試験
筆記試験は無事終わり、次は実地試験となる。
要は戦って入学を奪い取れ、と。
ピットで訓練機なんかにとフィッティングしてるのを尻目に専用機持ち達は戦略の確認などをしている。
私の外見はそっくりさんで通した。
やっぱり修道服だと悪目立ちして露出少なくても却って目立つ。
いきなりお茶とか誘われた時はどうしようかと思ったが、退場処分となってそれきりだ。
「ユグドラシル、初陣だ」
喜び勇んで会場に入ると、そこには世界最強の戦乙女がいる。
「束貴様……何を企んでいる……」
地を這うような声に思わず回れ右して帰りたくなるが、身を翻した瞬間に肩を掴まれた。
え、今この人、生身で瞬時加速した?
「たぁぁあばぁぁねぇええ……」
「ワタシタバネチガイマス」
思わず片言になった。
恐怖に弱いのは女になったからか?
いや、単に今まで感じた恐怖が世界最強を越えなかっただけのこと。
よし、落ち着け。
「ふゔ……」
息を吐こうとしたらアイアンクローされた。
そのまま片手で持ち上げられる。
その際頭蓋から軋むようなハーモニーが奏でられ、次いで私の口から痛みを訴える叫びが発せられる。
地獄の音楽の始まりだ……。
「わ、私の名前は七海詩織、遺伝子検査提出しますからはなしてください!」
必死に懇願すると離してくれた。
時間遡行反撃しておけばよかった。
「まぁ、いい。私がお前の仮想敵だ。私を倒したらお咎め無しにしてやろう」
どうやらまだ疑われているらしい。
自己紹介もしてくれない、織斑千冬教諭。
気にせず行こう。
「ユグドラシル」
Get set.
stanby ready.
腕輪に英語が流れていく。
準備は良いようだ。
「Go-ahead!」
ユグドラシルを展開、同時に瞬時加速で千冬に接近。
「一撃で首を貰う……!」
「甘いな!」
敢え無く失敗。
時間遡行反撃使えばすぐに決着なのだが、それではつまらない。
「では、征け!」
ユグドラシルのスカートのような刺々しい装甲からBT兵器が三機飛ぶ。
これらはすべて自動照準、攻撃を行うように改造してあるものだ。
しかし、当然のように回避され、破壊される。
「そこ!」
攻撃直後の隙を狙って大口径エネルギーライフルを撃つ。
「なにっ!?」
しかし、千冬は瞬時加速で前方に飛び、回避。
さらにそのまま切りかかってきた。
「さ、さすが刀一本で世界最強に輝いた伝説……!」
私は両腕の装甲の袖からアームソードを生やして受ける。
雪片でもない限り受け切れるはずである。
「本当に束ではないのだな。すまない。私は織斑千冬。知っているようだが」
やっと信じてくれた。
言葉でダメなくせにぶつかり合うと信じてくれるとか、脳筋レベルが中々。
「BT!」
BTを一機飛ばして千冬を引き離す。
これで振り出しに戻る、と。
さて、どうするか、と悩んでいると、不意に千冬が弛緩した。
「搭乗時間は?」
「今日が初めてです」
「初めてでそれだけ動ければ十分か。これで試験を終了する」
おまけ
「織斑先生、この受験生どう思います?」
「……束に見えますね。私が受け持ちましょう」
「ではお願いします」