『拳』のヒーローアカデミア!   作:岡の夢部

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期末試験はアニメ設定で進めていきます。



拳の三十一 いざ、期末

 いよいよ期末試験が始まった。

 

 まずは筆記試験。

 

 戦慈達は特に躓くことなく解き終わる。

 

「骨抜!!ありがとな!!教えてもらって助かったぜ!」

「本当に助かったぜ~」

 

 鉄哲と円場が骨抜に礼を言う。

 どうやらピンポイントで出題されたようだ。

 

 一佳達は、その様子をどこかホッとしながら見ていた。

 

「筆記は大丈夫そうだな」

「だね。それにしても演習試験ってさ、2日かけてやるって初めてじゃない?1日目がA組。2日目がうちらってさ」

「ロボ相手にしては大掛かり」

「ん」

「……ん」

 

 切奈と柳の言葉に、里琴と唯も頷く。もはや2人の頷きには誰もツッコまない。

 切奈達の不安は一佳も感じており、先輩からも2日に分けて行うのは聞いたことがないと言われた。

 更には、

 

「A組とは連絡禁止だってね。まぁ、2日に分かれる以上仕方がないことだけどさ」

「そうだね」

「まぁ、私はA組の連絡先なんて知らないんだけどさ。一佳は八百万とは交換したでしょ?」

「してるけど、八百万が教えてくれるわけないしな」

「だろうね」

「ん」

「……嫌な予感するなぁ」

 

 色々と不安を抱えるも、試験が無くなることはなく、戦慈達は帰宅する。

 

「明日はA組の試験で休みだけど、落ち着かないよなぁ」

「今更特訓しても本番じゃまともに使えねぇんだ。焦ったところでどうしようもねぇだろ。それに試験内容も変わった可能性もあんだしな」

「……無駄な努力」

「に、なりそうだよな」

 

 もはや当たり前のように戦慈の部屋に上がって、コーヒーを淹れてもらうまで待つ一佳。

 戦慈ももはやツッコむのは諦めている。里琴は引き入れた本人なので、元々文句はない。それどころか地味に「……一佳の」と専用クッションを用意したほどである。もちろん置いてあるのは戦慈の部屋である。

 

「実際、ロボットなんざ俺と里琴が一番デカい奴吹き飛ばしてんだ。そうなると公平性が無くなったんだろうよ。轟に八百万だって、楽に倒せるんだぜ?」

「轟と里琴は簡単に殲滅できるもんなぁ。それもそうか……」

「……むふん」

 

 戦慈と一佳の言葉に、里琴は無表情で胸を張る。顔以外では表情が豊かであるためか、ここまでくると逆に無表情であるのが器用に思えてきた一佳であった。

 ちなみに戦慈も仮面を着けてはいるが、最近では仮面の下の表情が容易に想像できるようになっている。

 中学ではよく分からない2人とされてきたが、今ではむしろ分かりやすい2人になってきている。

 

(まぁ、ここまで一緒にいるからだろうけどな)

 

 学校生活だけではなく、遊びに行ったり、ヴィランと戦ったからこその結果だろう。

 そう一佳は思う。事実、唯や切奈達も、戦慈と里琴の会話を通訳なしで理解出来るようになってきている。

 

「とりあえず、明日はジョギングと簡単な筋トレくらいかな」

「……筋肉レディ」

「な!?そ、そこまで筋肉質じゃないぞ!!」

「……二の腕は?」

「う……」

 

 里琴のからかいに言葉に詰まる一佳。

 両手を巨大化する『個性』のため、腕の力を使う。なので、やはり同年代の女子と比べると、筋肉はあるほうである。

 ヒーローを目指す以上仕方がない事ではあるが、やはり女としては付きすぎるのも嫌である。

 

「アホなこと話してんじゃねぇよ」

 

 そこに戦慈が呆れながら、コーヒーを持って現れる。

 

「アホなことじゃないぞ」

「お前で筋肉付きすぎとか言ってたら、ミルコやヒョウドルはどうすんだよ」

「……筋肉レディズ」

「ヒョウドルにかじられるぞ」

「……むぅ」

 

