強キャラ物間くん。   作:ささやく狂人

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お世話になります

サー・ナイトアイについて、僕が知ってる事をまとめてみよう。

 

自分にも他人にも厳しくストイックな仕事が有名なヒーロー。テレビなどのメディアでも厳しい顔つきがデフォルトの、スパルタと聞いている。

 

個性《予知》の詳細は本人が好んで明かさない事もあって僕には調べ上げる事が出来なかった。その事もあり、僕の職業体験はその情報だけでも実りあるものになる。

 

そして…No.1ヒーロー、オールマイトの元相棒。どんな理由でコンビ解消をしたのかは知らないが5、6年前に2人は別の道を歩み始めた。

 

…だが、僕はそこに興味は無かった。オールマイトとの関係や《個性》については後回し。僕の目的は《予知》をコピー出来るかどうか。

 

大して珍しくない《シャチ》や《兎》などの動物系個性とは異なる上、《爆破》などの発動系個性とも少し異なる特殊なパターン。

 

…“時間”という世界の理に反する《個性》。概念すら崩す“超常”。それが《予知》だ。

 

それに()()()。この目的に、オールマイトは関係が無かった。

 

「受け継ぐ《個性》。物間寧人、貴様を後継者として育てる役目を、私が受け持ってもいい」

 

ーーーけどそんな僕の想いとは裏腹に、僕は平和の象徴の《個性》と密接に関わっていくことになる。

 

 

⭐︎

 

「全員コスチュームは持ったな?…よし。さぁ行ってこい、我が教え子達よ!くれぐれも失礼のないようにな!」

 

ブラド先生の激励の言葉に、はい!と皆が口を揃え解散する。それぞれが自身の職場体験へ向かっていく。勿論僕も、コスチュームが入った鞄を手に歩き出す。

 

「お待たせしました、通形先輩」

「大丈夫さ!さぁ、行こう、サーの所に!…あ、あと俺の事はミリオでいいからね。事務所ではヒーローネーム使うから、あまり畏るのは良くないだろう?」

「それもそうですね、ミリオ先輩」

 

迎えに来てくれたミリオ先輩と一緒に電車に乗る。ここから到着には1時間ほど掛かるので、先輩と2人で会話して時間を潰す。

 

「先輩のヒーロー名って、“ルミリオン”でしたよね?良い名前ですね」

「わかる?俺もそう思う!全てとまではいかないが100万、オールじゃなくともミリオンを救う人間になりたい、そう思ったんだ!」

 

だからルミリオン、か。目標が高すぎるなんて考えはよぎらない。雄英のトップは、いつかその夢を叶えるだろうという確信があった。

 

「今の口振りだと、オールマイトも意識してるんですけど」

「そりゃあ、昔からの憧れだからね!君は、“ファントムシーフ”だっけ?」

 

僕の、“何にでもなれるヒーロー”を表す名前。実は結構満足している。

 

「先輩、結構オールマイトのファンなんですね。言われて見なくても雰囲気が似てます」

 

いつも笑顔な所とか、コミカルな雰囲気はオールマイトを彷彿とさせる。オールマイトへの憧れの気持ちが起因してるのだろうか。

 

「勿論さ!ま、サーには負けるけどね!」

「?…ナイトアイってオールマイトのファンなんですか?」

「事務所に行けばわかるよ!結構ポスターも貼ってあるんだ!…君は、オールマイトに憧れたりしないのかい?」

 

意外なナイトアイの前情報を聞きながら、ミリオ先輩の質問について考える。

 

「…どうでしょう。あの人みたいになりたいって気持ちは、多少あるんですけどね」

「なんか複雑な顔してるね!悩み事かい?」

 

僕の微妙な表情からミリオ先輩が更に明るく振る舞う。優しい気遣いだが、僕自身もこの質問に困惑していた。

 

僕にとってのオールマイト。謎に満ちた彼の《個性》。恐らく今の僕では《コピー》できない特殊な《個性》だ。

 

まだ、僕の力は不足している。平和の象徴は遥か高みにいる。彼の姿だけはコピーできないのだ。

 

…?

