俺の異聞帯(暫定)   作:あすとろん

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その1

「諸君。問題が発生した。」

 

「「「⁉」」」

 

地球を漂白し終え、各自の異聞帯にて王や自身のサーヴァントと共に空想樹を育てるクリプター達。

そんな彼らがそれぞれの進捗を報告しあう何度目かの会合。

それはキリシュタリアのそんな一言から始まった。

キリシュタリアはいつもの余裕と自信に溢れる笑顔のまま、起きた問題の詳細を他のクリプター達に説明する。

 

「『異星の神』すらも想定外の8人目のクリプター、そして異聞帯が出現した。クリプターの名前はアシュトン・レイナード。マスター候補生の一人であったがカルデア襲撃の際、予期せぬ特異点が出現した。」

 

「特異点だって?アレは言うなれば魔術王による過去への干渉によって出来る人類史のシミのようなものだろう?そもそもあの時点で人類史自体が漂白されていたのに発生するものなのか?」

 

「良い質問だカドック。その疑問に答えるのならあの時人類史は漂白されていたが完全には漂白されてはいなかった。おそらく漂白され切っていないほどの昔、恐らく紀元前に起因した特異点だったのだろう?」

 

「へえなるほどねえ。問題はその特異点が何でできたか?そして今はどうなったのか、よね?」

 

「ああそうだよ。ペペロンチーノ。」

 

「アシュトンなんてヤツいたっけか?Aチーム以外はあまり面識ないんだよな俺。」

 

「そもそもベリルは興味のない人間など覚えていないでしょう?確か・・・彼は能力だけならそこそこ高かったはずだけど意識が低いとうか、レイシフトを疑問視してしたのでAチームには選抜されなかった人物よ。人格的には…よく知らないけど。」

 

「・・・興味ないわ。」

 

「彼は現代魔術科、それもあの名高いエルメロイ教室に在籍している魔術師でね。血筋も中々に古い家系だ。家は錬金術を主としていたようだが彼自身は先ほど言った通り現代魔術科で様々分野に手を出していて・・・あまり実家との折り合いはよくなかったはずだ。

まあ今となってはそんなこと関係ないだろう。」

 

キリシュタリアが一度間をおいて他のクリプター達が注目するのを待つ。

 

「問題なのは彼が特異点発生の場にいて、しかも想定外の事象を観測した『異星の神』と交信した際に空想樹の苗木と我々クリプターの情報を奪い取ったうえで新たな異聞帯を発生させてしまったことだ。我々や『異星の神』とも異なる思惑でね。」

 

「あらあら」

 

「キリシュタリア様に弓引くなど・・・」

 

「へえ!『異星の神』相手にカマすとはなあ!アシュトン、アシュトン・レイナードねえ!覚えたぜ!それでキリシュタリア、アシュトンはどうするんだ?」

 

「そうだね。出来れば我々と志を共にして貰いたいな。アシュトンの異聞帯がどんなものなのか分からないが、神霊を3柱も擁する私の異聞帯が負けることはあり得ないだろう。しかし異聞帯が多ければ多いほどそれを勝ち進んだ異聞帯は多様性に富み、強く成長する。だから諸君も一度は彼に声をかけてくれないか?」

 

「・・・めんどくさいわ」

 

「キリシュタリア様。もしもそれの応じない場合は?」

 

「・・・残念だが彼の異聞帯は潰すことになるだろう。」

 

「「「・・・」」」

 

それぞれの映像が映し出されている会議場に沈黙が下りる。

 

「僕はそろそろ皇帝が起きるころだからね・・・。これ以上話がないなら戻らせてもらう。」

 

「ああカドック期待しているよ。」

 

中空に映し出されていた、クリプターの一人、カドックの映像がそのセリフと共に掻き消える。

そしてそれを皮切りに他のメンバーの映像も消えていく中、最後まで残っていたオフィリアは今にも消えそうなキリシュタリアに向かって声をかけた。

 

「キリシュタリア様・・・」

 

「うん?なんだい?」

 

「アシュトンの件大丈夫でしょうか?」

 

「確かに『異星の神』を出し抜くとは油断ならない相手だろう。だが私の異聞帯の成長も順調だし、君のところの王、また最悪は炎の巨人すらいるのだ。彼の異聞帯に仮に神性がいたとしても五分と五分以上とならないはずだ。心配はいらないよ。」

 

「・・・そうですね。わかりました。」

 

「ああ。オフェリア君には期待しているよ。最終的に残るのは私か君だろうからね。」

 

キリシュタリアの映像が消える。

 

「キリシュタリア様、私の目にはアシュトンがクリプターになる可能性など少しも観ることが出来なかった。私の目も万能ではないけれど・・・コレはどういうことなのかしら・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おっす俺アシュトン。

一応魔術師やってるピチピチの17歳だ。

まあこの前までカチカチの冷凍食品見たくなってたけどネ!

