唐澤は、長門からの報告を聞くと一段落したと安堵の溜め息をつく
それを聞いていた佐渡は理解し、三人に報告する
「お前達、そちらに沖縄鎮守府からの増援と多良間島の連合艦隊が合流
俺達が頑張れば勝てるぞ」
『へー!良いニュースね!
でもそれまで持つかしらね!!』
ここは宮古島近海、叢雲率いる第八艦隊が戦艦棲姫と戦っており戦況は良くは無いが何とか足止め出来ていた
「…流石にキッツいわね」
叢雲は、主砲を構えながら薙刀みたいな艤装を握り直すと目の前の戦艦棲姫と艤装ケルベロスを睨み付ける
どうやら向こうはかなりの余力を残している見たいらしく佐渡が警戒している戦艦棲姫の腰の艤装は一切触れていない
「渋イワネ?ソロソロ落チタラドウナノ?」
「はっ!先にあんたが家に帰ったらどうなのよ!
今なら追撃しないわよ?」
叢雲のその言葉にピクンっと戦艦棲姫は反応し艤装のケルベロスを見る
ケルベロスは以前変わらず、口を半開きにしながら荒く息をしている
「……ソウネ、私達ニハ負ケハ許サレナイ…」
戦艦棲姫はそう呟くと、ケルベロスの肩に乗ると叢雲に向けて突っ込んでくる
「オ前達ヲ!!沈メテ私達ハ先ニ進マセテ貰ウワヨ!!」
「ガァァァァァァ!!!」
「かかってきなさい!!何度でも止めてやるわよ!!」
ケルベロスは、肩の主砲を撃とうと標準を叢雲に向けるが瞬間大井と古鷹に両サイドから砲撃を受け爆発を起こし煙に包まれる
「ケルベロス!!私ヲ守ルナ!!全力デ行ケ!!」
「ガァァァァァァ!!!」
その言葉と共に、ケルベロスと戦艦棲姫は煙を突っ切り叢雲と対峙する
叢雲はやはりそう来たかと思いながら叢雲も艤装を握り直すとケルベロスへと突っ込んでいく
「撃テェェ!!」
「ガァァァァ!!!」
戦艦棲姫の合図と共に肩の4連装主砲を叢雲に放つが、急停止して何とか目の前で砲撃を避け水飛沫を突っ切りケルベロスへと向かい出す
「何ダト!?」
戦艦棲姫は、あまりにも無謀な戦い方をする叢雲に驚きながらもケルベロスへと指示を出す
「ケルベロス!!」
「ガァァ!」
突っ込んでくる叢雲に対し、右手の拳を握り締め叩き潰そうとするがケルベロスに対し叢雲は小さく意図も容易くその拳を避け腰の主砲を戦艦棲姫へと向ける
「食らいなさい!」
だが、ケルベロスは左手で叢雲を捉えようとしてくる
「分かってたわよ!!」
叢雲は、瞬間主砲を左手に構え撃つが全く止まる勢いがなく持っている艤装を左手に突き刺す
「グガァァァ!」
あまりの痛みに左手を引っ込めているうちに艤装を引っこ抜き叢雲は再び距離を取る
『流石はうちのエース』
「茶化さないでよバカ」
叢雲は、血の付いた艤装を振り血を払うと海上へ赤い血が撒き散らされる
「オ前、本当ニ駆逐艦カ?」
あまりにも戦闘馴れしている叢雲を睨み付けながら戦艦棲姫は痛みに耐えているケルベロスを撫でている
「えぇ、ただのそこら辺に居るような駆逐艦よ?」
「ソウハ見エナイガナ……」
「あら?褒めてくれるの?素直に受け取っておくわ」
戦闘が再び膠着していると一機の艦載機が戦艦棲姫の頭の上から急降下してくる
「アイツノ艦載機……何ダ?」
叢雲は、艦載機を警戒するがどうやらただの連絡の様な物だったらしく戦艦棲姫の目の前を通りすぎると直ぐ様どこかへと飛び去ってしまう
「………仕方ナイカ、私モヤラナイト通レソウニ無イシナ
余リ手ノ内ヲ見セルノハ良クナイノダガナ」
その言葉と共に戦艦棲姫は腰にある艤装に手を伸ばすと、艤装がまるで吸い付く様に両手にはまりその主砲を叢雲達へと向ける
「サテト、オ遊ビハココマデダ
覚悟シテモラオウカ
艦娘共」
『…叢雲気合い入れ直せ
これからが本番だ』
「えぇ、この要塞を何とか足止めしないとね……
古鷹!!大井!!行くわよ!!」
「やってやろうじゃないの!!」
「援護は任せて!!」
次回
接戦