艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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緊急召集 十

「そんなところよ

あ、そうだ佐渡提督~?

どうせだから奢ってよー?」

 

 

明石同様、夕張とも仲が良く自販機や他の所で会うと食べ物を奢ったり奢られたりしており今回は奢る方らしい

 

 

「はいはい、んじゃポカリですか?」

 

 

「いんや、紅茶欲しいなぁ?」

 

 

「はいよ」

 

 

佐渡は、午前の紅茶を買うと夕張に渡す

貰った夕張は佐渡の正面に立ちながら壁に背を預け紅茶を飲みだす

 

 

「隣空いてますよ?座らないんですか?」

 

 

「いやー、私汗臭いし?

それにさっきまで工具弄ってたからオイル臭いし……」

 

 

夕張は、そう言いながら紅茶を片手に頬を掻いている

 

 

 

「俺は別に大丈夫ですよ?

かもーんかもーん」

 

 

「私が気にするのよ!!」

 

 

そう言うと佐渡は、珈琲の缶を床に置き立ち上がると夕張に近付き壁に手を付け顔を近付ける

 

 

「ちょ、ちょちょちょ!?」

 

 

夕張は慌てながら顔を真っ赤にしていると、佐渡は夕張の首もとに顔を当て匂いを嗅ぐ

 

 

「特にそんな匂いしませんよ?

ほら、一緒に座りましょ?」

 

 

佐渡は夕張の手を取って引っ張り、隣に座らせる

顔を真っ赤にしている夕張には一切気付かずに

隣通しに二人で座ると夕張は顔を伏せているのを気付き興味が出そうな話題を持ち掛ける

 

 

「そう言えばさ、夕張さん今何か新装備の開発とかしてるの?」

 

 

「んん!?あ、あぁ開発ね

うん、今戦艦用の艤装を開発してるのよ

これが中々上手く行かなくてね……」

 

 

それからは、夕張は先程の事何か気にせず熱心に兵器開発や工廠の事を語りだしそれを相づちをうちながら佐渡は聞いていた

 

 

「ってことがあってねぇ今苦戦してるのよ……」

 

 

「成る程ねぇ、大変だね工廠の仕事も」

 

 

「まぁ、大変だけどさ

私も好きでやってますからねぇ……

そう言えばさ、そっちはどうなの?

この前、明石が工廠直したって聞いたからさ

開発とかしてるの?」

 

 

「あー、うんやってはいるんだけどねぇ……

基本的には魚雷とかばっかりかなぁ?

三人しか居ないしさ?」

 

 

「それもそっかぁ……」

 

 

夕張は、そう言うとベンチの後ろの壁にもたれ掛かると、天井を見上げ閃いた様に佐渡にニヤニヤと笑いながら向き直る

 

 

「なーらー?私がそっちに移籍しようか?」

 

 

 

「……………はい?」

 

 

 

佐渡が驚いてる中、夕張は立ち上がり佐渡の額に飲んでいるペットボトルを当てる

 

 

「だから、こっちを辞めてそっちの鎮守府行こうか?

それなら、佐渡提督の助けになるし色々と……」

 

 

「駄目ですよ」

 

 

夕張のペットボトルを取り、首元にペットボトルの蓋を突き付けると額を軽く逆の手先で小突く

 

 

「貴女はここに居るべきだ

俺みたいな戦場に来るべきじゃない

ここに居て欲しいんです

もう失うのは勘弁ですからね」

 

 

一瞬の事で、夕張も驚くが直ぐに笑いだしペットボトルを取り中身を一気に飲み干しゴミ箱に捨てる

 

 

「ふふ、ごめんなさい

わがまま言って」

 

 

「いえ、こっちとしては来てほしいですけど

夕張さんにはここに居て欲しいと思うだけですよ

次は奢ってくださいね?」

 

 

「はいはい、高いのは勘弁よ?」

 

 

二人が笑い合っていると、工廠の方から叢雲と明石が歩いてくる

その姿を見た叢雲は佐渡を睨み付けている

 

 

「あんたぁ?まぁた夕張さんをナンパしてるの?」

 

 

「待て、叢雲?俺は何もしてないぞ?」

 

 

佐渡と叢雲を見た、夕張は意地悪そうに笑いながら身体を両手で抑えしゃがみこみ嘘泣きをする

 

 

「そうなのシクシク

佐渡提督に、全身の匂いを嗅がれて

「ええ臭いだなぁ?夕張ちゃんやグヘヘ」って言われて襲われそうになったの………」

 

 

「待てぇ!!!夕張さんんん!!

俺そんなこと言ってないぃぃぃぃ!!!」

 

 

 

「こんのぉ!!匂いフェチの糞変態司令官がぁ!!!」

 

 

その瞬間、叢雲が佐渡の脚を蹴ると佐渡が体制を崩すと首を掴みそのまま押し倒し顔を踏みつけるグリグリとする

 

 

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!」

 

 

「うっさい変態!!!」

 

 

二人は騒いでいると、その姿を見ていた明石の夕張は笑っていた

 

 

「本当に、仲が良いですね二人は」

 

 

「うん…羨ましい位にね」

 

 

夕張は、頬をかきながら少し叢雲に嫉妬していた

 

 

「私も行きたいなぁ……小笠原鎮守府…」

 

 

 

「………そうね」

 

 

二人が、そんなことを話していると露知らずに佐渡は弁解を述べ叢雲は相変わらず脚で踏みつけていた

 

 

 

 

 


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