とある転移の学園都市 作:Natrium
第三文明圏で覇を唱えている、パーパルディア皇国の前身を知っているだろうか。
名をパールネウス共和国。現在のアルタラスと同程度の領土しか持たない小国であった。
『第三文明圏の列強国、パーパルディア皇国に攻め落とされたアルタラス王国が、本日十二時頃に独立を宣言いたしました。アルタラス王国に進駐していたパーパルディア皇国軍は全滅し、パーパルディア皇国アルタラス統治機構はアルタラス王国の組織に降伏しています。繰り返します——』
『我々はあなた方に一切の強要をしない。ですが、パーパルディア皇国の支配から逃れることを望むのなら、その時に向けて準備をして欲しい』
パールネウス共和国は、北からの侵略に抵抗し周辺諸国を支配した。結果として、五つの文明国と六十七の文明圏外国を属領を支配する巨大な国家規模に成長を遂げた。
『機長、まもなく投下予定地点です』
『手筈通りにやれ、時代遅れの兵隊など無人ヘリ一機で十分だ』
他国を圧倒した最大の要因は、地竜の使役に成功したこととされる。
面制圧が可能な火炎放射の能力と矢を弾く硬い皮膚を持つリントヴルムは、一種の火炎戦車であるとも言えよう。
『何だあの飛龍は‼火炎弾はそう連射できる代物ではないはずだ‼⁉』
『総員、突撃‼侵略者から祖国を取り戻すのだ‼‼』
ところが他国を支配した結果、さらなる軍事力が必要となり、軍を維持するために大量の魔石と物資が必要になって、それを手に入れるためさらに侵略をくり返すしか無くなるという、悪循環に陥ることになった。
『さ、先に述べたのは既に陥落している属領のみです。現在、他全ての属領で学園都市の飛行機械による襲撃を受け、そのいずれもが劣勢となっております‼』
『馬鹿な、文明圏外の蛮族にそんな力はない‼あるはずがないだろうが‼‼』
この十年以上にわたって拡張政策をとっており、周辺国に理不尽な要求を繰り返しては、拒否されると問答無用で侵略、征服を行っている。
そんな歪んだ支配がまかり通っているのは、何よりも『恐怖』によるものだ。
出る杭を必要以上に叩きのめし、見せしめにすることで皇国に反抗する気を失わせる。
それがパーパルディア皇国の『外交』だった。
『代理戦争か——舐めた真似をッッ‼忌々しいが他は後回しだ、戦力が分散している内に学園都市本国を叩け‼奴らを支配し、皇国に歯向かえばどうなるか世界に見せ付けてやれ‼』
もっとも、そんな支配がいつまでも続く道理など、何処にもないのだが。
『六百隻の大艦隊——なるほど、戦場伝説を作るには都合がいいな』
…………。
……。
1
皇都防衛の要ともいえるエストシラント南方の海軍基地、同基地には戦列艦がひしめき、皇国海軍主力といっても差し支えない。
基地の中には列強パーパルディア皇国の海軍本部も設置され、多数の戦列艦の並ぶその姿は圧倒的の一言であり、見る者にある種の感動を与える。
しかし現在、海軍基地は慌ただしくなっている。比較的に皇国に近い、ミレミアル王国の周辺海域で、戦艦を目撃したとの情報が入ったのだ。
すでに主力の三分の二は警戒のために布陣を整えており、万全の体制で敵を迎え撃つ準備が整っていた。
続々と港を出港する戦列艦、その一隻一隻が、この世界の平均的な戦船に比べ、圧倒的に強く、圧倒的に大きく、そして圧倒的に速い。
第三文明圏最強の海軍、列強パーパルディア皇国主力艦隊は、来たる学園都市海軍の攻撃に備え、全力出撃の用意をしていた。
2
海にひしめく大艦隊、そこにはパーパルディア皇国海軍の全てが展開していた。
各艦の距離は五百メートルにも及び、とてつもない範囲の「面」に戦列艦が展開している。
同面内に敵が入ってきた場合は、複数の艦が攻撃に参加する。
同質同数の量であれば、各個撃破される布陣であり、決して行わない。
これは、敵よりも被害を受ける事を前提とし、長射程砲を敵が持っていたとしても確実に敵にダメージを与えるための布陣である。
列強であるパーパルディア皇国にとってこの布陣は屈辱的でもあったが、学園都市には戦艦が確認されている。ムーから譲り受けた付け焼刃とは言え、間違いなく侮ってはならない。
第三艦隊提督アルカオンは、皇国に三隻しか存在しない百五十門級戦列艦ディオスに乗船し、前方を見る。
