E2どうすればええんや……
「佐渡少尉、ちょっと良いか?」
だが二人が、会議室を出た瞬間後ろから声をかけられる
声の主は、先程まで会議に参加していた大奏鎮守府提督
白鳥 一葉少将(しらとり いちよう)だ
後ろには秘書艦の重巡洋艦 鳥海(ちょうかい)が顔を伏せている
「何でしょうか、白鳥少将」
佐渡が、敬礼をすると叢雲も続けて敬礼をする
白鳥は叢雲の姿を舐め回すように見ると、話し出す
「そこの駆逐艦、叢雲とうちの伊168を交換(トレード)しないかね?」
その言葉を聞いた瞬間、叢雲は怪訝そうな顔をするが、佐渡は落ち着きながら平然としている
「いやさ、貰うのは流石に君達の艦隊……何てあるかは分からないけどさ
悪いとは少しばかり思うからさ?うちのご……失礼、『使えない』潜水艦と交換しないか?
いやしてもらおうか?佐渡 少 尉 ?」
最後の少尉と言う言葉だけ、強調して白鳥はニヤニヤしながら言う
上司が部下の手柄を取るように、部下の優秀な艦娘を奪い取ろうとする輩は今の海軍どころか昔からあるらしい
実際、叢雲が戦果を上げた次の日から佐渡はこの様な事を何度も言われてきた
だからこそ、佐渡はいつも通りに返す
「お断りします」
その言葉に、白鳥は舌打ちをすると佐渡の胸ぐらを掴む
だが佐渡は敬礼と表情を崩さず冷静だ
「お前に拒否権は無いんだよ?少尉?
大人しく交換しとけよなぁ?」
「何度言われようと、叢雲は渡しません」
その行動に、会議室に居た猿橋と葛城は立ち上がりそれを止めようとするが、猿橋の隣をある二人が通り過ぎる
「てめぇ?舐めてんのか?俺は少将だぞ?
命令が聞けないのか?」
「いくら少将様の命令でも、聞けません
それに、叢雲は物ではありません
俺の『相棒』です」
白鳥がその瞬間怒り、佐渡の顔面に右拳で殴ろうとするが、それが佐渡に当たることは無かった
白鳥の拳は、後ろからある一人の艦娘の手によって止められたのだ
「いててて!!誰だ!!……」
白鳥は余りの痛みに、その掴んでいる主を見る、つかさずに敬礼をする
そこに立っていたのは、戦艦長門(ながと)そしてその後ろには唐澤だった
「失礼致しました!長門秘書艦!唐澤大将!」
先程、佐渡に取っていた態度を改め唐澤に敬礼をしており、端に避ける
胸ぐらを離された、佐渡は溜め息をつき服を直している
「くだらないことは辞めろ、白鳥少将
私はこいつに用がある、失せろ」
「は、はい!!」
唐澤に言われた、白鳥はさっさとその場を離れていき去り際に佐渡の隣を通るとき「覚えておけ」と言い残していく
佐渡は、唐澤にお辞儀をすると再び敬礼をする
「助けて頂きありがとうございます、唐澤大将!」
お礼を言うと、唐澤はその隣を歩いていく
「助けたつもりは無い、今回の作戦に着いていくなら精々足を引っ張るなよ。
国家の裏切り者よ
行くぞ、長門」
「あぁ」
長門が佐渡の隣を通り過ぎるとき、叢雲を上から睨むように見ると、叢雲も長門を睨んでいた
唐澤達が去った後、二人が心配してか駆け寄ってきてくれた
「おいおい、大丈夫か?佐渡」
「大丈夫ですか?佐渡さん?」
「ありがとうございます、特に何もないですよ?」
二人に、心配かけまいと佐渡は笑顔で二人に言うと、猿橋が唐澤の後ろを見ながら佐渡の耳元に囁く
「相変わらず敵視されてるなお前」
「あぁ、勘弁してほしいよほんと」