艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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緊急召集 八

「話とは二つ、一つは大したことないけど

もう一つは重要なこと

どっちから聞きたい?」

 

 

「で、では大したことないことから……」

 

 

元帥は、やはりどこから取り出したか分からない、羊羹を取り出し一本丸々齧りだす

 

 

 

「そっちなら、大井ちゃんの事だね

あんなことがあったからねぇ心配でさ 

どうだい?やっていけてるかい?」

 

 

「あぁ、大井の事ですか

凄い助かってますよ、執務は早いし戦闘訓練の努力怠らないしうちには勿体ないくらいの子ですよ!!

この前なんて……」

 

 

佐渡は、元帥に現状の大井がどんな事をしているか等を詳しく報告すると、元帥と大淀は顔を見合せ笑っていた

 

 

「とまぁ、こんな感じです

正直うちには本当に勿体ないですね」

 

 

 

「あー、うんやっぱり君に預けて正解だったよ

彼女を大切にしてあげてくれ」

 

 

「任せてください!」

 

 

佐渡は、胸を張りながら自信満々に答えると元帥は思いっきり笑う

 

 

「それと、もう一つはかなり真面目な話になるけど」

 

 

元帥はそう言うと、立ち上がり再び先程の様な真面目な態度になりながら窓際に立つ

 

 

「今回君をこの作戦に参加させたのは、私の独断だ

私は君達の実力を認めているからこそ参加させた」

 

 

その言葉に、嬉しさもあるが少しの怒りも感じる

 

 

「お言葉ですが、元帥うちの艦隊は三人しか居ません

だと言うのにこの様な作戦に私の鎮守府が参加する意味が分からないのですが?

他の鎮守府にお願いしてはいかがですか?」

 

 

元帥は、その言葉に「ふむ」と言うと佐渡の目の前に歩いてくると肩を叩く

 

 

「全くその通りだ

だがな、すまない君達に頼るしかないんだ

あの戦艦ル級撃破と陸上型を撃破した君達を頼らせてくれ頼む」

 

 

その目は真っ直ぐ、佐渡の瞳を捉えており、叢雲も一言言おうとするが途中で口をつぐむ

 

 

「現在の戦況は、私達の圧倒的不利だ

艦娘を兵器としてしか見ない提督も他の兵士も多く存在する

だが、君は違う彼等とは

真っ直ぐ、艦娘達と向き合い共に歩もうとしている

それが、この戦況を変えるきっかけになると私は思う

 

だから、私の身勝手な事を許してくれ」

 

 

そして、元帥は佐渡に頭を下げると佐渡はそれを止め微笑みながら立ち上がる

 

 

「頭を上げてください、やれるだけの事はやりますので」

 

 

佐渡はそう言うと、椅子から離れ元帥の部屋を立ち去ろうと叢雲と共に執務室の扉の鍵を開け、開く

 

 

「奴等が我々から奪うのなら、その覚悟を持ってるって事ですからねぇ」

 

 

怪しく、口元を吊り上げながら呟くと現在の部屋を立ち去る

二人が去った部谷で、元帥は椅子に座ると溜め息をつく

 

 

「大淀、今回のアレは」

 

 

「恐らく、この前のル級と同じだと思われます

何者かによって『改良、及び改造された深海棲艦』の可能性が極めて高いです

そして、もしかしたら今回も居る可能性があります」

 

 

大淀からの話を聞いた元帥は、引き出しからある一枚の写真を取り出し睨みつける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前は、何なんだ

『異形の空母ヲ級』よ」

 

 

その写真は、通常のヲ級とは違い

頭には艤装を付けておらず、両腰から二つの滑走路が伸びており、杖を海に付いている

つい最近見付かった、新型の深海棲艦だ

 

 

 


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