艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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戦艦棲姫迎撃戦 二

作戦本部では佐渡の第八艦隊の戦闘を他の提督達がまじまじと見ており一同唖然としていた

普通ならたった三人で足止めすら難しい戦艦棲姫相手に優勢な立ち位置でありながらも全員無傷と言う状態だったからである

 

 

「これが、《戦闘の天才》か」

 

 

猿橋はそう呟くと佐渡を見る、佐渡本人に関してはずっと動かずにスカウターに映る三人の見ている姿を何度も見直しながら指示を出している

 

 

 

この戦闘の天才とは、佐渡に付けられた海軍に来る前から付いていたアダ名である

佐渡は戦闘自体をあまり好んでいないのだが相手の初期動作と言動、状態から次に何をして来るかを確実に読むことが出来る

それに加え、今まで受けた戦術や作戦等も全て頭に入れており戦闘に関してはほぼ負けなしと言う物だ

 

 

「唐澤大将そちらはどうですか?」

 

 

「もう少しで、長門達が砂浜に到着する」

 

 

唐澤は長門の通信を聞きながら腕組をしていた

現在、長門達連合艦隊は多良間島の深海棲艦達の相手をしている状態であり砂浜の者達も被害は出ているが何とかなっているらしい

 

 

「佐渡少尉」

 

 

外に出ていた石澤が作戦本部に入ってくると、佐渡に近付く

 

 

「今、阿武隈達が出立した

二十分程度で第八艦隊と合流出来るはずだ

そして、私の艦隊を君に預ける」

 

 

その言葉に、作戦本部の者達はざわめく

位が上である石澤が下である佐渡に部下を預けるなんて通常ではあり得ないことなのだから当然だ

 

 

「君なら私の艦隊を上手く使えるはずだ

だから頼む!!私の《家族》を君に預ける!

奴を!戦艦棲姫を倒してくれ!!」

 

 

「…石澤大尉、それは違います

我々は奴を足止めしてるだけです、撃破ではありません」

 

 

佐渡は画面に集中しながらも冷静に返す

だが、口元を吊り上げにやける

 

 

「ですが、私達では役不足ですからね

石澤大尉に艦隊の支援をお願いしないと行けませんね

それを先に読んでくださるとはとても有り難いです

流石は石澤大尉です、私より上の御方だ」

 

 

 

「そ、そうだとも!!アハハハ!!

ではこれより我々の艦隊を第九艦隊として貴殿第八艦隊として合流させる!!」

 

 

「ありがとうございます!

石澤大尉」

 

 

 

その言葉の意味を理解した、石澤は佐渡に近寄り小声でささやく

 

 

「ありがとう」

 

 

「いえいえ」

 

 

『こちら砂浜に居る残っている艦隊!!

応答せよ!!作戦本部!!』

 

 

返し言葉をすると、瑞鶴から緊急入電が入り作戦本部の者達にも緊張がはしる

 

 

「どうした、瑞鶴」

 

 

唐橋は腕組をしながらインカムに話しかけると瑞鶴からとんでもないことを言われ、焦りを感じる

 

 

『突如として深海棲艦が多数通常からエリートに進化!!しかも倒しかけていた奴等まで回復してる!!

戦艦棲姫が何かしたの!?』

 

 

 

 

 

 

 

 


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