叢雲の発言にエアは怪訝そうな顔をしたがそれよりも先に長門が叢雲の肩を掴み夕張が詰め寄る
「叢雲!それは不可能だ!
大本営の事件を知っているだろう!?
向こうは完全に我々を敵として認識している!!
和解なんて……出来るわけない!!」
「そうだよ叢雲!この戦争が始まる前なら……もしかしたらだけど…あの事件で確実にそれは不可能になったんだよ!!
深海側のほとんど…嫌、姫クラスは私達艦娘、そして人間を敵視している!和解なんて出来ない!!」
「それでも!私は!もう彼女達から何かを奪いたいとは思えない!!!
別の道があるはず!!!」
「だから!そんなものは……無いんだ…!
私はそれを知っている…見ているんだ!奴等は確実にこちらを殺しに来る!!」
「ま、まぁまぁ落ち着くデース二人とも……」
「そうだよ…もしかしたらあるかもしれないんだよ?」
叢雲達が口論になってしまい金剛とイムヤが仲裁に入ろうとするが
「八万人」
「………え?」
「大井…さん?」
いきなり大井がその話を割るように話し出し叢雲に詰め寄る
「この数が、何だか分かる?叢雲」
「……嫌、分からないけど…」
「今年一年で深海棲艦に殺された人間の数だよ」
「っ!!!」
大井はそう言うとノートパソコンでそのデータを見せるといつの間にか付けていた眼鏡を直しながら話す
「と言っても、ほとんどの被害に会ってるのは他の国への輸出、輸入船が誤って深海棲艦達の縄張りとされている海域に侵入してしまったからだけど艦娘が対応してもこれだけの被害を出している
詳しくは分からないけれど行方不明者で言えばその倍以上は居る
叢雲、これを見ても貴女は和解を求めるの?
私達の鎮守府は他の鎮守府と比べて今回の事によって大きく変わってしまった
貴女は強い、そしてその強さには責任が生じるの
貴女が和解を求めると言うことはそれらの命を踏みにじるのよ
深海側の殺戮を貴女が認めることになるの
叢雲、まだ貴女は和解を目指すの?
深海側を認めると言うことよ?」
大井の言葉に全員が黙り混んでいると叢雲がその静寂を打ち破るように話し出す
「深海側の殺戮を認めるわけではないわ
それでも彼女達にも何らかの理由があるはずよ!
ならそれを突き止めて私はお互いに歩むべき道を探す!!!
絶対に見付けて見せる!!!」
叢雲の発言に大井は微笑むとパソコンを閉じる
「ま、そうよね叢雲がこんな言葉で考え直すとは思えないもの
でも、これは事実だからね」
その言葉に頷くと全員の目は二人の姫へと向けられる
「むら」
とエアが言おうとするがカナがそれを止め先に話し出す
「…先に言っておく叢雲
私はその話には同意できない
お前達は私の島を既に奪っている、この事実は変えられない、変わらない
そしてその歩もうとする道は誰もが進もうとし崩れていった道だ
お前だけで行けるとは私は到底思えない
だから諦めて奪え
深海側からこの海を、空を、世界を」
「そうね、私は貴女の島を奪い、幸せを自由を奪った
その事は認めるわ、謝罪もする
でも私は貴女に感謝してる、貴女が…貴女の涙が思い出させてくれたから奪われる悲しみを苦しみを……絶望を
だから諦めない
私は奪いたくない、分け合いたい
この海を、空を、世界を」
二人の睨み合いが続くがカナは微笑み頭を撫でる
「ま、お前が決めたなら口出しはしないさ
ただその道は辛く険しいぞ」
「平坦で安全な道は嫌いなのよ」
「ふん、言うじゃない
あの時見たいにさ
ま、応援はしてあげる、精々頑張りなさい」
カナがそう言うとエアの肩を叩く
「………ねぇ、叢雲本気?
「えぇ、本気よ」
「…そう、なら言ってあげる
私はカナより他の深海提督達と関わりがあるから言えるけど
不可能よ、
絶対に」
エアが冷たく言い放つとグラーフが反論する
「エア!そんなこと!!」
「あるのよ、私は知ってる
アイツらは人間に捨てられた存在、そして人間を怨み、妬み、絶滅させようとしている
姫も同じ、私見たいなイレギュラーは居るかもしれない
でも私以外はそうじゃない、破壊と殺戮を好み、艦娘と人間を殺そうとする
和解なんて出来るわけがない」
「それでも!出来るかもしれないでしょ!?
