急病で入院しておりました。。。
傷病手当金を片手に書き上げました、
楽しみに待っててくださった方、大変失礼いたしました。
はやてがワッカたちに尋ねたのは、桟橋に泊めていた漁船の行方だった。ワッカがビサイドオーラカの一員に指示を飛ばして村の漁師を呼び寄せ、話を聞いたところ、今日の昼過ぎに漁から帰ってきた時は確かにあの桟橋に船を泊めたという。船と桟橋をつなぐ麻縄はかなり頑丈に作られているため、それ自身がちぎれてしまう事はないと漁師は断言した。
話し合った結果、桟橋付近にも麻縄やその一部が落ちていなかったことから、漁船を繋いでいた桟橋の一部が腐敗して崩れ落ち、それによって船は波に流されたとの結論に至った。桟橋の木板の隙間からは大量の虫たちが這い出ていて、落ちている魚に群がったり、腐りかけた木板をかじったりしていた。ワッカのようにガタイのいい成人男性なら、踏み抜いてしまう危険性もあるだろう。
遠目で見るかぎりしっかりしている桟橋だったが、その実いつ崩壊してもおかしくない状態だったのだ。
はやては子どもたちの話を思い出す。子どもたちは迷子の子が虫を探しに海に向かったと言っていた。海で虫を探すのならば、海岸沿いの岩陰か付近の林を探すだろう。しかし、子どもはいつだって好奇心旺盛だ。普段見ないところに虫がたくさんいれば、そちらに注目してしまうことは想像に難くない。
「くそ、子供のいたずら防止にオールは外してある。潮の流れは沖の方に向かってっから、そこまで流されているかもしれねえ!!」
漁師が焦った声色で捲し立てた。
迷子の子は少し向こう見ずで、熱中すると周りが見えなくなるという一面があった。冒険心が彼女の心をくすぐったのなら、遊びか何かで漁船に乗り込み、捕まえた虫に夢中になって船が緩やかに沖に流されていることに気づかなかった可能性が十分にある。
ワッカが落ち着かせるように漁師の肩を叩く。
「ばか、慌てんじゃねえ。ユウナが見てんだろ。すぐに漁に出た奴らを呼んで、それから海図を持ってきてくれ。オレらビサイドオーラカと漁師は海での捜索に向かう!」
そう指示を出すと漁師は弾かれたように村に走っていった。
「ワッカ、単純な疑問なんだけど。ビサイド村の子どもたちは皆驚くほど泳ぎが上手いだろう? 船が流されたのなら、自分で泳いでここまで戻ってこれるんじゃないかな?」
はやてがそういうと、ワッカは一瞬「こいつは何を言っているんだ」というようにぽかんとしたが、何か納得したかのような顔をしたかと思うと、はやてに説明し出した。
「そうか、お前はこの辺りについてよく知らないんだったな。ビサイド島の海は他の島と比べてかなり穏やかだ。だからこそ、この村の幼い子どもたちは「海の怖さ」ってもんを知らねえ。ここの海岸はビサイド島の中で、唯一、強い離岸流があるとこだ。ビサイド村の子どもたちは泳げるようになったら、まずここで「海の怖さ」を体験させることにしてる。あいつらはいくら言葉で言っても無駄だからな、潮に流される恐怖を心に刻む場所がここっつーわけだ」
そういうとビサイドオーラカのメンバーはうなずき合う。ガキの頃はここが怖くて近づかなかったぜ、なんていう者もいた。ビサイド村出身の者にとって一種の通過儀礼のようなものなのだろう。
「もちろん、潮に流された時の対処法も教え込んだ」
「対処法、というと?」
「離岸流に逆らうな。それだけは絶対に守らせるようにしてんだ。真横に泳ぐやり方もあるっちゃあるんだが、子どもの体でそれは難しい。だから流されるだけ流されて、潮の流れが緩やかになったところで、今度は海岸に向かう向岸流に乗って泳いで帰るんだが……」
ワッカはユウナに一瞬目を配り、言葉にすべきかどうか悩んだが、首を振って続けた。
