「嘘よ……何でアイツがこっちにいるの?
じゃ、じゃあ多良間島の深海棲艦は誰が指揮してるの!?」
「分からねぇよ!!クソクソ!!」
「提督!落ち着いてください!」
葛城に猿橋は、この状況に混乱し本来の仕事である艦隊指揮が出来る状態ではない
彼等だけではない、ここにいる提督のほとんどがこの映像に絶望しきっていた
そして、白鳥の一言がこの場を更に悪化させる
「終わった……もう無理だ…
この沖縄は戦艦棲姫によって滅ぼされるんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「あ、あぁ、あぁぁぁぁぁぁ!!!」
「逃げろ!!!この島から早く逃げろ!!!」
その言葉を合図に、部屋に居た海軍職員は大混乱に陥る
それを聞いていた沖縄鎮守府に来ていた他の海軍職員に伝達され沖縄鎮守府全体に広がってしまう
「諸君落ち着け!!まだ、我々は負けたわけではない!!
持ち場にもどれ!!」
元帥が必死に、マイクを使い館内放送をかけるが大混乱に陥っている為か全く効果がない
唐澤は、唇を噛み締めながら悔しがっていると佐渡が椅子にもたれ掛かりながらインカムを付けているのを見ると
「おい、佐渡少尉。
いや、佐渡」
椅子にもたれ掛かっている佐渡の胸ぐらを掴み持ち上げる
「貴様……これを知っていたのか?」
持ち上げられた佐渡は、帽子を深く被りながら目を伏せる
「いいえ、全く誘い込まれてるとは思ってましたが
まさか戦艦棲姫が出てくるとは思いませんでした
向こうもかなり本気見たいですねぇ」
「この状況が分かっているのか!!」
「分かってますよ?
だからこそ、戻らせても良いですよね?私の艦隊も?」
「何だと?」
佐渡はそう言うと、インカムを使い自分の艦隊叢雲達と連絡を取る
「叢雲、応答しろ」
『何?司令官、何か騒がしいけど?』
「撤退だ、沖縄まで戻ってこい」
『はぁ?もう作戦終わったの?戦艦棲姫撃破?』
叢雲は、海上で二人を正座させ暑い中説教をしており、佐渡の言葉に驚いていた
『いんや、失敗だ作戦失敗
しかも、俺達の敗けだ
確実にな』
その言葉に、叢雲は二人を正座から立ち上がらせ真面目な顔持ちで佐渡に尋ねる
「……説明して」
『簡単に言うと、待ち伏せされて連合艦隊はボロボロ
沖縄に向けて戦艦棲姫が爆走中~』
それを聞いた瞬間、大井の顔が青ざめ、古鷹は慌てる
「嘘でしょ……北上さん……」
「そ、そんな!!皆さんが!?」
二人が慌てる中、叢雲だけは落ち着いた面持ちで話を聞いていた
「……何か無いの?打開策」
『ねぇな、さっぱり
今回に関しては詰みだ』
佐渡は、そう言うと立ち上がり部屋を出ていこうとする
「待て!佐渡少尉!!どこにいく!?」
元帥が、佐渡を呼び止めると佐渡は帽子を取り両手を広げる
「逃げるんですよ?まだ死にたくないですからねぇ……
それにアイツらを迎えに行かないと行けないですし」
「そうだ…そうだよ!!佐渡!お前の艦隊で足止めすれば……」
「白鳥少将それ本気で言ってますか?」
「だって、そうすれば少しは俺達が逃げる時間が……」
佐渡は、溜め息を付くと白鳥を指差す
「確かに、叢雲達が戦えば少しは時間を稼げるかも知れないですね?
ですが、それよりも彼女達が沖縄に戻り島民を逃がす方がどう考えても効率が良くないですか?」
「どういう意味だ!」
「彼女達は代用が効きますよね?でも島民を殺してしまうとなると海軍の面子に関わるんですよ
ま、どうせ海軍の面子なんて丸潰れですけどね」
佐渡は、そう言うと再び椅子に座ると沖縄の地図を広げる