一夏の友人は常識人の夢を見る   作:hggj

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第十八話

「曹長」

 

「オッフwなんで御座るか?」

 

 学年別トーナメント終了から二日経った日曜日、オタクは医務室のベッドで暇を持て余していたラウラの相手をするために彼女に、とあるライトノベルを貸し出していた。

 何もする事の無かったラウラは、そのライトノベルを手に取って読み始めるが、暫く読んだ辺りで唐突にオタクに声を掛ける。

 同じくライトノベルを読んでいたオタクは、顔を上げてラウラに返事をすると、ラウラは手に持っていた本を指差して尋ねた。

 

「幾つか聞きたいことがあるのだが良いか?」

 

「www良い御座るよwww何で御座るかwww」

 

「この部分に書いてある事なのだが、バンカークラスターと言う兵器は、どの様な運用思想の下に開発されたのだ?GPS誘導爆弾のバンカーバスターをばらまく事に何の意味があるのか、また、200の地中貫通爆弾を搭載出来るミサイルとは、どの様なミサイルなのだ?」

 

「それを聞くで御座るかwww」

 

「それと、コッチの巻に出てくる拳銃はどう言う素材なのだ?紅茶を掛けただけで熱膨張で不具合を起こす銃器など聞いた事が無い。そして、このメタルイーターと言うアンチマテリアルに関しては素直にM2を使えば済むのに、何故、態々ライフルにしたのだ?」

 

「やっべwww反論出来ねぇwww」

 

 ラウラからの指摘に対して、オタクは暫く考えてから口を開いた。

 

「ではwまずは、メタルイーターに着いてで御座るが、恐らく重機関銃よりも搬送性に優れ、かつ強力な単発の火力を目指したと推測できるで御座る」

 

「ふむ」

 

「態々ライフルにしたのはその搬送能力を高めると同時に、M2よりも手に入りやすいと言う事もあると思われ、つまり、コレは民間で手に入る銃器で50口径の機関銃の代替品を目指したと考えるのが自然で御座る」

 

「成る程」

 

「次に、此方のバンカークラスターに着いてで御座るが、コレは作った国を見れば納得がいくはずで御座る」

 

「何?」

 

「コレを作ったのは英国で御座る。あの、珍妙な兵器を作る事に定評のある英国で御座る。それだけで説明がつくで御座る」

 

「確かにな。あの国は妙な物ばかりを作る」

 

 正直、ドイツも日本も碌な物を作らない気がするが、当の本人達にはその様な考えは浮かばなかった。

 

「最後に、この拳銃で御座るが・・・あ~・・・恐らく、正規品では無く、自作のデッドコピーと考えるのが自然かと」

 

「だが、幾ら粗悪品にしてもコレでは1発撃てるかも分からないでは無いか」

 

「・・・火薬では無く圧縮ガスか何かで弾を撃つ物だったとしか言いようがないで御座るwww」

 

「・・・そうか」

 

 非情に苦しい説明だが、ラウラはオタクからの答えを聞いて、それ以上は追求はしなかった。

 それから、ラウラは前にオタクから進められたネット小説を読みながら再びオタクに尋ねる。

 

「曹長」

 

「今度は何で御座るかwww」

 

「この小説なのだが、妙に誤字と脱字が多くは無いか?幾ら無料の投稿作品とは言え、コレは酷すぎるだろう。特にこの十七話は酷すぎると思うが」

 

「・・・ネットにも色々居るので御座る・・・きっと酔っぱらって書いていたので御座る・・・」

 

「そうか」

 

 それから暫く、二人は無言で思い思いに暇を潰していた。

 そろそろ、西の空が赤く染まり始めると言う時間に差し掛かり、そろそろお暇しようかとオタクが思い始めていた時、医務室の扉が開かれた。

 

「やあ、ここに居たんだね」

 

「これはwシャルル氏wwwこんにちはで御座るwww」

 

「はい、こんにちは」

 

 入ってきたのはシャルルだった。

 何処かに出掛けていたのか、制服では無く私服姿で、もうすぐ夏だと言うのに、妙に厚着をしているようにオタクは感じた。

 

