今回から内容的に霙視点ではなくなります。
そのため、文章に変な間違いがあるかと思いますので、
そこのところを指摘してくれるとありがたいです。
では本編をどうぞ。
博麗神社に人が集められた。博麗霊夢に霧雨魔理沙、十六夜咲夜、東風谷早苗、そして古明地さとりという少女だ。
「私は面倒事が嫌いだから、早速言わせてもらうわ。」
そう言って霊夢は目の前の女性を睨みつける。
「霙、アンタ、記憶戻ってるでしょ?」
その問いに対し、彼女は薄い笑みを顔に浮かべた。
「もちろん戻っていますよ。」
「さとり。」
霊夢はそばにいるさとりに視線で問いかけた。
「本当よ。」
彼女の返事は肯定を示した。
「否定しないのね。」
「覚り妖怪がいれば、嘘をついても意味がないですからね。あぁ、それと私の本名は占城霙(うらぎみぞれ)です。慧音さんはどうやら見間違いをしていたようですね。」
彼女―占城霙はなんのためらいもなく述べる。その顔にはいつもの笑顔を浮かべていた。
「今回の異変、“黒い渦”はお前の仕業だな、霙。」
「はい。」
「お前の能力はなんなんだぜ。」
「歪める程度の能力です。」
魔理沙の問いにもつらつらと答えていく霙。それはこうなることがわかっていたかのような雰囲気を醸し出していた。
「空間を歪めたり、対象を歪めたりできます。その応用で空間同士を歪め、接続することも可能です。なので、“黒い渦”は不適切な表現です。正確には“空間が歪んでいる”、ですね。」
簡潔に自分の能力について説明する彼女は、まるで寺子屋で教師をしている時と同じように見える。
「いつ、仕掛けたのかしら?」
「地霊殿の時は永遠亭から帰るときに、天界は紅魔館から帰るとき、そのついでに紅魔館上空にも仕掛けました。」
「消すつもりは?」
「ないです。」
きっぱり答える彼女からは何か強い意思のようなものを感じることができるだろう。
「あなたの目的は何ですか、霙さん?」
最後に早苗が質問を投げかけた。そのとき、ようやく彼女の雰囲気が変わった。
「あなたたちには関係のないことです。」
無表情で答える彼女。裏に何かあるとしか思えない。そして、彼女は何かを言おうとしているさとりに視線を向けた。
「余計な事は言わないでください、古明地さとりさん。」
「―ッ!?」
その瞳には異常なほどの殺気が込められていた。他の4人もその殺気に息を飲む。それもそのはず、彼女は幻想郷にいる間、“殺気”を放たことがなかったのだ。放ったとしてもそれは“威圧感”であり、“殺気”ではない。
「さて、私はもうここに用はないので、失礼します。」
そう言うと、彼女の着ていた巫女服が歪み、元々着ていた―幻想郷に迷い込んだ時の服装に変わった。
「服は元あった場所に戻しておきました。」
霙は背後に大きな穴を開けた。その向こうには闇が広がり、所々に浮遊している地面があるのみ。
「逃すと思ってんの?」
霊夢の一声で、それぞれが得物を構えた。しかし、彼女は振り返らない。
「無駄ですよ。私はそこらの妖怪や妖精、神と違います。そのくらいわかるでしょう?博麗の巫女なら…。」
「…えぇ、わかるわ。でもね。それが分かっていても、やらなきゃいけない時ってものがあるのよ。」
「そうだぜ。ここでお前を倒して、今回の異変を解決する。」
ここでやっと彼女は視線を霊夢たちにむけた。しかし、そこには…。
「一度、現実というものを学びなさい。」
霙は何かをしようとしている。そう感じた4人は反射的に弾幕を放った。しかし、その弾幕は霙の背の真後ろに出現した歪みの中へと吸い込まれていった。
「“殺気”よる陽動です。その程度では私に勝てませんよ。」
吸い込まれていった弾幕がそのまま歪みから放たれた。その結果、神社はボロボロになり砂埃が舞いだした。
「さようなら、皆さん。」
「くっ!?霙!」
霊夢は視界の悪い中、霙に向かって、飛び蹴りを放とうとした。しかしその飛び蹴りは中断させられてしまう。なぜなら、霊夢のそばに開いた穴から霙の腕が伸び、彼女の足首を掴んでいたのだ。