 

さて今から俺という人間を取り巻く状況を簡潔に説明するので聞いてほしい。

・俺氏(1.5部までプレイ済み)心臓発作で死亡(特典付き)

・神様転生的な何かで型月世界の魔術師の家系に転生。

・そこそこの才能でエンジョイしてたらカルデアのマスターの一人になる

・レフによる爆破(前世を思い出す)

・FGO第一部~第1.5部(冷凍中)

・Aチームを除いて最後に蘇生。カルデアに滞在してたら第二部(多分?)開始

・黒づくめのヤバいやつに襲撃されたり凍死しかけながらも逃げてたらぐだ達に置いて

行かれて途方に暮れる。(←今ここ)

 

「っということで誰か助けてくれええ!あと・・・寒いぃぃ!?」

 

へへ、へへへ。

これでも俺は特典付きの転生者。

本気出せば無差別の凍結程度対処できるのサ!

まあ英霊の攻撃なんで防ぎきれてないから閉じ込められて凍死寸前ですけどね!!

 

「畜生。なんかよく分からんがAチームのエリートども裏切りやがって。特にキリシュタリアは偉そうにイキってるしカドックの野郎なクール系美少女侍らして冷凍してくるし。ぐだ達はぐだ達で俺のことを置いてくし・・・いや分かるよ?緊急避難ってことくらい。でもあんなどこかで見たような嫌味な新所長助ける暇あったら俺とかせめて他のスタッフを助けろよ!?いやすいませんやっぱり嘘です。助けてください。俺のことを超助けてください!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

チクショウ!!主人公とか期待してなかったさ!敵役もな⁉でもせっかく生まれ変わったなのに選択の機会すらなく死ぬってなんだよ!?しかも特に物語と関係もなく!!モブどころか背景レベルだってのか俺は!?ふざけるな!!タダで死んでたまるか!!こんなところで死ぬくらいならぐだ達の敵にしっぽを振ってでも生き延びてやる!!」

 

現実逃避のために文句を垂れ流してたらあまりの理不尽な境遇に怒りが湧いてきた。

俺はその怒りのままなけなしの魔力を使って氷に閉ざされたカルデアの奥へと向かう。

 

 

 

 

 

「やっちゃったよ・・・やっちゃった・・・」

 

あれからいくばくかの時間が経過していた。

ただし先ほどとは異なり、今俺の手にはいくつもの聖杯がある。

そう聖杯だ。

ぐだ達がこれまでの冒険で集めた聖杯たち。

これがゲームなら聖杯転輪待ったなしだが此処は現実。

特定のサーヴァントのみ使用するわけにもいかず厳重に封印されていたコレら。

それが今俺の両手で持ちきれないほどあるのだ。

因みに厳重な封印は冷凍攻撃で綻んでいたこともあり俺の全力で破壊できた。

初めてまっとうに使った特典が強盗のためとか笑えない。

 

「死にたくないんだ。だから・・・誰か、誰か俺を助けてくれ!!」

 

俺は聖杯に願った。

願って、願って、ただひたすらに願って、

俺の大義も何もない願いにこたえる声があった。

 

「―――おいで―――」

 

聖杯に灯が灯りどんどん端から砕けていく。

世界がガラスのように割れ、黒い泥が溢れ、かつて魔術王の築いた特異点を足掛かりに、新しい異聞帯を作り上げる。

どこかで驚いたような声が聞こえた気がした。

俺はなけなしの意地を振り絞り、そちらへ手を伸ばし其処からナニカを奪い取る。

 

「異星の神とか、使いつぶされる未来しか見えないんだよっ・・・!空想樹だけ貰っていくんで・・・さっきまで俺のことなんぞ認識すらしていなかったくせに調子いいんだよ!ざまあ!!」

 

俺は急に「異星の神」なる存在から交信を受けたが、それを無視してクリプターなる存在の力と情報だけ奪って黒い泥にダイブする。

コイツはどう考えても俺のことをどうでも良いと思ってるだろうし、なんとなく「騙して悪いが・・・」と使い潰される未来しか思い浮かばない。

 

「―――いっしょ―――いこう―――」

 

此処に本来存在しないはずの第8の異聞帯が生まれる。

 

 

Lostbelt番外 混沌創成大海ティアマト(意図から外れし大地)

B.C.2655 異聞深度:A

 

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