「シャルル氏、随分と寒がりで御座るな?」

 

「へっ?」

 

「今日は中々暑かった筈で御座るが、それでもジャケットを着るとは」

 

「あ、ああ、うん、そうなんだ。僕って寒がりでさ」

 

 シャルルの言葉に、ラウラが反応して口を開く。

 

「コレで寒いのか?私に取っては少し暑く感じるが」

 

 緯度の高いドイツ出身のラウラは、今日は少し暑く感じられたらしく、シャルルの寒いと言う言葉に驚いた様子だ。

 

「ほら、フランスってドイツよりも緯度が低いでしょ?その所為じゃ無いかな。それに、僕はフランスでも南の方に住んでたから」

 

 シャルルの言葉に、オタクが更に尋ねる。

 

「南?暖かいって事は地中海側か?」

 

「うん、マルセイユだよ」

 

「そうか、随分温暖な所の出身なのだな」

 

 ラウラが頷きながら言うと、今度はシャルルがラウラに尋ねた。

 

「ラウラは何処に居たの?」

 

 シャルルの質問に対して、ラウラは直ぐに答える。

 

「私の部隊は、ニーダーザクセン州のゼードルフに駐屯している」

 

 ラウラからの返事に、シャルルは今一ピンときておらず、それでも何となく北の方だと言うのは理解した。

 それに対して、オタクは少し考えるようにしてから口を開く。

 

「ザクセン・・・もしや、オルテンブルク旅団で御座るか?」

 

「ああ、第31空挺旅団だ」

 

 この時、シャルルは内心で何故地名を聞いただけで、直ぐに所属部隊の予想が出来たのだろうかと言う疑問を胸に抱きつつ、二人の話に耳を傾ける。

 

「空挺で御座るかwww拙者も是非とも行ってみたかったで御座るなwww」

 

「曹長は空挺では無いのか?」

 

「最近配属が代わって中央即応連隊になったで御座る。その前の3月までは即応集団内の司令部直下だったで御座るwww」

 

 中央即応集団は廃止されて陸上総隊になり、それに伴ってオタクは中央即応連隊に組み込まれた。

 現在は連隊内の本部管理中隊に所属している事になっている。

 

「そうか、二人は軍に居るんだったね」

 

「厳密には拙者は違うで御座るがwww」

 

 現在、この学園に通う生徒の中で、軍、もしくはそれに類する組織に所属しているのはオタクとラウラの二人だけであり、それ以外の他の専用機持ちは企業や法人に所属している。

 

「さて・・・」

 

 シャルルが来てから更に話し込んでしまって、陽が水平線の彼方へとその姿の半分を隠し、東の空に夜の闇が迫り始めている。

 オタクは小さく言葉を発しながら立ち上がって、ベッドの上のラウラに言葉を掛ける。

 

「拙者はそろそろ、お暇しようと思うで御座るwww」

 

「あ、じゃあ僕も」

 

 オタクの言葉に続いて、シャルルも立ち上がってラウラに向く。

 

「そうか」

 

 帰るという二人に向かってラウラは、短く言葉を返す。

 

「本は置いて行くで御座るwww暇つぶしに使って下され少佐殿」

 

「ああ、有り難く借り受けよう。明日には返す」

 

「お気遣いなさらずwww」

 

 そう言ってオタクはラウラに背を向けると医務室の外に向かう。

 

「じゃあ、僕も行くね?また明日」

 

「ああ、教室で会おう」

 

 シャルルもラウラと言葉を交わして直ぐにオタクの後を追い、医務室を後にした二人は並んで暗い廊下を歩く。

 

「何か、タクってラウラと仲が良いね」

 

「そうで御座るなw拙者と仲良くしてくれるなんて、優しいおにゃのこ様で御座るwww」

 

「もしかして、タクってモテるの?」

 

 シャルルの放った言葉を聞いて、オタクは足を止めて隣のシャルルに顔を向ける。

 

「な、何?」

 

 無言で自分の事を見詰めてくるオタクに、シャルルは戸惑いながら声を掛けた。

 

「シャルル氏」

 

