譲 「ん~~~~~!おいしっ!」
剣の特訓を始めてから約60年ぐらいたったと思う。始めた頃は筋力が少なく、近くにある木しか切ることが出来なかったが今では剣を横に振った時の風圧だけで木が横に真っ二つになるぐらいまで強くなった。ちゃんと剣の特訓も続けているが最近は、イノシシなどを殺したりして焼いて食べたりしている。今食べているのは、空を飛んでいた鳥を捌いて焼いたものである。
譲 「鳥肉を食べるのは久しぶりだな。昨日食べたイノシシの丸焼きも美味しかったけどこれも美味しい!」
しかし、1人で食べているととても寂しく感じてしまう。鳥肉は美味しいのだが誰かと一緒に食べたいと日々思ってしまう。
譲 「はぁ......早く人に会いたいな.....」
? 「クーン」
譲 「ん?」
1人で虚しく喋っていたら突然、隣から鳴き声が聞こえた。隣を見てみると、茶色い毛並みの犬が自分が食べている鳥肉をつぶらな瞳で見ていた。
譲 「鳥肉が欲しいの?」
犬 「ワン!」
譲 「まぁ、後1羽残ってるからいいか。はい、どうぞ。」
1羽を犬にあげる。犬はそうとうお腹が空いていたのか尻尾を左右にブンブン振りながら結構大きい鳥肉を凄い勢いで食べていく。
譲 「ゆっくり食べればいいんだよ。」
ゆっくり食べればいいと言ってあげるが、食べる勢いは、止まらず2分ぐらいで食べ終わってしまった。
譲 「凄い食欲だな....」
犬 「ワン!ワン!」
多分ありがとうと言っていると思う。しかし、なんで犬はここら辺にいたのだろう。
譲 「君の親はいないの?」
犬 「クーン」
ふむ、どうやらいないようだ。さっきまで振っていた尻尾が元気を失ったようにたれてしまった。
譲 「そっか.....これからどうするかも決まってないの?」
犬 「ワン!」
縦に首を振っている。このままだとこの犬はのたれ死んでしまうだろう。それは、とても可哀想だ。
譲 「....よし!僕と一緒に来ない?」
正直、自分が寂しさにより孤独死しそうだから一緒に来て欲しい。まぁ、決めるのはこの犬だ。強制はしない。
犬 「ワン!ワン!」ブンブンブン
どうやら、一緒に来たいようだ。尻尾の振りがさっきより激しくなっている。
譲 「分かった!なら名前を決めよう!」
一緒にいるのならずっと犬と言っていては、可哀想だから名前を付けなければ。だが、そんなに簡単には付けられない。どのような名前にしよう。ポチは定番すぎるからダメだな。
譲 「う~~ん.......あれ?何処に行った?」
名前を考えるのに夢中になっていると、犬が突然いなくなってしまった。
譲 「何処に行ったんだ...」
近くをくまなく探してみるが何処にもいない。
犬 「ワオーーン」
近くを探していると犬の遠吠えが聞こえてきた。遠吠えがした方を見る。少し遠いところにここら辺の木より大きい木が立っていた。その木をよく目を凝らしてみると木の幹に探していた犬を見つけた。
譲 「......」
大きな木にのり遠吠えをしている犬を見て、考える。
譲 「大きな木から、大木....」
名前としての響きはいいが、漢字がいまいちピンと来ない。うーん....あっ!
譲 「良いのが思いついた!今日から君の名前は」
遠くにいる犬に、聞こえるように叫ぶ。
『大樹』だ!
大樹 「ワオーーン!」
大樹は、嬉しいのか大きな遠吠えをして来た。これで僕はもうこれから寂しく感じることはない。これから一緒に頑張っていこう。大樹。