 

心のどこかでモヤモヤが広がる。

 

僕らヒーロー志望は強いヒーローになりたい。それは当然だ。つまり、オールマイトを目指すも同然。僕だって、No.1ヒーローにはなりたい。

 

…けど、“平和の象徴”になりたいと、僕は心の底から言えるのだろうか?いや、なりたいのではなくーーー。

 

「難しい顔だね!良くないぜ!くれぐれも、サーの前ではダメだ」

「…はぁ、そうなんですか?」

「あぁ。知らないと思うけど、サーの性格はユーモア重視!笑顔が大好きなんだ!」

 

またもやナイトアイの意外な一面。だが、オールマイトの相棒と考えれば納得できるものだ。

 

「笑顔…ですか。ちょっと自信ないんですけど」

 

そう言いながら、練習も兼ねて笑ってみる。

 

「うん、相手を論破した直後の顔だね!それもユニーク!」

 

ウザい顔なのは充分に伝わったので、僕は早々と笑顔の練習は諦めた。ゴマをするように相手の好みに合わせるのは僕らしくもないし。

 

それにしても、こうして電車で座りながら雄英のトップと話をするなんて少し前の僕じゃ考えつかなかったな。なんて、僕がこの現状を思ってる間にも電車は進んでいく。

 

目的地、ナイトアイ事務所に向かって。

 

⭐︎

 

「合格だ。もうすぐウチの相棒達はパトロールを終えて帰ってくる。顔合わせや自己紹介はそこで済ませておくんだな」

 

軽い挨拶と僕との握手を終えたナイトアイは、その言葉を残して事務所の一室に入って行った。何かしらの業務が残っていたのだろう。

 

「…え?」

「凄いじゃないか物間君!サーがあんなにあっさり受け入れるなんて!」

 

場所は移り変わりナイトアイの事務所で、僕はポカンとした間抜けな表情を浮かべていた。スパルタなイメージを持っていたから、なんとも拍子抜けだ。

 

「…まぁ、指名貰った側ですからね。そりゃ門前払いはされませんよ」

 

笑わせろ、なんて無理難題をふっかけられる事も想定していたが要らぬ心配だったようだ。

 

「バブルガール達を待っている間は事務所の紹介でもしようか?今サーが入って行ったのは資料室で、これまでの事件がまとめてーーー」

 

「すいませんミリオ先輩。ナイトアイと2人っきりで話してきます」

 

一年近くもナイトアイに起用されているミリオ先輩は、勝手知ったる口振りで事務所を紹介してくれる。だが、申し訳ないけどそれを中断させ、ここで待っていて欲しいと告げる。

 

僕は返事も聞かずに、件の資料室とやらに向かう。ナイトアイが入った部屋だ。

 

「失礼します」

 

中に入り、ドアを閉める。四方がファイルの詰まった棚で囲まれている部屋で、その奥の1人がけのソファに座るナイトアイと向かい合う。

 

急ぎの業務に追われている様子はない。ナイトアイと話す為に部屋に入ってくることが、()()()()()()()()()()()()()()()、僕と目を合わせる。

 

やっぱりか。

 

…初対面なのでこっそり《コピー》するのを遠慮した僕に構わず、ナイトアイは《予知》していたようだ、先程の握手の時に。

 

「…視たんですね。流石《予知》だ」

「貴様の目的はそれだろう?」

「へぇ、それも視たんですか?」

「いいや、これはワタシの予想だ」

 

正解、流石プロヒーロー。僕の狙いは勘破されていた。

 

「お恥ずかしながら、僕が《コピー》を本格的に使い始めたのは最近でして。どの程度まで適用出来るのか調べておきたいんです」

 

それが、僕がナイトアイ事務所を選んだ理由。

 

「ところで、どうして僕なんかを指名したんですか?ナイトアイに指名されるなんて思っても見ませんでした」

 

では、ナイトアイが僕を選んだ理由は?それを単刀直入に聞く。

 

「体育祭の優勝者だ、戦い方もワタシと似ていると来た。それ以外に理由が必要か?」

 

