東方歪界譚   作:鈴華

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エピローグのつもりが気づけば、4000字オーバー。
過去最高ですよ。

では本編どうぞ。


Ep,EX-4 歪んだ世界の譚詩 ‐終幕‐

殺女を倒してから1週間が経った。霙は最後に使ったスペルカードの影響により、身体が動かなくなってしまった。そのため、彼女は人里の外れにある小屋で生活することになった。寺子屋の子供たちはいつも彼女を心配し、よく訪ねに来てくれていた。特に清香は毎日のように訪ねてきていた。今日も授業が終わり、清香は霙のいる小屋に行こうとしていた。すると、そこへ慧音が話しかけてきた。

 

「清香。今日も霙のところに行くのか?」

「うん。霙せんせーに色々教えてもらうの。」

「・・・そうか。よし、今日は私も行こう。」

「・・・?うん、わかったよ。」

 

一瞬慧音が辛そうな顔をしたような気がしたが、清香は気にしないことにしたようだ。身支度を整えると、慧音と一緒に小屋へと向かって行った。しばらく行くと霙にいる小屋の前に誰かがたっていた。

 

「君が清香だな?」

 

そこにいたのは八雲紫の式神、八雲藍だった。

 

「そ、そうですけど。霙せんせーは?」

 

こんな子供でも嫌な予感というものを感じることができるのだろう。藍は首を横に振った。

 

「霙はいない。」

「え?」

 

清香は何を言われたのかわからなかった。霙が消えた。出かけているのだろうか。

 

「どれくらいで帰ってくるの?」

「もう帰ってこない。霙はもういないんだ。」

 

答えたのは慧音だった。彼女は清香と目線を合わせるようにしゃがむ。

 

「よく聞け、清香。霙はもういないんだ。」

 

清香は聞いてはいけないと分かった。しかし、分かっていても気づいてしまった。霙はいない。帰ってこない。

 

「霙はもう・・・死n」

「違う!!」

「・・・清香。」

 

清香は理解してしまった。故に涙が流れ、彼女の顔をくしゃくしゃにしてしまう。

 

「霙せんせーはいるもん!一昨日も昨日も元気に私たちとお話してたもん!」

 

清香は飛び出し、小屋の扉を勢いよく開けた。藍は彼女を止めようとしなかった。いずれは訪れる結末だと理解していたからだ。

 

「せん・・・せー・・・?」

 

小屋の中はいつもと変わっていなかった。しかし、中から彼女の名前を呼ぶ声は聞こえてこなかった。霙の寝ていたであろう布団は敷かれたままで、中には誰もいない。

 

「いるよね、霙せんせー?」

 

静寂が小屋の中を支配していた。

 

「ねぇ、嘘って言ってよ。・・・霙せんせーってば!」

「清香・・・。」

「うあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

「清香!?」

 

清香泣きながら小屋を飛び出し、慧音の静止の声を振り切り、走り出して行ってしまった。

 

「・・・いいのか、これで。」

「わからない。だが、霙の望んだことだ。」

「そうか。・・・あとは任せる。私は先に失礼させてもらうよ。」

「あぁ、ありがとう。八雲の式神。」

 

藍は小屋から去っていった。慧音は小屋の中に入ると霙の寝ていた布団に触れる。おそらく授業が終わる頃までここに寝ていたのだろう。僅かな温もりが残っていた。そして涙のような濡れた跡も。

 

「本当にこれでよかったのか、霙?」

 

慧音は彼女が殺女を倒してから5日後の事を思い出した。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

霙が身動きを取れないということで小屋に寝かされてから、永琳がきた。しかし、彼女ではどうすることもできなかった。なんでも、理が拒絶しているとのことだそうだ。そしてある日―

 

「よぉーす、霙。来てやったぜー。」

「また来たんですか、魔理沙さん。」

「私もいるわよ。」

「霊夢さんまで・・・。」

 

