ぎゃくてん! ~ブ男は異世界ではイケメンらしい~   作:リンゴリライオン号

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圧倒的二時間クオリティ!



プロローグ

 はっきり言おう。俺はブサイクである。

 

 分かるだろうか。ブサイクとは不細工と書くことを。もとは手工芸品で劣っているモノを不細工と評していたらしいが、今日では顔がなんかもう醜い奴に対する蔑称となっていることを。

 

 分かるだろうか。親しい間柄でもブサイクと言われると傷つくことが。なんならブサイクってだけでいろいろ損してるという事が。

 

 分かるだろうか。ブサイクってだけで女の子と話すハードルが上がるという事が!

 

 ああ、そうだとも。俺はブサイクだ。でも女の子と楽しくお話(深い意味はない)したいのだ! だから俺はブサイクなりに頑張った。せめて清潔感を保とうと。せめて臭いには気を遣おうと。せめて髪型は変にならないようにしようと。せめて平凡な顔立ちに近づけようと。

 

 ブサイクにはブサイクなりの意地がある。ブサイクブサイクと呼ばれて黙ってられるほど、俺は男として廃れちゃいない! 友達や本、ネットのアドバイスを受けてブサイクと呼ばれる要因を極力なくそうとした。

 

 しかし、そんなある日のこと―――

 

 「なにそんな必死になってんの?」

 

 と、笑われながら女の子に言われた。あ、因みに高校の頃の話な。

 

 もうね、すっげぇ悲しかった。何が悲しいって、俺その女子の事気になってたんだよね。だからちょっと「必死」って言葉が効いた。しかも向こうは冗談交じりに言ってるんだから始末が悪い。

 

 まぁね、でもね、それでもなんだかんだで女の子と会話することは出来るようになったのだ(因みにその女子とも仲良くなった)。しかし人は目標を達すると、新たな目標を打ち立てるものだ。そして次の俺の目標とはずばり、

 

 ———嗚呼、彼女が欲しい

 

 という、何でもない男子高校生ならおおよその奴が思うであろうありきたりな希望だった。

 

 ところがこれがめちゃくちゃ難しかった。というか現在進行形で難しい。今、もう三十路にもなろうかという瀬戸際で、いまだに交際経験がないほどだ。

 

 理由も正直分かってない。確かに俺の頭の中はア〇ビちゃん顔負けのピンク一色だが、それを面には出すまいと超紳士的に振舞ってきたつもりだ。だから自分の何が悪いかを一生懸命考えた。なんなら友人たちにも相談した。でも皆は「お前はそのままでいい」とぬかしやがる。

 

 「ちく、しょう……。なん、で、なん、……ろうなぁ」

 

 死ぬ間際だからだろうか、声を出すのも億劫なのに思った事が口に出ていた。体はとても熱く、動かすことができない。わずかに首を動かすと自分の上半身が瓦礫で埋もれていた。よく見ると右手がぺちゃんこになっていた。無駄に動かそうとすると引き千切れそうそうだ。

 

 ———清水さんっ!!

 

 誰かの声が聞こえた気がした。返事をしようと声を出そうとしたら、温かいものが喉からあふれてきた。たまらずにそれを吐き出すと、赤黒い血だまりが出来る。

 

 「そんな、しみずさん、私をかばって……!」

 

 ああ、思い出した。この声はしおりちゃんだ。俺なんかよりもよほど優秀なめがねっ子で、すごくかわいい。今はまだ俺の部下ってことになってるけど、そのうちたぶん追い抜くんだろうなぁとか勝手に思ってる。いくら年功序列っていっても、3,4歳しか違わないとさすがにね。

 

 でもそんなことより、伝えなきゃいけない事があるんだ。

 

 「だ、いじょぶ、だっ、い?」

 

 ああ、ダメだ。声が震えててうまく話せないや。

 

 「っ!!」

 

 しおりちゃんが俺の無事な方の手を握ってくれた。うれしい。

 

 そういえば女性に手を握られるのってこれが初めてのような気がする。あたたかいぜ。

 

 彼女は何かを言っているが、もう聞き取れなかった。何を言ってるのだろう。しっかり聞きたいのに。

 

 でも、そうだな。俺のために可愛い女の子が泣いてくれるのは悪い気はしない。でも泣かせたままなのは心苦しい。

 

 ———ほら笑って!

 

 いつも俺が言ってた言葉だ。本当はいつまでも彼女が出来ない自分を元気づけるための暗示的な言葉だった。でもトイレで他の人に見られ、社内でネタにされるようになってからは開き直って社員にも言うようになったのが始まりだった気がする。

 

 ただ残念かな。今日は言葉ではなく、ただひゅーひゅーとサッカーボールの空気が空気抜けたような音しか出なかった。

 

 今度は目が見えなくなってきた。さっきから視界はぼんやりしてたけど、今は端の方が暗くなっている。

 

 相変わらずしおりちゃんは泣いていた。

 

 最後までしおりちゃんは泣いていた。

 

 それが、心残りだった。

 

 




すっからかんの文章能力でも自分の書き物が投稿できるハーメルンさんには本当に感謝です。
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