 里琴は戦慈の言葉に大人しくなる。

 それに一佳はため息を吐くが、ミルコとヒョウドルを比べられても困ると内心眉を顰める。

 しかし、女性ヒーローでトップヒーローになるには、あそこまで鍛えないといけないのかとも思わせられる。

 

「はぁ~」

 

 少し憂鬱になる一佳。

 それを誤魔化すために手を伸ばすのは、やはり戦慈のコーヒーであった。

 

 

 

 

 

 そして、演習試験当日。

 戦慈達はコスチュームに着替えて、演習試験会場前に集合する。

 その戦慈達の目の前には、ブラドを始めとする教師陣が並んでいた。

 

「……先生多くないか?」

「だよな。評価するだけなら、別にここに集まらなくてもいいと思うんだけど……」

「それだけ危険な試験なのか?」

 

 泡瀬と回原、鱗が首を傾げる。

 それに一佳達も内心同意する。

 

「やっぱりロボとの戦闘ってわけじゃなさそうだな」

「ああ」

「……面倒」

「ん」

 

 ブラドは全員が揃ったのを確認して頷く。

 

「おはよう諸君!!それでは演習試験を始めていく!!」

 

 ブラドの声に生徒達は背筋を伸ばす。

 

「お前達の事だ。先輩などから試験内容は事前に仕入れたことだろう」

 

 ブラドの言葉に一佳達は首を傾げる。

 

「あれ?じゃあ、やっぱりロボとの戦闘なんですか?」

 

 円場が代表して質問する。

 すると、13号の背中から校長がヒョコッ!と顔を出す。

 

「残念!!今回から試験内容を変更しちゃうのさ!!」

「校長先生……!?」

「変更?」

 

 切奈が校長の登場に目を見開き、物間が首を傾げる。

 ミッドナイトに抱えられて、13号の背中から降ろされる校長。そして一佳達の前に出て、説明を続ける。

 

「ヴィランの活性化という背景を考えて、これからは対人戦闘・活動を見据えた、より実戦に近い教えを重視するのさ!」

 

 それに円場や泡瀬は緊張でごくりと唾を飲む。

 

「というわけで、これから諸君には二人一組(チームアップ)で、ここにいる教師一人と戦ってもらう!!」

『!!』

 

 校長の言葉に一佳達は目を見開いて驚く。

 

「先生達と……!?」

「プロヒーロー達との戦闘……!」

「マジかよ……!」

 

 鉄哲は右手を握り締めて武者震いする。

 戦慈は腕を組んで、仮面の下で僅かに眉間を顰める。

 

「……チームと対戦教師はクジか?」

「いや、それはこちらですでに決めさせてもらっている。選考理由は訓練や職場体験での動き、成績、親密度などで決めさせてもらった」

 

 戦慈の質問にブラドが答える。

 それに戦慈は更に眉間の皺を深める。

 

(ってことは、一筋縄じゃいかねぇだろうな)

 

 嫌な予感が強まる戦慈。

 チームにもよるが、それが必ずしも相性がいいか分からないし、教師も苦手なタイプを割り振られていると考えられる。

 

「試験は1組ずつ行っていく!これから発表する順番で行っていく!よく覚えておくように!!」

 

 ブラドの言葉に緊張感が高まる一同。

 

「1組目!! 鱗と角取がチーム!!」

「いきなりか」

「イエス!」

 

 留学生同士のチームアップ。

 鱗は腕を伸ばして、ポニーは両手を握って気合を入れる。

 

「2人の相手は……」

「私ガ務メル」

 

 前に出たのはエクトプラズム。

 それに鱗とポニーは僅かに緊張で顔を強張らせる。

 

「2組目!! 宍田と円場がチームだ!!」

「頼むぜ!宍田!」

「頼りにしてますぞ」

 

 宍田と円場は拳を合わせて、笑い合う。

 

「相手はプレゼントマイクだ!」

「イエー!!」

 

 前に出たのはプレゼントマイク。

 

「プレゼントマイク氏ですか……」

「こりゃあ厄介だな」

 

 宍田と円場は顔を顰めて唸る。

 

「3組目!! 骨抜・庄田チーム!!」

「よろしく」

「こちらこそ」

 

 ガシ!と握手をする骨抜と庄田。

 

「相手は俺だよ」

 

 前に出たのはセメントス。

 それに2人は唸り声をあげる。

 

