その日、世界中を震撼させるニュースが極東の島国から飛び出して行き、各国の新聞の一面を飾った。
このニュースに世界中の女性達が驚き、世界中の男性達が震え、日本政府が頭を抱える事態となってしまった。
世界初の男性IS操縦者、織斑一夏がその存在を世に顕した事で、一度180度引っ繰り返った世界は、再び掻き回されて1度ほど戻ったのだ。
その後、彼の意志を完全に無視して進路が決定され、行き先のIS学園が上へ下への大騒ぎと相成って、要約の事で落ち着きを取り戻し掛けた頃、もう一人の男性適合者が現れると、学園関係者達は再び狂乱の中へと叩き落とされ、漸く終わった追加の受け容れ準備や諸々の手続きが終わったのが入学式前日の事だった。
この二人目の男性適合者出現の報は、どう言う分けか、その扱いのそれは一夏少年の時とは打って変わって、世間では全く騒がれはせず、その報道の様子にある一人の教師は違和感を覚える。
奇しくもその二人目に男子生徒の副担任となった教師は後の世で、当時の事を振り返りつつ語った。
曰く彼は、ありとあらゆる意味で一人目に男子生徒の織斑一夏少年を凌駕し、誰よりも常識的で、学園に置いては誰よりも異常な存在だったと。
不甲斐ない自己紹介を満足げにおえた織斑一夏は、自信満々に着席しようとするが、それは突如姿を現した姉によって阻まれてしまった。
「お前は自己紹介も満足にできんのか」
この言葉と共に、新学期早々の教室で織斑一夏少年の頭が姉の手に持つファイルによって叩かれたその時、先程まで自身にそそがれていた全員の視線が注がれている方に、痛みに呻きながら見た。
「ち、千冬ねぇ!?」
「織斑先生だ馬鹿者め」
本日二度目の打撃を受けた一夏が机に伏して呻くのを尻目に、騒ぎ出す生徒を静まらせた織斑千冬が話し始めた。
「まず最初に、お前達に伝える事がある」
そう前置きした織斑千冬は、猶も頭を抑えている弟の方を一瞥すると続く言葉を吐き出した。
「このクラスにもう一人、追加の生徒が入ることになった。それも男子生徒だ」
千冬の言葉に教室内が色めき立ち、生徒達の私語で騒がしくなる。
「静かにしろ馬鹿者ども」
そう言った織斑千冬は、猶も騒ぎ出しそうな生徒に虎の様な視線でにらみ付けて生徒達を静まらせると、今度は自身の入ってきた教室のドアの方に視線を移して言った。
「入ってこい」
シンプルな千冬の一言の後、教室内の全員の視線が扉に注がれると、タップリと間を置いてから、ゆっくりと扉がスライドして開け放たれた。
奇妙な緊張感が走り、一夏が喉の渇きのような物を感じる中、開け放たれた扉の向こうから一人の男が入ってきて教室を見回しながら言った。
「デュフフフwww皆様www宜しくで御座るwww」
その瞬間、教室の空気が凍り付き、ただ一人、織斑少年の表情だけが明るくなったのは言うまでも無い事だった。