榊遊矢が俺んちにきたようです。   作:ウェットル

1 / 10
 読み切りでは投げきれなさそうな、数話分のものがコチラとなります。


『伝説』の決闘者 榊遊矢
誰かボクを助けてください。


 

 こんな状況を想定できるものならば、そいつは大した夢想家だろう。

 

 

 

 小説投稿サイトでファンメイドの作品を見るたびに、小さくため息を吐きながら思うことがある。

 それは、遊戯王の世界におけるオリジナル主人公こと「オリ主」は殆どの場合、榊遊矢と何も変わらない、ということだ。

 特に、死んで転生して元の世界のデッキを持って、などという与太話に関わるものなら尚さらだ。

 

 ・・・・・・なに、榊遊矢とオリ主が同じものである理由がわからない?

 

 では具体的に、オリ主との共通点を説明しようか。

 たとえばオリ主とやらが、現実にも存在する強力なカードやカテゴリーを使う「この世界」の住民で、パワーデッキ片手に縦横無尽に原作世界を駆け回るとしようか。

(いわゆる夢小説一歩手前の「オリ主モノ」というやつだ)

 

 さて、オリ主が仮に原作世界の未来を知る転生者であろうが、仮に原作主人公の運命や物語を横から掻っ攫ったり、憑依などで乗っ取ったりする変人であろうが、その挙句の果てに恋愛成就どころか立身出世を叶えようが、または世界の救世主となろうが同じこと。

 その世界ではオリ主以外のオリジナル・キャラクターないし原作キャラクターは主人公足り得ないだけでなく、オリ主のヒロインが原作主人公のヒロインであろうとも、その世界では・・・・・・その平行世界では、原作ヒロインの恋する相手がオリ主となる。

 つまり、物語世界の中心が原作主人公からオリ主に変わっているのだ。

 

 自らをアンチエンタメデュエリストと称してはいながらも、エンタメデュエルが尊重する精神、エンタメデュエルが目指すものについては一欠片も理解していなかろうが。

 榊遊矢が大嫌いと言いながらも、榊遊矢が持つ美徳を見出す努力をしていなかろうが。

 そして榊遊矢と同じように、本来その世界には存在しない召喚法を使おうが。

 

 根本的には、ペンデュラム召喚の開祖である榊遊矢と立場は変わらない。

 そのオリ主は「主人公」であり、榊遊矢もまた「主人公」であり。

 主人公が何を言おうとも、その主人公の指先と口先こそが絶対となるからだ。

 カードや特別な力などもそうだが、主人公としての本質が極めて酷似しているのだ。

 

 そして、相手のことを欠片も理解していなかろうが、「自分がどういう人間なのか」という自覚やアイデンティティの獲得が未熟であろうが、オリ主や榊遊矢の物語は進んでしまい、止まることや休むことができない・・・・・・と、いう特徴も似ている。

 ただただ榊遊矢は状況に流され、オリ主ならば原作の展開を知る場合に「原作知識」に翻弄され、本人は未熟なまま、相手を具体的に理解しないままに行動してしまっていることが多いのだ。

 

 榊遊矢もオリ主と同じくして、戦争や格差社会でのデュエルや思想を否定していながらも、「なぜ、そのようなデュエルや思想がまかり通るのか?」を劇中で考察し理解したことはない。

 それらの思想に、そしてそれらの思想を持った様々な人達からの誤解や偏見に対して、自分から直接は歩み寄っていないが、なぜか自分の主張は最終的に認められているという、直接の対話による相互理解のないストーリー展開が起こっている。

 結果を出した、楽しいデュエルをして勝った。それだけで格差社会に生まれた富裕層と貧困層の間にある溝や、戦争加害者の持つ思想を変えることに成功している。

 

 明らかに間違った考えを持つ悪役たちに考えを改めてもらうことなど、ましてその本人と直接対決するときなど、あのニチアサの魔法少女たちや覆面戦士たち、赤かったり青かったりする巨大宇宙人たちですら何週にも渡って苦労し続けているというのにだ。

 

 悪役数人を相手にしてそれほどの苦労なのだ。不特定多数を相手にするとなれば、それこそ不特定多数に対して問題提起をする遊戯王ファイブディーズのラスボス、Z-ONEのような宿敵と戦いつつ、それに対する答えを示しださなくてはならない。

 そもそも思想を変える、ということは、相手の生きてきた今までの全てを否定しかねないこと。これを客演したゲストキャラクターに対しても当てはめると残酷な話になってしまうので、その部分は省いて話を続けよう。

 

 要約すると、人間のアイデンティティに関わるデリケートな問題を、エンタメやデュエルひとつでたやすく解決できるほど、他人の苦しみや人生というものは甘くはない。

 たった数度のデュエルで多くの人々の考えを変えられるくらいなら、歴代の遊戯王の主人公たちだって苦労はしないのだ。

 そういったご都合主義的な部分もまた、榊遊矢がオリ主と共通する部分でもある。

 

 うむ、なかなかに吐き気を催す共通点である。

 

 以上が、「オリ主は榊遊矢と何も変わらない」と捉えた理由だ。

 ・・・・・・そうで、あるならば?

