FFX スピラを旅する異世界人   作:カムパネルラ321

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海の遺跡② ~内部~(修正済)

はやては自身がFFXの世界に転移したことを認識した。

状況が多少理解できたところで、なぜ転移したのかと考え始めたが、いくら考えてもわかることではないと悟り、まずは現状に対する対処を行うことに決めた。

 

「てことは、ここはティーダがザナルカンドから飛ばされて一番最初にいるあの謎遺跡か」

 

今は消えてしまった半魚人、あれははやてがゲームでよく見かけたあの魔物だったのだ。

水の中から飛び出てきたときは軽いパニック状態に陥っていたから足元の石で何度も殴打してしまったが、よくあれで倒せたなとはやては思う。本来であれば剣なり魔法なりでようやく倒せる魔物だったはずである。

 

「最初のステージに現れる敵だから弱いのかもしれない…… 油断せずに対処していこう」

 

はやては何と無しに自分の手のひらを見つめた。

水中で例の魔物から逃げる際の不思議な現象、あれは魔法の力によるものだったのではないかと思ったのだ。詠唱をしたわけでもないし、特定の魔法を使おうとしたわけでもない。しかし、ここがFFXの世界である以上自身の身の回りに起きる現象はすべて魔法によるものか、あるいはそれに準ずる何かであると捉えたほうがいいだろう。

アルベドの機械があるが、あれも、はやてがいた世界の技術レベルと比較すると、もはや魔法みたいなものである。

 

不思議な現象に気を取られ、とっさに反応できないことが一番まずいとはやては気を引き締めた。

 

「あの現象、僕が引き起こしたものなら、今何ができるか確認しておいた方がよさそうだ」

 

周囲を確認する。魔物はおろか、生き物の気配一つない。今なら何か大きな音が起きても問題ないだろう。

そう考えたはやては、自分が魔法を使えるのか試したくなり、うずうずし始めた。

大きな音が起きても問題がないとは言い切れないのだが、しかしFFXの世界で魔法が使えるかもしれないという焦燥感にも似た期待がはやての判断を鈍らせていた。調子に乗り始めていたとも言える。

 

とりあえず片手片足を前に出して、いかにも今から魔法を打ち出すような構えを見せるはやて。その動作は魔法の存在しない世界から来た者のものとは思えないほど、なめらかなものであった。20を超えて何年か経つが、未だに「ある病」を抱えているのかもしれない。

 

「FFの魔法と言えば、まあまずは…ファイア!」

 

はやての正面10mほどの空間に大雑把に狙いを定めて「ファイア」を放つ。

すると、子どもであれば簡単に包めるほどの炎が空間に現出した。ボゥ!と音を立てて現れたその炎は、確かに攻撃性のある魔法であると見て取れた。

 

「お、おおおお!!! すごい! ファイアだ!」

 

生まれて初めて魔法を行使したはやては初めておもちゃを与えられた子供のように、無邪気にあちこちにファイアを連発する。何も考えずファイアを放ったわけではない。初めの数回だけである。はやてはファイアの飛距離や威力のばらつきを検証した。

 

飛距離についてはちょっとしたコンサートホールくらいありそうなこの円形の遺跡内部であれば、視認できる範囲において、どこでもファイアを現出させられた。こちらは予想通りだった。

離れた魔物や敵に対して有効な攻撃手段を持っていたルールーが、遠く離れたシンの一部に魔法を放つシーンをはやては覚えていたのだ。最大距離は分からないが、少なくとも百メートル以内は確実に魔法の有効射程内だろうとあたりをつけた。

 

次に威力であるが、こちらは見た目や炎の燃える音から推測して、何となく、どのファイアも威力は大体同じくらいだと感じた。FFのどの作品においても、魔法の攻撃力には同じ魔法でもある程度のばらつきがあった。おそらく、こちらもゲームのシステムに準拠しているのだろう。

 

それからはやてはどんな魔法が使えるのかを検証した。先ほど放ったファイアの派生である、「ファイラ」、「ファイガ」を陰に隠れて遠くに放ってみたり、ピラニアらしき魚に咬まれた箇所を「ケアル」で癒してみたりした。

