艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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偽物

「‥‥‥何か凄いことになってるな‥‥

早めに退避しといて正解だったな‥‥」

 

 

 

佐渡は一人先に風呂から出ると身体を軽く動かし骨を鳴らす

 

 

 

「あの二人には悪いけど今だけはのんびりさせてもらおうかなぁ

どうせ夜になったら俺の部屋に来そうだし‥‥‥‥」

 

 

 

そう呟き一人廊下を歩こうとした瞬間

 

 

 

「‥‥‥‥佐渡?」

 

 

 

「はい?」

 

 

声がする方へと顔を向けるとそこには

 

 

 

「やはりお前か、佐渡」

 

 

 

「こんな所で会うなんて珍しいですね

唐澤さん」

 

 

 

そう、陸奥を連れていた浴衣姿の唐澤であった

陸奥は軽く手を振ると笑みを見せ佐渡もそれを返すと唐澤がゴホンッと声を出す

 

 

 

「陸奥、別に今は仕事中じゃないんだ

普通に話したらどうなんだ?」

 

 

 

「あら良いの?てっきり二人だけで話でもしたいのかと思ったのだけれど」

 

 

 

「二人だけの話???」

 

 

 

佐渡は首を傾げると唐澤は陸奥の頭を撫でる

 

 

 

「相変わらずだなその観察力

すまんが」

 

 

「えぇ、分かってるわ

少し外すわね」

 

 

 

陸奥は会釈をすると唐澤とは反対側に歩いていくと唐澤に肩を掴まれる

 

 

 

「話したいことがある

すまんが誰にも聞かれたくないんだ付いてきてくれ」

 

 

 

「え、えぇ?」

 

 

 

出会い頭そんなことを言われ、佐渡は困惑しながらその後に付いていきしばらく歩いていると屋上へと連れて行かれる

 

 

 

「で?何のお話でしょうか?唐澤さん」

 

 

 

「‥‥‥‥‥‥いくつかある

1つ目は長門の事だ‥‥本当にありがとう」

 

 

 

そう言うと唐澤は頭を下げる

 

 

 

「‥何の話ですか?」

 

 

 

「長門からな良く君の鎮守府の話を聞くんだ

それは楽しそうに‥‥な

長門はずっと戦場に身を置き戦うことのみで何とか自制を保っていた

長門の願いを聞き届け‥私は‥‥それが一番いいと思ってた

でも違ったんだな」

 

 

「‥‥‥‥‥」

 

 

 

「私は‥‥艦娘達の願いを聞き届け、それで居てほしいと願ってる

でも‥‥君は違う

艦娘の願いを聞き、そして艦娘の心のケアすらやってみせる

素晴らしい提督だと」

 

 

 

そこまで言うと佐渡はどこからか取り出した空き缶を唐澤の頭に乗せる

 

 

「‥‥‥‥なんの真似だ?佐渡?」

 

 

 

「いや‥‥‥何かクソ真面目過ぎません?

長門と言い、貴方といい‥‥もっと気楽に生きませんか?」

 

 

 

そう言うと空き缶を取り唐澤の肩に当てる

 

 

 

「ほらほら、一々頭なんて下げてないで上げてくださいよ

青空が綺麗ですよ」

 

 

 

佐渡は歩き出すと屋上の柵を掴むと腰掛け唐澤は頭を上げる

 

 

 

「佐渡‥‥相変わらずお前と言うやつは‥‥」

 

 

 

「ハハ、俺はそう言うの苦手なんでね

長門には何もしてないですよ俺は

ただ、あの鎮守府は『休憩所』他の鎮守府とは運営方法が違います

それだけです

疲れた者達が休める場所です

 

 

‥‥‥俺がどんな事をしても守ると誓った場所です

それぐらいしか『今の』俺には出来ませんから」

 

 

 

「‥君は艦娘が大好きなのか‥?」

 

 

 

「えぇ、大好きですよ

あいつらの居場所は俺が守るために俺はあの場所にいる

だからまぁ、何かあったらうちに連れてきてください

必ず何とかしてみせます」

 

 

唐澤が見た佐渡の真っ直ぐな眼を見ると安心しため息を付きボソッと呟く

 

 

 

「‥ふぅ‥‥どうやら君には勝てない様だね

提督としても人間としても」

 

 

 

「何か言いました?」

 

 

 

「いいや、何でもないよ」

 

 

 

「で、話はこれだけですか?」

 

 

 

佐渡が首を傾げると唐澤が一瞬で険しい顔をし恐る恐る話し出す

 

 

 

「‥‥‥‥いや、もう一つ‥正直こっちが本題だ」

 

 

 

 

「はい?何です?」

 

 

 

唐澤は深く深呼吸をすると佐渡を真っ直ぐ見る

 

 

 

「‥‥‥君は何者だ?