「な、何かな?」

 

「wwwそのジョークは無いで御座るwwwもう少し現実味のある冗談の方が面白いで御座るwww」

 

「あ、あははは。そうかな?」

 

「そうで御座るよwww拙者がモテるなんてwww拙者とお付き合いして下さるおにゃのこ様は、ツンドラ地帯の奥地にも居ないで御座るwww」

 

 そう言うと、オタクは笑いながら歩き出し、シャルルもその後に続く。

 校舎を出ると、寮へと向かおうとするシャルルとは反対に、オタクは駅へと足を向ける。

 その事に疑問を感じたシャルルは、オタクに尋ねた。

 

「何処に行くの?」

 

「ちょっと野暮用へwww」

 

「野暮用?」

 

「デュフフフwwwラーメンを食べに行こうかとwww」

 

「ラーメン!」

 

 オタクが外のラーメン屋に行くと言うと、シャルルは目を輝かせて食いついた。

 

「ラーメン屋さんに行くの!?」

 

「そのつもりで御座るwwwシャルル氏も来るで御座るか?」

 

「勿論!」

 

 オタクがシャルルに聞くと、シャルルは二つ返事で答える。

 ラーメンと聞いてテンションを上げるシャルルは、待ちきれないと言う様子で足早に駅へと向かおうとしてオタクを急かす。

 

「早く行こう!早く!」

 

「シャルル氏www落ち着くで御座るwww」

 

 最早、我慢出来ないと言う風にシャルルはオタクの右手を掴んで駅まで引っ張って走り、丁度良く到着していたモノレールに乗り込んだ。

 

「ラーメン」

 

 余程、ラーメンが楽しみなのか、シャルルは珍しく落ち着き無く身体を揺らして、歌うようにラーメンと呟いた。

 

「www」

 

 オタクはその様子を微笑ましく思いながら眺め、ラーメンの前に飲みに行こうとしている事を伝えるべきか悩んだ。

 そんな二人を乗せたモノレールは本土に到着し、ドアが開くなり、シャルルがオタクの手を引いて駅の外に向かう。

 

「さあ、早く行こう!」

 

「ま、待つで御座るシャルル氏」

 

 シャルルはオタクの制止の声を聞くと、渋々立ち止まってオタクに顔を向ける。

 

「申し訳ないで御座るが、拙者、ラーメンの前に行きたい所があるので御座る」

 

「行きたいところ?」

 

 オタクに言われて首を傾げるシャルルに、オタクが目的地を告げる。

 

「居酒屋に行こうと思っているで御座るwww」

 

 と言うと、シャルルは顔を伏せて黙り込んでしまった。

 そんなシャルルの様子を見て、オタクは悪い事をしてしまったかと思って予定を変更しようかと考えるが、直後にシャルルが顔を上げて言った。

 

「いいね!」

 

「ふぁっ?」

 

「居酒屋!僕も行ってみたい!」

 

 このシャルルの一言で二人で居酒屋に行く事が決定し、オタクは内心で今日の酒量は自重しようと決めた。

 

「wwwでは行くで御座るwww」

 

 オタクが向かった居酒屋は、学園に来てから週一程度で通うようになった店で、普段通りにカウンター席に着く。

 シャルルもその後に続いて、オタクの隣に座り、用意されたおしぼりで手を拭う。

 

「タクは何を頼むの?」

 

「そうで御座るな・・・」

 

 シャルルに聞かれたオタクは少し考えるようにして、取り敢えず店員を呼ぶ。

 

「すいませーん」

 

 オタクが声を上げると、店員が直ぐに駆け寄ってきて注文を取る。

 

「取り敢えず生大一つと・・・シャルル氏は何を呑むで御座る?」

 

「じゃあ、リンゴジュースで」

 

「・・・で、あ~・・・刺身盛り合わせとアンキモ、鶏唐揚げ・・・シャルル氏は?」

 

「え~・・・何にしようかな・・・」

 

 少し考え込むシャルルは、顔を上げてオタクに言った。

 

「タクがオススメしてくれるので良いよ?」

 