「こりゃあ……」

「ああ。厳しいね」

 

 2人はすぐさまこの試験の選考理由に思い至る。

 骨抜は腕を組んで、頭の中で作戦を考え始める。

 

「4組目!! 拳藤・鎌切でチーム!!」

「よろしくな!」

「頼むぜぇ委員長」

 

 一佳と鎌切も拳を合わせる。

 

「相手はパワーローダーだ!」

「くけけ……」

 

 前に出たのは上半身裸で、頭にショベルカーを模したヘルメットを身に着けている小柄な男。

 サポート科の担当もしている重工ヒーローである。

 

「地中も行けるパワータイプ……!」

「そう言う感じかよぉ」

 

 一佳は僅かに顔を顰めて呟き、それに鎌切も相性の悪さを理解する。

 

「続いて5組目!! 巻空・物間チーム!!」

「おや!よろしくね」

「……マジ卍」

「あはは!!手厳しいね!」

 

 物間は握手を求めるが、里琴はそれを無視して呟く。

 その様子を一佳達は心配そうに見つめる。

 

「相手は……」

「俺だ」

 

 里琴達の前に出たのは、A組担任の相澤だった。

 抹消ヒーロー『イレイザーヘッド』。『個性』を消す『個性』の使い手である。

 

「……厄介」

「……これはこれは」

 

 物間もすぐに顔を顰める。

 戦慈や一佳も顔を顰めて唸る。

 

「相澤先生か……」

「本当によく考えて決めてやがる……」

「そうだな」

 

 里琴と物間の性格での相性の悪さと『個性』の相性。それを見極めた上でのチームと対戦相手だった。

 

「6組目!! 泡瀬と小大でチーム!!」

「よろしくな」

「ん」

 

 泡瀬が親指を立て、唯も頷いて親指を立てる。

 

「相手は……俺だ!」

 

 ブラドは親指で自分を指差す。

 それに泡瀬と唯は顔を顰める。

 

「なるほど。近づかれたら危ないな」

「ん」

「どう動いたもんか……」

 

 泡瀬は腕を組んで、作戦を考える。

 

「続いて7組目!! 鉄哲・凡戸でチーム!!」

「よっしゃあ!よろしくな!凡戸!」

「こちらこそ」

 

 鉄哲は気合の大声であいさつし、それに凡戸はマイペースに返す。

 

「相手は私なのさ!」

 

 前に出たのは校長である。

 それに鉄哲達は目を見開く。

 

「こ、校長先生っすか!?」

「……戦えるんですか?」

「やってみたら分かるのさ!」

 

 校長は自信満々に笑う。

 

「8組目!! 回原・取陰チーム!!」

「頼むぜ推薦」

「やれるだけはやるよ」

 

 回原の言葉に肩を竦めて苦笑する切奈。

 すると、ミッドナイトが前に出る。

 

「相手はわ・た・し♪ウフフ♪」

 

 ミッドナイトはピシャン!と鞭を鳴らして、嗜虐的に笑う。

 

「なんか……」

「違う意味で怖いね……」

 

 回原と切奈は顔を引きつかせる。

 

「9組目!! 吹出と柳がチーム!!」

「ガンガン行こうぜ!」

「頑張る」

 

 吹出が『行こうぜ!』と表示して気合を入れて、柳は頷く。

 

「お2人は僕が相手を務めます」

 

 前に出たのは13号だ。

 吹出は『!!?』と表示して、後ずさる。

 

「13号先生!?ゴォウゴォウと吸い込まれちゃうよ!?」

「ウラメシい」

 

 柳も顔を顰める。

 そして残ったのは2人。

 

「そして最後は拳暴・塩崎で組んでもらう!!」

「よろしくお願いします」

「ああ」

 

 茨が両手を組んで、戦慈に頭を下げる。

 

「あの2人って最強じゃねぇか?」

「それな。前衛後衛揃ってんじゃん」

「ってか、先生誰?もう今いる人、全員呼ばれたよ?」

「それにあの2人に勝てる先生とかいるのか?相澤先生や13号先生はもう呼ばれたし……」

「……まさか……!?」

 