(今に見てろよ学園都市。列強の底力を見せてやる‼)
提督アルカオンは来たる学園都市に対し、敵意を燃やすのであった。
3
学園都市の戦艦、HsBBY-01は、波を裂きながら北進していた。
すでに敵の大船団は人工衛星、おりひめⅢ号に捉えられ、敵の空母艦隊の位置も把握している。
「各砲座、配置につけ!」
敵空母艦隊は、護衛艦隊から北東方向約百二十キロメートルに展開し、すでに主砲の射程距離に入っている。
空母艦隊からは、多数の敵航空戦力が飛び立つ様子がレーダー画面上に映し出されている。
艦長から戦術長に声がかかる。
「主砲、切り替え!」
「主砲、三式弾に切り替え!」
合図とともに主砲へのエネルギーの流入が停止され、代わりに三式榴散弾が装填される。
エネルギー兵器である陽電子衝撃砲は直線的にしか飛ばないので、水平線の先に存在している皇国艦隊を狙うことができないのだ。
「主砲、三式弾に切り替えた!」
「一番二番、前方の敵空母に照準合わせ!」
報告を受けた戦術長の指令で、HsBBY-01の第一、第二主砲が旋回し、百二十キロ先の空母艦隊に照準を合わせる。
「目標捕捉した!照準よし!」
樹形図の設計者には劣るが、学園都市内でもトップレベルの演算力を誇る『高度並列演算処理器』が波、風向、相対速度、自転の影響、相対速度から、必中の方程式を導き出した。
「撃てぇい!」
「てぇー‼」
戦術長の号令で主砲が火を噴き、合計六発の三式弾が撃ち出される。放物線を描きながら、砲弾が空気を切り裂く。
そして。
そして。
4
ゴッッッばっっっ‼‼‼と。
突然、パーパルディア皇国の竜母六隻が爆発した。
「っ⁉何だ事故か‼」
「いや違う、これは——砲撃‼⁉」
飛行甲板が真っ二つに割れ、ずぶずぶと海に沈んでいく竜母の残骸。
見えない敵から攻撃を受けた竜母艦隊司令は、混乱の極みにあった。
「砲撃だと⁉敵はどこだ、索敵班は何をしていた‼‼」
「不明です‼どこにも艦影が見当たりません‼」
「馬鹿を言うな、水平線の向こうから撃ってきたとでも言うつもりか‼⁉」
「ですが、そうとしか‼」
しかし、問答をしている時間はない。すぐに第二射が襲い掛かるだろう。
「回避運動を取れ‼砲撃にせよ何にせよ、それで回避できるはずだ‼」
「了解!」
空母艦隊がゆっくりとしたスピードで航路を変更する。仮に水平線の先から砲撃されているのであれば、滞空時間も異常に長いはずだ。それならば回避も容易かろう。
しかし、学園都市はそのような常識では測れない。
ぼっ、と空中で小さな炎が噴出した。
見張員には空中で砲弾が誤って爆発したように見えたが、実際には異なる。
誘導砲弾。
長距離射撃の精度を上昇させるために生み出された、特殊な砲弾である。
学園都市は着弾時に爆発する火薬の一部を炸裂させることで、コストを抑えたまま弾道を変更することを可能にしたのだ。
がっっっ‼‼‼と、再び竜母六隻が爆沈する。
残存空母は残り十隻を切り、全滅の危機に晒されている。
「くっ、馬鹿げている、我々は何と戦っているというのだ⁉」
「落ち着け、連射速度も精度も驚異的だが、何もできない訳ではない」
死期を悟った竜母艦隊司令のバーンは、艦隊に命令を下す。
「竜騎士団を全て上げろ‼この船と運命をともにさせてはいかん‼‼」
「っ、了解しました!飛龍、全騎発艦してください‼」
「……最後の命令だ。全竜騎士団は南へと進撃せよ。おそらく敵はそこにいる。必ず仕留めろ、いいな‼」
「はっ‼」
次々と竜母が沈む中、ワイバーンオーバーロードが発艦していく。
「竜母ガルガオン轟沈、竜母セイレーン轟沈!」
「っ、ここまでか」
無事に発艦できた竜騎士はおよそ三割。残りは、竜母と共に海に沈んでいる。
「後は頼んだぞ、ダイロス……」
艦隊司令のバーンは、自らの乗る船に飛んでくる敵の砲弾を見つめる。。
砲弾は船に突き刺さり、バーンは猛烈な光と共にこの世を去った
何故単艦突撃させたのかと言うと、召喚wikiの、グ帝の某戦艦の無双がスパロボVのヤマト単艦突撃みたいだ、とのコメントに非常に共感したため。
特に(戦略的な)意味はない、そうだろう?
一応、伝説を作るという目的も有りますが全部後付け設定