 シャルルに言われて、オタクは店員に向き直って注文を続ける。

 

「天ぷら盛り合わせで」

 

 注文を締めくくると、店員は注文の内容を確認してから、足早に厨房へとオーダーを伝えに行く。

 

「ここがニホンの居酒屋」

 

「普通の居酒屋で御座るwww」

 

 感慨深そうに店内を見回すシャルルを、オタクはホッコリして見詰め、その後に運ばれてきたジョッキを受け取った。

 ジョッキに並々と注がれたビールをオタクは勢い良く飲み始め、一息に全てを飲み干してしまう。

 

「生大お代わり!」

 

 直ぐさま店員に声を掛けてお代わりを要求するオタクを、シャルルは唖然として見詰めていた。

 

「どうしたで御座るか?」

 

 オタクが尋ねる。

 声を掛けられたシャルルは少し呆けた様子で、反応を返すのにタイムラグがあった。

 

「え、あ・・・いや、凄い勢いだったなって・・・」

 

「wwwいやはやwww最初の一杯は遂www」

 

 笑って頭を掻くオタクの下に、二杯目のビールが運ばれてくる。

 同時に、オタクとシャルルの二人の前に小皿に盛られた漬物が置かれた。

 

「コレは?」

 

「お通しで御座るw」

 

「オトーシ?」

 

 聞き慣れない言葉にシャルルが首を傾げ、オタクはビールを一口呑んでから説明する。

 

「居酒屋なんかで酒を頼むと出てくるつまみの事で御座るw」

 

「タダなの?」

 

「店によるで御座るwww色々人によって意見はあるで御座るが、拙者は気に入っているで御座るよwww」

 

「ふ~ん・・・お通しか・・・」

 

 等と話している内に、二人の下に注文していた料理が届く。

 

「さあ、食べようで御座るwww」

 

 オタクはそう言って唐揚げから食べ始めた。

 オタクに促されたシャルルも、なすの天ぷらを箸で持ち上げようとするが上手く行かない。

 

「オッフwwwシャルル氏wwwまだ、箸には慣れて居なかったで御座るかwww」

 

「うん・・・少しずつ練習はしているんだけどね」

 

 少し残念そうに小さく返すシャルルに、オタクは笑いながら返す。

 

「まあ、追々慣れていけば良いで御座るwww」

 

 そう言って、オタクは店員にフォークを持ってくる様に頼むが、突然シャルルがオタクに向かって突拍子もない事を言い出した。

 

「ねえ、タク」

 

「なんで御座るか?」

 

「食べさせてよ」

 

「・・・ゑ?」

 

 突然何を言い出すのかと思えば、シャルルは自分に食べさせろとオタクに要求して口を開けた。

 

「・・・」

 

「ねえ・・・早く来て?」

 

 シャルルに促されたオタクは、何かイケない事をしているような気分になりながら、つゆに漬けたなすの天ぷらをシャルルの口に運ぶ。

 

「・・・あむ、んふふ・・・はむ」

 

「・・・」

 

 シャルルは美味しそうに天ぷらを頬張り

笑みを浮かべる。

 その様子をオタクは無心で見詰め、近寄ってきていた店員は、目の前に繰り広げられている光景に理解が追い付かず、二人に気が付いていた幾人かの他の客も、妙に犯罪臭のする二人の遣り取りに固唾を飲んだ。

 

「・・・美味しかったよ・・・タク・・・」

 

 そう言われたオタクは呆然とし、店員の向ける視線に気が付いてフォークを受け取った。

 

「・・・次からはコレで食べなさい」

 

「・・・僕はタクでも良いのに・・・」

 

 シャルルに言われたオタクは、必死で自分に言い聞かせる。

 目の前に居るのは男で、幾ら女顔で美形で華奢であろうとも男であると必死で言い聞かせた。

 

「・・・」

 

「・・・如何しました?」

 

 オタクは自分の背後に近づいてきた店員に気が付くと、訝しんで声を掛ける。

 オタクに声を掛けられた店員は、オタクの前に焼酎の注がれたコップを置いて言った。

 

「サービスです」

 

「はあ・・・」

 