「子どもじゃパニックになって、向岸流に乗らず、村のある方向に泳ごうとするかもしれねえ。そうなると潮の流れに翻弄されて、最悪……体力がつきて溺れちまう」
「そ、そんな!」
ワッカの話を静かに聞いていたユウナは、たまらず声をあげた。カーバンクルを強く抱き締めてしまったせいでカーバンクルが「ぎゅえっ?!」と悲鳴を上げるが気づいた様子もない。はやては迷子の子の性格を改めて思い出す。
「……あの子は、冷静な判断を下して行動するタイプじゃない。離岸流が弱まったら」
「ああ、一目散に海に飛び込んで村に向かうだろーよ」
「た、助けにいかないと! どうしよう、どうしよう?!」
事態は思っていたよりも深刻だった。仮にその子が海上にいるとすれば、救助は一刻を争う。夜も深まり、周囲は松明がなければ見渡せないほど暗闇に包まれている。今夜の月は三日月で、空の光源は頼りない。更に言えば、海中に潜む魔物も脅威になる。ビサイド村を中心として、島に出没する魔物ははやてがあらかた討伐したが、海の中までは手が及んでいない。魔法はもとより、水中戦のイロハも知らない人間の子供は絶好の獲物になるだろう。ユウナが慌てふためくのも無理はない。しかし、そんなユウナをはやてが穏やかにたしなめた。
「ユウナちゃん、深呼吸深呼吸。こういう時に落ち着いている人がいると、周りも冷静になれるんだよ」
はやての言葉にユウナはハッとすると、言われた通り深呼吸をする。少し落ち着いたが、不安や心配までは消せていないようでカーバンクルを抱きしめる腕の力は抜けない。カーバンクルはユウナの内心を汲み取っているのか、健気にも暴れるようなことはせず、きゅいきゅいとユウナを元気付けていた。声はかなり苦しそうだったが。
「……はやてさんも、ワッカさんもすごいなぁ。こんな時でも冷静だもん」
呟くように漏らすユウナだったが、はやては笑って否定する。
「別に本当に冷静ってわけではないよ。大人ってのは、いい格好しいだからね。内心は慌てふためいてることもある。でも、」
「……?」
「僕らは慌ててばかりいると大切な時に失敗するって
ユウナは息を飲む。
「はやての言うとーりだな。ブリッツの試合の時もそうだ。ここぞって時ほど、頭は冷たくなきゃいけねえ。ユウナ、わかるな?」
今度こそ、ユウナは落ち着きを取り戻す。手の震えもおさまっていた。不安に囚われ、行動できないことこそ、真に恐るべきことなのだ。ワッカも、はやても、いくつもの失敗をしてきたのだろうか。後悔があったのだろうか。ユウナに想像はできない。
なぜ冷静にならなければならないのか、ユウナは確かに理解することができた。
「うっし! いい顔になったな。あの子は絶対に見つける。そんでもって、ガツンと叱ってやれ!」
「は、はい!」
迷子を見つけるために改めて意気込むユウナを見守りつつ、はやてはワッカに提案する。
「海にいるとも限らないから、引き続き島で捜索するグループと海で捜索するグループに分かれたほうがよさそうだね。一度ルールーに状況報告したほうがいいだろうし、一先ず村に戻らない?」
はやての提案に二人とも賛同したので、ビサイドオーラカのメンバーに桟橋周辺の捜索を頼んで3人は村に帰還した。
◆◇◆◇◆
「……そういうこと。そうね、私も二手に分かれて捜索すべきだと思うわ」
ワッカがルールーに一通りの事情を説明したところ、島と海に分かれて捜索することになった。戦闘の心得があるものは島に残り、漁師など海上での活動に慣れているものは海に出ることとなった。捜索に当たる人員の適正を正確に見極めて、即座に指示を与え続けるルールーはこの上なく頼もしく、村人たちもルールーの指示に素直に従っていた。