だって!」
「私と和解できたから?」
「そうよ!」
「……叢雲、勘違いしてない?」
「どういうこと?」
「…私がいつ
「……え…」
エアはそう言うと叢雲の首筋に自らの手を当てる
だがその手は鋭く鋭利な爪様に変わっており少しだけ撫で切れ込みを入れる
「エア!!!」
「辞めろ!お前達!!」
叢雲の危険を感じ取った何人かが動こうとするが佐渡が静止する
「………エア、貴女……」
「正直、私はお前を始末するべきだと思ってる
カナを倒したとき確信したわ
お前はいつか
二人が無言になっておりグラーフ達が固まっていると叢雲がエアの鋭い手を力強く掴む
「……何のつもり、叢雲」
「…良いわ、やりなさい
貴女に殺されても私は構わない」
「…貴女、本気でそんなこと言ってるの?
それがどれだけの損失になるか」
「そんなの知らない
ただ、私は信じてほしいのエア
必ず、必ず道を切り開いて見せるから」
その言葉にエアの気持ちは複雑になっていた
一人の少女が辿った結末を知っていたから
そう言う事をする者達の結末を知っていたから
「無理よ、貴女には出来ない
諦めなさい
人間も深海棲艦もそれを望んでいない」
エアの言葉に叢雲は声を荒げながら答える
「私は!望んでる!!
私は!!貴女達と共に笑って!楽しくこの世界を生きていきたいの!!!」
「……茨の道よ、貴女の歩む道は」
「挑む所よ!」
「……はぁ、全く
分かったわよ!好きにしなさい!」
叢雲の真っ直ぐな気持ちに折れたのかエアはため息を混じりに言うと再び全員に言う
「でも、私一人ではこの道を進めない……だから!!」
叢雲が全員に頭を下げようとするとその肩を古鷹が叩く
「古鷹……?」
「ふふ、そこからは言わなくても分かるよ
私も協力するよ、その願いに歩む道に」
「ありがとう…」
「あら、誰が古鷹さんだけだって?」
古鷹に続けて大井が微笑みながら叢雲の肩を叩く
「雷巡は不要かしら?」
「そんなことあるわけないでしょ!」
大井の手を取り話していると後ろから突然金剛が叢雲に抱き付く
「私も混ぜてほしいデース!
それとも、不幸な高速戦艦は解体ですか?」
「貴女が不幸?何寝惚けてるのよ!全く!!」
金剛と叢雲が笑っているとイムヤとイーちゃんが叢雲の頭を触る
「装甲も武装無い潜水艦は要りませんかー?ふふ!」
「ワン!」
「何言ってるのよ!あんたのサポート本当に最高何だから!!!
欲しいわよ!居ないと困るわ!」
二人を抱き締めるとその隣からグラーフに肩を叩かれる
「あまり戦力にはならない空母だが、それでも良いか?」
「何馬鹿な事言ってるのよ、あの飛行場姫から制空権奪った癖に!!」
グラーフの肩を叩き返すとその前に長門が立ち塞がる
「……お前の行く道は私も目指したことがある
だが、断念した」
「…そうね、貴女は地獄を見た」
「…でも、やはりここで…皆を見ていて思う
私は!お前の目指すべき道に行きたいと!!!
だから、私も連れてってほしい!叢雲!!」
「…はは、あの時は私の事敵視してた癖にー?」
「そ、それは……その…すまなかった…」
「冗談よ、悪かったわ!
貴女に来てもらえれば千人力よ!!!正義の戦艦!!」
長門と拳を合わせるとその少し離れた所に居た夕張に向かって歩いていく
「夕張は、どうするの?」
「…行きたい、でも私は…皆と一緒に戦うことは出来ないから…」
「あら?いつも戦ってくれてるじゃない?」
「へ?」
夕張の手を取ってその手を撫でながら話していく
「貴女は、いつも私達の為に艤装のメンテナンスをしてくれている
それがどれ程凄いことか…私達にはそれが出来ない
だから私は貴女に一緒に来てほしい」
「叢雲…さん……」
「ね、夕張一緒に行きましょう!貴女は私が守るから!!」
「……うん!お願いします!!
