寄宿学校の平等主義者 作:pepe
年始はグラブルとFGOのイベントを走り、最近はFate/stay night劇場2章を鑑賞したりとやる事は尽きないのですがなんとか投稿できました。
遅れて申し訳ありません。
様々な方から高評価をいただき嬉しかったです。
UAは2400を超え、お気に入りも57名の方々にしていただき感謝しかありません。
今回の話は少し批判を集めると思いますが、どうか解除だけはしないでいただけるとありがたいです。
行き当たりばったりのその場のノリで、矛盾を起こしてしまうかもしれませんが末永くよろしくお願いします。
(まぁ、そう簡単に覚悟なんて言葉言われても答えれんわな)
その場のテンションで飛び出てしまった事に後悔しながら、驚いている2人に目を向ける。2人とも焦りや、驚きが入り交じった表情を浮かべていて中々面白い。こういった二人は普段の彼らからは想像もできないからだ。
だが、問題が発生した。犬塚である。
(出るタイミングを見誤ったな。まだ、ペルシアは戸惑ってる感じだが犬塚は敵意むき出しなわけだしな)
今犬塚と争ったとしても、確実に負けるのが目に見えていた。ただ速さという一点では犬塚に勝ってる司安だが、それ以外は比べるまでもなく犬塚に分がある。
だからこそ、彼らに敵意がないことを伝える必要があった。司安は両手を上げて、今にも飛びかかりそうな犬塚を落ち着かせる。普段の犬塚なら手をあげるようなことはしないかもしれないが、今朝の蓮季と揉めあった一件で司安からすれば犬塚は危険人物である。
「まぁ、待て何もバラそうって話じゃない。バラすなら、お前らの前に出なくてもいい訳だからな」
「どういう事だ」
「私達がお互いに一年のリーダー、その立場を利用しようというの?」
「いや、一年のリーダーだからじゃない」
「じゃあ、なんでだよ」
「まぁ、端的にいうとお前らに恩を売りたい」
鋭く睨みつける犬塚と不思議そうにこちらを見てくるペルシアにそう告げた。
「は?」
「この学園で
「そんな事………」
そんな事ないという言葉を放つ前に、司安は静かにそれを遮った。
「無いと言い切れるか?丸流達のような過激な者達は、俺のことを良く思っていない。それに、行動に移していないだけで時間の問題かもしれん」
「そこまでわかってるなら何で!」
「
「………何でそこまで」
犬塚は、ここまで平等にこだわる司安の事が分からなくなっていた。その執着に恐怖すら感じてしまう。普段から白猫黒犬問わず平等に接してきた司安だが、そこまでの覚悟があるとは思わなかった。
先程司安が言った覚悟と言う言葉は、
「俺は追放されても文句を言うつもりはない。だけど、周りの奴らは違う」
「獅子達の事か?」
司安はコクリと頷き、犬塚の方を見つめる。
「もし、俺が退学になった時関わっていた奴らにも被害が及ぶかもしれん。そうなった時には、俺は誰も頼ることができん訳だしな」
「俺たちにそれを頼みたいと?」
「そういう事だ」
司安は、悪役の様な笑みを浮かべながらどんどんことを進めていく。犬塚はふとある少女のことを思い出した。彼の親友である狛井蓮季だ。
彼女と司安とは学園入学前からの顔見知り所謂幼馴染という奴である。人当たりがよく、第一に黒犬のことを考えて行動する彼女は黒犬内での人気も高い。
そんな彼女と目の前にいる司安は、何故仲違いをしているのか不思議でたまらなかった。
「お前は蓮季の幼馴染だろ。今朝みたいにキツく突き放したのは何でだ」
犬塚の言葉に司安は黙り込み、その瞳からは少しばかり怒りが伺えた。犬塚は蓮季と司安の間には何かが有ると分かったが、その何かが正直まだわからない。
その何かこそが司安の
そして、その答えは隣に立つジュリエット・ペルシアが握っていることも、この時の犬塚はまだ知らずにいた。
「…………そこまで言う筋合いはねーよ」
「は?」
「で、どうなんだ?」
「俺は受け入れるつもりだけどペルシアは?」
「え!?う、うん。私も受け入れるわ」
二人の同意に司安は少し笑って、契約を再び告げる。
「俺は二人の関係を他者に広めない。そのかわり、俺が退学になった時二人は関係者達を守ってほしい」
「ああ!」
「……分かったわ」