 鎌切が戦慈と茨の2人を見て、首を傾げる。

 それに円場も頷き、切奈が教師陣を見て首を傾げる。

 骨抜も教師陣に目を向けて、首を捻る。

 切奈と骨抜の言葉に、一佳はある人物を想像して目を見開く。

 

 戦慈も教師陣を見て、首を傾げる。

 

「俺らの相手が見当たらねぇが?」

「今来る。お前達の相手は……」

 

 その時、建物の屋上から人影が飛び降りてきて、戦慈と茨の前にズシン!!と着地する。

 その者はV字の金の前髪に、筋骨隆々の男。

 

「私が、する!!」

 

 オールマイトは立ち上がって宣言する。

 それに戦慈と茨はもちろん、一佳達も目を見開く。

 

「オールマイト……!?」

「ん!?」

「……やっぱり……!」

「……これは面白いねぇ」

「マジかよ!!」

 

 泡瀬と唯が驚き、一佳は予想が当たるも顔を顰め、物間は興味深げに笑みを浮かべるが、僅かに顔が引きつっていた。

 そして鉄哲は最終組の対戦カードに興奮する。

 

「……No.1ヒーローが相手ですか」

「……やっぱ簡単にはいかねぇか」

「協力して勝ちに来いよ。お2人さん」

 

 ニィ!と笑って、戦慈と茨に声を掛けるオールマイト。

 

「制限時間は30分!君達の目的は『ハンドカフスを先生の体のどこかに掛ける』or『どちらか一人が所定のゲートから脱出する』ことさ!」

 

 校長がハンドカフスを掲げて、説明する。

 

「今回は極めて実戦に近い状況下での試験だよ」

「僕達をヴィランそのものだと考えてください」

「会敵したと仮定して、その場で捕らえられるなら良し。実力差が大きすぎるなら、逃げて応援を呼んだ方が賢明ってこともある」

 

 セメントス、13号、相澤が説明を引き継ぐ。

 

「戦闘訓練みたいだな」

「だね」

 

 一佳が呟き、切奈が同意する。

 

「ただし、普通の戦闘訓練とはわけが違うからな!相手はチョー格上!」

「戦って勝つか、逃げて勝つか。あなた達の判断が試されるわ」

 

 プレゼントマイクがポーズを決めながら忠告し、ミッドナイトもポーズを決めて試験のポイントを説明する。

 

「けど、こんなルール逃げの一択じゃね?って思っちゃいますよねー。そこで私達、サポート科に頼んで、こんなの造ってもらいました!!」

 

 オールマイトが腰からウェイトバングルのようなものを取り出す。

 

「超圧縮おーもーりー!!」

 

 どこかの秘密道具を出すキャラクターのように、オールマイトが声を出す。

 それに呆れる戦慈達。

 

「装着者の体重の約半分の重さを装着するハンデって奴さ!結構重くて動きにくいし、体力も削られる!」

 

 戦慈達の目の前で重りの装着する教師陣。

 

「それではこの後、1組目から試験を始める!それ以外の者達は作戦会議をしたり、モニタールームで観戦して構わない!では、解散!」

 

 ブラドが解散を宣言すると、教師陣は建物の中に入っていく。

 それを見送った戦慈達は、それぞれのペアで動き始める。

 

 鱗とポニーは一番手なので、真剣な表情で作戦を考える。

 

「《分身》にも重りが適用されるのかは結構大きいよな」

「デスね。増やせる数もはっきりと分からないデース」

「それに戦闘能力もはっきりと知らないんだよなぁ」

 

 2人は顔を顰めながら、会場へと足を向ける。

 

 それを見送りながら、一佳達もペア同士で作戦会議を始める。

 

「私達はパワーローダー先生か」

「捕まえるのはキツそうだなぁ」

「かと言って、逃げるのもなぁ。ステージも向こうに有利だと思うし」

 

 正直なところステージも見ないと、なんとも言えないのである。

 どちらにも有利なのか、相手に有利なのかで、判断が変わる。

 

「障害物が多いなら捕獲も考慮しよう。そうでないなら、基本は逃げる」

「分かった」

「最初の15分は出来る限り、一緒に行動して情報収集。それで別れるか、そのまま動くか判断しよう」

「いいぜぇ」

 

 一佳の提案に頷く鎌切。

 

 その後、一佳はモニタールームに向かう。

 