海図とにらみ合う副村長、漁師長、警備責任者たちの会議にルールーが混じっているのは、彼女がビサイド村のブレーンとして村人たちに頼られている証拠だった。
「それで、はやては島での探索に当たってもらうほうがいいかしら? ごめんなさい、彼のことを詳しく知ってるわけじゃないから判断がつかないのよ」
ルールーを悩ませているのは、はやての存在だ。どのように動いてもらうのが最も効果的か、いまいちピンと来ていない様子だった。するとワッカがルールーに進言する。
「あ、あーー、ルー、はやてだが、あいつは海での活動にまわってもらったほうがいい」
「はい? どういうこと?」
「そ、それはだなぁ。えー、なんつって説明すりゃいーんだ。と、とにかくあいつは海で捜索してもらった方がいいと思うんだオレは」
「……ちょっと、あまり適当なことは言わないでくれる? 今はそういう状況じゃないでしょう? そもそもユウナと彼はどこにいるの?」
要領を得ないワッカにいら立ちを見せ始めるルールー。ワッカの話が真実なら、一刻を争う事態だ。いったい何をまごついているというのか? ルールーの周囲の気温が下がったように感じたワッカは慌てて説明を続けた。
「いや、ちょ、ちょっと待ってくれ! 仕方ねえ、ルー、ついてこい! 見たらわかる!」
「きゃあ?! ちょ、ちょっと何するの!」
ワッカはルールーの手を取り、村はずれの砂浜に走り出す。
ワッカに急かされるように手を引かれてたどり着いた先では、ルールーにとって目を疑うような光景が広がっていた。
「———っ、ユウナ! 今すぐその魔物から離れなさい!!!」
ユウナが、ビサイド島では最も驚異的な魔物であるガルダ2匹に挟まれていたのだ。ユウナの足元には謎の光る生物もいる。
「こうなったら! ファイア!」
「ちょっ?! ルー、お前?!」
ルールーはとっさにファイアを放つ。ガルダ1匹、ルールー単独での討伐は厳しいかもしれない。だが、ユウナから注意を逸らせるならそれでよかった。ルールーはすぐさま次の手を、さらに次の次の手まで考える。
放たれたファイアがガルダ達のそばで発動されるその瞬間、
「バファイ」
火魔法を打ち消す白魔法がガルダ2匹を包んだ。ファイアは発動したが、2匹は全くの無傷のようで、きょとんとした顔でルールーを見つめている。ルールーの呼びかけに反応したユウナも、驚いた表情をしていた。
「なっ?! ファイアが打ち消された?!! だったら、別の黒魔法で——っ」
「ストップストップ! ルールー、このガルダたちは僕が手懐けたから敵対してないよ!!」
ガルダの影から飛び出したのは、ルールーにとって要注意人物のはやてだった。
「ガルダ達を使って、空から海上を探索するつもりだったんだ!」
「手懐ける?! そんなこと、できるわけないじゃない!! ふざけたことを言わないで! ユウナを解放しなさい! さもないと……」
「ちょっ、ワッカ?! きちんと説明するって言ったじゃないか!!」
「い、いや、なんて説明すりゃいいんだよこれ……。それに、ルーも怒ってたしよぉ……」
「説明なしに連れてきたの?!?! 嘘だろワッカ?! 一番最悪なパターンじゃないか!! これならルールーの目の前で手懐けりゃよかった!」
「ごちゃごちゃと……っ! ワッカ!! あんた、ユウナのガードになるんじゃなかったの?! どうしてあなたがこの子を危険な目に合わせてるのよ! 絶対に許さない!!」
「ちょ、待ってくれルー! オ、オレはただ……」
「もう! いい加減にして!!」
ユウナの叫び声があたりに響く。普段のユウナからは想像できない声量だった。ユウナが叫ぶところなど、誰も見たことがなかったため、バタバタと暴れていた大人組は黙らざるを得なかった。