その過程で、FF作品によっては同じ「ファイア」でも威力が異なるのではと思い、最近プレイしたFFXVを思い出しながら「ファイア」を唱えてみた。FFXVではフィールドにあるエレメントストーンから基本属性の3種類『炎・冷気・雷のエレメント』を吸収し、魔法精製という過程を踏んで初めて魔法を放つことができる。エレメント魔法と呼ばれるFFXVの魔法は放たれたときの様子がとても派手だったので印象に残っていた。

 

魔法精製という過程を踏まなくともFFXVのエレメント魔法が使えるのではないか?という仮定の下に検証が行われたが、こちらも問題なく発動された。また、特に何も考えず「ファイア」を放つとFFXに準拠したファイアが放たれた。

 

FFXVとFFXのファイア、どちらの方が威力があるのかはっきりしたことは分からない。見た目はFFXVの方が派手だったが、案外威力は同じようなのかもしれないと考えると、どちらがより便利であるかについて追々検証していこうと思い、ひとまず次に進んだ。

 

「どちらのファイアが良いのかよりも、他のナンバリング作品の魔法が使えることが分かったことが大きい」

 

使用できる魔法の種類についても調べる必要があるだろうが、それは落ち着いた環境に身を置いてから追々調べるほうがいいだろうとはやては考える。今はむしろとっさに魔法が使える方が大切だと思ったのだ。とりあえず、はやてが使おうと決めた魔法は以下のものである。

 

 

 

黒魔法:

ファイア、サンダー、ブリザドの三種類を基本にする。魔物に応じて、その派生を使用。水中ではブリザド一択である。怖くてサンダーは使えない。

 

白魔法:

回復用にケアルとエスナ。命を優先するために、積極的にこの二つは使うことにした。体への影響が分からないため、ヘイストは使用しない。また、過剰な回復も同じ理由で極力控える。なお、戦闘不能になると自動的に蘇生するようになるリレイズ、物理防御を上げるプロテス、魔法防御を上げるシェルだけはその効果の有用性を鑑みて、ケアルでピラニアによる傷をいやした後に自身に施していた。

 

なお、戦闘は極力控えることに決めた。たとえどんな魔法が使えたとしても、魔物の動きに反応できず一撃で殺されてしまう可能性があるからだ。また、ゲームではMP表示があったためどんな魔法があと何回放てるか計算できたが、今はMPの残量を把握する術がない。戦闘中にMPが切れてしまったらくそ雑魚ナメクジ待ったなしである。

MPの残量については実感がまるでない。何も感じないのである。「体の中で何かが減った」という感覚があれば、ネットによくある「異世界もの」のように感覚でMP管理ができるだろうが、全くなんの変化も感じなければコントロールも何もない。

 

検証用に魔法を連発したこともあり、燃料が少ないかもしれない上にガソリンメーターのない車に乗った気分のはやてだった。ただ、何が起きるか分からないこの状況に対して対抗策があるというだけでも、大きな安心感を得ていることは間違いない。

 

「贅沢は言えない……いや、すでに贅沢かな。要は腹をくくれって話なんだろう」

 

覚悟を決めるかのように、はやては重たいため息をついた。

ふと、自身の息が白いことに気が付く。気温が低いことにも気が付き、更に濡れた服が体温を奪う。興奮から覚めて、一度気が付いてしまうと、はやてはどうにも我慢できなくなり、パパっと服を脱いでしまう。今更ながら、ああ、部屋着で来てたのかと、そんなことにも気が付いていなかった自分自身に失笑した。靴下は履いてても、靴を履いていない状況にもなんとなく合点がいった。

 

下着一枚と靴下だけになったはやては更に焚火で温まろうと思うが、可燃物が見当たらない。どうやら遺跡内部を探索する必要があるようだ。寒さによるものか、不安によるものか、はやては震える身体を抱きしめる。

 

「ゲームと似たような展開だな…… 偶然か、それとも」

 

考えても仕方がないとはわかっている。しかし、自身がなぜFFXの世界に来たのか。なぜ小舟ははやてをこの遺跡に連れてきたのか、なぜ魔法が使えるようになっているのか…

 

 

作為的なものを感じる。

 

 

「何はともあれ、体を温めないと。後でゆっくり考えるか」

まずは暖まろう。状況的に仕方ないとはいえ、やや変態的な装いのまま、はやてはぺたぺた歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

