榊遊矢が俺んちにきたようです。   作:ウェットル

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 おひさしぶりです、新年明けましておめでとうございます。
 投稿が遅れた理由は【仮面ライダージオウ】や【仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER】の視聴、および架空デュエル作品の制作、【ハイスクールD×D】SSの連続投稿、卒業に向けたあれやこれやです。
 いやぁ、「ン我が魔王・・・・・・」アラームは劇場で腹が捩れましたね。

 そういうわけで、「なんか方向性がウォズに近くね?」と思えてきた佐奈川新斗(ただのオリ主)と、「未来の覇王だから新斗に『我が覇王』って呼ばせてもいいんじゃね?」と思えてきた榊遊矢くんのSS、はじまるよ。



お金が天下のまわり物なら、勝手に増やしちゃダメなわけで。

 やあ、諸君。(ボク)だ。

 あるいは「俺」とも一人称を変える人間だ。

 よくボクと一人称をつける人間を男らしくないだの、優柔不断そうだの、弱気そうだのと言ってくれる人間は多いが、実際のところ「俺」でも弱気だったりキョドったりすれば同じセリフを言われるのが理不尽なところだ。

 むしろ「俺」だと何かを言うだけで押し付けがましそうに疎まれるのが虚しい。

 

 素でボクキャラは辛いよ。

 

 さて。

 我らがエンターテイナー、あるいは我らが第二の覇王。榊遊矢と呼ばれたキャラクターが現実に現れれば、必ずある問題がつきまとう。その問題とはいかなるものか。

 彼等独特のエンタメ論に付き合うことになることか。リアルソリッドビジョンによる物理ダメージを常に受け続けることか。デュエルに負けたら、カードにされてしまうことか。

 残念ながら、どれも大した問題ではないと言っておこう。

 お互いの主義主張程度でワンギャン騒いでいたら、我々は今すぐにでも喧嘩や暴動、あるいは戦争しようとするだろうし、それをデュエルという小規模にできるからと主義主張のために振りかざせば蚊帳の外にいる人間にとってのデュエルは悪印象となる。

 誰だって、包丁で殺し合っている人間たちを見て、包丁が怖いと思い始めるのはおかしな話でもないと分かる程度の易い問題だ。

 物理ダメージありきのリアルソリッドビジョンでさえも同じ問題でしかない。

 カード化云々にしても、そもそも相手がカード化する意思がなければ問題にあげる必要すらなくなってしまう。

 では、そのような問題がどうでもよくなるほどの問題とはなにか。

 

「いやぁ、わかっちゃいたがね。榊遊矢くん、コンビニの件は貸しにさせてもらうぞ?」

 

「ごめん・・・・・・」

 

 

 

 食費を含めた生活費すべてだよ。

 

 

 

 彼等の世界の通貨が、我々の世界の通貨と同じではないことは確認済みだ。

 わずかな小銭でさえもまるで違う、一円玉が《スケープ・ゴート》で五円玉が《デス・ドーナッツ》、十円玉が《六武衆の門》で五十円玉が《破壊輪》で百円玉が《ナチュル・ハイドランジー》、五百円玉に至っては《スプレンディド・D・ローズ》という徹底ぶり。

 こんなのどこで使えるというのだね。

 地味にマイナーなモンスターが選ばれているというのが、なかなかに趣味が良いのやら、性格が悪いのやら、子供に憶えさせる気があるのやら。

 地味にトークンを生成するモンスターも含まれている辺り、おそらくはゲームで使うときのモンスター・トークン代わりやカウンター用のトークン・メダルとして使用するのだろうか。

 一円玉なら多くお釣りとして溜め込みやすいし、十円も十円でそこそこ残りやすいだろう。それならば一円玉の方をカウンターを乗せる《六武の門》、十円玉の方をさほどモンスター・トークンを必要としない《スケープ・ゴート》でよいのではなかろうか。

 けっきょくのところ、この世界では使い物にならないことだけは確か。

 仕方がないので、私の小遣いから朝の食費を捻出することにしたのだ。

 そもそもが犬の散歩に行くような時間で、とっくに炊いた白米など食べ終わった後で、新しく何かを作るには彼を待たせすぎてしまう。となると、公園にある坂を下りきって大通りに出たあたりにあるコンビニで弁当でも買っておくしかない。

 そういう事情でコンビニに行ったのだが・・・・・・これが、ちょっとマズかった。

 

「デュエルモンスターズの雑誌、ないの!?」

 

 ここで問題だ。

 遊戯王の世界にいた人間となると、最低でも遊戯王専門誌を読んでいると思わしきシーンが思い浮かぶ遊戯王マニアの方々もいるだろう。

 榊遊矢といえば、そのようなキャラクターたちのうちで、唯一と言ってもいいほどに「デュエルモンスターズ専門誌」と断言してもいい雑誌を自分で購入して読むほどの雑誌通だ。

