○月×日(日付が確認出来なかった為、この表示です) ブリタニア近海
赤城飛行甲板
大宮
「もう直ぐブリタニアですね」
坂本
「『因縁の欧州』に『扶桑の若獅子』が帰って来た訳だな」
大宮
「………いや、ですから、その渾名も言葉もやめて下さい」
ブリタニアへ向かう空母赤城の飛行甲板からそろそろ見えるであろうブリタニアのある方向を見ながら2人が会話を交わしていた。
坂本
「何も間違った事は言っていないぞ?」
大宮
「いや、そうでは無くて……あれは偶々ですよ、た・ま・た・ま。それに、宮藤さんに何か悪い影響が…」
宮藤
「えっ? 私に何かありました?」
話を途中から聞いていたのか、2人の後ろから宮藤が訊いてきた。
坂本
「なに、こいつの昔話をな…」
大宮
「しないで下さい。将来有望な医者の卵が曲がってしまったら、自分が姉に怒られます」
坂本
「大宮、お前も内地に居たら頭が固くなったな」
大宮
「…………坂本さん、話が違います。そもそも…」
話を戻そうと口を開き……途中で止まったのは昔の勘か、昔の感が反応したからだ。
坂本中佐も感じたらしく、2人は同じ方向を向いた。
大宮
「……来ましたね。数は1ですか?」
坂本
「あぁ、大型ネウロイが1つ、随伴は無し…珍しいな。ここまで大型ネウロイが来る事がないのだが…」
大宮
「ネウロイの方も行動パターンを変えてきた、と言う事かもしれませんね」
坂本
「なんだ、大宮。内地に居て、頭が固くなっていた訳ではなかったな」
大宮
「坂本さん……まあ、今はそんな話をしている場合ではないですね」
坂本
「そうだな。大宮、宮藤の事を頼めるか?」
大宮
「坂本さんの無茶振りには慣れてます」
坂本
「はっはっは、そうか……宮藤、大宮の事をよく見ておけ。こいつは化けるからな?」
宮藤
「化ける…ですか?」
大宮
「余計な事を言わないで下さい、坂本さん」
坂本
「いいじゃあないか…それと、これは餞別だ」
そう言って坂本は宮藤の耳にウィッチ用無線機を填めた。
坂本
「これで私と話が出来る。いいな、大宮の指示に従え。ただ、不安になったら私に訊け。いいな?」
宮藤
「は、はい!」
赤城甲板
大塚
「ちっ、やっぱりか…」
ウィッチ1人と旧型96艦戦では大型ネウロイには何の効果も無かった。
無論、そんな事は最初から解っていた事である。
だが、501が飛来するまでの時間稼ぎを期待していたが……96艦戦は全滅し、坂本少佐が1人で戦っている状況である。
大塚
(今の位置、ブリタニアから501が駆け付けて来る時間、そこから計算して……ダメだ。このままの状況だと、先に全滅だ)
ほぼ私物となった軍用双眼鏡を覗きながら大塚は思考を巡らすが…結果は明らか。
大塚
(あのクソ野郎を殴った後なら知らんが、その前に死んでられるか! それにこっちは妹みたいな子まで預かってるのに、余計に死ねるかっての!)
後ろに居る宮藤を横目で見ながら内心呟く。
そうなれば………
大塚
「……やるしかないな」
宮藤
「えっ、何をですか?」
大塚
「妹みたいな女の子に見せてはならない事」
そう言うと大塚は近くにあった伝声管の蓋を開けた。
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