「ワッカさん! はやてさんから何て頼まれたか忘れたの?!」
「ぉ、おお、さすがに村には入れられないし、余計な心配をかけるからルーを連れてこいって……」
「ちがうでしょ! はやてさんが頼んだのは「ルールーにきちんと全部説明して、安全だと理解してもらったうえで連れてきて」だったでしょ!」
「———そ、そうだったな! そうだ! すまん!!」
「ルールーも! 私のことをいつも守ってくれるワッカさんが、私をわざと危ない目に合わせるはずないのに!!」
「そ、そうね。そうだったわね」
「はやてさん……、さっき私に落ち着きなさいって言ってくれたのに」
「……あっはっは」
「笑ってごまかさないでください! ごめんねカー君、驚かせて。大丈夫、ルールーは私の家族だよ」
「きゅいいいぃぃ」
ルールーに対して威嚇する小さな生き物をなだめつつ、ぷりぷりと怒るユウナに毒気を抜かれた一同は顔を見合わせ、それから気まずそうに顔を逸らした。ガルダ達は我関せずといったように、のんきにあくびをかますのだった。
「まあ、そういうわけで。村に帰る途中に2体とも上空を飛んでたから利用しよ……協力してもらおうと思ってテイムしたんだ。」
「……それは魔法かしら?」
「うーん、広義的にはそうかな。ガルダ達の【ハートを盗む】ことで、敵対心をなくし、支配下においたんだ。強い攻撃を食らうと元に戻っちゃうから、今から防御魔法をガルダ達にかけるところだったんだよ」
ルールーはガルダたちに目を向ける。ガルダはビサイド島で最も恐れるべき魔物といえるだろう。ルールーはガルダを直接目にしたことが何度もある。非常に凶悪な相貌で、その性質も実に攻撃的で狂暴だ。ビサイド島に生息するガルダは村から離れたところに出没することが多い。ビサイド島で立ち入り禁止になってるところのほとんどがガルダの生息地である事実から、先ほどのように取り乱すのも無理はなかった。正直今でもユウナをガルダ達のそばに置きたくはない。
だがはやての支配下にあるガルダをよく見ると、とても純粋な瞳をしているように思えた。浅瀬の水面で乱反射する太陽の光のよう、妙にキラキラしていると表現すればいいだろうか、とルールーは思う。いつか見た、深海を連想させる感情のない冷たいまなざしとは大違いである。
きれいなガルダ、とはやては形容していた。
「理解はできるわ、でも正直落ち着かないわね」
「まあそれも当然だよ。村へは連れ込まないから安心して」
「絶対にそうして頂戴。それからあの……」
ルールーはガルダから目を逸らし、今度はユウナの足元で発光している謎の生き物を指さした。ガルダと比べて攻撃性は感じられない。むしろとても愛くるしい見た目をしており、ユウナのそばで彼女を守るように凛とすましている様子は正直とてもたまらなかった。
ルールーは実のところ可愛い物が大好きである。自身のベッドにはいくつか人形が並んでいるし、可愛らしい装いをみると心が大きく揺さぶられる。かわいい服装に身を包みたいという気持ちもないではないが、そうした暁には間違いなく『シン』の毒気を疑われるだろう。だから代わりにかわいい人形を買ったり服を着せたりしているのである。
そして小動物も好きだった。なぜなら可愛いから。
「あれはペットのカーバンクルっていう生き物だよ。僕が召喚したけど還せなくなっちゃったからユウナちゃんが引き取ってくれたんだ。今はカー君って名前をもらって、ユウナちゃんのそばで彼女を守っているよ」
「そうなの。……利発そうね」
「普通の小動物よりは賢いよ。少なくともこっちの言葉はある程度理解してるし、ユウナちゃんとは互いに意思疎通も取れてるみたい」
「そう……。その、もう一匹呼べたりはしないかしら?」
「うーん、ちょっと召喚魔法には思うところがあってね。今は控えてるんだ」