霙の小屋に霊夢と魔理沙が訪れた。たまにだが、こうして寺子屋の子供以外も訪ねてくるのだ。それだけ彼女が心配だということだろう。魔理沙は適当に置かれていた箱に腰掛け、霊夢は椅子に腰掛けた。

 

「神社にいなくていいのですか?」

「どうせ誰も来ないぜ。いつもみたいにな。」

「うっさいわね。ところで霙はまだ動けないの?」

「はい。そのうち回復すると思います。」

 

霊夢はしばらく霙を見つめたあとに何を思ったのか立ち上がる。

 

「霙。嘘はもう少しうまくつきなさい。」

「え・・・?」

「それっ!」

「―ッ!」

 

いきなり霊夢が霙にかけられている布団をめくった。そこにあったのは―

 

「やっぱりだぜ。」

 

そこには霙の脚があった。しかし、それは大腿部の中間あたりまでだ。それより先は透けてきていた。特に足首から先に至ってはもう見えない状態になっている。

 

「巫女の勘を舐めないことね。」

「・・・・・・。」

 

後日、小屋に霊夢と魔理沙、咲夜、早苗、慧音、永琳、阿求、文が集まっていた。霙の状態を知って集まったのだ。

 

「永琳。霙のこれ、治せそう?」

「無理よ。これは病じゃないもの。これは現象だから治しようがないわ。」

「そう。・・・霙。」

「なんでしょうか?」

「どうして嘘ついたの?」

 

珍しく霊夢は怒っているようだ。それもそうだろう。彼女と一緒に暮らしていた日々はなんやかんやで楽しく大切な日々なのだ。それは霊夢だけではない。ここにいない人たちにとっても同じだ。

 

「あなたは自分が死ぬとわかっている状態で大切な人にそのことを伝えられますか?私はできません。そんなことを言えば、今までの空気が暗くなってしまいます。私はいつもみたいに皆さんに元気でいてもらいたいのです。」

 

霙にも霙なりの考えがあったようだ。そこで霙は慧音に視線を向ける。

 

「特に慧音さん。あなたは寺子屋の子供たちにこのことを言わないでください。」

「なっ!何故だ!あの子たちはお前の事を―」

「だからです。」

 

慧音を睨みつける。彼女は決めたことやる人間だ。そういう人はそう簡単に諦めるような事をしない。

 

「あの子たちにはまだ元気にいてほしいのです。確かに私が消えたことを知れば、あの子たちが悲しむことはわかっています。でも・・・それでも・・・それまで、あの子たちには元気でいてほしいのです・・・。」

「霙・・・。」

 

霙は泣くことをこらえているようだ。悲しいのは彼女も同じなのだろう。その気持ちを押さえ込み、今度は射命丸に話しかける

 

「射命丸さん。」

「なんでしょうか?」

「私のことを新聞に載せるのは私が消えてから2~3日した頃にしてください。」

「わかりました。」

「霙。本当にそれでいいのね?」

 

最後に霊夢が確認をしてきた。

 

「・・・えぇ、はい。これでいいです。」

「そお。なら解散しましょう。ここにいてもなんにもないわ。皆は霙の事を気づかれないように気をつけるのよ。」

 

それが霊夢たちが見た最後の霙の姿だった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

清香が息を切らせてやってきたのは守矢神社だった。境内を掃除していた早苗は清香が来たことに気づく。

 

「大丈夫?どうしたんですか?」

 

心配するのも無理はない。今の清香の顔は涙のあとが残っていた。その涙とこの子がまだ幼いことを考えるとこの子は霙のことに気づいたのだろうと早苗は気づいた。

 

「守矢の巫女さんは奇跡を起こせるんだよね?」

「・・・はい。起こせますよ。」

「じゃあお願い!霙せんせーを生き返らせて!」

 

そこでようやく早苗自身も気づいた。とうとう霙は消えてしまったのだと。

 

「確かに私は奇跡を起こせます。でも、それにも限度というものがあるんです。死者を蘇らせることは奇跡でどうこうできる話ではないんですよ。」

「そんな・・・。」

「だから―ってちょっと!?」

 