今のはやての状況と1000年前のザナルカンドから連れてこられたティーダが置かれた状況は確かに似ている。しかし、その決定的な違いの一つは、海の遺跡に来た時点で「魔法」が使えるかどうかだ。はやての場合、火をつけるために火打石は必要としないので適当な可燃物を見つけるだけで済んだ。枯れた花束に加え、木製の家具や、乾いた布なども回収できた。最初にいた広間と可燃物のあった小部屋の間を何度か往復することになったが、ちょっとした規模の焚火が完成した。ファイアが使えることの便利さとありがたさを噛み締めつつ、焚火に背を向けて背中を暖めるはやてはぼんやりしていた。

 

たしかゲームでは火を焚いたティーダは眠っていたが、自分はどうしたって眠れそうになかった。今自分が置かれている状況がゲームの流れと似通っているのであれば、この後の展開にも備えていなければいけない。それがいつ現れるのか分からないため、はやては適度に休息しつつも目を覚ましていた。

 

「体感的には1時間くらいか。服もとっくに乾いてる。正直眠いけど、やっぱり起きておいたほうがよさそうだな」

 

しかしゲームと同じ展開を望むのであれば、逆に寝たほうが良い気もする。フラグが立っていないという可能性もあるわけで。はやては大きなあくびを一つ、軽く伸びをしてから目をこすった。

 

「そういえば靴がないなあ。靴下は履いてるけど、もう少しどうにかした方がよさそうだ」

 

そう思い立ったはやてはのそりと立ち上がり、追加の燃料として側に置いていた何かの布切れを手に取る。カーテンのように、布に厚みがある。適当に破って布を足に巻きつけて保護した。

 

「まさかここでも役立つとはね。なんでも勉強してみるもんだ」

 

子供のころ海外に住んでいたことがあるはやてと彼の姉弟たちは「万が一」を想定したサバイバル術を父から学んでいた。比較的治安のよくない街に住んだり、自然災害が多い国に住んだりしたため、こういったことは皆得意であり、また、実践することも時々あった。とはいっても災害時のサバイバルに毛が生えたようなものであり、素人よりまあ動ける程度なので、サバイバルマニアや軍人のそれとは比べ物にならないだろう。しかし、それらの経験は、緊急事態においても冷静に思考する訓練となり、異世界に転移したという状況下においてもある程度の精神的余裕をはやてにもたらしていた。

 

「姉弟の為にと率先して学んだ甲斐があったな、ほんと。親父に感謝だ」

 

足を保護する重要性もよく理解している。布の巻き付き具合を確認し、跳ねたり歩いたりして問題がないか確認したはやては、また焚火に背を向けて座り込もうとした。

 

その瞬間、派手な爆音が広間を響かせた。

 

「うおっ!!?」

 

はやてが身構える前に、広間の壁の一部が吹き飛んで黄色いガスマスクや水中用ゴーグルを身に着けた何者かが数名飛び込んできた。その手には銃剣のついたライフルらしき銃を携えていた。統制の取れた動きではやてと対面する。いつだか動画投稿サイトで見た軍の小隊のようだった。

 

「ガエア ダ ミウボ!」

「ヨンハソヨノ シ シンデン ダ ミウコオアモ!」

「ガダ イサレマ シンデン ギャメネアモ! ゴフヌウ?!」

 

侵入者たちははやてに銃先を向けながら何事かを叫ぶ。どうやらはやてを警戒しているようだった。銃の引き金に指をかけている。

 

「アニキ ム モンベヨミ!」

 

「こっちが先か、くそ!!」

 

先に魔物とのバトルがあると想定していたはやては、完全に虚を突かれた形となる。

 

(アルベド族!この遺跡から脱出するには彼らを頼らないといけない! 敵対は厳禁だ!!)