自分のことが話されていると感じたのか、カーバンクルがはやてたちに振り返る。そしてルールーに対して小さく唸って威嚇してみせる。完全に警戒されてしまったルールーはとても残念そうだった。
「まあ、それに関してはまた今度話を聞かせて。今はこのガルダたちね。このガルダに乗って、上空から流された船を探すのかしら? 本当に可能なの?」
「できるよ。確認してみたところ一匹あたり一人なら乗れるし、僕らが落下しないように飛行しろと厳命してる」
「そう。二匹いるということは、あなた以外にも誰か乗るんでしょう?」
「あー……、うん。まさにそこなんだけど」
「ん? オレじゃあだめなのか? はやては潮の流れでどのあたりに船が流されてんのか分かんねえだろ?」
ワッカが任せろ言わんばかりに胸を叩く。しかしルールーは異議を唱えた。
「……いいえ、ワッカにはここで指揮を取ってもらうわ。代わりに私が彼と一緒に探しに行く」
「ええ?! な、なんでだ?!」
ルールーの言葉に驚くワッカだが、ルールーは残念な者を見るような目でワッカを一瞥し、ため息を吐いてから説明した。
「あなたね、今はもう夜なのよ。光源もなしに、どうやって空から探すのよ」
「……そ、そりゃあ、まあ、なんだ。どうにか……すんのよ。はやてが」
困ったワッカははやてに話を振るが、はやては肩をすくめて見せるだけだ。
「実は光源になるような魔法が思いつかなくて……。ルールーに相談しようと思ってたんだ」
「そんなことだと思った。じゃなければ、私がここまで足を運ぶ理由が思いつかないもの。……案外、万能って訳でもないのね。ある意味安心したわ」
「お恥ずかしいことに僕の魔法は戦闘特化なんだよ。最悪ファイガを打ちまくりながら飛ぼうと思ってたけど」
「最大級の火魔法を無差別に振りまきながら空を飛ぶ魔物が接近してきたらあなたはどう感じる?」
「…………身の危険を感じるね」
「私なら光源にできる魔法も扱える。もう一匹には私が乗るわ」
「助かるよ、ありがとう」
はやてはお礼を述べるとルールーに防御魔法をかける。
プロテスやバ系の白魔法とは異なる、不思議な感覚に知的好奇心がくすぐられるルールーだったが、気持ちを切り替えてワッカに向き直る。
「ワッカ、現場の指揮については副村長たちと話を詰めてちょうだい」
「おう、わかった。こっちは任せてくれ」
「それから……ユウナ」
声をかけると、俯いていたユウナはどことなく申し訳なさそうな面持ちで顔をあげた。
「顔をあげなさい。……はやての役に立てないとでも思ってるのかしら?」
「えっ、ど、どうして……」
内心をピタリと当てられたユウナは動揺するが、そんなユウナの頭をルールーは優しく小突く。
「適材適所よ。あなたはあなたにできることをしなさい。村には夜の探索で怪我をした人もいるわ。あなたが治してあげて」
「––––っ! う、うん!」
そういうと、ユウナは村まで駆け出し、ワッカは慌ててユウナを追いかける。
海岸から離れる前に一度ちらりとはやてに目を向けるユウナだったが、はやてはガルダを前にルールーと真剣に話し合っていてユウナの視線に気がつかない。
両者とも、ユウナにとってとても頼りになる存在だ。
ビサイド村をまとめ、皆から信頼されるルールー。いつも冷静で、様々な魔法を駆使するはやて。
ユウナにとって理想的な大人の姿だった。
大人である二人が理解し合える世界があり、自分はまだその世界とは切り離されていると実感した。
無理もない。
経験も知識も浅く、自他ともに認める「子ども」に過ぎないのだ、自分は。
当然だ。
「…………何だろう、なんか」
だけど、何となく、「子ども」という言葉に心がモヤッとするユウナだった。