朝起きるとすでに始業時間を過ぎていた。
急いで教室に向かい、ドアを開く。
「諸君いい朝ーー」
教室に入ると、快音一発。
一夏のビンタイベントだ。
「……ふむ。新しいプレイかね一夏」
心なしか太っている一夏が私を睨みつける。
「これがプレイに見えんのか」
「さてね。そこの金髪転校生君。説明を求む」
うわぁ、と引き気味な金髪転校生に説明を頼んだ。
聞いてないが。
「ふむ。大体分かった。つまり、そこの銀髪ロリが一夏に対し、溢れ出るパトスを抑えられなかった、と」
「それは大きく誤か……い……」
銀髪ロリが振り向きながら私にまで敵意を向けてきたので笑顔で出迎えみた。
笑顔を向けられると何故か怯えられる、という経験則からの自然な行動だったが、私の笑顔には威圧の効果でもあるのだろうか。
軍人であるラウラにも通用しているようで、頬が引きつっている。
「し、篠ノ之……束……?」
「私は七海詩織。束とは友人だが」
「他人の空似、というわけか」
「遺伝子以外はほぼ同一の他人の空似だがね」
「そんな他人の空似があってたまるかッ!!」
「はっはっは。自分の尺度で物事を測ると偉いことになるぞ、銀髪ロリ」
「私はラウラだ!ラウラ・ボーデヴィッヒ!」
「あ、僕はシャルル・デュノアです」
和気藹々と自己紹介を行うと、背後から殺意をぶつけられた。
誰だ、と振り向く前に私の肩が痛みを発する。
なんと、指が食い込んでいるではないか。
「貴様らいい加減に席に付かんか!」
私の背後に鬼神が降臨した。
こってり絞られた。
もう遅刻はせんぞ……!
「未だに肩が痛い……まったく、手加減というのを知ってほしいね?」
さて、今回の原作介入はどうするか。
最初こそ遠慮気味だったが、最近はもう色々と崩れ気味ではあるから気にせず全力で行っても構わない気もするが。
「とはいえ、例のシステムは和解のきっかけでもあるわけで……無難に様子見といこうか」
私は私で異世界旅行したり設計図のまま放置されている武神やレヴァイアサンの建造を行ったりしよう。
今回の事は放置で。
……まぁ、少しだけ不安はある。
セシリアにフルンティングを渡してしまった事だ。
今日の授業でしっかりと使いこなしているのを確認しているので、本当に不安だ。
「目の前で略したりすれば使いたがらなくなるだろうか。フルティンとか」
なるようになるか。
VTシステム暴走イベントが強化されているようなら私も出よう。
「その時は頼むよ、ブリューナク」
蒼い砲槍に触れる。
側面についたスリットから光が漏れ出し、空中に画面を投影する。
そこに表示された文字列は、
「ブチノメスノ」
……いささか凶暴過ぎはしないだろうか。