硬いですね……
本当に…
大井は左腕を振り上げると艤装に付いている魚雷が全弾発射され真っ直ぐ戦艦棲姫に向けて海面を進んでいく
向こうもどうやら、三人に気付いたらしく戦艦棲姫が艤装に砲撃命令を出し艤装は肩の主砲で三人を砲撃する
その瞬間を見ていた、佐渡は直ぐ様命令を出す
『叢雲、大井はそのまま航行、古鷹は航行停止後右に避けろ』
「な!砲撃を受けているのよ!」
大井は、その指示に反発し避けようとするが叢雲が大井の腕を掴みそれを阻止する
「馬鹿!!従いなさい!!」
「従って!大井さん!!」
古鷹は停止すると、右に航行しながら右腕の艤装を構えている
すると空から先程敵艤装から撃たれた砲弾が二人めがけて飛んでくる
(直撃する!!)
大井は目を瞑るが、一向に当たる気配はなくその代わりに大井と叢雲の回りに全ての砲撃が落ち
二人は無傷である、古鷹の方も先程いた場所に砲撃が落ち全員無事である
「嘘……」
「行くわよ!大井!!!」
それを見た提督達から歓声が上がり、佐渡へと目を向け元帥が呟く
「これが、《戦闘の天才》か」
佐渡は、そんなこと気にせず三人から送られてくる映像のみを真剣に見ながら戦艦棲姫と艤装の分析を開始していた
『大井、叢雲と離れ戦艦棲姫と少し距離を保ちながら、古鷹と逆方向に航行
単装砲を準備、砲撃戦に入る
叢雲、後一分で奴に大井の魚雷が到達する
その瞬間、斬り込め
古鷹、艤装を構えながらもう少し奴に近付きながら、叢雲の援護まずは様子を見るぞ』
「「「了解」」」
戦艦棲姫は、先程の砲撃が外れたのが悔しかったのか再び撃とうとするがその瞬間自分の足下に魚雷が到達してしまい急いで艤装の肩に移動すると瞬間爆発が起きる
「良し!命中した!!」
大井がガッツポーズを取っていると水柱が消え戦艦棲姫を見るが全く効いていない
「嘘でしょ!?」
すると、戦艦棲姫がある程度まで近付いて来ると三人をぐるっと見渡すと口を手の甲で押さえながら笑い出す
「アハ、ナニヨコレ
コンナノデ私ヲ倒スツモリナノ?
舐メテルノカシラ?」
「へぇ?喋れるんだあんた?
分かってるくせに言ってくれるわね」
叢雲が、薙刀の様な艤装を持ち直し戦艦棲姫に斬りかかるがそれは意図も容易く戦艦棲姫の艤装の腕に止められる
「マァ、イイワムカッテクルナラ
シズミナサイ!!」
その言葉と、同時に戦艦棲姫の艤装が叢雲の艤装を弾き飛ばし左手の主砲を向ける
だが、叢雲は全く引きもせずに海上を走りながら戦艦棲姫に向かっていく
「バカナノカシラ?
沈メ!!」
戦艦棲姫の艤装が左手から主砲を撃つ瞬間、横からの砲撃が左手に直撃し叢雲の左を霞めていく、忌々しく砲撃の場所を見るとそこには右腕の艤装を真っ直ぐに構えながら静かに息を吐く古鷹が居る
「忌々シイ!!
《ケルベロス》!!!」
「ガァァァァァ!!」
ケルベロスと呼ばれた戦艦棲姫の艤装は咆哮と共に右腕の主砲を向け撃とうとするが、お次は反対側から魚雷が迫りケルベロスに直撃し体制を崩す
「クゥ!ウットウシイナ!!
ケルベロス!」
「あんたの相手は私よ!!」
そして、古鷹とは反対側に居る大井にも向けて左手の主砲を向け撃つ準備をするがその間に叢雲は既に戦艦棲姫の側まで来ている
「チィ!!ケルベロスコイツヲ叩キ潰セ!!」
ケルベロスは、両手を拳にし叢雲に向け殴るが叢雲はそれを寸前で後ろに交わし拳は水面に叩き付けられ水柱が上がるが叢雲はその叩き付けられた拳を上に乗ると腕を伝い戦艦棲姫へと向かっていく
「ケルベロス!握リ潰セ!」
それに気付いた戦艦棲姫はケルベロスに命じるともう片方の手で握り潰そうとするが叢雲はそれを避け高く跳躍すると腰の主砲を二門戦艦棲姫へと向ける
「沈むのはあんたの方よ!!」
「!!!」
叢雲が、主砲を撃つ瞬間ケルベロスが片腕で戦艦棲姫を庇った為主砲はケルベロスの腕に直撃するがやはり効果的なダメージを負わせることは出来なかった
叢雲はその後ケルベロスの肩を蹴り、後ろの海上へと着地する
「…かったいわねあれ」
叢雲は、そう呟くと再び主砲を戦艦棲姫を向けケルベロスは腕に纏わりつく煙を払い叢雲へと向き直る