とはいえ、戦闘における一切の自重を外した私が本格的に参戦したら数秒でーー悪ければ一瞬にして、銀の福音は残骸より酷いことになる事は考えなくても分かる。
三十万のリンチだ。
一体につき一ダメージでも三十万ダメージ。
魔界戦記ディスガイアの世界なら平気で反撃されそうだが、ここはISの世界。
「ふむ。やはりここはうまいこと手加減して遊ぶか……」
ブリューナク・改を装備して行くとしよう。
意思持つ五つのランスビットを搭載した意思持つ槍は標的を確実に貫くまで止まらない。
「しーちゃん?話聞いてた?」
ちなみに現在、銀の福音がやってきたよ対策会議の現場に居る。
色々ダイジェストだが、まぁ仕方あるまい。
さっきまで千冬によって気絶させられていたのだからね。
起きたらここだ。びっくりだ。
「ん?あぁ、すまない、どう料理してやろうか思考中でね」
「いっくんと箒ちゃんで行くから大丈夫だと思うよ?」
「念には念を、だよ」
襲来する銀の福音を止めるべく、白式と紅椿が出撃したのを尻目に、私はブリーフィングルームから出る。
……思えば、私は随分自分勝手に遊んできたね。
友人友人と嘯いてはいるが、実際、彼らがどう思っているかは分からないね。
強さは、イコールで人望ではないのだから。
いかん。
箒に強さの定義を聞いておいて感傷的になっているのだろうか。
とはいえ、今更態度を変えるわけには行くまい。
気持ち悪いだろうしね。
「さて、では、健闘を祈るよ、二人とも」
さて、感傷タイムは終わりだ。
私は治療用の符でも用意するとしようかね。
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色々すっ飛ばして事後。
箒は部屋に搬送、一夏はしょんぼりだ。
「さて一夏。気分は如何かね?」
「……詩織か」
目の前で箒が死にかけて超絶凹んでる一夏に声をかける。
今度はお前か。
そんな心の声が聞こえる気がする。
無視して背中に治療符を貼り付ける。
「とりあえず、もう動かなくてもいいぞ。一夏。私がどうにかしてやろう。ついでに世界を征服し、平定した上で女尊男卑の社会も叩き潰す」
「……大きく出たな」
「余裕の行いだよ、一夏。だから一夏。傷付くなら、もう戦いたくないなら、そこで箒と寝ているといい」
「……」
「誰も恨まんよ。何せ相手は軍用機。貴様らはただの訓練生だ。勝てないのは仕方ない、怖くて飛べないのもまた仕方ない、だ」
実際どうなのかは知らん。
「貴様が動かずとも、誰かがどうにかする。いいか、一夏。貴様は特別だが、一部除き、誰もそこまで求めてない。華々しい活躍も、栄光の道も。まだまだ先にあるものだ。だから一夏。寝ていたまえ」
「……」
……誰もが忘れ気味だが、一夏達はまだ子供だ。
子供に戦闘を推奨する、今の環境がおかしいのだ。
束のISを軍事転用したのも、仕方ない事とはいえ、非難されるべきものだ。
あぁ、本当に、この世界は嫌になる。
「ではね、一夏。ついでにこれを貴様にくれてやる。いつでもどこでも、私に繋がり、右下のボタンをタッチで私が召喚される優れものだ。クラス全員分と、あと千冬、束に用意した」
携帯を大量にぶん投げた。
なお、所有者以外が使用しても使用出来ないように概念付与してあるから悪用は不可能だ。
「どこに行く気だ」
「おや、千冬教諭。夜の散歩だ」
「……夜の散歩にそんな臨戦態勢で挑む馬鹿がどこに居る」
「気にするのはやめたまえ」
x-wi起動。
全速力で銀の福音を叩くべく、飛翔する。
「さぁ、諸君。暴れようではないか」
捕捉。
開幕スターライトブレイカーをぶっ放した。
「ふむ、やはりまだ落ちないか」
次はブリューナク。
スピアビットが叩き壊された。
銀の福音から弾幕が広がり、私に殺到する。
残念。
「・ーー全ては一瞬で真逆となる」
銀の福音が私の位置に、私は銀の福音がいた位置に一瞬で入れ替わる。
結果、銀の福音が放った弾幕は全て銀の福音に直撃し、瞬く間に機能を停止した。
それをレヴァイアサンに収納、ついでに中の人を宿に転送し、レヴァイアサンを現界させる。
「さぁ、ではついでだ。ノア君。全世界の電波をジャック。私の映像を出したまえ」
「tesーー以上」