 中に入ると、そこには戦慈、里琴、切奈、茨、唯、柳、鉄哲、泡瀬がいた。

 そしてリカバリーガールが椅子に座っていた。

 

「皆はもう大丈夫なのか?」

「私はもう少し情報が欲しくてね。ステージの傾向と先生達がどれくらいガチで来るのか」

「ん」

「まだ時間がある」

「私達はただ全力で挑むのみです」

「ってことで!皆の応援もしてぇ!!」

 

 切奈は肩を竦め、唯と柳も頷き、茨は両手を組む。

 そして鉄哲は右手を握り締めて叫ぶ。

 一佳は壁にもたれ掛かっている戦慈と里琴に目を向ける。

 

「拳暴と里琴は?」

「……まぁ、情報がもう少し欲しいってのもあるがな」

「ん?」

「提案しても受け入れてもらえなかったんだよ」

「……あぁ」

 

 戦慈は少し疲れた雰囲気で腕を組みながらもたれ掛かっている。

 それに一佳は茨を見て、苦笑する。

 

「茨は搦手とか嫌いだからなぁ」

「それは分かってたが、相手を考えてほしいぜ」

「どんな提案したんだ?」

「俺が相手している間に、隠れて縛り上げるか。ゲートに行くか」

「……それでもだめなのか?」

「隠れるのは卑怯。俺だけ置いて行くのも卑劣だそうだ」

「……そこまでか……」

 

 一佳も流石に呆れてしまう。

 しかし、茨はこうなると中々聞き入れない。

 なので、戦慈はもう少し情報を集めてから、改めて作戦会議を開くつもりでいる。

 戦慈達は最終戦なので、まだ時間はある。

 それに一佳は納得すると、里琴に顔を向ける。

 

「物間は?」

「……旅立った」

「おい」

「……簡単に決めた」

「大丈夫なのか?相澤先生はそう簡単じゃないと思うぞ?」

「……ブイ」

 

 里琴はピースをする。

 それに一佳は不安を覚えるも、茨同様言ってもあまり響かないと分かっているので、それ以上は言わなかった。

 

「で、拳暴はどう思う?今回の試験」

 

 一佳は改めて戦慈に訊ねる。

 その言葉に切奈達も顔を向ける。

 モニターには会場に入る鱗とポニーの姿があった。

 鱗とポニーのステージは、吹き抜けのあるビル内部だった。

 

「……基本的に対戦する教師は、チームの苦手な戦略が出来る奴に見える。それをチームワークや『個性』の組み合わせでどうクリアするかが評価の決め手だろうな」

「鱗とポニーの場合は?」

「鱗は遠近対応はできるが、手数に限界がある。角取は角が操れる数に限界があるし、角取本人は近接戦闘が得意じゃねぇ。それに対して、エクトプラズムは手数だけは圧倒的だ。しかも分身は自己判断で動ける。だから連携も鱗達よりも上だろうな。分身は耐久力が弱いとはいえ、厄介なことには変わりはねぇ」

「……なるほど」

 

 戦慈の言葉に一佳達は納得するように頷く。

 

「ってことは、ステージもそれぞれ違いそうだなぁ」

「当然だよ。壊れたりしたら使い辛いしね」

 

 リカバリーガールが切奈の言葉に答える。

 その答えで、戦慈の推測も正しいのだと理解する切奈達。

 

「校長ってどう戦うんだ?」

「流石にそこまでは教えられないよ」

 

 鉄哲が腕を組んで顔を顰める。

 流石にリカバリーガールは答えなかったが、切奈達も気にはなる。

 

 

『角取・鱗チーム。演習試験レディ、ゴー!』

 

 

 その時、アナウンスが響き、鱗達の演習試験が始まった。

 一佳達もモニターに注目する。

 

 すると、鱗とポニーの周囲に大量のエクトプラズムが出現して2人を囲う。

 

「「!!」」

 

「「「「言イ忘レタガ、我々教師陣モ諸君ラヲ……本気デ叩キ潰ス所存!!」」」」

 

 そして一斉に襲い掛かるエクトプラズム。

 

 こうしてB組の演習試験が始まった。 

 

 




チームと教師を選んだ理由は、それぞれの試験の時に(__)
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