‥いや、お前は‥‥‥誰だ(・・)

 

 

 

「‥‥‥‥え?」

 

 

 

唐澤から言われた言葉に首を傾げると頭を掻く

 

 

「えっと‥‥‥自己紹介した方が良いんですかね?

じゃあ改めて聞きますか?」

 

 

 

佐渡は半笑いになりながら話しているが唐澤は真剣そのものであった

 

 

「‥‥‥何でそんなこと聞くんです?

俺は佐渡満ですよ?普通に、大元帥たるあのジジイにヘッドハンティングされた」

 

 

 

「‥‥あぁ、それは知ってる

お前が海外の軍人で優秀な指揮能力を持っていたから特別に連れてきたと言うことは

私が聞いているのはお前の名前(・・)だ」

 

 

 

「名前?そんなの、佐渡満って」

 

 

 

「‥‥‥‥あぁ、確かに来る名前はそうだったな

だが、お前は佐渡満ではないだろ?」

 

 

 

唐澤は持っていたスマホを佐渡に手渡すとある写真が写っており驚愕する

 

 

 

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 

 

「ならこいつは誰なんだ

お前と全く同じ名前、同じ職業、同じ経歴を持つこの男は?」

 

 

 

その写真とは佐渡の履歴書であるが何故か写真だけが全く違っており目付きが変わる

 

 

 

「‥どこでこれを?」

 

 

 

「‥言えないな、いった」

 

 

 

と言いかけた瞬間佐渡は隠して持っていたナイフを唐澤の首に突き付ける

 

 

 

「‥‥‥‥言え、生きてることを後悔したくはないだろ?」

 

 

 

「ッ!!!‥‥‥言えばその子を殺すだろ‥‥お前は‥‥」

 

 

 

 

「‥‥なるほど、艦娘か」

 

 

 

「!?」

 

 

 

首にナイフを突き付けられながら唐澤は息を飲むと佐渡はスマホを片手で操作すると写真を消去する

 

 

 

「俺を嗅ぎ回るな唐澤

死に急ぎたくはないだろ」

 

 

 

佐渡の威圧する様な低い声に唐澤は身動き取れずに居ると何とか声を振り絞る

 

 

 

「知り‥‥たいんだお前を‥‥何者なのかを」

 

 

 

「‥‥‥知る必要はない

俺は与えられた任務を遂行する」

 

 

 

「それでも私は‥!お前を仲間だと‥!思ってるからだ!!!」

 

 

 

唐澤の言葉に眉一つ動かさない佐渡の目を見るが一瞬辺りを警戒していることが分かるが動けないでいると静かに話し出す

 

 

 

「悪いが俺は仲間ごっこ(・・・・・)に参加するつもりはない

それに都合が良いな、あれだけ俺を嫌ってた癖に」

 

 

 

「それは‥‥‥」

 

 

 

「だがお前がここで退場するのは不都合だ

だから処理(・・)する」

 

 

 

佐渡は一瞬でナイフを仕舞うとペン程の何かを取り出すと唐澤の首に打ち込む

 

 

「な、何を‥‥‥ウッ!!!」

 

 

 

その瞬間唐澤は崩れる様に倒れると佐渡を見上げる

 

 

 

「安心しろ死なせない

だが、忘れてもらう」

 

 

 

佐渡の目はまるで濁った瞳をしておりその姿はいつもの陽気な佐渡とは違っていた

 

 

 

「‥おま‥‥え‥‥は‥誰‥‥‥なん‥‥‥‥‥」

 

  

 

と言いかけたが唐澤は目を閉じ眠ってしまうとその身体を片手で掴むと椅子に座らせる

 

 

 

(ここで、コイツを置いていくと陸奥にバレる

ある程度時間が経過したら起こして戻るとしよう)

 

 

 

コーヒーを自販機から買ってくるとその場で開けコーヒー半分捨て唐澤の隣に置くと佐渡も飲みだす

 

 

 

(全く不殺ってのも面倒くさいものだ

こんな奴、殺しても問題ないだろうに)

 

 

 

ため息を付くと空を見上げながら呟く

 

 

 

「‥‥‥俺が誰‥‥かそんなの

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

偽物(・・)に決まってるだろ

俺はあの馬鹿の代理(・・)で来てるんだからな」

 

 

 

そう言いながらコーヒーを軽く口にする

 

 

 

そして青空を見上げながらふと一人を思い出す

 

 

 

「‥‥‥そう言えば、エア

会議があるとか言っていたな‥‥‥

どこでやるんだ?」

 

 

 






次回

厄介な出会い


佐渡達が休暇を楽しむ中エアは深海棲艦達に呼ばれある島を目指していた


久しぶりの投稿!!!
ぶっちゃけちょっと忘れてたりしましたねぇ‥‥‥
申し訳ないです!




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