 しょせん転生者嫌いの転生者だろうと、その作品を読んだ読者がアンチ転生者の作品を創造して作者になろうとも、実際に行っている行動は自分の正義を振りかざしているだけにすぎず、根本的には創造主と創造された世界に対してなんの解決にもなっていない。

 

 ようは、都合のいいサンドバッグを自分で作って、自分で殴っているだけ。

 そういうことになる。本当に大した「夢」小説なことだ。

 

 それもまた創作活動ではあるが、ずいぶんと非生産的だなあと思わなくはない。

 創作活動という生産性こそあるとはいえ、作品に文句があるなら作者本人に感想として送ればよいではないか。

 私の場合は、同じように創作活動に励んだ結果として、厳しい現実や理不尽な経験を味わうことになった。年単位で続編を書く気力を失い、憎悪に胸を焦がせ、作品を書こうとすれば憎悪が邪魔をし明るい話を描けず。

 まあつまり、「何やってんだろうこいつら、俺も人のこと言えんけど」というヤツだ。

 もしも自分がそういう話を書くならば、なるべく自分にとって都合が良くってもいいから、書いている本人が楽しいと思えて、他人がワクワクできるストーリーにしようとは考えてはいた。

 だからこそだろうか、自然と各アニメシリーズでオリ主を、あるいは原作キャラクターのみで面白い展開を描けないか、割り込ませられないものかと考えたものだ。

 

 

 

 そんなことを独りで考えながら、「そんなことを二次創作小説のネタに使っていいのだろうか?」と思いつつ、何気なく飼い犬と散歩をしている正午の公園。

 

 誰が想定できるのだろうか、いやむしろ誰か想定をしてください。諸君らはいつも想像しては創造しているのだろう、ならばこういった話をいつかは誰かが思いつくはずだ、むじろ他の界隈では実際にあるのだから誰か遊戯王でもやっていたっておかしくないのではないかと全力で諸君らに問いかけたい。

 

 のほほんとイヤホンを着けて、ちょっとすごいハリネズミに関わるゲームオリジナル・サウンドトラックを聴きながら散歩をして、

 

「本当ならオレ大学生だしバイトとかしなきゃダメだよなー、親の金で遊んでばっかで真面目にバイトしてる人達と比べるとあれだよな、ただのトップスの御曹司みたいなもんでキャバクラとか行かないだけ真っ当に見えるクズ野郎だよなー、わはー」

 

 などと、心の底で苦笑いをしながら。

 

 先程のような、コミュ障手前の脳内ヲタトークとかどうしたもんですかね、と考えていただけなのだ。

 

 もちろん、転生者恒例の魂運送トラックひき逃げ事件なんてものは現実起こるわけもなし、気がついたら病死をしていたとか、最初から病を抱えていて不幸だったとか、そういう涙ぐましい話というわけでも報われて当然の過去があるというわけでもない。

 どっちかといえば、自分は世界中のコモンズにフラグではなく中指を立てられながら蹴り飛ばされて、気が付かないうちに社会的な生活能力ゼロのまま路頭で飢えて死ぬレベルの、なんかこう別にヒモになれるほど異性にモテるわけでもなければ、そんなことは女性に対して人として恥ずかしいと考えるくらいには。

 

 箸にも棒にもかからない、なーんもしてない大学生ニートである。

 死んだら「ザマァ!」と言われたって文句は言えまい。そういうヤツである。

 さて、こんな野郎が何を慌てているのか、はっきりと申し上げましょう。

 

 

 

 公園でちょっとワンコと戯れていたら、どこかで見たことのあるトマト頭な紅顔の美少年がベンチの上で寝転んでいたんだけど。

 

 これってコスプレイヤーですよね?

 




 えるしってるか ふらぐはじぶんでつくるもの

 主人公のモノローグ自体がフラグです。

 こういう遊戯王二次小説が、あってもいいと思う ( ̄ー ̄)bグッ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。