艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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緊急召集 七

佐渡は、あれから叢雲と共に元帥の執務室に来ており現在その前に立っている

 

 

「……なぁ?俺なんかしたっけ?」

 

 

「さぁ?あんたの事だから何かしたんじゃない?」

 

 

 

扉の前で佐渡は、大きく溜め息をつくと叢雲が背中を軽く叩き「ほら行くわよ?」と言われノックをする

内側から元帥から『どうぞ』と言う声を合図に、部屋に入る

 

 

「失礼致します!!

元帥、お呼びでしょうか」

 

 

部屋に入ると、そこにはほとんど物がなくあるとしても元帥が座っているデスクと本棚そして、湯飲みのポット位である

だが、何故かその部屋の中央には、ポツンと椅子が二つ置かれている

佐渡は、入ると同時に敬礼をすると元帥が体制を崩しながらお茶をすする

 

 

 

「まぁ、座りたまえ佐渡少尉、駆逐艦叢雲」

 

 

「はい!失礼致します」

 

 

佐渡が、そう言い椅子に座ろうとすると、大淀が扉を開け外を確認し、鍵を閉める

……え?なんで?と佐渡は、思いながらもぎこちなく席に座ると恐る恐る元帥に用件を聞く

 

 

「元帥、私何か致しましたでしょうか?」

 

 

佐渡の心配を他所に、大淀が元帥に耳打ちをすると元帥は頷き沈黙する

 

 

「佐渡少尉」

 

 

「は、はい!!」

 

 

その言葉に、佐渡はビクッとしていると元帥はお茶を飲みきり机に湯飲みを叩き付けると首のネクタイを緩める

 

 

「あーー!疲れた、淀お茶おかわり

あ、佐渡君叢雲ちゃんも飲む?」

 

 

「ふふ、はい元帥」

 

 

「え、えぇと頂きます?」

 

 

「頂くわ」

 

 

先程とはうってかわり元帥は椅子にもたれかけながらのんびりとしている

まるで、仕事疲れのサラリーマン如くぐだりとしながら

 

 

「あ、今回の呼び出しは大したこと無いから構えないで良いよ」

 

 

「は、はぁ……」

 

 

佐渡が、その姿に唖然としていると叢雲がこちらをつつきクスクスと笑い、耳打ちをしてくる

 

 

「元帥はね、表では厳しいけど裏ではあんなもんよ

あの状態なら本当に大したことないから安心なさい」

 

 

「そうなのか…」

 

 

再び元帥を見ると、どこから取り出したか分からない煎餅を口に加えながら頭を天井に向けている

先程との大違いに流石の佐渡も動揺する

 

 

「はい、佐渡さん叢雲さんお茶です」

 

 

「どうも」

 

 

「元帥!お茶ですよ!それと煎餅独り占めしないでください!!!」

 

 

「お、悪い悪い、淀食べる?」

 

 

「お仕事中ですから後で頂きます」

 

 

まるで、いつもの自分達見たいな感じがして佐渡は微笑みながら二人を見ていた

 

 

「それと今回の呼び出しの話はよろしいのですか?」

 

 

「あ、忘れてたごめんごめん」

 

 

元帥は、食べていた煎餅を全て口の中に入れ噛み砕き飲み込むとお茶も続けて飲むと本題に入る

 

 

 


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