「・・・私、そう言うの嫌いじゃないです」

 

 生返事を返したオタクに、去り際に言いながら店員は離れて行った。

 

「・・・」

 

「如何したの?タク」

 

「いや・・・何でも御座らん」

 

 それから、オタクはビールと焼酎を飲み干し、頼んでいた料理をシャルルと分けながら食べ、食べ終えると直ぐに店を出た。

 

「美味しかったね!」

 

「そうで御座るなwww」

 

 ここで、オタクはふと思ってシャルルに尋ねた。

 

「所でシャルル氏」

 

「何?」

 

「ラーメンは食べられるので御座るか?」

 

 オタクは、この後にラーメンの一杯二杯食べるのは訳ないのだが、小柄なシャルルは大丈夫なのか気になった。

 

「うん!僕、こう見えて結構大食いなんだ」

 

 心配ないとシャルルが胸を張って答え、オタクは、ならば大丈夫かと思い、目的のラーメン屋に向かう。

 

「何処のお店に行くの?」

 

「www店では無いで御座るwww」

 

「えっ?」

 

 目的のラーメン屋は案外近くにあり、そこは確かに店では無かった。

 

「わっ・・・コレって屋台でしょ!」

 

「デュフフフwww屋台ラーメンで御座るwww」

 

 テンションの上がったシャルルに笑いかけ、オタクは暖簾を潜って席に着いた。

 

「ラーメン二杯」

 

 簡単に注文を言うと、屋台の主人の老人が慣れた手付きで麺を茹で始め、丼に湯を注いで温める。

 

「ここは直ぐに注文するんだね」

 

「この屋台は醤油ラーメンしかないで御座るからwww」

 

 オタクの注文した二人分のラーメンは直ぐに出来上がり、二人の前に出された。

 

「いただきます」

 

「いただくで御座るwww」

 

 鶏ガラベースの淡麗醤油スープに、やや縮れた中細麺、半分に割った煮玉子一つ分とチャーシュー三枚、海苔、ネギ、なると、ほうれん草、実ににオーソドックスな、醤油ラーメンと言われて想像するようなラーメンは、素朴ながら味わい深い逸品で、締めの一杯には最高だった。

 二人は、無言でラーメンを食べ進め、シャルルは使い慣れない箸に苦戦しながらも懸命に麺を啜る。

 

「ごちそうさまでした!」

 

 結局、二人は何も言わずにラーメンを完食し、シャルルが老人に言葉を掛けると、老人は顔を上げずに右手を挙げて答える。

 

「美味しかった!」

 

「それは良かったで御座るwww」

 

 笑顔のシャルルに答え、オタクは時計を見て時刻を確認する。

 時刻は九時を過ぎており、オタクは兎も角、シャルルが出歩くには些か問題のある時間だった。

 

「そろそろ帰るで御座るwwwこれ以上は拙者が織斑女史にしばかれてしまうで御座るwww」

 

 そう言ってオタクは歩き出し、シャルルも続いて歩く。

 二人は並んで駅に向かい、時折、言葉を交わしながらモノレールに乗って学園の寮に戻った。

 

「今日はありがとうね」

 

「拙者で良ければ何時でも付き合うで御座るwwwシャルル氏は拙者の友人で御座るからなwww」

 

「ありがとう・・・」

 

 オタクの言葉にシャルルが静かに礼を述べると、シャルルは少し俯き加減でオタクに言葉を掛ける。

 

「ねえ、僕ってタクの友達だよね・・・」

 

「奇な事をwww勿論で御座るよwww」

 

「何があっても?」

 

「何があってもで御座るwww」

 

 奇妙な事を言い始めたシャルルに、オタクは違和感を覚えながらも、普段通りに答えた。

 そんな、オタクにシャルルは、少し寂しそうに笑みを浮かべて言った。

 

「ありがとう・・・じゃあ、また明日ね」

 

「また明日で御座るwww」

 

 そう言って二人は別れ、オタクは何時もの寝床で横になり、シャルルの別れ際の様子が気になりながら眠りに着いた。

 その翌朝、シャルルは教室に現れなかった。

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