「くっ!!」
そのまま霊夢は神社の外に投げ出されてしまった。挙げ句の果てには、庭に生えていた木に頭をぶつけてしまい、気を失う。
「おい、霊夢!」「霊夢!?」「霊夢さん!」
彼女はそんな光景に一瞬悲しげな瞳をしたが、彼女以外が霊夢の方へと駆け寄っている状態では、誰も彼女の変化に気づくことはなかった。
「最後に一言だけ残していきましょう。後日、幻想郷の上空に今までとは比べ物にならないほどの歪みを作ります。“私たち”を倒したければ、そこに来なさい。」
そう言い残し、大きな穴の中へと入っていった。
「逃がすか!恋符“マスタースパーク”!」
魔理沙は霙に向かって八卦炉を構え、極太のレーザー―マスタースパークを放った。しかし、それすらも霙の作った歪みの中に消え、返されてきた。
「げっ!?」
そして、爆音があたりに響き渡る。霙はその光景に見向きもせずに、穴を閉じていった。
「……ごめんなさい。」
彼女の言葉は虚しく虚空に響くのみだった。
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「ケホッケホッ!助かったぜ、咲夜。」
「全く、無鉄砲にそんな大技放たないでほしいわね。」
「悪い。」
魔理沙たちはどうやら無事なようだ。マスタースパークが直撃する直前に咲夜が時間を止め、彼女たちを移動させていたのだ。
「それにしても、まんまと逃げられましたね。」
「そうだな。次に会うとすれば―」
「空に大きな歪みを作った時、ですね。」
「それに何か気になるようなことを言ってたわね。」
「何か言ってたか?」
魔理沙はどうやら聞き逃していたらしい。そんな彼女に咲夜は呆れているようだ。
「あのね、魔理沙。霙は“私たち”を止めたければって言ったのよ。“私”ではなく、“私たち”。」
「てことは、アイツの戦力は複数ってことか。」
「そうですね。妖夢さんは今回、動けないようですし、私たち4人で立ち向かいましょう。」
早苗は気合を入れるように提案した。それに魔理沙と咲夜は頷いた。
「それにはまず、霊夢を起こさないとな。」
「それならいい方法があるわね。」
今まで空気だったさとりはポケットから小銭を取り出した。それを賽銭箱の中へ投げ入れる。すると、お金の跳ねる金属音が少し聞こえた。
「賽銭!!」
「あ、起きた。」
「ほらね。」
「なんて単純なのかしら。」
「いいじゃないですか。霊夢さんらしくて。」
こんな状況なのに、皆の顔には笑みを浮かべていた。
―一方、霙の方では…―
「いいのかい?あんなことして。」
「あんなこととは?」
「ま、アンタがそれでいいならいいさ。あたしゃ、あいつの成長っぷりを確かめられれば十分だからね。」
「そうですか。それで、お2人は?」
「んー?私はあの娘がどんなところに住んでいるのかなーって様子見だよー。」
「私はその護衛です。」
「そうですか。では約束通り…。」
「あぁ。アンタに手を貸してやるさ。」
「私もそれでいいよー。」
「私も構いません。」
「それでは、後日お願いします。」
どうだったでしょうか?
少しはシリアスな雰囲気が伝わったでしょうか? (ビクビク
いつの間にか記憶が戻っていた古城霙、改め占城霙。
今回は彼女の隠されたところが少し明かされましたね。
え?いつから記憶が戻っていたのか、ですか?
注意深く読んでもらえていればわかると思います。
まぁ、細かいところですので、見つかりにくいかと…。
それはでは、次回予告をしましょうか。
次回は霊夢勢VS霙勢の弾幕勝負開始となります。
そして明かされる霙サイドの戦力、彼女に手を貸す者たちとは―。
それでは、間違い等がありましたらご指摘のほどよろしくお願いします。感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。