 

ゲーム通りであれば襲撃してきたであろう魔物との戦いで、はやてはアルベド族と共闘し、ここからの脱出に際して力を貸してもらう予定だった。ゲームと同じ展開になるとは限らないためアルベド族がやってくることは希望的観測に過ぎなかったが、それでもはやてにとってアルベド族の襲撃は絶対に逃せないチャンスであった。

 

はやてはゆっくりと両手を上げ、膝をつき、戦意がないことを示す。そしてできるだけ冷静に声をかけた。

 

「僕は敵じゃない。どうか、助けてくれないか」

 

銃口を向けるアルベド族たちは戸惑った。

本格的な探索の前に事前調査で海の遺跡へやってきたら、遺跡の広間には大きな焚火が焚かれていて、体を暖めているナニカがいた。一見すると人間だが、服装がおかしく、魔物である可能性もあるため、いつでも攻撃できるようにしていたのだが様子がおかしい。

 

ナニカは自分たちの銃を認識したとたんに両手を上げて膝をつき、投降の意を示した。

 

まず、この時点でおかしかった。あの者は、銃とその特性を知っていて、銃口を向けられたことの意味を正確に理解していた。距離が空いていても、攻撃が届く範囲であると知っているのだ。さらに、銃を向けられた時の正しい対処を知っていた。アルベド族以外で、あのように振る舞える者がどれだけいるだろうか。

 

あいつは、銃を理解している(・・・・・・・・)。アルベド族を嫌悪する様子もない。

 

ゆえに戸惑っていた。

 

「チラヤ、ハシコオガ」

 

一人のアルベド族が何事かを発する。

はやては何を言われているのか理解できていない。しかし、こういう時は大抵誰何するものだとは知っていた。返答が間違っているかもしれないと思いつつ、はやては名を名乗ることにした。

 

「はやて。柊木はやてという」

 

投降した姿勢は崩さない。

むやみに刺激せず、相手に恭順の意を示さなければならない。

 

「ハヤテ?トヤネオハヤネア?トエサヒオヨソザダカアウオア?」

 

別の男が問いかけてきた。

 

「すまない、何を言っているのかわからないんだ」

 

言葉は通じていないだろうと予想したはやては、首を横に振って自分の意を伝える。言葉が伝わらないことなど自分の世界ではざらにある。だからこそ、ボディランゲージでどうにかコミュニケーションをとるのだ。ボディランゲージは国によってその意味が変わってくるが、FFXは日本製のゲームであるため、大体のニュアンスは同じであるはずだ。少なくとも、はい、いいえくらいは日本式ボディランゲージで伝わるに違いない、というかそうであってくれと、はやては願う。

 

奇跡的なことに、はやてとアルベド族たちのコミュニケーションはぎりぎりのところで成り立っているようだった。まさにエボンのたまものである。

 

「ゴフタナアルベドゾマ マヘハミモフガハ」

 

一人の男がいう。

 

「チテンマ ハミモフガボ」

 

それに対して少しのんきそうに返答する他のアルベド族。銃口は逸らさないが、引き金から指を離していた。明確な敵意は多少薄れたようだった。

 

「リソヤブアニキムヤソフ。キギムワトヅンガ」

 

どうやらはやてを攻撃するつもりはないようだった。

もしかしたらこの男はアルベド族となにか関係があるかもしれない。一連のはやての所作からそう判断した男たちはその場で待機することに決めた。

 

はやても、相手の敵意が薄れたことを察し、ひとまず安心した。たしかゲームではティーダに対してかなり攻撃的だったような気がするが、少し拍子抜けするほど、アルベド族達は冷静だった。多少乱暴されることも覚悟していたはやてである。

 

もしかしてアルベド族って結構理知的で友好的なのでは?と淡い期待を抱く。

 

「ハンガ!ゴフキサトヤネナ!ヤコオア!?」

 

金髪モヒカンで胸のあたりに青い刺青を彫った男が入ってきた。同時に、部屋にいたアルベド族全員が「アニキ!」と叫ぶ。リーダー格の男のようだった。

 

そして、はやても「アニキ!」と叫びたい気分だった。

その強烈なインパクトを与えてくる見た目、奇妙な動きに、はやては見覚えがあった。皆にアニキと呼ばれ続けて、いつしか自身の本名を忘れてしまったその男は、投降の意を示している謎の男に目を向けた。

 

謎の男はなぜかうれしそうな笑みを浮かべている。

アニキは少し意味が分からなかった。

 

「ハンガ、ヨミユマ?」

 

アニキが何事か発する。

 