清香は早苗の話を聞かず、再び走り出した。向かったのはもちろん博麗神社だ。

 

「無理ね。」

 

だが、清香の望みも虚しく霊夢に一刀両断されてしまった。あまりにもあっさり言われてしまったことで、清香は何を言われたのか理解できなかった。

 

「もう一度言うわ。霙はもう戻ってこない。これはどうしようもできない現実よ。」

「・・・・・・。」

 

霊夢の言葉を理解すると、清香は生気の抜けたかのように歩いて帰っていった。その様子を霊夢は見送ると、虚空を弄りだした。

 

「霊夢、毎回言うけど勝手に結界をいじらないで欲しいんだけど。」

「こうでもしないと出てこないでしょ。それはそうと頼みたいんだけど、いい?」

「多方予想はついてるわ。」

「ならお願いね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから長い時間が流れた。既に霙のことは幻想郷中に広められている。知らせを聞いた多くの人たちが彼女のことを思い、悲しんだ。他に大きな出来事と言えば、星蓮船の異変だろう。それも霊夢と魔理沙、早苗によって解決。新しく命蓮寺という寺が完成した。それから数日―

 

「そういや、紫のやつ最近見ないな。」

「また寝てるんじゃないの?」

 

いつもと同じように、博麗神社には霊夢と魔理沙がいた。

 

「命蓮寺のやつらもすっかりいついたし、これでまたしばらくは暇だな。」

「そうねぇ・・・。」

「だったら宴会でもしましょうか?」

「それは命蓮寺の異変のときに済ませたわ。」

「そうだぜ。だったら、お前のいh・・・え?」

 

突然、2人の会話にもう一人の声が混ざってきた。魔理沙は振り返るとそこには―

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「―それでは、今日の授業はここまでだ。」

 

どうやら、寺子屋の授業はもう終わったようです。まぁ、ここ以外は既に挨拶を済ませましたし、当たり前でしょう。ではそろそろ入るとしましょうか。勿論ノックしますよ。

 

―コンコン―

 

「ん、誰だ?丁度授業が終わっt―」

 

見事に慧音さんは固まってくれました。予想通りの反応をありがとうございます。あらら、みんなも慧音さんの様子を不思議に思ったのでしょう。集まってきました。

 

「せんせー、どうしたのー?」

「慧音先生?」

「あ、あぁ。すまない。」

「いえ、気にしないでください。」

「え、この声・・・。」

 

そんなに慌てなくても、大丈夫ですよ。

 

「霙せんせー!!」

「わっ!?」

 

突然、おなかに衝撃がきました。いたた・・・。あぁ、でもこの温かい感じ。生きていて本当によかった。

 

「おかえりなさい、霙せんせー!」

「おかえり、霙。」

「清香ちゃん、慧音さん、皆・・・。ただいま!」

 

 

―幻想郷の上空―

 

「全く・・・。余計な真似をしてくれたな、紫。」

 

「あら、あなたがこちらにくるのは何年ぶりかしらね。」

 

「知らん。少なくとも、吸血鬼の異変以来だ。」

 

「そうだったわね。」

 

「それで、何故アイツを生かした?」

 

「幻想郷が彼女を必要としているのよ。あれを見てわからないかしら?」

 

「・・・ふん。俺は魔界にもどる。」

 

「あら、もう行っちゃうの?」

 

「俺は本来、幻想郷の奴らに知られるわけにはいかない存在なんだが・・・。」

 

「そうだったわね。それじゃあ、魔界の神様によろしく。“魔神カルマ”さん?」

 

「・・・気が向いたらな。」

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?
これにて東方歪界譚は終わりとなります。
と言っても、次回は番外編を2つ予定しています。
内容は「宴会」と「温泉」です。
温泉は博麗神社の裏に湧いているとのことだったので、書かなければと思いました。
別にやましいこと考えてないよ。(;´Д`A

では皆さん。間違い等がありましたらご指摘のほどよろしくお願いします。感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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