「契約書は後々作っておくよ。じゃあな見つからない様にしろよ」
そう言って、司安は二人の前から静かに立ち去っていく。その背中が消えるのを確認すると、犬塚は大きくため息をつく。
「はぁー、見つかったのが司安で良かったなペルシア」
「え!えぇ。でも、彼………いえ何でも無いわ」
「………なんだよ言えよ」
「私の記憶とずいぶん印象が違ったから」
「俺もあんまし深く関わったことねーから、知らねぇけど蓮季はよくアイツの話をしてた。昔はよく遊んでた弟分だとか言ってたな」
「………そう」
「今朝、ぶん殴っちまったし悪いことしたな」
頭を掻きながら少し後悔した様に語る犬塚にペルシアは笑みを浮かべる。
「ふふ、明日にでも謝ったらいいんじゃない。それよりも寮に戻りましょ、誰かに見つかったら
「そ、そうだな」
こうして二人は正式に恋仲となった。これから、ありとあらゆる困難が二人を待ち構えている筈だ。だが、二人ならきっと乗り越えられると信じて。
***
犬塚と別れた後、ペルシアは自身の住む白猫寮へと足を進めていた。何かを考えながら進む彼女の足取りは非常に重い。今、彼女頭の中は今朝保健室に運んだ昔馴染みとも言える黒犬の生徒のことでいっぱいであった。別に、恋愛感情があるとかそう言う意味では決してない。
思い返してみれば司安が二人に提示した契約は、実質ペルシアへのリスクは無いに等しい。司安に関わるものの殆どが黒犬生であり、助けた初等部の生徒たちはその後お礼を言う適度で親しいわけでは無い。
だから、ペルシアにとってはあの契約はノーリスクであった。それがどうしても不可解である。それに、司安を少し馴染みのあるペルシアからすれば先程の彼は何かを隠している様にも思えたのだ。
(何故あの契約なのか意図が読めないわね)
「浮かない顔してるなペルシア」
「なにしてるの、この先には白猫寮しかないわよ」
彼女に話しかけてきたのは、頭の渦中にいる樽目司安であった。
「まあ、一つ言おうと思ってな。答え合わせってわけじゃないが、今頃疑問に思ってると思ってな」
「なんのことかしら」
「自分だけノーリスクは可笑しい………って思ってそうだったからな」
図星である。
予想通りの反応だったのか司安は、少しいたずらをした子供の様に笑う。ペルシアが少し鬱陶しそうに司安を睨みつけると彼はすぐに笑みを消し平静に戻る。
「正直リスクをかけるつもりはなかったって言うのが本音だ」
「なぜ?」
そもそもペルシアが疑問に思っていたのは、何故自分がノーリスクなのかである。それに、司安がもし退学したとしても契約を守るかどうかの確認は彼にはできない。
そもそも、彼が提示した契約が破綻しているのだ。圧倒的に彼の方が不利である。それなのに何故、彼が自分に不利なものを提示してきたのかそれがどうしても分からなかったのだ。
「ウェスト公国でお前と王女様に世話になったからな恩返しだよ」
「本当に?」
「証明できるもんがないから、どうしようもない」
「はぁ、悩んでいたことがこんなにも下らないなんて思わなかった」
ペルシアは呆れた様にため息をつく。だが、そこには少しばかりの安堵も含まれていた。自身の知っている樽目司安は変わっていなかったという安心から来たものだ。
「うるせ。お前と犬塚が付き合うなんて思わなかったよ」
「私も一時間前まで思いもしなかったわ」
司安は「そーかよ」とだけ言い残すと、彼はペルシアの横を通り過ぎ自身の寮に歩みを進める。二人が交差した直後、思い出したかの様にペルシアが司安に問いかける。
「昔言ってた答えってもう見つけたの?」
「模索中」
「見つかるといいわね」
「どうかな」
「またね、シアン」
「そうだな、ペルシア」
そうして二人は別れていく。
この時のペルシアは知らなかった。
(俺はただ知りたいんだ。
自身の知っていた彼はもういないということを。もう、樽目司安は変わり果て歪んでいるという事実を。
(
それを知るのは、
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次回の投稿ですが、弱小の部活動でも副部長という責任もなく威張れる位置に就任してしまいましたので遅れる可能性があります。ご了承ください。