 そんな登場人物が、この世界の雑誌を手に取ると何が起こるか。

 まず、パニックを起こす。当たり前だ、時代が違うならまだしも単純に「次元が違う」程度の認識しかしていない彼にとって、デュエルモンスターズ専門誌がない、遊戯王関係の専門誌がないという現実のほうがありえない。

 我々の世界で言うところの、スポーツ専門誌のようなものなのだからね。

 なまじリアルソリッドビジョンでのエンタメデュエルなんて代物があるのだ、そりゃあ驚くなんてものではないだろう。さて、そこから何をやらかしたのか。

 

 コンビニの店員さんに掴みかかるような勢いでクレームまがいの質問攻めをした。

 

 店内から出ざるを得なくなったよ、警察沙汰にされたらマズい人間が騒ぎを起こそうものなら、もうフォローなんてしようがない。今の彼に戸籍などないのだから。

 慌ててコンビニの店員さんに謝って逃げるように退出し、歩きながら説教をして、そのまま隣町のコンビニにお邪魔して、そこまでやってようやく普通に買い物が終わった。

 もう、こんな面倒なトラブルはごりごりだ。本当に自重して頂きたい。

 

「いやぁ、本当に。勝手にこの次元について探るのは止めてくれたまえ、肝が冷える」

 

「警察沙汰にされたらダメ、だから何がダメかもわからないうちから動くな、だろ?」

 

「よく復習できました、おかげでウチのわんこも満足げだから良しとしよう」

 

 けっこう長く散歩をしたからか、リードに繋がれた相棒が楽しそうに息を乱す。

 この坂を登りきれば、我が家の玄関まで後少しだ。都心部でもオカルト絡みの建築物や宗教施設が多い我が故郷においては、夜になったが最後慣れてないと子供がギャンギャンと泣くホラースポットに早変わりしてしまう。

 せっかくの爽やかな朝であろうとも、ちらちらと見える墓石が微妙に心躍らせてくれない。交通事故も地味に多いと、ちょっと縁起がよろしくないかのように思えてしまう。

 遊矢くんも周りを見渡しては、少し顔を青ざめて近寄って来ている。

 ほんの少し、いやけっこう嬉しいかと問われれば嬉しいのだけれども、同性だと思わせない容貌をしていても同性なのだぞと訴える理性が、近寄る右手に吸い寄せられる我が左手を抑え込む。

 

「さてさて、ことが終われば昼ごはんの仕度といこうじゃあないか。

 今までの用意する量より多めに作らなければ、思春期の少年には厳しかろうよ。となると、とりあえずはカレーか、昨日から何も食べてないのであれば朝食の次に腹持ちのよいものが欲しくなるだろうからね」

 

「ごめんな、なにかお金が使えたらよかったんだけど・・・・・・」

 

「安心したまえ、一円でも使えれば日本経済の物価が微量であろうとも変動するから、結果的には使えないほうがよかったのさ。

 そう思えばいい。使えなくて当然のものを、ないものねだりで確認した私の問題でもある。とはいえタダ食いを良しとしないのであれば、それはそれで対価になりそうなものをこちらで選別するから・・・・・・まあ、ようするにだね、気負いすぎなくて結構だよ」

 

「本当にいいの?」

 

「いいとも」

 

 大学で真面目に勉強した内容を、まさか紅顔の美少年をなだめるために使うとは思わなかった。

 

「そろそろ我が家の前だ、ゴミ袋を処理するから、先に家に入っても構わんよ」

 

「えっ、あ、ああ」

 

 榊遊矢くんに投げ渡した鍵は、両手で包み込まれることはなく、一瞬で視界に捉えた榊遊矢くんの右手に収まった。やはり、運動神経と動体視力をアクションデュエルで鍛えられていたのだろうか。

 私は敷地にあるゴミ箱へ、散歩中に生まれたばかりのゴミを捨てに行くとしよう。

 

「じゃあ、おじゃまします。

 ・・・・・・え、なにこの革靴の数!?」

 

 なにやら榊遊矢くんの騒いでいる声がする。

 おそらく、うちの親父殿の革靴を見て驚いているのだろう。

 そういえば親父殿、下駄箱を開けっ放しでよく出かけるんだった。

 

「可愛い反応、どうもありがとうっと」

 

 さあて、本当にこれからどうしたものかな。

 自分や友人、知人たちの持ち合わせた技量をひとつひとつ思い浮かべながら、榊遊矢くんの今後を決めうる問題のひとつへの解答を探るべく、まずは栄養を取らねばならぬと。

 目の前の、できれば描写したくない栄養の成れの果てをゴミ箱に入れた。




 こうしてみると歴代主人公でも「一般人らしい」部分でキャラが濃い。


 このSSは『遊矢可愛い成分』と、『同士諸君の感想』と、『多々買わなければ生き残れないゲーム【遊戯王デュエルモンスターズ】の面白さ』の提供でお送りしています。
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