「カアニヤヘン。トエナダヨヨシソユシュフキサソチ、ワホヨオサチヂベワササヤッセミヤキサ」

 

一人のアルベド族が状況を説明した。アニキはチラとはやてに目を向ける。

相変わらず嬉しそうにしている。他の遺跡を探索中に迷子の仲間を見つけたときがあるが、そいつと全く同じ表情をしていた。

意味が分からなかった。

 

「サズンベヌテゴ、トエナシヒアミタユギャハミアソ」

 

別の男がアニキに言う。アニキは怪訝そうな目を向けた。

 

「ハシ?ゴフミフヨソガ?」

 

「ギュフムツテサソチ、ワミユ、ヌヅシソフヨフキサンベヌ。ギュフムキッセミウッセヨソギャハミベヌア?」

 

男は、はやてが銃を向けられた時、正しい形で投降したことを説明した。アニキはそれを聞いて、確かに、あいつは銃を理解をしているのだろうと思った。銃を向けられた時の正しい投降の仕方なんて、我々アルベド族ぐらいしか知らないはずだと思ったからだ。アルベド族以外は機械を嫌う。銃も同じで、そもそも見たことあるやつの方が少ないくらいだ。

 

機械を知っている。更にアルベド族に対して嫌悪感を抱いていない謎の男。

なるほど、仲間がオレを呼んだのはこれが原因か。

 

「アニキ」

 

さて、どうすべきかと悩んでいると、アニキを呼ぶ声がした。

鈴の音のような声。

 

「ゴフキサオラ?」

 

赤いスイミングスーツに身を包む妹、リュックがアニキの後ろからヒョイと現れた。

 

「リュック」

 

リュックと呼ばれた小柄な女の子はアニキの横に立ち、ゴーグルを外すと、広間の中心で膝をつき、両手を上げて投降している男に目を向けた。

 

「ワエ? ガエワエ?」

 

リュックがはやてを指さしながら何かをアニキに問いかける。アニキは首を横に振りながら、分からない、とでもいうかのようなセリフをはいた。

 

「クフン。ワ!ホーガ!ワサキダマハキセイモッア?」

 

リュックが何か思いついたように自分を指さし、アニキに問う。アニキは難色を示していたが、ほかの仲間も話を聞いたほうが良いというので、リュックに対してうなずいた。

 

リュックがはやてに歩み寄る。話しかけようとしたのだが、リュックは「へ?」と一瞬戸惑ってしまった。

はやてが呆然とした表情でリュックを見つめていたのだ。

それもそのはず。はやてが知っている「FFXのリュック」と目の前のリュックの見た目が全然違っていたのだ。顔は、ゲームのそれと確かに瓜二つだ。というかリアルで見ると、結構日本人っぽい顔立ちだし、美少女と呼んでも差し支えないぐらいにはかわいいなと思ったぐらいである。

 

しかし、それでも目の前の女の子が、はやての知っている「リュック」であると思いにくかった。

 

「おにーさん、ヒト語話せる?魔物じゃないよね?」

 

ひざまずくはやてを見下ろすように、リュックが問いかける。はやては呆然としたまま、無意識にのうちに言葉をこぼした。

 

「ち、」

 

「ち?」

 

「ちんまい……?」

 

リュックは、はやてのセリフに疑問符を浮かべていたが、その「意味」を理解したとたん、何故か胸をおさえて、顔を真っ赤に染めながら、

 

「今から成長するんだから~!!」

 

「んごぅうふっ!!」

 

「「「「「 リ、リュックーーー??!!! 」」」」」

 

跪くはやての無防備な顔に、腰の入ったキックをかました。

思いのほか強い衝撃に、はやては後ろに倒れながら、

 

(おいおいおいおい、この世界、今原作から何年離れてるんだ……)

 

薄れゆく意識の中、自身の異世界転移は面倒ごとが多くなりそうだと感じた。

奇しくも、FFⅩの主人公と同じように気絶させられたことに気が付いたのは、リュック達が乗り込むサルベージ船上で目が覚めてからだった。

 




結局水中での不思議な現象は何だったのか…
はやてくん、魔法を前にして興奮したから頭から飛んじゃった

現時点のリュックちゃんは13歳♡こっちでは中1になったばかりですね
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