ミリオ先輩から食堂で聞いた情報、確かに筋は通っている。本当にそれだけの理由だろうか、という疑問は残るが納得はする。

 

「まぁ、貴方がそう言うなら」

 

深くは聞きませんよ、そう言いながらナイトアイに歩いて近付き、手を伸ばす。当然《コピー》する為だ。今回の目的である、《予知》を。

 

するとナイトアイは立ち上がり、僕の手をひょいと避ける。

 

「……………」

 

もう一度手を伸ばす。先ほどよりも少し速く。

 

ナイトアイはそれも避ける。

 

「…………」

 

数回、小学生の小競り合いのように無言でそれを繰り返した後、僕は怪訝な顔をナイトアイに向ける。

 

「…どう言うつもりですか?」

 

険しい顔で、僕を見定めるような視線。長身のナイトアイに見下ろされる形になる。

 

「物間寧人、ヒーロー科1年B組。逢沿中学校出身で、中学での身体把握テストで学年1位を3年間維持。体術や剣術などの心得もアリ、と。間違い無いな?」

 

間違いは無い。中学までの体力測定では個性の使用は禁止なので、全員無個性で測る。そうなると僕の横に出るものは居ない。当たり前と言えば当たり前の話。

 

「…ただの1生徒をそこまで調べてるんですね。いやぁ、光栄ですよ」

 

光栄?とんでもない。はっきり言って異常だ。単なる職場体験で迎え入れる生徒を前もって調べるのはおかしくはない。だが、調べすぎだ。

 

確実に、何かを企んでいる。

 

「《コピー》…体に触れた者の個性を五分間使い放題にする《個性》、か。これは間違いではないが適当でもない」

 

「ーーー流石にそれは、テレビ中継で見てわかる情報の域を越えてますよ」

 

思わず口を挟んでしまったが、それに構わずナイトアイは僕の《個性》の見解を述べていく。

 

「“触れた者の《個性》を自身に宿し、()()する《個性》”だろう?《コピー》の本質は」

 

隠していた訳でも無いが、教師にも言ってない情報、“同調”についても指摘するナイトアイ。思わず感嘆の声を漏らす。

 

「…凄いな、満点回答ですよ」

 

「貴様の《個性》とは違うが、“似た個性”を相手した事もある。その系統には詳しい」

 

“似た個性”…()()、か。どこかのヴィランだろうか。一瞬気にかかったがすぐに頭を切り替え、ナイトアイとの会話に集中する。

 

「それでも、あの準決勝を見ただけで辿り着くのは驚きですよ」

 

《予知》抜きにしても、ナイトアイの観察眼には舌を巻かざるを得ない。“同調”についても見る人が見ればわかるのだろうか。

 

ーーーだが、どうしてそこまで僕を調べた?

 

その疑念は再燃する。

 

そんな僕の疑いの視線を受け、ナイトアイが口を開いた。

 

「一つ聞こう。オールマイトの《個性》はコピーしたのか?」

 

そんな質問。僕の答えはノーだ、首を横に振って答える。触れるチャンスは体育祭以降あったが、あえて《コピー》していない。

 

「…そうか。では、貴様が《コピー》できる個性は一つだけか?」

「質問は一つじゃなかったんですか?」

「ボーナス問題だ」

 

それでいいのか、という言葉をグッと飲み込みながら質問に答える。

 

「一つですね、例えば今貴方の《予知》を僕の身体に宿しても、ミリオ先輩の《透過》は共存出来ない」

 

「そうか、まぁいい。貴様が言った事だ、本格的に使い始めたのは最近だと」

 

「なんの話ですか?」

 

要領を得ない応答に思わず口を挟んで先の言葉を促してしまう。《コピー》を使い始めたのは高校からという言葉が、今関係するのだろうか。

 

「貴様も知っているだろう?…()()()()()を」

 

個性は成長する。その事実は知っている。事実、“過去視”で見たエンデヴァーの《ヘルフレイム》の熱量は、数年前よりも増していた。

 

「…なるほど、“ストック”ですか」

「そうだ、貴様の《個性》の成長によって、自身の個性の許容数が増えるかもしれん」

 

本当にそうなるかはわからないが、今後使い続ける上で2つ同時とは行かなくとも、テレビのチャンネルを切り替えるように“個性(コピー)の切り替え”が出来る可能性はある。

 

それはまぁ、いいとして。

 

どうしてナイトアイは僕の《個性》について真剣に検討しているのか?物間寧人という存在に何を求めているのか?