叢雲さん!」
「あ、さん付けは禁止よ
私、そう言うの苦手なのよ」
小笠原の艦娘達が全員同じ道を歩むと決めその姿を佐渡は静かに眺めていた
(……仲間……か…)
叢雲達が楽しそうに話していると風景を見ながら佐渡はある光景を思い出す
この鎮守府に、海軍に来る前の光景を
「ちょっと司令官?何ぼーとしてるのよ?」
「ん?別に何でもねぇよ」
そう言うと佐渡は立ち上がり全員に向けて話し出す
「お前達の事はよーく分かった!!
お前達の進む道は険しく、辛く、苦しい道なりだろう!!
だが俺はお前達なら出来ると思ってる!!!
まぁ、提督としてのサポートは精一杯してみせるから安心しろ!!」
「ま、あんたのサポートなんて大したことないと思うけどね」
「おいこらエア、今格好付けてんだから水差すな」
「あっらぁ?違ったかーしーらー?
深海棲艦にしか欲情しない変態さーん?」
「おま!ちょ!それは!!!!」
エアの発言に一気な場の空気がピリピリしたことを感じ取った佐渡が叢雲達の方角を見ると金剛、大井、グラーフ、イムヤが怖い顔をしていた
「ほほーう?てーいとくー?どーう言う意味デースかぁ?」
「貴方……エアに何をしたんですか?」
「アトミラール……ちょっと話があるんだが?」
「しーれーいーかーんー?」
「ま、待て待て!俺は何にもしてないから!?」
佐渡が必死に弁明する中エアが更に四人を焚き付ける
「エアさんのおっぱいとふともも最高ですグヘヘヘヘ
だっけ?」
「エア貴様ぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「「「「提督!!!(司令官!!!)(アトミラール!!!)」」」」
その言葉を皮切りに佐渡が全速力で提督室から脱出すると後ろから四人が追い掛けていく
「ちょっとエア……」
「てへ!」
「お前なぁ……」
「アハハ……提督頑張ってください……」
「…仕方ない、助け船を出してやるか…」
「私も行きます、佐渡提督には何かと恩売り付けておきたいし?」
渋々長門もその後ろを追い掛けていくと夕張も出ていってしまい提督室には四人が残される
「カナさん、これからよろしくお願い致しますね!」
「……う、うん…よろしく」
「では!この鎮守府を紹介しますので一緒に行きましょ!」
他の艦娘達より一足早くカナとの挨拶を済ませ提督室から出ていくとエアが叢雲の肩を掴む
「……エア?」
「さっきは悪かったわ
ごめん
でも貴女が歩もうとする道はかなり険しいわよ
多くの障害と弊害がある
……今深海側と人間側には大きな溝がある
貴女はそれを埋めようとしている
誰もが考え誰も出来なかったことよ」
エアが何時にもなく真剣であり叢雲は聞き入ってしまう
「…諦めてほしいのは本音よ
いくら鎮守府全体がそれをやろうとしても出来ないと私は感じてしまう
それほど大きな溝なの
それでも本当にやるの?」
エアの問い掛けに叢雲は即答する
「やるわ、だからこそ私は強くなる
この手に収まりきらないほどの物を助け、救う為に
歩みは止めない、どんな事になってでも」
叢雲の回答を聞いたエアは叢雲を優しく抱き締める頭を撫でる
「………エア?」
「…ごめん、少しだけこうさせて……
お願い……」
エアが何を考えているの分からずに叢雲は身体を預けていると不意に変な感覚に襲われる
それは彼女が深海棲艦と言うよりは人間や艦娘の肌の感覚に近く冷たくないということに
「今度こそ……守って見せるわ…
始原の思いを継ぐ貴女を」
そしてエアは小さく呟く
叢雲に聞こえないように
砕かれたプライド 飛行場姫カナ
と壊れた兵器 夕張
end..........
『不可能、そう不可能なのだ
お前にはな、叢雲……
我が居る限りなぁ』
To be continued………
次回新章!と言うの名の幕間話~
栄光ある艦娘達と温泉に行こう!
次回から幕間でのオフ話になります
その後待望?のお話をやりますね!
ちょっと変な終わり方になってしまいましたがちょっとこれには訳があるので仕方無し()
明日はちょっとお休み~
追加された二人を書かなくては←