艦隊これくしょん ー誰ガ為ノ戦争カー   作:霧雨鴉

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戦艦棲姫迎撃戦 二十

南方棲戦姫、全ての始まりそして二度目の戦争を引き起こした最強最悪の深海棲艦

海軍が勢力を上げて倒したい相手

それが目の前にいる

その真実だけが艦娘達へ突き付けられた

 

 

「よっと」

 

 

 

南方棲戦姫は、海面を蹴り勢い良くジャンプをすると監視者の隣に見事に着地すると腕を振り回し肩をゴキゴキと鳴らす

 

 

「あらぁ?本当にやられたの?ユ~リ?

あれだけお膳立てしておいて勝てないなんてねぇ?

あんたどんだけよぉ?」

 

 

「モ、モモモ申シ訳アリマセン!!

クイーン様!!」

 

 

ユリはクイーンと呼ばれた南方棲戦姫に土下座をしており頭を海面に擦り付けている

 

 

「まぁ、良いわ

それに」

 

 

クイーンは言い終わる前に長門達を見ると口元を怪しく吊り上げながら笑い始める

その姿に、艦娘達は恐怖を覚えていた

 

 

「アハハハ!!こんな大勢が相手なら仕方ないかぁ?

じゃあ、殺しますかぁこいつら」

 

 

その言葉にゾッとしながらも全員は主砲をクイーンへと向けるが監視者がクイーンの頭を軽く叩く

 

 

「馬鹿者、今回お前の任務は護送だ

戦うんじゃない」

 

 

「えー!何でよー!

こんなにゴミが浮いてるのよ?

早く掃除しましょうよ?」

 

 

クイーンは長門達を指差しながら子供の様にねだるようにほっぺたを膨らませる

だが、それは演技だと直ぐ様見破った監視者はクイーンを放っておきながら航行し始める

 

 

「帰るぞ」

 

 

「ちぇつれないわねぇ」

 

 

「待て!!」

 

 

ケルベロスとユリを運び始めると、長門がその二人の行方を引き留める

足が震え怯えながらも果敢に二人へと主砲を向けながら

 

 

「誰が行って良いなど……」

 

 

「ふむ、ではやるか?

お前達は傷だらけスタミナも無いのだろう

だがそれに対して私達は体力満タンに君達が恐れているクイーンだぞ?

負けるのは目に見えているだろう?」

 

 

「やるのぉ?構わないわよ?

藻屑になる覚悟が出来たってことよねぇ?」

 

 

「………くっ」

 

 

監視者の言葉に、長門は連合艦隊と叢雲達を見渡すが戦える状態ではない

それに加え、深海棲艦を操ると豪語する監視者に南方棲戦姫の歴戦種

こちらに勝機はない

 

 

『…長門沖縄に帰投せよ』

 

 

「提督……」

 

 

『これ以上の被害を出しても仕方ない

責任は私が取る帰ってこい』

 

 

唐澤の言葉に納得し、主砲をおろし唇を噛み俯く

 

 

「懸命な判断だ

そうだ、多良間島と宮古島は返却しよう

もう必要ないからな

行くぞクイーン」

 

 

「アハ、なっさけなーい」

 

 

ル級達は、ケルベロスとユリを持ち上げクイーンが来た方角へと走り出し

クイーンと監視者もその後ろを付いていく

その姿を見送る事しか出来ない連合艦隊と叢雲達は自らの弱さと敗北に頭を抱え悔しさに耐えており

叢雲と長門はクイーンが通り過ぎる瞬間睨みを効かせ、クイーンは余裕な表情をしていた

 

 

「そうだ」

 

 

最後に通り過ぎた、監視者は長門達に振り返ると杖を掴みながら無表情のまま続ける

 

 

「君達への賞賛は私の本心からだ

良くもまぁ、エリート化のあれらを処理出来たものだ

 

 

次はもう少しこちらも策を練らせてから行かせてもらおう

 

 

 

また会おう、お互い死ななければな」

 

 

そう告げると、振り返りケルベロスとユリ達の後ろを付いていくように航行し、しばらくすると水平線へと消えていく

 

 

「くそ!!!後少しだったのに!!!」

 

 

 

「悔しい……です!!」

 

 

 

「比叡お姉様…私もです!」

 

 

 

完全に姿が見えなくなった瞬間、瑞鶴は弓を海面に叩き付け比叡や霧島、長門達は悔しさに唇を噛み締める

 

 

「………すまない提督」

 

 

『嫌、これでいい

連合艦隊帰投せよ』

 

 

「……分かった

全艦!沖縄に帰投せよ!!」

 

 

長門の合図に連合艦隊はとぼとぼとした足取りで帰投する

勝利はした、目的の多良間島は取り返した

だが、連合艦隊はユリと呼ばれる戦艦棲姫と艤装ケルベロスを逃がしたと言う結末に納得出来るものは居なかった

そんな中四人、海面に倒れ意識を失った艦娘がおりその音が全員の目を集めた

 

 

「大井っち!!しっかりして!!」

 

 

「叢雲さん!!古鷹さん!!」

 

 

「阿武隈!!ちょっと大丈夫!?」

 

 

 

先程までケルベロスとユリを相手取り痛みと体力の限界が来ており全く動けなくなっていたのである

全員傷口から大量出血をしており海面が赤く染まっている

 

 

(あれ……動かない…

ちょっと、無理し過ぎた…かしら)

 

 

薄れゆく意識の中、耳元から聞こえる佐渡の必死な声と心配する声が頭に反響する

 

 

(眠い……駄目だ…

あいつに…心配……)

 

 

そう考えている間に叢雲は眼をゆっくりと閉じ意識を手放してしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           海上要塞ケルベロス

         戦艦棲姫ユリ迎撃戦 end





次回

お前は誰だ


今回でVS戦艦棲姫戦は終わりになりますが、次回は今回の話に関係ありません!
良かったら見て頂いても良いのよ?(チラッ)









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