 

「どした?……ま、まさか!ここでやるつもりか!?」

 

 

入ってきたカナに対しお玉とヘラで対応しようとすると溜め息をつかれる

 

 

「そんなわけないでしょ、手伝うわ」

 

 

「…………へ?」

 

 

「だから……朝食作り手伝う」

 

 

予想外の言葉に佐渡はお玉とヘラを握ったまま呆然としているとカナが再び大きく溜め息をつかれる

 

 

「何?私が手伝ったら駄目なの?」

 

 

「え!?あ、いや、……マジ?」

 

 

「……はぁ、ここまでお前にしてもらってなにもしないってのは私が嫌なの

とりあえず手伝わせて」

 

 

「お、おう……それなら頼む

味噌汁の作り方分かるか?」

 

 

「舐めないでくれる?その位余裕よ」

 

 

そう言うとカナは冷蔵庫から味噌や食材を探そうとする

(……凄いな…ってそれもそうかカナはドレス島を仕切ってた

料理位できて)

 

 

と考えながらふとカナを見ると豆腐を開けそのまま鍋に入れようとする

 

 

「待て待て待て待て待て!!!!」

 

 

「何よ?邪魔しないでくれる?」

 

 

「いや待て!?何しようとしてるのカナさん!?」

 

 

「何って……味噌汁には豆腐が入ってるでしょ?」

 

 

佐渡が慌てて止めるのだがカナは溜め息を混じりに話しており再び入れようとする

 

 

「待てって!!おま!そのまま入れたらとんでもないことなるから辞めてくれ!!」

 

 

「何よ!全く!!豆腐ってのは鍋に入れると一口サイズになるんでしょ!?」

 

 

「そんなわけあるかぁ!!どこのサイキック料理だ!!!」

 

 

カナとの言い争いをし終えると認識の違いを改めさせ色々と料理を教えていくが

 

 

(……コイツ…かなり飲み込みが早い…嫌、包丁の扱いが上手すぎる)

 

 

そう、カナは料理…と言うよりは包丁捌きが素人ではなく明らかにプロと言うほどの切り方をしており佐渡は感心する

 

 

「はい、こんなもの?……って聞いてるの?」

 

 

「ん?あ、あぁ!ありがとう!

と言うかカナ、包丁捌き上手いな?もしかして向こう(ドレス島)とかで使ってたのか?」

 

 

「いや、これが初めて」

 

 

「………は?マジ?」

 

 

「本当よ、包丁何て物初めて持ったもの」

 

 

「えぇ……それで三枚卸しとか微塵切り出来るって……」

 

 

「当然じゃないこれが私の『能力』なんだから」

 

 

「……は?能力??

どういうこと?」

 

 

カナの発言に疑問を感じるとそれを答えてくれる

 

 

「貴方、エアの能力知ってるわよね?」

 

 

「あぁ、確か『擬態そして模倣』だったな」

 

 

佐渡が答えるとカナは包丁をまな板に置き説明する

 

 

「そう、私達Eliteにはそれぞれ他の深海棲艦と違って特別な力がある

エアはどんな生物にも擬態する能力

 

そして私は『どんな武器を自在に操る能力』があるの」

 

 

「どんな……武器でも?」

 

 

「ま、正確には相手を傷付ける物

だけどね

私はそれを触れば使い方や用途が頭の中に流れ込んでくるの

どう使えば良いか、どう使えば効率良く出来るかってね」

 

 

「……チートかよ…

待て!なら視力は!?

あれは何なんだ!?」

 

 

「あぁ、あれ?あれは能力の副次効果

一応いつでも使えるけれど基本的には武器を持ってる時位しか本当の力は発揮しない

それに集中力使うからカロリー持ってかれるしあんな(・・・)時じゃないと連続しては無理」

 

 

説明を終えると再び食材を切り始め唖然としながらボソッと言う

 

 

「…………ほんと、良く叢雲達勝てたよな…」

 

 

 

「本当にね、私も負けるつもりは全く無かったんだけどね

結果的に私よりあいつらが上だったって事でしょ」

 

 

まるで他人事見たいに話すカナは切った食材を鍋に入れていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして二人で朝食を作り終えると他の深海棲艦達も集まり朝食を共にする

その中には昨日話していた夕張も含まれていた

 

 

「それじゃ食べますかー」

 

 

「ヲ腹空イター!」

 

 

「相変ワラズ美味シソウ!」

 

 

「本当にね、さてと食べるわよー」

 

 

「そんじゃいただきます!!」

 

 

