艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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罠 二

その報告を受けた長門は急いで外に出ると空には大量の敵艦載機が空を覆い隠していた

そして民家の一部が何かに撃たれたのか轟音を立てながら崩壊していく

恐らく先程受けた報告の、島一体囲んでいる深海棲艦が撃ったものだろう

 

 

「全艦聞いたな!!

急いで砂浜まで戻るぞ!!!

行くぞ!!」

 

 

「長門!!アイツはどうする!?」

 

 

磯風は、床に寝転がり笑っているタ級を指差すか長門はその腕を掴み走り出す

 

 

「奴に構ってる暇は無い!!急げ!!」

 

 

それと同時に、敵艦載機が体育館と校舎を爆撃し建物が轟音と共に崩壊し始める

長門達は何とかそこから逃げ出すが空には艦載機達が島に向けて爆撃を開始しており全員は走っていた

その最中に、長門は唐澤へと連絡をいれる

  

 

 

「こちら長門!!!提督!!すまない我々は罠に嵌められた!!」

 

 

『何だと!?状況を報告しろ!』

 

 

「現状況はかなり、こちらが不利だ!

向こうの戦力は不明!だがこちらより圧倒的に多い!

しかも、我々は陸に上がり砂浜の者達と別れている!

こちらはあまり被害は無いが砂浜の者達は分からない!!」

 

 

 

長門の報告に、唐澤は愕然とし辺りにいる提督達はざわめきだしている

 

 

「どういう事だ!?」

 

 

「深海棲艦が待ち伏せだと!!」

 

 

『こちら瑞鶴!本部応答願います!!』

 

 

 

その中再び、インカムから連絡が入る

現在、砂浜で戦闘中の沖縄鎮守府所属瑞鶴だ

 

 

「瑞鶴現状は!?」

 

 

その声に、石澤は反応しマイクを掴み瑞鶴へと話始める

 

 

 

「かなり劣勢です!突如深海より深海棲艦の伏兵多数!!

数は恐らく70を越えています

それにこちらも、突然の事に大パニックになっておりまして」

 

 

瑞鶴が、他の艦娘達に見ると皆武器を放り投げ陸に逃げる者、果敢に戦う者、放心状態の者など多数居た

その間でも、深海棲艦達は砲撃を辞めずに確実にこちらを落としに来ている

 

 

「どうするっぽい!?どうするっぽい!?」

 

 

「ゆゆゆ、夕立落ち着いて!!」

 

 

「クソッ…被弾しちまった……」

 

 

「摩耶!誰か傷の手当てを手伝って!」

 

 

「そうだ!!島の中に逃げるぞ!!反対側に逃げれば……」

 

 

「馬鹿!!陸は空からの爆撃よ!!

入ったらそれこそ向こうの思うつぼよ!!」

 

 

各々、何をすれば良いのか全く分からず艦隊は大混乱に陥っていた

 

 

「瑞鶴!!駄目だ艦載機の残弾が無くなりそうだ!!

何とかならねぇか!?」

 

 

「今!!必死に撃ってるわよ!!」

 

 

瑞鶴は弓を引き艦載機を深海棲艦達目掛けて撃つが、すぐに撃墜される

 

 

「クソ!!目障りね……」

 

 

砂浜に近付く敵艦隊には対空性能に優れた軽巡ツ級が三体ル級の後ろに隠れこちらが艦載機を飛ばした時にだけ、ル級が下がり直ぐ様艦載機を落としてくると言う連携を取ってくる

 

 

向こうがこちらに向かってくる編成は前列にル級が九体、その後ろにタ級が六体、ツ級が三体その後ろにリ級やハ級等が何体も控えている

 

 

「何なのよ!!アイツら!!」

 

 

「提督!!応答願います!!

指示をお願い致します!!」

 

 

「瑞鶴!!とりあえず…」

 

 

 

ウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!

 

 

 

瑞鶴の悲痛な声に指示を出そうとすると警報装置がけたたましく鳴り出す

 

 

「今度は何なんだよぉ!!」

 

 

白鳥は頭を抱えながら警報装置の前にいる職員を怒鳴り付けると職員は慌ててその警報装置が鳴る原因を突き止める

 

 

 

「深海棲艦が、一体こちら沖縄に向けて進軍中!!!

どうやら、宮古島の陸地に隠れていた模様です!!」

 

 

「何だと!!」

 

 

元帥は、デスクから勢いおく立ち上がると椅子が倒れるがそんなことお構い無しに職員に駆け寄る

 

 

「何だ!何がこちらに来ているんだ!!」

 

 

「元帥!落ち着いてください」

 

 

「お待ちください、今モニターに出します!!」

 

 

職員は、急いで警報装置を処理し無人偵察機の映像をモニターに出そうとパソコンを必死になりながら動かす

 

 

「早くしろ!!」

 

 

「何が来ているの!?

ただのはぐれでしょ!?」

 

 

 

 

後ろから、何人かの提督に煽られながらパソコンを弄ると準備が終わったのか砂嵐状態だったモニターが少しずつ鮮明になり映像が流れる 

 

 

「映像!!出ます!!!」

 

 

その映像に、ここにいる全ての人間がモニターを見ており映像がハッキリと写った瞬間全員が愕然としながら絶望する

大淀は口を押さえ、元帥は膝をつき、唐澤はモニターを睨み、白鳥頭を抱えている

 

 

「嘘……どうして………」

 

 

「あり得ない……何故だ…」

 

 

「何故……貴様がそこにいる?」

 

 

「嘘だろ……嘘だ……」

 

 

その映像には一体の深海棲艦が写っていた

誰よりも居て欲しくない最悪の者が

そして、佐渡が一言だけ呟く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦艦……棲姫…!」

 

 

その映像には、明らかに姫よりデカイ艤装の肩に乗り口元を吊り上げニヤリとしながら沖縄を目指し航行する戦艦棲姫の姿だった

 

 

 

 

  


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