 

その理由についてはまだ確信は持てない。ただの予想の域を出ない僕の仮説は、口に出す訳にもいかない。

 

それに、今日の本題はそれではない。

 

「まぁ、僕の《コピー》の話はいいとして、《予知》をコピーさせて貰ってもいいですか?あ、あと《予知》の情報とかあると助かりますね」

 

僕の《コピー》はイメージ力に左右される。仮に僕が《予知》を身体に宿したとしても、発動の条件や未来を視る感覚のイメージを知っておく必要がある。先程の握手で“視た”事から、僕と同じく触れるのが条件と予想はしているが。

 

僕はコピーの為の《予知》に関する最低限の情報を聞く。が、ナイトアイはこの質問には答えなかった。

 

「先程の質問に答えよう。貴様を指名した理由は、貴様を見定める為だ」

 

「…はぁ」

 

そんな唐突な言葉に困惑する中、ナイトアイは更に続ける。

 

「貴様の今の実力、潜在能力(ポテンシャル)、人間性を加味し、ワタシの信用に足る人物かを判断させて貰う。この二週間でな」

 

そう、宣言した。

 

「随分と上から目線ですね。それに、まだ最終的に何をさせたいのかも言ってませんよ」

 

「言っただろう。ワタシの信用次第だと」

 

つまり、目的も2週間後までお預けって事か。…ふざけた話だ。もはや話にもならない。

 

「いくら温厚な僕でも不愉快ですね。僕を指名したのはそちらでしょう?」

 

流石に苛立ちの声が漏れる。これから2週間値踏みされると思うとうんざりするのも仕方のない事だ。

 

「僕に何を求めてるのかは知りませんが…。今、ここで帰ってもいいんですよ?」

 

勿論ハッタリだ。流石にそこまでガキのような事はしないが、話の主導権を握るためにあえて強く出る。

 

しかし、この展開も《予知》で視ていたのか動じた様子は無い。

 

「貴様がそれでいいなら構わない。貴様の目的は叶わないがな。…()()()()()()

 

ここでナイトアイと喧嘩別れしてしまうと、僕の《予知》をコピーするという目的は確かに叶わない。しかし…()()

 

「ワタシの《予知》を以ってすれば、貴様が《予知》をコピーする未来は無くなる」

 

「…つまり、2週間《予知》を我慢しろ、と?」

 

2週間をこの事務所で過ごさない限り、僕の悲願を妨害し続けるという事を宣うナイトアイ。おいおい。

 

「…人の一生を正確に視る《個性》?いくらなんでも、“超常”の枠を超えてるだろ…」

 

思わず呟いた言葉にも、ナイトアイは反応しない。このセリフも《予知》で視ていたのだろうか。

 

流石にナイトアイの言葉をそのまま受け入れる事は出来ない。今後数年を正確に《予知》するだけでも異常なほど強個性だ。有り得ないにも程がある。

 

僕の予想では触れる事が最低条件、長くて数時間後の未来を視る《個性》だった。ナイトアイの言葉は、そんな予想を遥かに上回る。

 

「…いや、確かめる事はできる」

 

《予知》について詳しくは知らない。僕が先程自分で言った事だ。だが、確かめる方法はある。

 

今、ここで《予知(コピー)》を使い実験すること。

 

「ワタシに挑むつもりか?この条件で貴様に勝利は無い。ワタシが視た通りだ」

 

「…はは、そう自信満々に言われちゃその気も起きませんね」

 

僕の諦めたような乾いた笑いが部屋に響き、一瞬の静寂。

 

 

 

好機(チャンス)

 

 

 

「ーーーーワタシが息を吸ったタイミングでの奇襲」

 