「「「「「頂きます!!」」」」」

 

 

全員で挨拶を終えると食べ始め各々話しているとカナが佐渡へ話を切り出す

 

 

「佐渡、あの話なんだけど」

 

 

「うん?もしかしてうちで働くって話か?」

 

 

「えぇ、やっぱり断る」

 

 

「何でよカナ!あんた!」

 

 

「うるさいエア、私なりに考えたからこう言ってるの

…そこの緑髪の艦娘」

 

 

「……あ、え、わ、私!?」

 

 

いきなり夕張が呼ばれ困惑しているがカナは構わず続ける

 

 

「そうよ、この男佐渡は叢雲の提督なんだよな?」

 

 

「う、うん、そうだけど……」

 

 

「なら私は会うわけにはいかない」

 

 

「何でだ?叢雲なら話を通せば」

 

 

「あの艦娘は後悔してるからよ

私を殺した(撃沈した)事に」

 

 

カナの発言に納得した佐渡は力なく座り込むと深く溜め息をつく

 

 

「………やっぱりかぁ……」

 

 

「え?叢雲さんが?何で?」

 

 

夕張が疑問に思っていると佐渡が話を続ける

 

 

「…アイツな、敵を倒すことは出来るんだが相手から『奪う事』が出来ないんだよ」

 

 

「奪う事が出来ない?」

 

 

「そう、あの艦娘、叢雲は私からドレス島を奪う事を躊躇っていた

 

それはあの艦娘は奪われた事があるからでしょ?」

 

 

「…ハハハ、良く分かってるじゃねぇか

カナ」

 

 

「これでもEliteだからね

色々見てきた」

 

 

二人はお互いを見るとお茶を飲み干す

 

 

「この受けた恩はいつか返す

だが、私はここには居られない」

 

 

「……いや、やっぱり心配だ 

ここに居て欲しいカナ

 

なにもしなくて良い

絶対に俺がお前を守るから」

 

 

「ハッ、笑わせないでくれる人間が私を守る?

大層な事言うじゃない

それとも私と言うElite級の姫が必要なのかしら?」

 

 

「それは断じて違う!ならお前をどこか安全な所に送らせて欲しい!!」

 

 

「余計なお世話だ!私は一人で生きていく!!

もう誰かと共に生活なんて嫌なんだよ!!」

 

 

「カナあんたねぇ!!」

 

 

「エアは黙ってろ!!これは私だけの問題だ!!」

 

 

「ちょ、ちょっと姫様達!」

 

 

「カナさんも佐渡提督も落ち着いて!!」

 

 

三人が口論になっているとイーちゃんが廊下に出てしまい一人の艦娘を見付ける

 

 

「あ、イーちゃん!久しぶり!!!

ねぇ、皆を探してるんだけど知らない?」

 

 

「ワンワン!」

 

 

艦娘の服を噛み引っ張っていくと近くにいた艦娘にも声を掛ける

 

 

「ちょちょ!待ってよイーちゃん!

皆!司令官達こっちに居るって!!」

 

 

イーちゃんに引っ張られ食堂に到着すると中から口論が聞こえ慌てて扉を開く

 

 

「ちょっと!何言い争ってるの!?

イーちゃんが心配…し……て………」

 

 

「っ!?イ、イムヤ!?何でここに!?」

 

 

「あら、イムヤお帰り~

朝ごはん出来てるんだけど食べる?」

 

 

「………どうやらあんたが言ってたことは本当の様ね

 

『私の脚を奪った潜水艦』が居るってことは」

 

 

カナの姿を見たイムヤは少しずつ後退りをすると壁にぶつかりそのまま崩れ落ちる

 

 

「イムヤー?どうしたデース?何か見たの……で……す…………か………え?」

 

 

「そうよあんた何を見て…………は?」

 

 

その後ろから金剛と叢雲が現れると金剛は冷や汗を掻きながら呆然としており叢雲はカナを見て唖然とする

 

 

「な、な、な、な、な!!!!」

 

 

「あの時の諦めの悪い金剛型の長女か

成る程、お前もここだったのか

そして」

 

 

カナは叢雲をじっとみており呟く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶりだな 化け物 駆逐艦 叢雲」

 

 

「……えぇ、久しぶりね 化け物 姫 カナ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





次回

交渉

小笠原から離れようとするカナに病院から抜け出してきた叢雲達が現れる
そして叢雲は佐渡にある提案をする

フレッチャー堀りをしているのですが如何せん安定して勝てないですねぇ…
中々にキツイ()



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