私は山田先生の腕を華麗に回避しながら走っていた。
現在隔壁の目の前で破砕系概念を付与した黒鍵を投げたくて投げたくてうずうずしているのが私だ。
山田先生?
いつも通りに涙目だが何か。
「今のピットはいけないですから近寄らずに……あぁ!だめです!」
「いけないと言われたら、行きたくなるのが人間というものだね」
さて。
原作を覚えている諸君はこの辺りでラウラがVTシステムに身を委ねる事を予想しているだろう。
あの美しい装甲はもはや見る影もなく。
しかしてその動きは戦乙女のようで。
元気良くその場で無双していた。
「さぁ、脳震盪から回復したばかりだが早速お話といこうか」
「ちょーー」
山田先生の制止を掻い潜り、私はピッチに向かう。
「ユグドラシルは……まだ使わない方が無難か」
襟元を正し、黒鍵を指に挟み、空を駆けるためにX-wiを起動する。
背中に生えたのは二枚の光で出来た白い翼。
「そぉれ、受け取りたまえ」
ーー偽・火葬式典改。
強引にエネルギーシールドを火葬式典で粉砕、更に内部のラウラに向けて投げる。
着弾した場所にクレーターが出来るあたり、ちょっと破砕系概念を込め過ぎたかも知れないね?
「だが自重せん。スターライト……ブレイカー!」
回避を頑張るラウラ達に向けて砲撃をぶっ放す。
ラウラはもちろん、箒や鈴音、セシリア、一夏の悲鳴と断末魔が響く。
「すまない。しかし、ラウラを狙ったので当たったら事故だね?」
「あの太さの砲撃を放ってよく言うな詩織!!」
「騒ぐな一夏。ステイステイ」
カルシウムが足りないね?
「私はね、一夏。ラウラと親睦を深めるためにスターライトブレイカー……通称お話をしているんだ。邪魔するな」
「悪魔かお前!!」
ラウラを庇うように抱きかかえつつ叫ぶ一夏をみていると、なんだか私が悪役な気がしてくるね。
周りは死屍累々だし。
とはいえ、スターライトブレイカーでラウラは放心状態で排出、VTシステムも停止したし、一石二鳥。
誰も損しないね?
「さて、次はシャルルだね?」
「ひぃ!?」
ついでだ、と怯える男装金髪美少女に狙いを付けるとものすごい勢いで後ずさりされた。
心外だね。
「ふむ、人の顔を見て後ずさりなど……失礼な事この上ないね?お話といこう」
「選択を誤った!?」
「安心したまえ。私の趣味は『お話』だ」
「ひぃ!?」
さらに後ずさりされたので概念を用いて強引にISコアをハッキング、擬似秘匿回線を作ってシャルルにだけメッセージを送る。
『私からは逃げられないよ。シャルロット・デュノア君』
「ーーッ!」
『まぁまぁ、そう殺気立つものではないよ、ステイステイ』
睨みつけられたので落ち着かせるために続けざまにメッセージを送る。
『何故、という疑問に先んじて答えるならば、細かい作法が男性のそれと全く違う。肩幅、よく見なければ分からない程度に潰された胸部ーー憎たらしい。おっと失礼。ともあれ、これで君の疑問は解決したかね?』
いっそ巨乳概念でも作ればいいのだろうか。
いやいや、なんでも概念で解決しては良くない。そうとも。私は概念少女七海詩織。お話大好き女子高生なのだからね。
『本題といこう。黙ったままで構わないよ』
見つめ合う中、一夏がシャルルを庇うように動く。
……本格的に私悪役ではないかね。
ちょっとシャルルが嬉しそうにモジモジし始めて苛立ちを覚えたので、右手にエネルギーを溜め始める。
「一夏。女には我慢出来ない時があるのだ。どきたまえ」
『この学園に通い出して、いい友人に出会え、その様子では想い人も出来たようだね。君は、どうしたい?』
『ーーあ、こうやるんだ。すごいねこれ。えっと、私はね、許されるなら、まだみんなといたい。みんなで騒ぎたいし、一夏とも一緒に居たいし。これが私のしたいこと』
『ふむ。ならば良し。ではね。と見せかけてのリア充爆発させたい私のスターライトブレイカー』
みんな気絶したので全員纏めて一夏のベッドに運んだ。