伸ばした僕の腕を掴みながらナイトアイは呟く。僕の掌はナイトアイの肩ではなく、空気に触れている。

 

「人間は力を入れる瞬間必ず息を『止める』か『吐く』…逆に言えば、『吸う』タイミングは人間の無意識な油断だ」

 

「それに加えて不明瞭な視線、全てに対応できる重心、“触れる”為の技術(スキル)か?」

 

「ーーーだが、ワタシには全て“視えている”」

 

たった一瞬の攻防で、全てを見抜くナイトアイ。僕は掴まれていた手を離してもらい、降参のポーズを取る。

 

一撃を入れろという課題(ミッション)ではなく、触れろという課題。それすらもクリアできないとはお手上げだ。《予知》の強さには恐れ入る。

 

「さぁどうする?貴様は2週間《予知(コピー)》の我慢を了承するだけだ」

 

これまでの話し合いをまとめる。

 

ナイトアイの望みは、僕の価値を見定める事。言い換えれば、僕の全力を見る事だ。

この話し合い…《予知》をお預けにしなければ、この職場体験で僕は手を抜くと思っていたという訳だ。

 

その見解は、()()()()()()()()()()()

 

例えば轟焦凍はエンデヴァーの元に向かった。それは彼のヒーローとしての資質を学ぶ為。

 

対して僕の目的は《個性》。ヒーローでは無い。

 

もし初日に《予知(コピー)》が済んでいたら、僕は真摯に職場体験に向き合っていただろうか。断言は出来ない。

 

……僕はヒーローよりも《個性》に興味がある。そういう人間だからだ。

 

「ワタシの《予知》は、貴様の言う“超常”その物だ」

 

そう言われると、益々《コピー》したい欲は増す。当然だ、期待以上の《個性》なのだから。僕が“個性マニア”というのも調査済みなのだろう。

 

仮にハッタリだとしても、そこまでしてナイトアイが僕を引き留める理由にも興味が沸く。こんな話し合いをする程、どうしてナイトアイは()()()()()()()

 

僕が2週間滞在すればこの2つの目標は達成できると見ていい。後者はナイトアイの信用を勝ち取る必要があるが。

 

そう考えればここで帰るのは得策ではない。取引とも言えない取引に、僕は応じる。

 

「…2週間、お世話になります」

 

そう言った僕の顔はひどく仏頂面だったに違いない。が、ナイトアイはそれにも構わず手元の書類に印鑑を押した。

恐らくあれで、職場体験受け入れが正式に決まったのだろう。

 

こうして僕とナイトアイの、最悪な顔合わせは幕を閉じた。

 

 

⭐︎

 

 

話を終えて僕とナイトアイが一緒に資料室から出た時にはミリオ先輩とナイトアイ事務所の2人の相棒が集まっていた。

 

「あ、出てきたよバブルガール!センチピーダー!って、何だか険悪な雰囲気だね!という事で自己紹介をどうぞ、まずはバブルガールから!」

「えぇっ!?最悪なフリにも程があるよミリオ君!」

 

「物間寧人です。趣味は人の真似で、今1番知りたい事はナイトアイが嫌がる事です」

 

まず、その辺にあるオールマイトのポスターを捨てて行こうと思っている。

 

「凄い素直な悪意だねぇ!初対面で嫌われすぎじゃないですかサー!?」

 

そんな涙目のバブルガールに構わず、ナイトアイはもう1人のサイドキック、ムカデのような人に声をかけた。

 

「センチピーダー。昨日言った通り、明日の朝イチで移動してくれ」

「了解しました、保須でしたよね?」

「あぁ」

 

そんな業務連絡を耳にしながら、僕はナイトアイの嫌がる事を考え続けていた。

 

そうだな、まだ仮免もない僕が街中で《個性》を使うと、ナイトアイの監督責任で減給とかにならないだろうか。うん、今しがたナイトアイの下で職場体験が決まったのだ。問題無いな。

 

「…はぁ」

 

前途多難、その一言に尽きる。見定めるような視線を浴びながら僕は深いため息をついた。

 

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